ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第3章 一人前の冒険者を目指して

9. サンドロックとの戦闘訓練

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 スナネコのモナカに噛まれた傷もメイナさんの傷薬ですぐに治ったし、翌朝にはモナカも元気に起きてきて一安心!
 さて、きょうも天気がいいしサンドロックさんとの約束もあるから、メイナさんが作ってくれた朝食を食べてペットのみんなにもご飯をあげたら冒険者ギルドに行かなくちゃ!

「うわぁ。この時間の冒険者ギルドって混んでるんだぁ」

「おう。朝のこの時間帯はクエストボードに新しいクエストが貼り出されるからな」

「うひゃぁ!?」

 混み合っている掲示板を眺めていたらサンドロックさんがとなりにいた!?

 いつの間に!?

「お前、普段気を抜きすぎだ。いつでも気を張り詰めろとは言わねぇ。だが、周囲の気配には敏感になれ。ウルフ程度を相手にしている間はいいが、ゴブリン以上になったらそれなりに知性も出てくる。罠や毒も使う。街中でもスリなんかはいる。周囲の気配を常に感じ取れるようになれ」

「はい!」

「よし、いい返事だ。ところで、ペット、増えてないか?」

「増えました。スナネコのモナカです!」

「スナネコ? 猫の一種か?」

「砂漠に棲んでいる猫らしいです。どうやら、馬車に紛れ込んでこの街まで流れてきたらしく、隠れていたところを保護しました」

「砂漠か……となると、国も越えているな。どうするんだ?」

「故郷に帰してあげられるまでは面倒を見るつもりですが……難しいですか?」

「故郷の砂漠がどこかもわからねぇ。少なくとも、この国には砂漠がない。どこから運ばれてきたかもわからんと難しいな」

「そうですか……」

 モナカを故郷に帰してあげたかったんだけどな。
 それは難しいか……。

『うちはもう帰れなくてもいいのよ? お家とご飯があれば幸せだから』

「(ありがとう、モナカ)」

 でも、いつかは故郷を見つけてあげたい。
 私もモナカの故郷を見てみたいから!

「さて、そろそろ訓練を始めるぞ。武器はナイフだったな。しっかり使えるようになれ」

「はい!」

 私たちはサンドロックさんに連れられて訓練場に向かった。
 そこではまだ誰もいなくて、ちょっと寂しいかな。

「訓練用の武器はそこにあるものを好きに使え。俺はこの剣を使わせてもらう」

 サンドロックさんが手に取ったのは普通のブロードソード。
 私はこのナイフにしよう。
 まだミネルもキントキもモナカも弱くて戦えないから、離れた位置で見ていてもらおう。

「ん? テイマーなのに従魔は使わないのか?」

「私のペットはまだまだ弱いので」

「それ、いずれは強くなるって宣言だぞ?」

「あっ」

「冒険者なら手の内はなるべく隠せ。うかつな発言にも気をつけろ」

「はい」

「じゃあ、始めるぞ。最初は受けるだけにしてやる。好きなように攻めてこい」

「わかりました! 行きます!」

 私はいつも通りの戦い方、つまり相手の周囲を走り回りながら切りつけていく攻撃方法で、サンドロックさんを攻撃していった。
 でも、サンドロックさんは全部手に持っている剣1本で受け止めてしまい、攻撃が当たらない!
 スタミナには自信があるから攻撃は続けられるけど、まったく届く気がしないよ!?

「まあ、誰でも最初はこんなものか。次、反撃するから覚悟しろ」

「は、はい!」

 サンドロックさんが反撃すると明言したその次の瞬間、私の攻撃がかわされて横から思いっきり蹴り飛ばされてしまった!
 結構痛い!

「お前さん、攻撃するときが隙だらけなんだわ。目の前の獲物にだけ集中して突撃しているから、かわされたときのことをなにも考えていない。それじゃあ、対人戦になるとすぐに殺されるぞ」

「は、はい……」

「そら、さっさと立て。訓練場ではともかく、実戦じゃあ無様に転がっていたら殺されて終わりだ」

「わ、わかりました」

 うう、まだ息苦しいけれどサンドロックさんの言う通りだから頑張らないと!

 そのあとも攻撃するたびにかわされて蹴り飛ばされたり、顔を殴りつけられたり、剣で思いっきり腕を叩かれたりして何度も何度も訓練場を転がされた。
 冒険者って、想像以上に辛い。

「ふむ。諦めない根性だけはいまから持っているか。次、デイビッド相手に使ったっていう魔法を見せてみろ」

「は、はい!」

 私はミネルから《魔の鉤爪》を、キントキから《土魔法》を、モナカから《砂魔法》を借りてサンドロックさんと戦うことにした。
 だけど、やっぱりどの攻撃もサンドロックさんには通用しない。
《魔の鉤爪》は全部かわされるし、《土魔法》と《砂魔法》は剣でたたき切られる。
 私、魔法の才能がないのかなぁ?

 ちょっと自信がなくなってきたところ、少し体がふらつき始め、サンドロックさんからこれ以上魔法を使うなと命令された。
 やっぱりいままで魔法を使ってこなかったから、魔法の才能がない?

「シズク、お前の魔法だが初心者としてはまずまずの威力だ。狙いも正確だし普通に使う分には問題ないだろう」

「え? でも、サンドロックさんには一度も」

「俺がB+だってことを忘れたか? 初心者の魔法なんていくらでも防げるさ」

 ああ、そうだった。
 サンドロックさん、B+冒険者だったよね。

「それで、足りない部分の説明だ。まずは《魔の鉤爪》だったか、あれは発動から効果の発生までが少々長い。魔力察知に敏感なモンスターになると不意打ちでもかわされるぞ」

 うぅ……私の一番強力な攻撃手段なのに。

「《魔の鉤爪》は発動してすぐに相手を握りつぶせるように練習しろ。おそらく練度を上げれば発動までの時間が短くなるはずだ」

「わかりました。他はどうでしょう?」

「《土魔法》と《砂魔法》は明らかに知識不足だ。使える魔法の種類が少なすぎて手札が足りない。冒険者ギルドの資料室にも多少なら魔術書があるし、街の図書館に行けばもっと種類が増える。冒険者証があれば街の図書館も利用できるようになるから知識を深めて手札を増やせ」

「はい」

「それから、お前自身の問題は魔力が少なすぎる。いままで魔法を使ってきていなかったから仕方がないのかもしれないが、その少ない魔力で魔法を使おうとすれば、不意打ちとしての一発目かとどめをさす時の奥の手、あるいは逃げるときの目くらましがせいぜいだろう。魔力量を増やすことにも力を入れろ」

「魔力量ですか? 具体的にどうやって増やせばいいんでしょう?」

「魔法を使って魔力を消費し自然回復させろ。そうすることで少しずつ魔力量が増えていく。地道な作業だがそれしかない」

「わかりました、頑張ります」

「あとは、魔力切れにも注意だな。お前、いまめまいを起こしていただろう?」

「ええと、体がふらつき始めていました」

「それが魔力切れ間際のサインだ。そうなると走ることもままならなくなる。めまいを起こす前に魔力を使う行為は中断しろ」

「えっと、具体的にどうやって見分ければ……」

「普段から魔法を使って訓練をしろ。そうすれば体感で魔力の消耗具合がわかるようになる。それがわかるようになるまで、魔法を使った攻撃は休み休み行え」

「わかりました。気をつけます」

「魔法関係についてはこれくらいだな。あとはナイフを使った戦い方をもう少し覚える必要があるか。型や動きを見せてやるから覚えろ」

「はい!」

 このままサンドロックさんは午前中数時間訓練をつけてくれた。
 体力が尽きてきたら魔法の訓練、魔力が尽きてきたらナイフの訓練っていうハードトレーニングだったけどなんだか強くなれた気がする!
 サンドロックさんからは来週の同じ時間にもまた来るように指示されたし、それまで頑張ってトレーニングしなくちゃ。
 しばらくは午前中の間に魔術書を読んで《土魔法》と《砂魔法》の理解を深めるところからかな。

 よーし、頑張るぞ!


********************


「あ、サンドロックギルドマスター。シズクちゃんを鍛えた結果はどうでした?」

「ん? まだまだ駆け出しだな。だが根性とやる気はあるから、これからもしっかり指導してやるよ」

「デイビッド教官もたまには指導したいって言ってましたよ?」

「リンネ、あいつは午前中、新人登録試験があるから無理だろう? 諦めろって伝えておけ」

「はいはい。デイビッド教官もサンドロックギルドマスターもシズクちゃんがお気に入りのようで」

「一年間へこたれずにほぼ毎日新人登録試験を受けに来たステップワンダーなんていなかったからな。大抵のステップワンダーは2回か3回受けてだめだったら諦めちまう。努力してるやつは応援したくなるぜ」

「わかりました。あまり無理をさせないでくださいね」

「わかってるよ。さて、どこまで伸びるのか、楽しみだ」
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