裏切りの蜜は甘く 【完結】

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SIDE セイ

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やっと終わった

櫻川が警察に連れて行かれた後、エキストラをしてくれた招待客へお礼を述べてから、静流は俺を皆さんに紹介した


事前に調べていた通り、静流と家の繋がりを欲している者はおらず、普通に俺を静流の嫁として受け入れてくれた


基本的に静流が融資したり大きな契約を結ぶ会社のトップはなかなか頭の切れる者だ


無駄なことは聞かず察する能力に長けている

知識も豊富で話していて全く苦ではなく、静流がヤキモチを妬く前にちゃんと話を切り上げてくれる



お陰で一人一人への挨拶は思っていたよりも早く終わり、俺達は櫻川美怜を監禁してある部屋へ早い段階で向かうことができた


ところが、大変だったのはここからだった


俺の肩に美玲が掴んだ指の形が残っている事を知った璃一が静流よりキレてしまったのだ


「セイ君に怪我させたの?え?どっちの手で掴んだの?そんな手必要ないよね?折る?切り取る?どっちがいいかな??」


などと言い出し、兄ちゃんが璃一を抱っこして捕まえ手を出させない様にした


美玲はそれでも俺に向かって暴言を吐き、静流には自分と結婚するメリット(美玲による見解)をずっと語っていた


「私は忠告したからね。あんたがこのまま静流さんに付き纏うなら、あんたを拉致して二度と静流さんに近寄れない様にしてもらう準備はできてるのよ。
さっさと静流さんの前から消えなさいよ!!」


その言葉に流石に静流も我慢できなかったのか、美玲の頬を平手打ちした


相当な力だったのか、美玲は吹っ飛び地面に倒れた


口から血を流し、直ぐに頬が腫れた


まさか静流に平手打ちされると思ってなかったのか、ブルブル震えて泣き出した


「どこのどいつに依頼した?」


倒れ泣いている美玲の髪を掴み上げ、殺気を放ちながら睨みつける


相当静流が怖いのか、顔を真っ青にしてただただ震えている



「答えろ。答えないなら、喋るまでお前を拷問する。」


「ヒッ!!………た……探偵に……」


「……セイの事を調べるよう依頼した探偵か?」


「は…い……」


「他に仲間は?」


「たん…ていに任せているので……」


「ふーん。いつセイを拉致る予定だった?セイが俺から離れようと離れまいと拉致する予定なんだろ?」



えー………それは酷くない?とか心の中で思ってたんだけど、図星らしく、「今日…」とか言われた



それからのみんなの動きはとても早かった


光一さんが、建物の警護についていた組員に怪しい者の捜索を指示して、兄ちゃんがSSSのメンバーを急遽集めて、組員の代わりに建物の警備をさせた


旬さんは春さんに連絡して、美玲が雇った探偵を直様くまなく調べるように言い、静流は待機している刑事さんに連絡して事の経緯を話して、美玲の身柄は引き渡さない事で話をつけた



直ぐにSSSのメンバーが到着し、組員と持ち場を変わってから15分ほどで、探偵達は見つかった


俺を拉致する為に黒のバンを近くの道路に停め、運転手を車に残し4人で出入り口に張り込んでいたようだ


運転手を含めた5名と美玲は麒麟会預かりとなる事になった



「身包みはいで麒麟会の牢屋にでも放り込んでおけ」


静流の言葉に虎さんと鷹さんは一礼し他の組員と共に6人を連れて行った




その頃には璃一は落ち着いていたけど精神的に疲れたのか、兄ちゃんの腕の中で船を漕いでいた



「一度別荘に戻ろうか。ここからなら自宅に帰るより近い。皆も疲れただろう」




静流の言葉に皆が賛成し、俺達は別荘へと戻ってきた


そして今である


皆疲れてはいたが、静流と俺の部屋に集まっている


何故なら、無駄な仕事が増えたからだ



璃一はここに戻って来るまでに兄ちゃんの腕の中で夢の中へ旅立ってしまった


そう言う俺も大分眠たくて、静流の腕の中でうとうとして何度も意識が遠退いている



「セイ?眠かったら寝てていいよ?」



対面座位の形で静流の膝に座っている俺は静流の首元に顔を埋めギューっと抱きついている


その背中を静流がポンポンしてくれるものだから余計眠くなってくる


「や……はなしあいするんれしょ?」


あ、やばい…呂律が回らない……



「んー…寝てもいいからね?」


「…らいじょーぶ」



クスッと笑われてポンポンの手はそのままに話し合いが始まった


と言っても俺は聞いてるだけになってしまったが…



「じゃあ俺からね。旬に言われて探偵を調べてみたら、廃業寸前で借金まみれの探偵だった。依頼人の事も調べ上げて、脅せる情報があればそれを使って依頼人からプラスで金を毟り取る奴だったよ。
探偵と一緒に居たやつは、以前探偵に依頼した者で脅されて手伝わされた奴等だった。」



春さんからの報告に光一さんが付け加える


「先に戻って尋問を始めた虎からの報告によれば、手伝わされた4人は拉致した後の計画は何も聞いていないそうだ。
手伝うのは、車に拉致して手足に手錠を付け、睡眠薬の入った点滴をつけるまで。手伝わされた男の中に看護師が一人居たらしい。」



「なるほど?その4人はそれが終わったら解放されることになってたのか?」


耳元で聞こえる静流の声が心地いい


「ああ。揺すりのネタを渡してもらって二度と関わらない約束だったみたいだ。」



「主犯の探偵は何か話してるのか?」


兄ちゃんの声だ…


「鷹の話だと、あの娘から一千万で雇われたと。最初は断ったらしいが、拉致の手順や必要な物は全てあの娘が用意する事になっていて本人は実行するだけだったから、結局受けたらしい。
車で拉致した後は指定された廃墟へ向かい、そこに放置してくるだけだったと。」



「放置するだけですか?あの女は二度と静流に近寄れない様にすると言っていませんでしたか?」



「そうなんだよな。他の奴に車の中と探偵事務所と自宅を捜索させてるが車から見つかった指示書は探偵の供述通りだ。」



「あの女がまだ何か隠しているということですかね。やはり拷問にかけて口を割らせますか?静流、警察の方とは話が付いてるんですよね?」



「ああ。始末する際はこちらで死亡診断書を作成する。セイを襲った事は被疑者死亡のまま書類送検される手はずになってるよ」



「そうですか。では明日口を割らせましょう。それと平行してあの女が誰と接点を持っていたのか洗いましょう」



まるで警察みたいだな…と思いながら俺の意識はここで途絶えた




朝目が覚めると、静流に抱き締められたままベッドに寝ていた


服も着替えさせてくれたようで、まだ眠っている静流の胸に擦り寄って二度寝を決め込んでみた



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