幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ

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借りは返そう



カール侯爵が体調不良に悩まされていた頃、王都ではカール侯爵家の収穫量ごまかしと、不自然な褒賞操作の証拠が固められつつあった。

エルミナの兄、レオン・ラモーナ侯爵子息、今は貴族議会の書記官という立場にあるが、ラモーナ侯爵家は王国の財務と流通を管理する役職を代々担ってきた。
その一族の一員として、不正を見逃せばその信用が揺らぐ。
レオンは仕事を通してカール侯爵の不正の噂を聞き、妹エルミナの婚約者の弟であり、王国騎士団員ギルバート・ヴァルクナーに情報収集を依頼していた。


ギルバートは任務の合間を見て、密かに情報を集め始め、カール侯爵領を訪れ、その際カイルとリナに助けられたりもしたが、セデル村の貧困とカール侯爵直轄の土地との落差が、調査への火をより強くした。

……何かあるな。この領地の差は不自然すぎる。

さらに月日が経ち、耳かきからの懲罰の話が持ち上がった際、

ギルバートは副団長ベルナー・クラウスに、その件を打ち明けた。

「ベルナー副団長、ちょっと……手を貸していただけませんか」

ベルナーは眉一つ動かさず答える。

「ラモーナ侯爵家が動いている件か?」

「えっ、なぜそれを」

「ギルバート、お前の顔に隠しごとをしていると書いてある」

「まあ……そういうわけで、裏付けがほしいんです。収穫量のごまかしや褒賞操作の」

ベルナーは深くため息をつくと、静かに言った。

「……民を食い物にする領主を見逃すわけにはいかん。アルステッド殿には借りもあるしな、協力しよう」

その借りは騎士団の知らぬ間に耳かきの窃盗疑惑を押し付けられるという形で、一方的に勝手に返されているのだが、

「魔獣の討伐ということで騎士団員を各地に派遣しよう。これならば関係各所異論はでまい」

そうして決まった騎士団遠征の日。

ギルバートとベルナー・クラウス副団長はカール侯爵領を担当し、遠征にかこつけ表向きは魔獣被害の調査として侯爵領の倉庫や文書庫などあらゆる場所を調べた。

「副団長、見てください。出荷量と税収が……明らかに一致していません」

「これほど堂々とやっているとはな……」

ベルナーは苦々しく呟く。

「これで十分だ。ラモーナ家と王都に報告する」

ギルバートは小さく息を吐いた。

「カール侯爵には息子がいましたね。ずっと王都にいるようですが。息子も関与しているのでしょうか」

「それは取り調べでこれからわかることだろう」

2人は証拠を隠しつつ、遠征を終え王都へ戻っていった。



カール侯爵はまだ知らない。
偽物の石と自らの不正によりチェックメイトがカウントダウンにはいったことを。

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