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57 O
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それは突然起こった
昼食を食べ終え食後の紅茶を飲んでいると、ユーリが蹲る
「ユーリ?」
ユーリの前に回り込み、顔を覗くと冷や汗が出ている
「ぉるが……お腹痛い……陣痛……来たかも…」
すぐにユーリを抱き上げて、近くに控えていた騎士にアレン殿と母上に知らせに行かせた
俺は移転魔法で自室に戻り、強力な結界を張った
ユーリをベッドに寝かせ、出産の準備をする
「オルガ……」
不安げな顔で俺の行動を見ていたユーリに呼ばれ、ベッドへと戻ればギュッとしがみついてくる
きっと凄く不安なんだろう
前世では、出産は女性にしかできないもので、産む時は助産師という職業の者がお産を手伝っていたらしい
しかしこの世界では、助産師のような者はいない
お産に立ち会うのは父親になる者だけで、子供を取り上げるのも父親の仕事となる
「大丈夫。ユーリは力を抜いていたらいいから」
「うん…僕の魔力を使って子供が出てくるんだよね?」
「そうだ。1人目の破水が始まったら、一気に魔力が子供に吸い取られる。子供はその魔力を使って自分で出てくるから、産道が狭くならないようユーリは力を抜いていてあげて」
魔力は膨大に吸い取られてしまう
魔力の少ない者は出産用の魔法石を数十個用意しなければならないほど魔力を要する
「わかった。よろしくね、オルガ」
「あぁ。もし魔力が吸い取られすぎてしんどければ俺の魔力を分けるから」
「ありがとう」
ユーリが少しでも安心できるように、部屋を俺の匂いで充満させる
「あ…オルガの匂い……」
ユーリは嬉しそうに笑って尻尾を左右に振る
出産の準備が終わり、他愛もない話をしているとパンっという音が聞こえた
「あ……破水……??」
下半身を見ると、破水用に敷いていた防水用のシーツやタオルが濡れている
「そろそろ魔力が吸い取られるからクッションに身体を預けて…大丈夫、ここに居るから」
「うん…」
ユーリはクッションに深く凭れると身体から力を抜いた
「うっ……」
ユーリの魔力が一気に無くなっていくのを感じる
ゆっくり呼吸を整えているユーリを確認しながら、子供を引っ張り出す準備に入る
子供は獣人の姿で生まれる
先に前足が出てくるので両前足が出てきたらゆっくりと引っ張ってやらなくてはならない
しばらくして、片足が出てきた
……白い
…これはもしかして……
「ユーリ、片足が出てきた。もうすぐ両足が出てくると思う」
「ん…わかった」
前足をクイクイと動かし必死になっている我が子を落ち着かせるように、前足に触れる
ビクッとしたが、撫でてやると落ち着きだし、もう片方の足をゆっくりと出してきた
「両前足出た…今からゆっくり引っ張り出す」
1つ1つ何をするかユーリに伝える
その方が本人も心の準備ができるだろう
「わかった…オルガ、赤ちゃんをお願いね」
「あぁ」
ユーリは目を瞑り、力を抜くことに集中するようだ
ユーリの周りだけ俺の匂いを濃くしておく
子供の前足を優しく掴みゆっくりと引っ張っていく
頭さえ出ればスルッと出てくるはずだ
母体に負担を掛けないように、時間をかけて引っ張っていく
頭の天辺が出てきて、その後耳が反動でピョンと出てきた
ゆっくりゆっくり引っ張る
ユーリの様子も見ながら慎重に引っ張れば、頭が出た
「ユーリ、頭が出た。一気に引っ張るぞ」
「うん…」
グイっと引っ張るとズルリと出てくる真っ白な子ライオン
「んぁあ!!」
甘い声に、チラッとユーリを見ると恥ずかしそうに口を押えたユーリと目が合った
ふふっと笑えばプイッと顔を背けられた
「ユーリ、産まれたよ。もうちょっと待ってね」
羊水の中でも息ができるように身体全体に膜が張ってあり、それを取り除かないと自発呼吸をしない
浄化の魔法をかけ子供が自発呼吸をするのを見守る
「………にゃ……ぅにゃー……」
無事に鳴き始めた事にホッとしつつ直ぐにタオルで包み、ユーリへ渡す
「ユーリ、1人目だよ」
「……僕とオルガの赤ちゃん……」
子供を受け取ったユーリは、はにかんで子供の頭を撫でる
子供はまだ目を開けれないので、必死に鳴きながらユーリの匂いを嗅いでいる
「あれ……この子、オルガと一緒で真っ白だね?遺伝かな??」
頭までスッポリとタオルを被せていたので、ユーリはまだこの子がライオンだとは気が付いていないようだ
「遺伝したのは色じゃないようなんだ……」
ユーリが気づく前に先に言っておこう
「……色じゃない??」
「たぶん俺の魔力が遺伝している。この子はライオンだ」
ユーリは目を見開き、パッと子供の頭に被さっているタオルをとった
「…本当だ…ライオンだ……可愛い…オルガの赤ちゃんの時もこんな感じだったのかな?」
「あぁ、同じだな」
「白いライオンって事は、オルがみたいに魔力が多いって事でしょ?魔力暴走とかしちゃうのかな…」
子供の頭や耳を優しく撫でながら心配そうな顔をする
「魔力暴走を起こす前に、力の使い方を教えてやったら大丈夫だ。俺の時は、俺より魔力が多い者が居なかったから暴走を起こしていたんだ。
この子には俺もユーリもついてる。大丈夫だよ。」
「そっか、なら問題ないね」
安心したのか、いつもの可愛い笑顔を見せてくれた
「あぁ…ユーリ、身体は大丈夫か?結構魔力が無くなっただろう?」
半分も吸い取られてはいないようだが、一気に吸い取られているから身体に負担はあるはずだ
「今はまだ大丈夫だよ。もう一人産んだ後はすぐ寝ちゃうかもだけど…」
魔力を消費すると、魔力を回復しようと眠くなってしまう
「構わないよ。子供たちは俺に任せて、眠くなったら寝て構わないから」
「ありがとう」
次の子の破水まで時間があるようなので、新しい防水シーツとタオルに変えユーリに水分を取らせた
ユーリは子供が産まれたことにより母乳が出るようになっているので子ライオンに母乳を飲ませている
俺に見られて恥ずかしそうにしていたが、俺にはユーリが女神のように見えていた
慈愛に満ちた顔で子ライオンに微笑みかけている
子供に嫉妬してしまうかもと思っていたが、嫉妬どころかこの2人の姿を見るだけで幸せな気持ちが溢れてくる
「あ……」
かすかにパンと何かが弾ける音がした
「破水したな……」
しかし1人目より奥で破水したようだ
「うん……あっ…魔力……吸い取られてる……」
直ぐに子供を預かり、ユーリにはクッションに深く凭れてもらう
「みぃー…」
俺の手を必死に舐める子ライオンを抱っこしゲップをさせた
お腹がいっぱいになったのか、片腕で抱っこしていたのにもかかわらず子ライオンは直ぐに眠ってしまった
「ユーリ、この服借りるぞ」
出産前に着ていたユーリの服と俺の上着を脱いでベッドの端に丸く重ねて置く
その真ん中に子ライオンを寝かせた
こうしておけば、両親の匂いに安心してゆっくりと眠れるらしい
「……寝たの?」
「あぁ、グッスリ眠ってる」
「ふふふ…レインみたいだねぇ…この子の方がレインかもしれないね」
「そうだな、レインもお腹がいっぱいな時に抱っこしてやったらすぐ眠ってたもんな」
破水が止まり、子供がゆっくりと降りてきているようだがさっきよりも時間がかかっている
「…大丈夫かな?」
心配そうなユーリはソワソワし始めた
「ユーリ、少し魔法を使う。腹が熱くなるかもしれないが俺の力だから怖がらないで」
「わかった…」
腹に手をかざし、子供の居場所を確認しゆっくりと出口へ誘導するように子供の身体を押してやる
「ん……暖かい……」
「今子供が出てくるのを手伝ってる、もうすぐ前足が出てくるよ」
「そっかー…パパがオルガでよかったぁ……オルガじゃなかったらこの子出てこれなくなってたかも……」
睡魔が襲ってきているのか、少し呂律が怪しくなっている
その間にも2人目の子は必死に出てこようとしていた
「あ、前足が出てきたよ」
次の子の色は黒色だ
この子には俺の力は遺伝していないようだな
直ぐに両足が出て、ここからはとても速かった
1人目が産まれた後と言うのもあったが、2人目の子の方が身体が小さかったので頭もすぐに出てきた
さっきまでなかなか出なかったのが嘘のようだ
身体を浄化し、タオルに包んでユーリへ渡すと、ユーリは幸せそうに微笑んだ
「この子は僕に似たのかな?黒豹だね?」
「そうだな、物凄く可愛い」
「この子がきっと愛音だよ、あの子黒豹を猫と勘違いして大好きって言ってたから」
子黒豹は必死に「みゃー…みゃー…」と鳴いている
「じゃあ、子ライオンはレイン、この子はアイネって名づけようか」
「うん!!」
ユーリがアイネに母乳を飲ませている間に後処理をする
ユーリの下半身を浄化し、産道となっていた後孔を治癒し妊娠前の普段の身体に戻す必要がある
妊娠すると食べた物は殆どが子供の栄養となるのでトイレに行くことが無くなる
後孔は出産の為の産道に変わるが、産んだ後は勝手には戻らないので治癒も父親の仕事になる
処置を終えて、毛布を掛けようとユーリを見るとグッスリと眠っている
アイネはもうお腹がいっぱいなのか、ユーリの匂いをクンクン嗅いでいるだけだった
「アイネ、もうお腹いっぱいか?」
ヒョイッと抱き上げお腹を擦ってやると、ゲフっと大きなゲップが出た
「よくできました」
チュッと頭の天辺にキスをするとすり寄ってくる
本当に可愛いな…
アイネも抱っこしているとすぐに眠ってしまった
レインとアイネをユーリの隣に移動させ寝かす
これが俺の家族…
これから俺が全力で守っていく大切な家族…
眠っている3人に加護をつける
俺は神ではないけど神の力が使える
神では無いから神の掟に従う必要はない
自分の大切な者を守る為に俺はこの力を使う
敵が誰であろうと、俺の大切な者に手を出す奴は地獄へ落とす
例えそれが神だとしても…
容赦はしない
だからさ、しっかり下の者を管理しといてよ
俺をこの世界に送り込んだんだから
そのおかげでユーリに出会うことができたのも事実だけどね
でもアンタなら分かっているだろう?
俺を魔王にしない為には自分が動くしかないって
俺を創ったアンタの願いを叶える為に神になるのを後回しにしたんだ
それくらいはしてもらわないとな?
『私だって1000年お前が育つのを待ったんだよ?まったく……仕方ない、お前の魂の記憶が蘇ってしまったのは予想外だったが…お前が幸せなら私は嬉しいよ』
あぁ、1000年の記憶の中でも、今ほど幸せな事は無かったよ
一応感謝しておくよ
俺を神にせずこの世界に転生させてくれてありがとう、父さん
『おや、私を父と呼んでくれるのか』
俺の魂を創りだした張本人はディセーブル、アンタだろう
だから今だけ父さんって呼んでやるよ
『ふふふ…ありがとう。オルガ、今までの生より幸せになりなさい。本当の幸せをお前には知って欲しい』
大丈夫、俺にはこの家族が居るから
幸せにならない訳がない
『そうか…そうだな』
自分の力が神の力だと気づいた時ディセーブルに自身の事を聞いた
力の使い方を間違うなと
神として俺はこの力を使う気はない
俺は俺の大切な者の為だけに使うだけだ
昼食を食べ終え食後の紅茶を飲んでいると、ユーリが蹲る
「ユーリ?」
ユーリの前に回り込み、顔を覗くと冷や汗が出ている
「ぉるが……お腹痛い……陣痛……来たかも…」
すぐにユーリを抱き上げて、近くに控えていた騎士にアレン殿と母上に知らせに行かせた
俺は移転魔法で自室に戻り、強力な結界を張った
ユーリをベッドに寝かせ、出産の準備をする
「オルガ……」
不安げな顔で俺の行動を見ていたユーリに呼ばれ、ベッドへと戻ればギュッとしがみついてくる
きっと凄く不安なんだろう
前世では、出産は女性にしかできないもので、産む時は助産師という職業の者がお産を手伝っていたらしい
しかしこの世界では、助産師のような者はいない
お産に立ち会うのは父親になる者だけで、子供を取り上げるのも父親の仕事となる
「大丈夫。ユーリは力を抜いていたらいいから」
「うん…僕の魔力を使って子供が出てくるんだよね?」
「そうだ。1人目の破水が始まったら、一気に魔力が子供に吸い取られる。子供はその魔力を使って自分で出てくるから、産道が狭くならないようユーリは力を抜いていてあげて」
魔力は膨大に吸い取られてしまう
魔力の少ない者は出産用の魔法石を数十個用意しなければならないほど魔力を要する
「わかった。よろしくね、オルガ」
「あぁ。もし魔力が吸い取られすぎてしんどければ俺の魔力を分けるから」
「ありがとう」
ユーリが少しでも安心できるように、部屋を俺の匂いで充満させる
「あ…オルガの匂い……」
ユーリは嬉しそうに笑って尻尾を左右に振る
出産の準備が終わり、他愛もない話をしているとパンっという音が聞こえた
「あ……破水……??」
下半身を見ると、破水用に敷いていた防水用のシーツやタオルが濡れている
「そろそろ魔力が吸い取られるからクッションに身体を預けて…大丈夫、ここに居るから」
「うん…」
ユーリはクッションに深く凭れると身体から力を抜いた
「うっ……」
ユーリの魔力が一気に無くなっていくのを感じる
ゆっくり呼吸を整えているユーリを確認しながら、子供を引っ張り出す準備に入る
子供は獣人の姿で生まれる
先に前足が出てくるので両前足が出てきたらゆっくりと引っ張ってやらなくてはならない
しばらくして、片足が出てきた
……白い
…これはもしかして……
「ユーリ、片足が出てきた。もうすぐ両足が出てくると思う」
「ん…わかった」
前足をクイクイと動かし必死になっている我が子を落ち着かせるように、前足に触れる
ビクッとしたが、撫でてやると落ち着きだし、もう片方の足をゆっくりと出してきた
「両前足出た…今からゆっくり引っ張り出す」
1つ1つ何をするかユーリに伝える
その方が本人も心の準備ができるだろう
「わかった…オルガ、赤ちゃんをお願いね」
「あぁ」
ユーリは目を瞑り、力を抜くことに集中するようだ
ユーリの周りだけ俺の匂いを濃くしておく
子供の前足を優しく掴みゆっくりと引っ張っていく
頭さえ出ればスルッと出てくるはずだ
母体に負担を掛けないように、時間をかけて引っ張っていく
頭の天辺が出てきて、その後耳が反動でピョンと出てきた
ゆっくりゆっくり引っ張る
ユーリの様子も見ながら慎重に引っ張れば、頭が出た
「ユーリ、頭が出た。一気に引っ張るぞ」
「うん…」
グイっと引っ張るとズルリと出てくる真っ白な子ライオン
「んぁあ!!」
甘い声に、チラッとユーリを見ると恥ずかしそうに口を押えたユーリと目が合った
ふふっと笑えばプイッと顔を背けられた
「ユーリ、産まれたよ。もうちょっと待ってね」
羊水の中でも息ができるように身体全体に膜が張ってあり、それを取り除かないと自発呼吸をしない
浄化の魔法をかけ子供が自発呼吸をするのを見守る
「………にゃ……ぅにゃー……」
無事に鳴き始めた事にホッとしつつ直ぐにタオルで包み、ユーリへ渡す
「ユーリ、1人目だよ」
「……僕とオルガの赤ちゃん……」
子供を受け取ったユーリは、はにかんで子供の頭を撫でる
子供はまだ目を開けれないので、必死に鳴きながらユーリの匂いを嗅いでいる
「あれ……この子、オルガと一緒で真っ白だね?遺伝かな??」
頭までスッポリとタオルを被せていたので、ユーリはまだこの子がライオンだとは気が付いていないようだ
「遺伝したのは色じゃないようなんだ……」
ユーリが気づく前に先に言っておこう
「……色じゃない??」
「たぶん俺の魔力が遺伝している。この子はライオンだ」
ユーリは目を見開き、パッと子供の頭に被さっているタオルをとった
「…本当だ…ライオンだ……可愛い…オルガの赤ちゃんの時もこんな感じだったのかな?」
「あぁ、同じだな」
「白いライオンって事は、オルがみたいに魔力が多いって事でしょ?魔力暴走とかしちゃうのかな…」
子供の頭や耳を優しく撫でながら心配そうな顔をする
「魔力暴走を起こす前に、力の使い方を教えてやったら大丈夫だ。俺の時は、俺より魔力が多い者が居なかったから暴走を起こしていたんだ。
この子には俺もユーリもついてる。大丈夫だよ。」
「そっか、なら問題ないね」
安心したのか、いつもの可愛い笑顔を見せてくれた
「あぁ…ユーリ、身体は大丈夫か?結構魔力が無くなっただろう?」
半分も吸い取られてはいないようだが、一気に吸い取られているから身体に負担はあるはずだ
「今はまだ大丈夫だよ。もう一人産んだ後はすぐ寝ちゃうかもだけど…」
魔力を消費すると、魔力を回復しようと眠くなってしまう
「構わないよ。子供たちは俺に任せて、眠くなったら寝て構わないから」
「ありがとう」
次の子の破水まで時間があるようなので、新しい防水シーツとタオルに変えユーリに水分を取らせた
ユーリは子供が産まれたことにより母乳が出るようになっているので子ライオンに母乳を飲ませている
俺に見られて恥ずかしそうにしていたが、俺にはユーリが女神のように見えていた
慈愛に満ちた顔で子ライオンに微笑みかけている
子供に嫉妬してしまうかもと思っていたが、嫉妬どころかこの2人の姿を見るだけで幸せな気持ちが溢れてくる
「あ……」
かすかにパンと何かが弾ける音がした
「破水したな……」
しかし1人目より奥で破水したようだ
「うん……あっ…魔力……吸い取られてる……」
直ぐに子供を預かり、ユーリにはクッションに深く凭れてもらう
「みぃー…」
俺の手を必死に舐める子ライオンを抱っこしゲップをさせた
お腹がいっぱいになったのか、片腕で抱っこしていたのにもかかわらず子ライオンは直ぐに眠ってしまった
「ユーリ、この服借りるぞ」
出産前に着ていたユーリの服と俺の上着を脱いでベッドの端に丸く重ねて置く
その真ん中に子ライオンを寝かせた
こうしておけば、両親の匂いに安心してゆっくりと眠れるらしい
「……寝たの?」
「あぁ、グッスリ眠ってる」
「ふふふ…レインみたいだねぇ…この子の方がレインかもしれないね」
「そうだな、レインもお腹がいっぱいな時に抱っこしてやったらすぐ眠ってたもんな」
破水が止まり、子供がゆっくりと降りてきているようだがさっきよりも時間がかかっている
「…大丈夫かな?」
心配そうなユーリはソワソワし始めた
「ユーリ、少し魔法を使う。腹が熱くなるかもしれないが俺の力だから怖がらないで」
「わかった…」
腹に手をかざし、子供の居場所を確認しゆっくりと出口へ誘導するように子供の身体を押してやる
「ん……暖かい……」
「今子供が出てくるのを手伝ってる、もうすぐ前足が出てくるよ」
「そっかー…パパがオルガでよかったぁ……オルガじゃなかったらこの子出てこれなくなってたかも……」
睡魔が襲ってきているのか、少し呂律が怪しくなっている
その間にも2人目の子は必死に出てこようとしていた
「あ、前足が出てきたよ」
次の子の色は黒色だ
この子には俺の力は遺伝していないようだな
直ぐに両足が出て、ここからはとても速かった
1人目が産まれた後と言うのもあったが、2人目の子の方が身体が小さかったので頭もすぐに出てきた
さっきまでなかなか出なかったのが嘘のようだ
身体を浄化し、タオルに包んでユーリへ渡すと、ユーリは幸せそうに微笑んだ
「この子は僕に似たのかな?黒豹だね?」
「そうだな、物凄く可愛い」
「この子がきっと愛音だよ、あの子黒豹を猫と勘違いして大好きって言ってたから」
子黒豹は必死に「みゃー…みゃー…」と鳴いている
「じゃあ、子ライオンはレイン、この子はアイネって名づけようか」
「うん!!」
ユーリがアイネに母乳を飲ませている間に後処理をする
ユーリの下半身を浄化し、産道となっていた後孔を治癒し妊娠前の普段の身体に戻す必要がある
妊娠すると食べた物は殆どが子供の栄養となるのでトイレに行くことが無くなる
後孔は出産の為の産道に変わるが、産んだ後は勝手には戻らないので治癒も父親の仕事になる
処置を終えて、毛布を掛けようとユーリを見るとグッスリと眠っている
アイネはもうお腹がいっぱいなのか、ユーリの匂いをクンクン嗅いでいるだけだった
「アイネ、もうお腹いっぱいか?」
ヒョイッと抱き上げお腹を擦ってやると、ゲフっと大きなゲップが出た
「よくできました」
チュッと頭の天辺にキスをするとすり寄ってくる
本当に可愛いな…
アイネも抱っこしているとすぐに眠ってしまった
レインとアイネをユーリの隣に移動させ寝かす
これが俺の家族…
これから俺が全力で守っていく大切な家族…
眠っている3人に加護をつける
俺は神ではないけど神の力が使える
神では無いから神の掟に従う必要はない
自分の大切な者を守る為に俺はこの力を使う
敵が誰であろうと、俺の大切な者に手を出す奴は地獄へ落とす
例えそれが神だとしても…
容赦はしない
だからさ、しっかり下の者を管理しといてよ
俺をこの世界に送り込んだんだから
そのおかげでユーリに出会うことができたのも事実だけどね
でもアンタなら分かっているだろう?
俺を魔王にしない為には自分が動くしかないって
俺を創ったアンタの願いを叶える為に神になるのを後回しにしたんだ
それくらいはしてもらわないとな?
『私だって1000年お前が育つのを待ったんだよ?まったく……仕方ない、お前の魂の記憶が蘇ってしまったのは予想外だったが…お前が幸せなら私は嬉しいよ』
あぁ、1000年の記憶の中でも、今ほど幸せな事は無かったよ
一応感謝しておくよ
俺を神にせずこの世界に転生させてくれてありがとう、父さん
『おや、私を父と呼んでくれるのか』
俺の魂を創りだした張本人はディセーブル、アンタだろう
だから今だけ父さんって呼んでやるよ
『ふふふ…ありがとう。オルガ、今までの生より幸せになりなさい。本当の幸せをお前には知って欲しい』
大丈夫、俺にはこの家族が居るから
幸せにならない訳がない
『そうか…そうだな』
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