上 下
9 / 13

角山貴理子

しおりを挟む
俺は早速、角山貴理子という人物に実咲のスマホから電話してみた。

すると

「おかけになった番号には出ることが出来ません」

着信拒否されているようだった。

俺は仕方なく番号をメモして、実家の電話の子機から電話をかけてみた。

「プルルル……プルルル……」

繋がった。

「はい。角山です」

「もしもし、角山貴理子さんの携帯電話で間違い無いですか?」

「はい……そうですけど」

「あの私、神崎実咲の兄で大和と言うのですが」

「プツン!ツーツー」

電話を切られてしまった。

それからは何度電話をしてみても「おかけになった番号には出ることが出来ません」とお決まりのアナウンスしか鳴らなかった。

「ダメだ……」

俺が落ち込んでると洋介君が

「実咲の時もそうだったのかもしれません。
だからわざわざ手紙を書いたのでしょう」

「そうみたいだね」

俺は苦笑いをした。

取り敢えず分かったのは電話したくないほど実咲と角山貴理子の仲は悪いという事だった。

「昔、何かあったのかもしれないね」

「そうですね」

洋介君も苦笑いをした。
そして俺は言った。

「となると、本格的に新来光明に乗り込んでいかないといけなくなったか」

「そうですね」

洋介君の顔もどこかキリッと引き締まった。
しおりを挟む

処理中です...