異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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エピソード1

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「いらっしゃいませ」

お客から買い物カゴを受け取りバーコードを読み込んでいく


「1117円のお買い上げです」


「PAYPAYで」


スマホをチラつかせる客に愛想笑いを浮かべる


「かしこまりました」


会計を終わらせたら、もう次の客が買い物カゴを台に乗せている



「いらっしゃいませ」


休憩を挟みながら何時間もこの動作の繰り返しだ


けどこれをしないと俺は生きていけない


食べる為に生き、生きる為に仕事をする


俺が働いているのはスーパーマーケットの食品レジ


愛想笑いを浮かべ、ミスなく迅速に会計をしていくのが仕事だ


週5日、開店から7時間労働し休憩は1時間


給料は15万いかない程度


実家暮らしだからそれくらいでも十分だ


家に帰れば、離婚して戻ってきた姉の娘、父と母が居間でゴロゴロしている

食事は基本母が作ってくれるが、パートで朝早い母は年のせいか疲れやすく、週の半分は俺が作る


姉は料理嫌いで、仕事を理由にして家事は一切やらない


父は定年を迎え家に居るがゴロゴロするだけではなく、洗濯物を干したり取り込んだり、ゴミ出ししたりしてくれている


毎日が代わり映えせず、同じような日々を繰り返す


以前姉に、そんな生活をしていて生きていて楽しいのかと聞かれた事がある


友人と遊ぶことも無く、タバコは吸うがギャンブルはしないし酒も飲まない


仕事して家事をして少し自分の時間を過ごしてまた次の日が来る


特に楽しいことがあるわけじゃない


俺は楽しい事の為に生きている訳じゃない


ただ生きているだけ


生きている間にたまに楽しいと思う事に出会うだけだ



姉は俺と考え方や価値観が全く違う


楽しくなければ生きている意味がないそうだ


仕事して、家に居る時はスマホをひたすらいじり倒す


家にいない時は仕事か買い物か、不特定多数の男と飲みに出かけている


その間…いや、基本的に姪は俺か母が面倒を見ている


姪はまだ保育園に通う4歳児


公園に遊びにつれていくと、若いパパねーとか言われる時がある


前はいちいち姪だと伝えていたが、最近は面倒になりスルーしている


今日も帰ったら家事をして、姪と遊んで風呂に入れて寝かしつける事になるんだろう




姪はとても可愛い

素直で泣き虫で甘えただけど他人に優しく、気遣いの出来る子だ

殆ど俺と母さんで赤ん坊の頃から育てた様なものだから自分の娘のように思っている


姉はバリバリのキャリアウーマンだが、姪を産んですぐ離婚して産休明けから仕事と男遊び一筋

接待や出張、デートで家に居ない事の方が多い


姪は若干4歳にして、母親を母親として認識していない

『ママ』とは呼ぶけど、それは呼び名でしか無いのは保育園のお絵かきの時間に顕著に現れる


家族の絵を描く事になった時、姪が描いたのは俺と母さんと父さんの3人だけだった


姉は家族とさえ思われていないらしい


母さんが姉にもっと自分の子と関われと言ったが、姉はあろうことか、『自分で産んだけど娘と思えない。自分と似てないし、可愛いとも思えない。お金は入れるから子育ては任せる』と言った


母さんも俺も、何度も説得はしてみたが無駄だった


だからこそ、俺達が愛情いっぱいに育てないといけないと思う





「お疲れ様です。お先に失礼します。」



パートのおばちゃん達に一声かけ退社する


職場から家までは自転車で5分ほど


歩いても10分程度の距離にある



俺が住んでいるのはマンションの16階

1階~10階までが1人~2人暮らし用の1LDKで賃貸

10階以上がファミリー層の分譲

部屋数が増えるごとに階数が上がる

このマンションは17階建てで17階には部屋が4室しかない

うちの家も広いが、それが2つ分入る程の大きさだったとこのマンションを内観した際説明を受けた記憶がある







「ただいま~」


ドアを開けるとバタバタと走ってくる音が聞こえる


「おっちょー!!お帰りなしゃい!」


靴を脱いだ所に姪がダイブしてくる


「ただいま、愛音。良い子にしてたか?」


そのまま片手で抱き上げてリビングに向かう


「あーちゃんはいちゅも良い子!!」


「そうだな、愛音はいつも良い子だな」


ヨシヨシと頭を撫でるとニコニコする愛音


うん、可愛い


「おっちょー、今日保育園でぬりえちちゃの!お姫ちゃまぬりぬり、ちゃのちかっちゃ!」


愛音はまだ『た』『つ』『て』『と』とか『さ行』の音がしっかり発音出来ない


「お姫様のぬりえかぁ、愛音はお姫様大好きだもんな。何色のドレスにしてあげたの?」


リビングに入り愛音をソファへ降ろす


「ピンク!!あちょ、黄色のドレチュも!」


「そっか、持って帰ってきたらおっとーに見せてね?」


「はーい!」



荷物を片付けていると


「あら、お帰り」


母がキッチンから出てきた


「ただいま」


「ご飯はもうできてるけど19時からでいいでしょ?」


「うん、その前に愛音を風呂に入れるから」



うちの家では夕ご飯の前にお風呂に入って19時頃夕ご飯を食べて20時過ぎには愛音を寝かせる


次の日の保育園の準備をして、遊んでいたおもちゃをお片付けしてから一緒にお風呂に入る



湯船から出る前に必ず数を数えてから出る


「い~ちぃ、に~、しゃんまのしぃっぽ~♪」



湯船におもちゃを浮かべて遊びながら数を数え、風呂から出る時は自主的にちゃんと片付けもする



「よし、上がってご飯食べようか」


「はーい!!」



これが俺の日常だった




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