1 / 71
エピソード1
しおりを挟む「いらっしゃいませ」
お客から買い物カゴを受け取りバーコードを読み込んでいく
「1117円のお買い上げです」
「PAYPAYで」
スマホをチラつかせる客に愛想笑いを浮かべる
「かしこまりました」
会計を終わらせたら、もう次の客が買い物カゴを台に乗せている
「いらっしゃいませ」
休憩を挟みながら何時間もこの動作の繰り返しだ
けどこれをしないと俺は生きていけない
食べる為に生き、生きる為に仕事をする
俺が働いているのはスーパーマーケットの食品レジ
愛想笑いを浮かべ、ミスなく迅速に会計をしていくのが仕事だ
週5日、開店から7時間労働し休憩は1時間
給料は15万いかない程度
実家暮らしだからそれくらいでも十分だ
家に帰れば、離婚して戻ってきた姉の娘、父と母が居間でゴロゴロしている
食事は基本母が作ってくれるが、パートで朝早い母は年のせいか疲れやすく、週の半分は俺が作る
姉は料理嫌いで、仕事を理由にして家事は一切やらない
父は定年を迎え家に居るがゴロゴロするだけではなく、洗濯物を干したり取り込んだり、ゴミ出ししたりしてくれている
毎日が代わり映えせず、同じような日々を繰り返す
以前姉に、そんな生活をしていて生きていて楽しいのかと聞かれた事がある
友人と遊ぶことも無く、タバコは吸うがギャンブルはしないし酒も飲まない
仕事して家事をして少し自分の時間を過ごしてまた次の日が来る
特に楽しいことがあるわけじゃない
俺は楽しい事の為に生きている訳じゃない
ただ生きているだけ
生きている間にたまに楽しいと思う事に出会うだけだ
姉は俺と考え方や価値観が全く違う
楽しくなければ生きている意味がないそうだ
仕事して、家に居る時はスマホをひたすらいじり倒す
家にいない時は仕事か買い物か、不特定多数の男と飲みに出かけている
その間…いや、基本的に姪は俺か母が面倒を見ている
姪はまだ保育園に通う4歳児
公園に遊びにつれていくと、若いパパねーとか言われる時がある
前はいちいち姪だと伝えていたが、最近は面倒になりスルーしている
今日も帰ったら家事をして、姪と遊んで風呂に入れて寝かしつける事になるんだろう
姪はとても可愛い
素直で泣き虫で甘えただけど他人に優しく、気遣いの出来る子だ
殆ど俺と母さんで赤ん坊の頃から育てた様なものだから自分の娘のように思っている
姉はバリバリのキャリアウーマンだが、姪を産んですぐ離婚して産休明けから仕事と男遊び一筋
接待や出張、デートで家に居ない事の方が多い
姪は若干4歳にして、母親を母親として認識していない
『ママ』とは呼ぶけど、それは呼び名でしか無いのは保育園のお絵かきの時間に顕著に現れる
家族の絵を描く事になった時、姪が描いたのは俺と母さんと父さんの3人だけだった
姉は家族とさえ思われていないらしい
母さんが姉にもっと自分の子と関われと言ったが、姉はあろうことか、『自分で産んだけど娘と思えない。自分と似てないし、可愛いとも思えない。お金は入れるから子育ては任せる』と言った
母さんも俺も、何度も説得はしてみたが無駄だった
だからこそ、俺達が愛情いっぱいに育てないといけないと思う
「お疲れ様です。お先に失礼します。」
パートのおばちゃん達に一声かけ退社する
職場から家までは自転車で5分ほど
歩いても10分程度の距離にある
俺が住んでいるのはマンションの16階
1階~10階までが1人~2人暮らし用の1LDKで賃貸
10階以上がファミリー層の分譲
部屋数が増えるごとに階数が上がる
このマンションは17階建てで17階には部屋が4室しかない
うちの家も広いが、それが2つ分入る程の大きさだったとこのマンションを内観した際説明を受けた記憶がある
「ただいま~」
ドアを開けるとバタバタと走ってくる音が聞こえる
「おっちょー!!お帰りなしゃい!」
靴を脱いだ所に姪がダイブしてくる
「ただいま、愛音。良い子にしてたか?」
そのまま片手で抱き上げてリビングに向かう
「あーちゃんはいちゅも良い子!!」
「そうだな、愛音はいつも良い子だな」
ヨシヨシと頭を撫でるとニコニコする愛音
うん、可愛い
「おっちょー、今日保育園でぬりえちちゃの!お姫ちゃまぬりぬり、ちゃのちかっちゃ!」
愛音はまだ『た』『つ』『て』『と』とか『さ行』の音がしっかり発音出来ない
「お姫様のぬりえかぁ、愛音はお姫様大好きだもんな。何色のドレスにしてあげたの?」
リビングに入り愛音をソファへ降ろす
「ピンク!!あちょ、黄色のドレチュも!」
「そっか、持って帰ってきたらおっとーに見せてね?」
「はーい!」
荷物を片付けていると
「あら、お帰り」
母がキッチンから出てきた
「ただいま」
「ご飯はもうできてるけど19時からでいいでしょ?」
「うん、その前に愛音を風呂に入れるから」
うちの家では夕ご飯の前にお風呂に入って19時頃夕ご飯を食べて20時過ぎには愛音を寝かせる
次の日の保育園の準備をして、遊んでいたおもちゃをお片付けしてから一緒にお風呂に入る
湯船から出る前に必ず数を数えてから出る
「い~ちぃ、に~、しゃんまのしぃっぽ~♪」
湯船におもちゃを浮かべて遊びながら数を数え、風呂から出る時は自主的にちゃんと片付けもする
「よし、上がってご飯食べようか」
「はーい!!」
これが俺の日常だった
16
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
「禍の刻印」で生贄にされた俺を、最強の銀狼王は「ようやく見つけた、俺の運命の番だ」と過保護なほど愛し尽くす
水凪しおん
BL
体に災いを呼ぶ「禍の刻印」を持つがゆえに、生まれた村で虐げられてきた青年アキ。彼はある日、不作に苦しむ村人たちの手によって、伝説の獣人「銀狼王」への贄として森の奥深くに置き去りにされてしまう。
死を覚悟したアキの前に現れたのは、人の姿でありながら圧倒的な威圧感を放つ、銀髪の美しい獣人・カイだった。カイはアキの「禍の刻印」が、実は強大な魔力を秘めた希少な「聖なる刻印」であることを見抜く。そして、自らの魂を安定させるための運命の「番(つがい)」として、アキを己の城へと迎え入れた。
贄としてではなく、唯一無二の存在として注がれる初めての優しさ、温もり、そして底知れぬ独占欲。これまで汚れた存在として扱われてきたアキは、戸惑いながらもその絶対的な愛情に少しずつ心を開いていく。
「お前は、俺だけのものだ」
孤独だった青年が、絶対的支配者に見出され、その身も魂も愛し尽くされる。これは、絶望の淵から始まった、二人の永遠の愛の物語。
竜の生贄になった僕だけど、甘やかされて幸せすぎっ!【完結】
ぬこまる
BL
竜の獣人はスパダリの超絶イケメン!主人公は女の子と間違うほどの美少年。この物語は勘違いから始まるBLです。2人の視点が交互に読めてハラハラドキドキ!面白いと思います。ぜひご覧くださいませ。感想お待ちしております。
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる