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そーおん部編続

一目惚れ?

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古い金庫室の中で演奏している男どもありけり。

この前、森の奥にいた人もいる!

演奏に合わせて歌ってみたい…。そして、まだ見ぬ彼の瞳に俺のことを少しでもいいから映してほしい…と思った。彼は、どんな声だろう?彼のことがこんなに気になるなんて…。


これって鯉…濃い…乞い…いいや恋?


…まだ彼とは言葉も交わしていないし視線もあっていないのに、どうしようもなく惹かれてしまうんだ…

「こっちに気づかないとは、スゴい集中力ですね。ザコター伯爵?声を掛けてみましょうか?」

「んー、正に騒音部か…。おーい、ザコッチ?聞こえてるか?」


きゅぃーん、ジャーン。

あ、演奏が終わったみたいだ。

「ん、何だ?入部希望者か?」部長さんか?

「うわー、めちゃ可愛いこらがおる!」チャラ男か。

あの人は、何故か、俺のほうをむいてガン見している?

 ところで、チャラ男のいう可愛いって誰と誰のことだ?赤井は、イケメン過ぎるゴリラフェイスだし、ヤマトの細目のソバカス顔は俺はわりと気に入ってるけど、シンジは…まぁ笑えば可愛いか?な。前田は、やや垂れ目が特徴だけど好みだったのかな?まさか、俺のことじゃないよな?俺的には、俺よりも、幼少時代の鈴木さんのほうが万倍可愛い顔していたと思うけどな?

赤井が、前田の前に出た。おお、お姫さまを守る騎士団長みたいだな。格好いい。

ん?ヤマトとシンジが険しい顔してる?うん、可愛いと言われたら複雑なお年頃だよなー。わかるわー。

にしても、黙ってる人の視線がビシバシ俺に突き刺さっておる…。もしかして…口元にタルタルソースでもついてるとか?昼飯は、メンチカツと海老フライに千切りキャベツの大盛りだったしなー。ヒジキの煮物に味噌汁は、かぶだった。そして、柚子白菜の漬け物が何気にうまかった。

ぐいっと、拭ってみたら…あ、マジでついてたわ…。うむ、これでよしと。

「一目惚れした…。俺と、まず、友達を前提にいつか結婚してくれ!俺の名前は、立花 芳一(たちばな ほういち)という。君の名前は?」

え?俺?なんか、可愛いとか言ってた先輩じゃなくていきなり話しだしたあの人のセリフだった。いや、セリフが変だよな?

「ザコ ザコタさんです。」ヤマト、お前なぁ!
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