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10 賭ける男
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「お兄さん、ここいい?」
ここはフーゴが最近通い詰めてるカジノの最奥。
高額をかけまくっている男は高級ワイン飲み放題のVIPルームでルーレットに興じていた。
そこに現れたいかにも金持ちのお嬢様っぽい女。
凹凸はいまいちだが、若くてみずみずしい肌と世間知らずなくせに大人ぶっているところがたまらなくいい。
前の商家の女を捨ててから数か月後。
あれもなかなか良い稼ぎだった。
金を持ち出させるのに苦労はしたがいい女だった。
今頃森の中で骨になっていることだろう。
男の名はフーゴという。
もっとも、今はフーゴと名乗っているだけで、本当の名前が何だったかなんてもう男にもわからない。
「ええどうぞ。こんな美しいお嬢さんと遊べるなんて今日の幸運は使い果たしてしまったかな。」
フーゴは人のよさそうな笑みを浮かべて胸のうちで舌なめずりをする。
お嬢様はまだ遊び慣れていないようで、時折フーゴの顔や周囲を確かめるように見る。
その様子はフーゴだけでなく遊びに飽きた客たちの何かを刺激した。
それは苦労を知らず世間知らずなお嬢様が落ちるところが見たいという下種な心理。
実際にギャンブルにのめり込んで身を持ち崩したものはあまたいる。
若い女なら落ちていく先はひとつだ。
「お嬢さんやりますな。」
「今日は全部このお嬢さんに持っていかれてしまいそうだ。」
たまにお嬢様が勝てば周囲がおだてあげお嬢様をいい気にさせる。
だが、ルーレットは世間知らずなお嬢様が勝ち続けられるほど甘くはない。
お嬢様の負けが込んできた。
さすがにまずいと焦り始めるお嬢様だが、周囲がやめる事を許さない。
やんわりと逃げられない雰囲気を作られてしまう。
「さあ。よろしいですか?」
表面上は楽しげな、しかし押さえつけた異様な興奮状態の中、大勝負が始まった。
お嬢様とフーゴ。
2人ともにすべてのチップをベットしている。
負ければよっぽどの富豪でない限り破産しかあるまい。
カラカラカラ…
ディーラーがルーレットに投げ入れたボールがおどる。
「…赤の24。
ストレートでウィナーはこちらのお嬢様ッ!」
一拍の間をおいて大歓声が沸き上がり椅子から崩れ落ちるフーゴ。
まず浮かんだのは逃げる事だった。
金ならまた女を騙して巻き上げればいい。
周囲の興奮に紛れて四つ這いで進もうとした時、その手の甲にざっくりと何かが刺さった。
「いっ!。」
痛みに驚くと手の甲に刺さっているのは女のハイヒールの踵だった。
淡いピンクのドレスを見上げていくとそこには先ほどまでの物慣れなさとはうって変わった表情でフーゴを虫けらのように見下すお嬢様。
「どちらへ?」
「み、見逃してくれないかい?」
この場さえ切り抜ければなんとかなる。
このお嬢様さえ騙せればどうにかなる。
フーゴはその一心でお嬢様に笑いかける。
「家で母が待っているんだよ。早く帰らないと。母は具合があま…「すみませーん!この人逃げようとしてますよー。」
必至ででたらめをまくしたてるフーゴを遮ってお嬢様が満面の笑みで叫ぶとすぐにカジノの制服を着た男たちが駆け寄ってフーゴの両腕をがっちりとつかんで引きずっていった。
「まて。待ってくれ、金ならあるんだ。」
フーゴはカジノの制服を着てるのが冗談にしか見えないような悪人面の男たちにカジノの裏でボコボコにされた後、衛兵に突き出された。
衛兵に引き渡された時には殺されずにすんだとホッとするほどだったという。
*ギルドにて*
「っていうことがあったらしいんだが、ルチア何か知らないか?」
いつものようにギルドにむかうと、お久しぶりのジルが会うなり私をギルドのはじに引っ張っていって、壁にどんっ手をついて聞いてきた。
はわわ。壁どんじゃありませんか!
ピンクさんに壁どん。…ピンドン。なんてね。
じゃなーい。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら棒読みで答えた。
「へ、へーそうなんですね。犯人捕まってよかったー。」
ジルさんは前髪に隠れた私の瞳を探るように見てから「ふーん。」と片眉をくいっと上げて行ってしまった。
「はー、危なかった。」
どうにかごまかせたようだ。さすが私の演技力。
レベルが7まで上がったら「俊足」が使えるようになったんだよね。
これは風のように速足で移動できるっていう魔法。
ピンクのもやは人探しもできるからね。
思ったより近くにいてくれてよかった。
私ったら、カジノで一財産稼げそうだね。
…だってどれを「選択」すればいいか分かるんだから。
いやー、ホントにさ、前世女の園にいたからいろんなことを見聞きしてるわけよ。
やっぱりクズな男っていうのはいて、何度デス〇ートが欲しいと思ったことか。
ここはフーゴが最近通い詰めてるカジノの最奥。
高額をかけまくっている男は高級ワイン飲み放題のVIPルームでルーレットに興じていた。
そこに現れたいかにも金持ちのお嬢様っぽい女。
凹凸はいまいちだが、若くてみずみずしい肌と世間知らずなくせに大人ぶっているところがたまらなくいい。
前の商家の女を捨ててから数か月後。
あれもなかなか良い稼ぎだった。
金を持ち出させるのに苦労はしたがいい女だった。
今頃森の中で骨になっていることだろう。
男の名はフーゴという。
もっとも、今はフーゴと名乗っているだけで、本当の名前が何だったかなんてもう男にもわからない。
「ええどうぞ。こんな美しいお嬢さんと遊べるなんて今日の幸運は使い果たしてしまったかな。」
フーゴは人のよさそうな笑みを浮かべて胸のうちで舌なめずりをする。
お嬢様はまだ遊び慣れていないようで、時折フーゴの顔や周囲を確かめるように見る。
その様子はフーゴだけでなく遊びに飽きた客たちの何かを刺激した。
それは苦労を知らず世間知らずなお嬢様が落ちるところが見たいという下種な心理。
実際にギャンブルにのめり込んで身を持ち崩したものはあまたいる。
若い女なら落ちていく先はひとつだ。
「お嬢さんやりますな。」
「今日は全部このお嬢さんに持っていかれてしまいそうだ。」
たまにお嬢様が勝てば周囲がおだてあげお嬢様をいい気にさせる。
だが、ルーレットは世間知らずなお嬢様が勝ち続けられるほど甘くはない。
お嬢様の負けが込んできた。
さすがにまずいと焦り始めるお嬢様だが、周囲がやめる事を許さない。
やんわりと逃げられない雰囲気を作られてしまう。
「さあ。よろしいですか?」
表面上は楽しげな、しかし押さえつけた異様な興奮状態の中、大勝負が始まった。
お嬢様とフーゴ。
2人ともにすべてのチップをベットしている。
負ければよっぽどの富豪でない限り破産しかあるまい。
カラカラカラ…
ディーラーがルーレットに投げ入れたボールがおどる。
「…赤の24。
ストレートでウィナーはこちらのお嬢様ッ!」
一拍の間をおいて大歓声が沸き上がり椅子から崩れ落ちるフーゴ。
まず浮かんだのは逃げる事だった。
金ならまた女を騙して巻き上げればいい。
周囲の興奮に紛れて四つ這いで進もうとした時、その手の甲にざっくりと何かが刺さった。
「いっ!。」
痛みに驚くと手の甲に刺さっているのは女のハイヒールの踵だった。
淡いピンクのドレスを見上げていくとそこには先ほどまでの物慣れなさとはうって変わった表情でフーゴを虫けらのように見下すお嬢様。
「どちらへ?」
「み、見逃してくれないかい?」
この場さえ切り抜ければなんとかなる。
このお嬢様さえ騙せればどうにかなる。
フーゴはその一心でお嬢様に笑いかける。
「家で母が待っているんだよ。早く帰らないと。母は具合があま…「すみませーん!この人逃げようとしてますよー。」
必至ででたらめをまくしたてるフーゴを遮ってお嬢様が満面の笑みで叫ぶとすぐにカジノの制服を着た男たちが駆け寄ってフーゴの両腕をがっちりとつかんで引きずっていった。
「まて。待ってくれ、金ならあるんだ。」
フーゴはカジノの制服を着てるのが冗談にしか見えないような悪人面の男たちにカジノの裏でボコボコにされた後、衛兵に突き出された。
衛兵に引き渡された時には殺されずにすんだとホッとするほどだったという。
*ギルドにて*
「っていうことがあったらしいんだが、ルチア何か知らないか?」
いつものようにギルドにむかうと、お久しぶりのジルが会うなり私をギルドのはじに引っ張っていって、壁にどんっ手をついて聞いてきた。
はわわ。壁どんじゃありませんか!
ピンクさんに壁どん。…ピンドン。なんてね。
じゃなーい。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら棒読みで答えた。
「へ、へーそうなんですね。犯人捕まってよかったー。」
ジルさんは前髪に隠れた私の瞳を探るように見てから「ふーん。」と片眉をくいっと上げて行ってしまった。
「はー、危なかった。」
どうにかごまかせたようだ。さすが私の演技力。
レベルが7まで上がったら「俊足」が使えるようになったんだよね。
これは風のように速足で移動できるっていう魔法。
ピンクのもやは人探しもできるからね。
思ったより近くにいてくれてよかった。
私ったら、カジノで一財産稼げそうだね。
…だってどれを「選択」すればいいか分かるんだから。
いやー、ホントにさ、前世女の園にいたからいろんなことを見聞きしてるわけよ。
やっぱりクズな男っていうのはいて、何度デス〇ートが欲しいと思ったことか。
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