異世界で大切なモノを見つけました【完結】

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ソウから手紙が届いた

未だにこちらの文字が書けないのか日本語の手紙だ


何やら相談事があるとの事

僕もやる事が多くて忙しいんだけど……知り合いの居ないこの世界で相談できるのは僕だけだと書かれてしまうと行くしかなくなる


でもなぁ……ソウとラウはどんな事でも話し合うって言ってたから僕にしかできない相談なんて無いと思うんだけど……


ソウが何を企んでいるのか分からないけど、手紙が来ちゃってるし息抜きがてらソウの元へ行くことにした



「オルガ、ちょっとソウの元へ行ってくるよ。」


「…………いつ帰ってくるんだ?」


「んーっと、ソウの話しを聞き終わったらかな?そんなにかからないと思うよ?」


「……遅かったら迎えに行く。ラウに伝えといて。」


軽くキスをされ送り出された


移転魔法で着いたのはソウの部屋


「カイン!」


「ソウ……元気そうだな?」


「まぁね?カインは大分疲れてるみたいだな?」


「あー……まぁ、忙しいからな。」


「ふーん?取り敢えず座りなよ。」



ソファを指差され、言われた通りに座る


「はい、紅茶」


「ありがとう」


紅茶を受け取り一口飲む


「で、早速本題なんだけど…カインは何を焦ってんの?」


ソウの突然の言葉に紅茶を吹き出した


「は?何突然!?」


「汚っ!ほらタオル!」


タオルを投げられ、口を拭く


「カインさぁ、モアさんにも言えないような事でもあったわけ?」


「さっきから何?オルガが何なんだよ?」


「しらばっくれないの。モアさんがすっげー心配してる。自分には話してくれないから、俺から話を聞いてやってくれって。」



………オルガ……心配してたのか…それでソウに……


「何かに焦ってるのは分かるけど、何に焦ってるのかは分からないって。何があった?」


「……………あったんじゃないよ。」


「あったんじゃない?」


「何もないんだ……まだこの世界は破滅に向かってる。フェラーリ神が言ってただろ。この世界を軌道修正できたら愛音を転生させてくれるって………でも愛音が転生している気配は無い…転生させるなら僕の近くに転生させるはずなのに………」


泣きそうになるのをこらえる


「……そういうことか………愛音ちゃんの事だからモアさんには言えなかった?」


コクンと頷くとソウが隣に移動してきた


「運命の番がどれだけ独占欲が強いかは知ってる。でも、モアさんはカインが愛音ちゃんの事を話したとしても嫉妬したり嫌な気持ちになったりしないぞ。」


「………どうして?」



「音矢の家族だから。レイドが言ってたんだけどさ、この世界の『家族』って血の繋がりを差す言葉では無くて愛情で結ばれてる者達の事を言うんだろ?
カインは娘の様に愛音ちゃんを愛している。
モアさんへの愛情とは全然違う物だろ。
モアさんはちゃんとその事を分かってるよ。
だからこそ、モアさんにちゃんと話してやれよ。」



その言葉に我慢できなくなって、ボロボロと涙が溢れる


そんな僕をソウがヨシヨシと撫でる


僕、こんなに泣き虫だったっけ?



「僕……わからないんだ………軌道修正って言われても、何をすればいいのか………黒の王を討伐したらいいのか?
でも……最初に黒の王を討伐した勇者達に神は加護を与えてる………
軌道修正って、神が本来の天罰だけを与える世界って事じゃないのかって思うんだ………でも……」



「なるほど?それで答えが出ず1人でグルグル悩んでたわけ?」


突然後ろから抱きしめられた


泣いたことで鼻水がでて番の匂いに気づかなかった


いつの間に??ラウまで居る………




「…オルガ?………何で………」


必死に涙を止めようと目をこする


「こら、目が腫れるだろ。」


軽々とソファを飛び越えて僕の目の前に跪くオルガは僕の手を取り指先にキスをする


「ユーリが移転した直後、俺もラウの所へ移転して来てたんだよ。なぁ、ユーリ。1人で考えず一緒に考えないか?
これ以上1人で苦しんでる姿を見たくない。」



「ぅ………っ…………ご………ごめ…ん………」


オルガの言葉が嬉しくて抱きついた


「カイン、もんじゃ……じゃなかった、文殊の知恵!な?」


ソウがそう言うもんだからついプッと吹き出してしまった


「…学習したじゃん」というと「まぁな!」とドヤ顔してきた


「カインは結婚式までに解決したかったんだろう。本当の意味で幸せになるために。なら、微力ながら私達と共に考えよう。」


ポンポンと僕の頭を撫でるラウ


「…ありがとう、皆………」


僕は良い仲間を持って幸せだなと思いながら微笑んだ









「でさ?カインの言ったように、軌道修正が神が掟を破らない世界って意味なら黒の王が生まれない世界にするしかないわけじゃん?」


僕達はお菓子をつまみながら話し合いを始めた


「うん、でも黒の王は200年毎に必ず現れる。」


僕はオルガの膝の上で後ろから抱きしめられオルガの尻尾を触りながら答える


「その黒の王だけどさ、実際どんなやつなの?」


どんなやつって………


最初は神に言われ勇者はベストメンバーを集めた


けどその後からは、国の中でのベストメンバーで、討伐メンバーは構成されてる


最初の時とは違うけど討伐できている


しかし最初の時でさえ接戦だったはずだ


黒の王が回数を重ねる毎に弱ってる?



「どんな奴と聞かれても……毎回黒の王の見た目も魔力量も違うからなぁ……」

オルガがソウの質問に答える


「……どう言うこと?」


「資料によれば、黒の王は白の国の王都で復活する。黒の王は白の王を殺しに城へ向かう。その時に討伐メンバーが黒の王を抑え込むんだ。」



「…何でそいつが黒の王だとわかるんだ?」


「黒の王は負の魔力を体に纏わせている。嫉妬、欲望、恐怖、怒り……様々な感情に魔力が引っ張られ真っ黒な魔力が体を覆い尽くす。
だから誰が見てもすぐにわかるんだよ。」




「………あれ?」



僕は尻尾をイジるのを止め顔を上げた


「どうした?」


オルガが僕の顔を覗き込む


「嫉妬…欲望…………フェラーリがこの前言ってた言葉にもでてきた…………」




『争いは憎しみを生み、貧富の差は欲望を生む。
家族を愛しなさい、友を愛しなさい、隣人を愛しなさい。
愛は幸福を生み、世界を救うだろう。』


だったな



争い……戦争の事か?いや、争いなんて人間が居れば必ず起こる

でも憎しみが湧き上がる程の争いか……家族を殺されたとか……プライドを傷つけられたとか……うーん……色々あるよなぁ……


貧富の差は確かに貧しければ自分も裕福になりたいも思うのが普通だ


裕福層がそれ以上裕福になりたくなるのは……あの王と第2王子しか思い浮かばねぇ……






「………なぁ?黒の王ってさ、『復活』なのか?それとも『新たに生まれる』なのか?どっち??」


ソウの質問に嫌な予感で胸がドキドキしてくる


「…神話では『蘇る』って書かれていたから『復活』じゃないか?」


ラウが首をひねる


「いや…でもさ、人間がいる限り蘇るって書いてたよね?誰かを媒体にして憑依してるってことも考えられる?」


「それじゃ幽霊じゃね?」


ソウの言葉につい突っ込んでしまう


「そっか…うーん………」


また考え出したソウ


「あ…………」


「モア、何か思いついたか?」


「いや……思いついたと言うか思い出したんだ。昔母上に神殿について習っていたんだ。どうやって神官長を選ぶのかって。
神官長の選び方は、神官長の子供に受け継がれるんだ。」


「え?でも神官は未婚者じゃないと駄目だよね?」


僕がそう尋ねるとオルガは頷く


「他の神官は全員未婚者だよ。ただ神官長だけは未婚でも、神から種を貰い子供を作ることができる。………いや、秘密裏に子供が作られてきたんだ。その子供は神官として育てられ、大きくなると神から指名され神官長になる。
これは白の国の王と、次期王にだけ教えられるんだ。」



「何その出来レース……」


ソウが呆れた顔で言う


「あれ?つまり、本来次の神官長になるのは第2王子だったって事??」


ラウがオルガに聞く


「そういう事だ。それともう1つ母上から聞いた事だが、神官長の子供を生むのは最初の賢者の子孫だと言われている。」


「賢者…の…子孫?え………何か気持ち悪い……だってさ、なんか計画的じゃないか?
最初の賢者は国を治める力は無いと断った、だからその後の黒の王の復活には関わらなくて良かったはずでしょ?
なのに、黒の王を討伐する新たな賢者を召喚する力を持つ者は賢者と神官長の子孫だなんて……どうやっても賢者の血を黒の王の討伐に取り入れたいみたいな………」



僕の尻尾の毛がブワッとふくれる


「言われてみたらそうだな。………最初の賢者ってさぁ、本当にそんな理由で建国を断ったのかな?」


ふとソウがそんな疑問を口にする



「どう言う意味だ?」


オルガは宥めるように僕の尻尾を撫でながらソウに聞く


「例えば…カイン、もしカインが最初の賢者なら建国を断る理由って他にない?」



「他に…?……………………ああ……僕なら、黒の王が言った『この世界に人間がいる限り俺は滅ぶ事はない』って言葉かな。
だってさ、黒の王って人が持つ負の感情や欲を実体化したようなもんでしょ?
誰だって知らず知らずの内に優劣をつけるし人を恨んだり、妬む心もある。その裏には必ず欲があるんだ。
人は負の感情も持つし欲の塊なんだからさ。

死闘を繰り広げ、なんとか勝てた相手だよ?また復活するとか言われて、犠牲になる人を増やすのが分かってて建国なんてしないよ。」






ソウは、「初の賢者もカインと同じ様に黒の王の言葉で建国を断ったんじゃないかと思ったんだよね」と言った


「人の負の感情や欲か……確かに、この世界に人が生き続ける限りは無くならないな。賢者は気づいたのかもしれないな。黒の王を復活させるのは人の負の感情や欲だという事に。」



オルガもその仮説に頷く




「でも、それじゃあ黒の王の復活を無くす事ってできないんじゃないか?」


ラウの言葉に答えたのはオルガだった



「1つ気になることがあるんだ。この国へ預けられる前に、俺は王族の家系図を調べていた。」


「王族の家系図?なんで?」


「国王から命を狙われてたから、青の国に匿ってもらってもこっちでも狙われる可能性があったから。あの男がどんな繋がりを持っているのか調べようと思ったんだよ。」


あー…確かに確認はすべきだなぁ




「で、その家系図なんだけど………初代の勇者からの分が残ってて、不思議な事に200年に1度王子が2人生まれて第2王子が死んでるんだよ。」




「「…………死んでる?」」



僕とソウの声が重なる


「王族の家系図は、どの国もそうだけど若くして死んだ場合名前の所にバツ印がつくんだよ。そして注訳紙に何が原因で死んだのか事細かに記録を残す。
獣人のましてや王族が、病気以外で死ぬなんて滅多にないからね。」


ラウがそう答えてくれる


僕はソウと目を合わせる


オルガもラウと目で会話している



これは………まさか…………




「一度白の国の女王様に話を聞いたほうがいいかもな………」


溜息を吐きラウが立ち上がる


「父上に話してくる。ソウ、暫く白の国へ滞在できるよう荷造りしてくれ。カイン、ソウを手伝って貰えるか?」


「うん。わかった……」


「俺も一緒に行くよ」


オルガはラウと行くみたいだ


オルガ達も僕達と同じ結論にいたったのだろう


200年毎に繰り返していたのは黒の王の復活だけじゃなかった


こんな事をずっと繰り返していたのか?


本当に……人ってしょうもない生き物だな………



僕達は黙々と準備をした







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