【完結】ただのADだった僕が俳優になった話

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「え?まだ付き合ってなかったの?」

永倉さんはポカンとしてた

仕事再開の今日、響さんと仕事終わりに事務所で待ち合わせて永倉さんに報告に来たら第一声がこれだ

「付き合い始めたら報告するのがここのルールだろ?一昨日正式に付き合い出したから今報告に来たんだ」

響さんは呆れた顔で永倉さんを見ている

「えー?でもずっと両想いだったじゃん??」

何で知ってるの…?

チラッと響さんを見ると首を振られる

響さんが話してた訳じゃないのか

「あのねぇ、君たち。見てたら分かるから。だから勝手にファンクラブに報告しようかと思ってたんだよねぇ」

「えぇ??」

「えぇ??じゃないよ彼方……君、響が居る時と居ない時、全然顔つき違うからね?」

「そうですか…?」

そんな事ないと思うけど?

「響が居るときは、ご主人様に構って貰ってる子猫みたいだけど、居ない時は高貴な猫みたいにキリってしてて、人を寄せ付けない雰囲気出してるから。
一応仲が良い人がいれば少しはマシだけど、やっぱり響と一緒に居る時とは全然違うよ」

うわぁ…そんなにバレバレだったかぁ……恥ずかしい…

「それから響も。響は顔にこそ出ないけど、彼方と彼方以外への接し方が全く違うから。
天と地の差があるから。
特に、同業者の癖に響目当てでやって来る子には、天国の大天使と地獄の魔王くらいの差になるから。」

何それ?始めて聞いたけど?

「それは言い過ぎだろ?」

響さんも苦笑いだ

「言い過ぎじゃないですよ。」

振り返ると、志野さんと頼さんが荷物を抱えてやって来た

「ホントにな。彼方へは激甘で過保護で自分から相手しに行くのに、響狙いの奴には用事があっても志野経由でしか伝えないし、人を寄せ付けないオーラ、バシバシ出してるし、それでも話しかけてくる奴には氷点下の眼差しに態度だもんな」

頼さんは、志野さんから珈琲を受け取って飲み始める

「いや、あれは仕方なくないか?
仕事しに来てんのに、どうでもいい事ペチャクチャ話すわりにNGばっかだぞ?
プロ意識低いやつは相手にしない、時間の無駄じゃん。」

バッサリ切り捨てる響さんに、3人は「これだよ、これ」と言っている


「ところで、ファンクラブの方には報告していいんですか?」

「そうだなぁ…このタイミングだと、合わせてきたって勘ぐられそうでもあるが…」

「でも報告を後にした方が勘ぐられんじゃね?まだ発表もされてないんだし。」

3人はよく分からない話を始めた

「そうだな、さっさと報告した方がいいか。よし、さっさと公表しよう。響、彼方。明日からマスコミに追われるかもしれないから対応頑張れよ。」

「はいはい、わかってるよ」

「頑張ります…」


相手が一般人の場合、熱愛報道が出てマスコミが追ってきたら、事務所がストッパーになるらしいが、僕達は一般人ではない同士なので、マスコミが追ってきたら、ハッキリ付き合ってる宣言しろってことである

響さんと昨日の内に何処まで話していいかとかは相談済みである


そしてファンクラブに『ご報告』として掲載された

『ご報告

いつも相田彼方へのご支援ありがとうございます。
本日は皆様にご報告がございます。
まだ役者として歩み始めたばかりの彼ですが、一昨日遂に恋人ができました。
お相手は、ファンの皆様には分かると思いますのであえて言いません。
当の本人は気持ちがバレていないと思っていたようです。
事務所スタッフは、既に付き合っているとばかり思っていて、報告に来た時には驚きました。
皆様、こんな天然君な相田彼方をこれからも応援よろしくお願いいたします。』


いや、誰だよこれ書いた人
報告は確かに報告してるけど、普通もっと硬い感じで書くんじゃないの?
何仲間内にメールしましたみたいな文章なの?

響さんの方は問題ないだろうな?っとちょっと不安になり、響さんにすぐ確認するよう伝えた

『ご報告
この度、叶響はずっとずっと好きだった彼とようやく結ばれました。
最初、事務所としては、一番の売れっ子が同性愛となると、世間の目が厳しいと思っておりましたが、本人が本気だとわかり、その後はずっと応援しておりました。
本当は既に付き合ってるんじゃないかなと思っていたんですが、まさかの一昨日お付き合いがスタートしたらしいです。
響はヘタレなのかな?
とにかく、二人は現在とても幸せそうにしておりますので、このまま暖かく見守って頂けると幸いです。』


いやいやいやいや…!!

こっちもか、こっちもなのか!!

ちょっと待って、今までこの事務所の子に恋人ができた時の報告は、ちゃんとした文章だったよね?

何で僕達のだけこんな砕けた文章なわけ!?

ファンだって色々居るんだよ?ガチ恋してる子だって、響さんなんだから絶対いるよ?
神経逆撫でしてどうすんのーーー!!!


僕がワタワタしていると、志野さんがスマホを「はい、見てみて」と渡してきた

画面には、僕達の交際が既にファンによって広められているツイートだった

『やっと交際報告来たー!と思ったら、一昨日まで付き合って無かったってまじ?!』
『マイエンジェルが叶響のものになってしまった…だが堕天使彼方も良い…』
『え??付き合ってなかったの?嘘でしょ?』
『おめでたーい!!次の共演いつかなー?』
『やっぱ ひび×かな やな!おめでとう!!』
『まーじーかー…やっぱそうなるよねぇ…常にイチャついてたもんねぇ』

等々書かれている

「既に付き合ってるって、大抵の人が思ってたみたいで、一昨日付き合い始めた方に驚かれてますよ」

志野さんが笑いながら説明してくる

うん、これ見たら分かったけど…

大半の人に付き合ってるって思われてたの!? 

何で!?皆エスパーなの??


その後、ツイートを見た役者仲間達からも『付き合ってなかったの??』と聞かれた

もしマスコミにまで『付き合ってなかったの?』なんて聞かれたら、恥ずかし過ぎるんだが…
イチャついてるつもり無かったから、余計恥ずかしい

その日は悶々としてなかなか寝付けなかった




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