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手紙の返事

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「もしもし、角山貴理子ですが」

「はい。実咲の兄の大和です」

「実咲ちゃんじゃないんですね」

「実咲は今出掛けてて」

俺はその場を取り繕うための嘘をついた。
すると角山貴理子は笑いだした。

「ウフフ。実咲ちゃん。電話に出られないくらいの状況になってますもんね」

「え……」

何かを察したような不気味な笑いに俺は固まった。

「実咲ちゃんからの手紙読みました」

「あ……」

そう言えば、実咲は角山貴理子に手紙を出したらしかった。

「私、読んで胸がスーッとしたんです」

「胸がスーッと?」

俺は角山貴理子の言ってる意味を分からずに居た。
すると角山貴理子が決定的な事を言ってきた。

「実咲ちゃん、知的障害のある兄妹を生んだんですってね」

「知的……障害?」

「何でも自閉症の子供達だとか」

「……」

俺は黙り込んでしまった。

「私、ずっと実咲ちゃんの事許せなかったんです。
私の高校時代をめちゃくちゃにした事」

「……」

「実咲ちゃんの陰湿なイジメに私何度も泣きました」

「……」

「実咲ちゃんがこれから先不幸になれって何度もお願いしました」

「……」

「神様って居るんですね。実咲ちゃんが不幸になったのは私のお陰ですもんね」

「……」

「しかも、今宗教にハマっておかしくなったみたいですね」

「……」

「あはははは。手紙捨てないで念のため取っといて良かったです。
こんなざまぁを見れて最高です」

「……」

「せいぜい、神様にすがって生きていけば良いですね。実咲ちゃん」

「……」

「じゃあ、ありがとうございました。私、今幸せです」

「……」

「もっと不幸になってくださいね!プツン!ツーツー」

それきり電話は切れた。



ーおわりー
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