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悪役令嬢の断罪
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今日は建国記念のパーティーが王城で開かれていた。
「私はお前を断罪する!!」
天井には大きなシャンデリアがいくつも吊り下げられており、壁側には休憩用のソファーや椅子があり、その近くのテーブルには豪華な食事が並んでいる。
広間には着飾った紳士淑女が踊ったり、談笑していた。
そんな中で、突然大声を出し一人の女性に指をさしているのは、この国の第一王子である。
彼の傍らには、この国では珍しい黒髪の少女がいる。
彼女は二年前、突如現れた。
本人は異世界から転移してきたのだと言う。
この世界の常識も知識も、なに一つ知らず、不思議な世界の話をする少女。
神殿で保護され、今は魔法学校でこの世界の事や国の事、魔法を学んでいる。
そんな二人と対峙しているのは、この国の宰相の娘であるマリア・ウェイ・ダグラス。
ダグラス公爵家の長女で、このサカライ王国の第一王子リミテドの婚約者候補の一人。
そう、王子は自分の婚約者候補の一人を、断罪すると声高々に宣言したのである。
婚約者ではなく、婚約者候補なのは何故か。
それは、とても簡単な理由である。
この二人、性格が全く合わない。マリアはこの王子を心底嫌っているし、王子は魔力が多く、浄化の力が国一番のマリアに対して、劣等感を抱き、どうにか跪かせたいと思っていた。
そんな時、異世界から転移してきたという少女、楓と知り合った。
楓は仲良くなると、リミテドにマリアから嫌がらせを受けていると相談した。
話を聞いている内に、リミテドはこれを使って、マリアを陥れようと考えはじめた。
そして実際に行動したのが今日なのである。
マリアは特に反論もせず、続きを促す。
「お前は楓がこの世界に来てから、自分の立場が揺らぐ事を危惧して、楓に嫌がらせや、浄化魔法の訓練をことごとく邪魔したそうだな。
楓がなかなか魔力が安定しないのも、お前が魔力を奪っているそうじゃないか!」
そう騒ぐリミテドの隣で、楓は泣き始める。
周りの人々は談笑を止め、注目している。
「その様な事実はございませんが。」
顔色ひとつ変えずに、冷めた目でリミテドを見るマリアに、楓もリミテドに加勢する。
「嘘言わないで!いつも、私は公爵令嬢だから偉いのよとか、魔法もまともに使えないのかって意地悪言ってきたじゃない!!
浄化巡りの時は、私の力を奪っておいて、さも自分の実力みたいな顔しちゃって!」
「……お言葉ですが、私、貴女に会うのは今日が初めてなのですが、どちら様でしょうか?」
マリアのこの一言で周囲はザワつき出す。
そのザワつきに国王や宰相まで異変に気づいた。
「何をしている?」
国王と宰相、その周りを近衛騎士が護衛し三人の元へとやって来た。
「父上!この女は、異世界人である楓に嫌がらせをし、魔力を奪っていたのです!!このような者が、私の婚約者候補などと恥もいいところ!
婚約者候補から外し、キツく取り調べをしてください!」
「この女とは…私の娘の事ですか、殿下。」
マリアによく似た男は、マリアの父、現宰相のザーヴィルである。
「リミテド、マリア嬢がそこの娘の魔力を奪っていたとはどういう事だ?
そこの娘は神殿預りで、現在魔法学校の生徒であろう。
いつマリア嬢と関わることがあるのだ。」
国王は呆れ顔でリミテドに尋ねる。
「浄化巡りの際に、楓の魔力を奪い、自分の功績にしていたのです!」
「何を馬鹿なことを…」
国王はため息をこぼし首をふる。
しかしここで思わぬ人物がリミテドに加勢をした。
「国王陛下、発言の許可をお願いいたします。」
歩み出てきてカーテシーをするのは、二人の令嬢だ。
「確かウラバラ伯爵家とラビオリ伯爵の娘だな。なんだ?」
「はい、私共は普段、ダグラス公爵令嬢様と共に浄化巡りを行っております。
先ほどリミテド殿下が仰った事は事実にございます。
実は私共も、魔力を奪われておりまして…ダグラス公爵令嬢様は、その集めた力で浄化を行っていらっしゃるのです。」
「…その言葉に嘘偽りはないか?」
「はい、ございません。」
令嬢の言葉に、周囲はマリアを不振な目で見始める。
「娘はそんなこと致しません。他の者から魔力を奪う必要などないほど、娘の魔力は膨大。それは神殿でも、記録していただいております。」
冷静に、だが目には怒りが宿っている宰相に国王は頷く。
「それは重々承知しておる。だがな…こうも証言する者が出るのであれば、一応調べる必要はあるじゃろう。」
「陛下!!」
こんな、野心を隠しもしない小娘達の言葉をわざわざ確認すると言う国王に、宰相の怒りは爆発する。
しかしその直後、マリアの足元に眩い金の魔方陣が出現する。
そして何処からともなく声が聞こえた。
『愚かな人間達よ。マリアは無実である。この国の為勉学に励み、膨大な魔力を捧げてきたこの娘に対する今までの仕打ち、マリアが許しても私は赦さないよ。
嘘つきばかりで嫌になる。これ以上この世界に居てはマリアは幸せになれない。
だからマリア、君は他の世界で幸せにおなり。』
金の魔方陣から、光が溢れ、広間を真っ白に染め上げる。
光がおさまると、そこに居たはずのマリアの姿は無くなっていた。
「私はお前を断罪する!!」
天井には大きなシャンデリアがいくつも吊り下げられており、壁側には休憩用のソファーや椅子があり、その近くのテーブルには豪華な食事が並んでいる。
広間には着飾った紳士淑女が踊ったり、談笑していた。
そんな中で、突然大声を出し一人の女性に指をさしているのは、この国の第一王子である。
彼の傍らには、この国では珍しい黒髪の少女がいる。
彼女は二年前、突如現れた。
本人は異世界から転移してきたのだと言う。
この世界の常識も知識も、なに一つ知らず、不思議な世界の話をする少女。
神殿で保護され、今は魔法学校でこの世界の事や国の事、魔法を学んでいる。
そんな二人と対峙しているのは、この国の宰相の娘であるマリア・ウェイ・ダグラス。
ダグラス公爵家の長女で、このサカライ王国の第一王子リミテドの婚約者候補の一人。
そう、王子は自分の婚約者候補の一人を、断罪すると声高々に宣言したのである。
婚約者ではなく、婚約者候補なのは何故か。
それは、とても簡単な理由である。
この二人、性格が全く合わない。マリアはこの王子を心底嫌っているし、王子は魔力が多く、浄化の力が国一番のマリアに対して、劣等感を抱き、どうにか跪かせたいと思っていた。
そんな時、異世界から転移してきたという少女、楓と知り合った。
楓は仲良くなると、リミテドにマリアから嫌がらせを受けていると相談した。
話を聞いている内に、リミテドはこれを使って、マリアを陥れようと考えはじめた。
そして実際に行動したのが今日なのである。
マリアは特に反論もせず、続きを促す。
「お前は楓がこの世界に来てから、自分の立場が揺らぐ事を危惧して、楓に嫌がらせや、浄化魔法の訓練をことごとく邪魔したそうだな。
楓がなかなか魔力が安定しないのも、お前が魔力を奪っているそうじゃないか!」
そう騒ぐリミテドの隣で、楓は泣き始める。
周りの人々は談笑を止め、注目している。
「その様な事実はございませんが。」
顔色ひとつ変えずに、冷めた目でリミテドを見るマリアに、楓もリミテドに加勢する。
「嘘言わないで!いつも、私は公爵令嬢だから偉いのよとか、魔法もまともに使えないのかって意地悪言ってきたじゃない!!
浄化巡りの時は、私の力を奪っておいて、さも自分の実力みたいな顔しちゃって!」
「……お言葉ですが、私、貴女に会うのは今日が初めてなのですが、どちら様でしょうか?」
マリアのこの一言で周囲はザワつき出す。
そのザワつきに国王や宰相まで異変に気づいた。
「何をしている?」
国王と宰相、その周りを近衛騎士が護衛し三人の元へとやって来た。
「父上!この女は、異世界人である楓に嫌がらせをし、魔力を奪っていたのです!!このような者が、私の婚約者候補などと恥もいいところ!
婚約者候補から外し、キツく取り調べをしてください!」
「この女とは…私の娘の事ですか、殿下。」
マリアによく似た男は、マリアの父、現宰相のザーヴィルである。
「リミテド、マリア嬢がそこの娘の魔力を奪っていたとはどういう事だ?
そこの娘は神殿預りで、現在魔法学校の生徒であろう。
いつマリア嬢と関わることがあるのだ。」
国王は呆れ顔でリミテドに尋ねる。
「浄化巡りの際に、楓の魔力を奪い、自分の功績にしていたのです!」
「何を馬鹿なことを…」
国王はため息をこぼし首をふる。
しかしここで思わぬ人物がリミテドに加勢をした。
「国王陛下、発言の許可をお願いいたします。」
歩み出てきてカーテシーをするのは、二人の令嬢だ。
「確かウラバラ伯爵家とラビオリ伯爵の娘だな。なんだ?」
「はい、私共は普段、ダグラス公爵令嬢様と共に浄化巡りを行っております。
先ほどリミテド殿下が仰った事は事実にございます。
実は私共も、魔力を奪われておりまして…ダグラス公爵令嬢様は、その集めた力で浄化を行っていらっしゃるのです。」
「…その言葉に嘘偽りはないか?」
「はい、ございません。」
令嬢の言葉に、周囲はマリアを不振な目で見始める。
「娘はそんなこと致しません。他の者から魔力を奪う必要などないほど、娘の魔力は膨大。それは神殿でも、記録していただいております。」
冷静に、だが目には怒りが宿っている宰相に国王は頷く。
「それは重々承知しておる。だがな…こうも証言する者が出るのであれば、一応調べる必要はあるじゃろう。」
「陛下!!」
こんな、野心を隠しもしない小娘達の言葉をわざわざ確認すると言う国王に、宰相の怒りは爆発する。
しかしその直後、マリアの足元に眩い金の魔方陣が出現する。
そして何処からともなく声が聞こえた。
『愚かな人間達よ。マリアは無実である。この国の為勉学に励み、膨大な魔力を捧げてきたこの娘に対する今までの仕打ち、マリアが許しても私は赦さないよ。
嘘つきばかりで嫌になる。これ以上この世界に居てはマリアは幸せになれない。
だからマリア、君は他の世界で幸せにおなり。』
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