異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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番となったソウ様とラウ様は番酔いという相性の高い番が陥る状況になっているので番酔いを直してもらうべく、青の国へ出発する前日まで2人きりで過ごしてもらう事にした


お互いがお互いの匂いに慣れれば番酔いをしなくなる


旅先でも常に相手に発情しまくっていられると困るので旅の支度はこちらに任せて貰い、2人には部屋に籠もって貰うことにした


食事は僕が作り温めるだけにしておく


ラウ様に、獣人と違い体力があまりないソウ様に食事を抜かせると病気になったり倒れるので食事はしっかりとらせるよう言っておいた


そして僕はと言うと、叔父上と王妃様と秘密の部屋で密会している


青の国へ行く道の確認をする為だ


まずはこの城から真っ直ぐ西へ向かうと死の森がある

奥に入るのは危険なので、森の入口に沿って南に向かう



青の国は白の国との間に砂漠があり、その砂漠へ行くにはアルタイック領を通るしか道はない

その砂漠を越えると森が現れる


森を横断し森を抜けると青の国へ到着する


ここで危険な場所が3箇所ある


1つ目が死の森の入口

森の奥よりは安全だと言っても魔獣が出るし、距離が長い

一度ここで寝泊まりをする必要がある

2つ目が砂漠

砂しかない為、自分の居場所ですら分からなくなる

方向を間違えれば砂漠から出る事なく命を落とす事になる

3つ目が森の横断

死の森では無いので魔獣は出ないが獣は出る

僕達獣人の獣化と違って、獣は理性がなく本能で襲ってくる



剣の使い手は騎士のラウ様だけ

ソウ様は魔法攻撃ができるようになったけど、実践はしていないから、生き物を殺すのに抵抗を感じるだろう


そうなると、僕が前線で動けば話は早いが僕の能力をラウ様に見せるわけにはいかない


ソウ様が僕くらい魔法が使えたら危険な道を通らなくても何回か移転魔法を使えば国境近くへ行く事ができるけど、ソウ様はあまり想像力がないようで、実際に見せてみないとできない事が多い


でも移転魔法は2種類あって、普通は知っている場所にしか飛べない

各国へ飛ぶ時は場所も決まっている


もう一つは僕が使う魔法

地図があれば何処にでも飛ぶ事ができる

でもこれができるのは多分僕だけ……もしかしたら白の国の第1王子も使えるかもしれない


何にしろ、危険な道をソウ様を守りながら進まなければならない



「必要な物は僕が全て揃えておきます」


「では請求はこちらに。カインもしっかりと装備するんですよ?」


そう言う叔父上に頷いておく


「カイン、青の国に居る第一王子に手紙を送りました。砂漠の近くの森まで迎えに来ます。そこで青の国の入国許可証と身分証明書を貰ってください。それまでしっかり賢者殿を守ってくださいね。」


王妃様にそう言われ深く頭を下げる


「畏まりました。では旅立ちの準備がありますので失礼いたします。叔父上これをお二人に。必ずご自分と王妃様をお守りください。」



渡したのは悪意から身を護り、傷を癒やす魔法を掛けたネックレス


「………カイン、これは……………」


叔父上は対になっているネックレスをじっと見る


「肌見離さずお持ちください。必ずお役に立ちます。もし、死がふたりを分かつ時が来ても奇跡がおきますよ。」


二人は驚いた顔をする

それもそうだ


一番最初の賢者だけが使えたとされる魔法

『蘇りの息吹』

愛する者のキスで死んだ筈の者が蘇る魔法だ


賢者は一度だけこの魔法を使ったとされている


だけど、その後はその魔法を使えた者は居ない


召喚された賢者でさえも使えなかったのだ



驚く二人に頭を下げてから部屋を出た





さて、まずは青の国迄の道程を下見してこよう


部屋に戻り移転魔法を使う



まずは死の森の入口


どれくらいの魔獣が森の奥から出て来ているか調査する


「…………結構多いなぁ。仕方ないが罠をはっとくか。」


あちこちに罠を仕掛けていく

魔獣が踏んだら爆発を2度起こす物

爆発時、小石が強化されていてその小石が魔獣の体を貫く

恐竜型にも爆発の温度で小石が貫ける程皮が柔らかくなるので魔獣討伐にはもってこいの罠だ



次は砂漠へと飛ぶ


見渡す限り砂だ

砂に太陽の日差しが反射して、余計暑く日差しも強い

ここを森が見えるまで歩く必要があるのか………死の森は馬で抜ける事ができるけど、砂漠では馬に乗れない


この問題をどうにかしないと砂漠で死ぬ確率が高くなる

暑さ対策………何か動物に乗れたら移動も早いんだけどなぁ………


これは課題だな


一度戻って砂漠を渡る動物について資料がないか探してみよう


本当は青の国の森まで飛びたかったが、既に結界が張られているだろうし、結界に干渉しても良い事は無いので一旦帰ることにした



城へ戻り急いで図書館へ行く

王妃から、特別観覧本を見る許可は取っているので図書館の地下へ向かう


地下には扉が一つだけ

手をかざし、魔力を流すと扉が開く

登録された魔力のみでしか開けることのできないここは一般公開されていない書物が沢山ある


中に入ると、壁一面を覆い尽くす程の書物が並ぶ


机の上のロウソクに火を灯し手を掲げる


『検索 砂漠を一日で渡る方法』


駄目か


『検索 砂漠を移動できる動物』



ヒュンーーー


ヒュンーーーーー


2冊本が飛んできた


それを掴み机に置き読み始める


昔は羽の生えた馬が居たらしい
現在はそんな動物は居ない


現在も生存している動物………1冊目線には書かれておらず2冊目を確認する



『ヒューマイノ』『マフィンニア』『リーズザイル』などが出てきたが、どれも小動物で僕達は乗る事ができない


パラパラとページを捲っていく


「ん?…………あ………なるほど。これならどうにかなるな」


良いものを見つけニンマリと笑う


本を戻してから部屋を出た









図書館からの帰り道、会いたくない奴と廊下で出会ってしまった


「カイン!久しぶりだな!」


「殿下、ご無沙汰しております。」


綺麗に一礼して見せると満足気に笑う第2王子


「カイン、久々に一緒にお茶をしないか?最近する事も無く退屈していたんだ。」


「申し訳ございません。今からソウ様の所へ参りますのでご一緒することは出来かねます。」


「また賢者のところか?お前は俺の婚約者だろう!」


急に怒鳴り始めた第2王子にこっそりと溜息を吐く


「賢者様のお世話をご命令なさったのは陛下ですからそれに背くことはできません。そして婚約者と言っても、正式なモノでは無いのをご存知ないのですか?私の父は署名をしておりませんので、仮の婚約者なんですよ。
ですので婚約者を盾に一緒に過ごせと言うのはお受けできません。」


「このっ……ならば王子命令だ!一緒にお茶をしろ!」


「王命の方が優先されるんですよ。ですのでその命令にも従えません。急ぎますので失礼いたします。」


第2王子の暴言を背中に受けながら、ソウ様の部屋へと急いだ


全く面倒な奴に捕まってしまった

時間がないのに………







ソウ様の部屋に行くと、2人がのんびりとお茶をしていた


「カイン!……何か久しぶりな感じがするな」


照れたように笑うソウ様はラウ様のお膝の上に居た


「そうですね、3日ぶりでしょうか?」


ふふっと笑えば、余計恥ずかしそうにする

その姿にラウ様は優しげに微笑んだ


「食欲はありますか?今日はサンドイッチです。」


鞄から籠に入れたサンドイッチを出し、果物を絞って作ったジュースも出す


「美味しそう!!腹減ったー!!」


「本当に。カインは料理上手だな。」


二人共サンドイッチにかぶりつきペロッと平らげてしまった


二人が、食べている間に剥いたグワンの実を出す


「これ何??」


初めて見るだろうソウ様が目をキラリと光らせる


ソウ様は、僕が出すものは全て美味しい物だと思っているようで、出すもの出すもの全て「うっまー!!」と言いながら食べてくれる


「これはグワンの実と言って果汁が多く、香りも爽やかで香水にも使用されてるんですよ。」


「グワンの実か、久しぶりに食べるな。基本これは死の森の入口辺りにしか生息せず、栽培ができないから高価なものだが……」


「そうなの!?そんな高価なもの食べていいのか!?」



わたわたしだしたソウ様に笑いが漏れる


「買ってきたわけじゃなく、用事があって死の森の入口へ行ったので大量に採ってきておいたんですよ」


「死の森へ行ったのか?一人で?」


「はい、魔獣に出くわす事もありませんでした。後2日経ったら出発ですからね。体力は残しといてください」


そう言うと二人は顔を赤らめた


この二人からかうと面白い


「では、また夕食の時お邪魔します。」


「もう行くのか?」


驚く二人に頷く


「砂漠を越える為には動物が必要なんです」


「砂漠か。白の国には『ライガー』は居ないのか?」


ラウ様に聞かれ首を振る


「『ライガー』は青の国にしかいません。移転魔法で送って貰いたいところですがそれは無理なので、調べた所『クウーラ』なら可能だと。」


「クウーラって??」


「見た目はこんな感じです。『クウーラ』」



掌にクウーラの模型を出す


「おぉ………なんか馬とラクダを足したみたいなやつだな」


「ラクダ??」


「俺の世界では、砂漠はラクダって動物に乗るんだ。ほら、この足とこのコブが一緒。他は馬みたいだ」


「へぇ…………」


ソウ様はクウーラに興味津々になっている


「クウーラを捕まえ調教しなければならないので、僕はこれで。何かあればこのベルを鳴らしてください。すぐ駆けつけますので。」


ソウ様の手にベルとクウーラの模型を乗せた



「捕まえに行くって、一人で大丈夫なのか?」


ソウ様は心配そうな顔をする


「平気ですよ。ソウ様達は旅の途中で番酔いが起こらない様、しっかりとお互いの匂いに慣れてください。
もし旅の途中で番酔いが起こったら、僕には守り切れるかはわかりませんから。」


そう言うと、ラウ様は頷いたがソウ様は疑いの目を向けてくる


そんなソウ様へニッコリと笑い「早くイチャついてらっしゃい」と言ってやれば真っ赤な顔をして、口をパクパクさせている


あー…本当に面白い

同い年なのにここまで純情だと、からかいがいがある



「じゃ、また後で」


ソウ様をからかった後部屋を出た


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