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第1部 〝ペットテイマー〟ここに誕生 第3章 一人前の冒険者を目指して
10. 装備を新しくしよう
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「ああ、今日は雨かぁ」
サンドロックさんとの訓練を終えた翌日、朝起きてみるとそれなりに強い雨だった。
うーん、これじゃあ街の外に行ってウルフ狩りをすることさえ危ないかな。
ともかく、メイナさんのところに行って朝食をいただこう。
「あ、シズクちゃん。おはよう」
「おはようございます、メイナさん。今日は薬草を採りに行けそうにないですけれど大丈夫ですか?」
「1日や2日くらい薬草を採りに行ってもらわなくても平気だよ。それよりも、外にいるミネルは大丈夫なの?」
「大丈夫でした。ご飯もちゃんと食べてくれましたし、これくらいの雨だと平気なようです」
「そっか。とりあえず私たちも朝食ね」
「はい」
キントキとモナカにもご飯をあげて私たちも朝食を食べた。
雨の音は全然小さくなってくれないよ。
「これじゃあ、私のお店も今日は客足が少なさそうね」
「やっぱりメルカトリオ錬金術師店も天気が悪いと客足が落ちるんですか?」
「どんなお店だってそうだよ。急ぎの用事でもなければ強い雨の日に買い物なんてしたくないもの」
「それもそうですよね」
錬金術師店の取り扱っているものってお薬が基本だから雨の日でも店は開けなくちゃいけない。
でも、基本的に冒険者だって雨の日は出歩きたくないだろうし、急用でもなければお薬を買いに来る人もいないか。
「シズクちゃんはなにをして過ごすの? この雨だと普段の林だって危ないでしょう?」
「街の外に行くのは控えようと思います。ああ、でも、冒険者ギルドに行ったとしても資料室に入れてもらえるかな」
「本が濡れると傷んじゃうから断られるかもね」
「ですよね。魔法で保護してあっても傷むときは痛みますからね」
図書館とか冒険者ギルドの資料室に置いてある本は、基本的に汚れたり破けたりしにくくなるような魔法が施されている。
それでも汚れるときは汚れるし破れるときは破れるから、雨の日は図書館も休館だし多分冒険者ギルドの資料室も開放されていないと思う。
そうなるとやることがなくなっちゃうなぁ。
どうしよう?
「メイナさん。お部屋のお掃除とかしましょうか?」
「うーん、それもいまはいいかな? 基本的な掃除はしてあるし、他にやることとかはないの?」
やること、やることかぁ……。
サンドロックさんに指摘されたことで大切なのは、魔力を鍛えることだよね。
でも、家の中で《土魔法》や《砂魔法》を使うわけにもいかないし、もっと効率的な魔力の鍛え方を知ろうとしてもそのための資料を見ることができないし。
うーん、できることがない。
「メイナさん、魔力の鍛え方って知りませんか?」
「魔力の鍛え方? ごめんね、私の魔力は錬金術で鍛えられたものだから他の方法は知らないの」
「ですよね……」
困った、本当にやることがない。
他にやるべきこと、やるべきこと……そうだ!
「メイナさん、私、新しい装備を買ってきます!」
「新しい装備。ああ、魔石の買い取りでお金が貯まったんだっけ?」
「はい! 昨日、魔法を鍛えるように言われてすっかり忘れてましたけど、ナイフも痛んできたしこの際だから新しいレザーアーマーも買おうかなって」
「うん、いいと思うよ。やっぱりシズクちゃんが冒険者を続けるには装備が貧弱そうだったから」
「あはは……グローブなんてモナカにも噛みつかれて破かれましたからね」
「できる限り全身の装備を見直してもらってきたら? アダムさんのお店に行くんでしょう?」
「はい。私がこの街の武具店を調べ歩いた限りだと、あのお店が質もいいしお財布にも優しいので」
「うふふ。アダムさんも喜ぶと思うわよ? それで、雨の中行くのはいいけどキントキちゃんとモナカちゃんはどうするの?」
あ、そっか。
ミネルも含めてペットたちを連れていくかどうか決めなくちゃ。
「(キントキ、モナカ、私は買い物に行ってくるけど一緒に来る?)」
『僕は行きたくないな。濡れたくないもん』
『わちも行きたくない。濡れるの嫌』
「(わかった。キントキの《ストレージ》だけ借りていくね)」
『うん』
「お話は終わった?」
「2匹とも残るそうです。構いませんか?」
「店舗に出てこないなら大丈夫だよ。大人しくしていてね、2匹とも」
「ワン! (僕、シズクの部屋で寝てる!)」
「ニャウン! (わちも!)」
「2匹とも私の部屋で寝ているそうですよ」
「そっか、なら安心だね。シズクちゃんも雨が強くならないうちに帰ってきてね」
「はい。じゃあ、行ってきます」
私は雨の日用の防水ローブに身を包んでアイリーンの街中を駆け抜けた。
大通りから一本逸れた道に入って少し進んだ先にあるのがシルヴァ武具店。
アダムさんの営んでいる武器や防具を取り扱っているお店。
一本裏通りにある上、奥の方まで進まないと見つからないから穴場なんだよね。
かなり質のいい装備が手に入るんだけど。
さて、私もお店の中に入ってアダムさんにあいさつしなくちゃ。
「ごめんくださーい! アダムさん、いますかー!?」
「うん? シズクの嬢ちゃんか。そろそろナイフを買い換える時期だったな」
あ、今日はアダムさん店番をしていたんだ。
普段は奥の作業場で装備作りをしていることが多いんだよね。
だから、呼ばなくちゃ大声で呼ばないと気付かれないことも多いの。
アダムさんは〝ドワーフの趣味だ〟って言って、よく物作りをしているから。
代わりに店番は奥さんがしていることが多いんだけどね。
「今日はナイフだけじゃなくてレザーアーマーとかも買い換えたいです」
「ん? 防具も買い換えるとなると結構値がはるぞ? 大丈夫か?」
「大丈夫です! 冒険者になってウルフの魔石を買い取ってもらったら、たくさんお金をもらえましたから!」
「おお! 遂に冒険者になれたか! お前さんが初めて来てからもう1年近く、長かったなぁ」
「本当に長かったです。それで、お勧めの武器と防具を教えてください」
「わかった。予算は?」
「大銀貨4枚と銀貨5枚です!」
「結構な額になったな。そうなると、武器はまずこいつかこいつだな」
アダムさんが持ってきてくれたのは肉厚で片刃のナイフと細身で両刃のナイフ。
どう違うんだろう?
「肉厚な方はとにかく頑丈だ。切れ味もそこそこだから、ウルフやゴブリン程度なら骨ごとぶった切れる。細身な方は切るよりも突くタイプのナイフだな。扱い方に慣れないといけねぇが、オークの肉でも貫けるぜ」
ふむふむ。
肉厚な方は頑丈なナイフで細身な方は突き刺すナイフ。
私は突いて戦う方法をまだ知らないから、肉厚な方かな。
「こっちの肉厚な方にします。おいくらですか?」
「大銀貨1枚だ。魔鉄も混ぜてるから頑丈だぞ。ただ、お前さんが持っている砥石じゃ研げないから新しい砥石もおまけでつけてやる。買うか?」
「買います!」
やったぁ!
魔鉄入りのナイフが大銀貨1枚で買えるだなんて!
ちょっと色が黒くなってるなと思ったけど、それでなんだ。
やっぱりこのお店を選んでよかった!
「毎度あり。次は防具なんだが……訳ありの商品になるが買っていくか?」
「訳ありですか?」
「ああ、持ってくるからちょっと待ってろ」
そう言ってアダムさんはお店の奥に行ったあと、木箱に入れられたレザーアーマー一式を持ってきた。
これが訳ありってどういう意味かな?
「こいつなんだがな。3年ほど前にお前と同じステップワンダーの嬢ちゃんが発注していったんだが、買いにきていないんだよ。俺としては会心の出来だったんだが、ステップワンダーの女向けに作っちまったもんだから売りに出せなくてよ。もし引き取ってくれるなら大銀貨2枚と銀貨5枚で譲るぞ」
「いいんですか? これ、結構高そうな革ですけど」
「ん? ああ、ブラックヴァイパーの革だ。軽くて柔らかく丈夫なんだが、どっちにしろ売りようがないからな。原価割れしてはいるが在庫処分だ。引き取ってくれるなら引き取ってくれ」
うわ、ブラックヴァイパーの革!?
それって超高級品だよ!
普通に全身分のレザーアーマーを揃えようとしたら金貨になっちゃうかもしれない!
3年前に発注していった誰かさんには悪いけど買わないわけにはいかないね!
「買います! 是非売ってください!」
「わかった。じゃあ、サイズを合わせるから一度着てみてくれ」
アダムさんに言われてレザーアーマー一式を身につけてみたけど、ちょっと私にはサイズが大きいみたい。
ベルトで調整すれば大丈夫らしいから調節もしてくれるって。
そっちも無料で行ってくれるらしいし、ありがたやありがたや。
「さて、武器と防具はこれで一式すべて買いそろえることができたな。他にほしいものはあるか?」
「他にほしいもの。アダムさん、魔法関係の装備ってなにかありませんか?」
「魔法関係の装備は魔道具屋に行け、と言いたいところだがなにがほしい?」
「私、これから魔力を鍛えたいんですよ。その補助になるような装備があればいいかなって」
「ふむ。それなら、この間別の冒険者から下取りした腕輪が使えるな」
「腕輪?」
「ああ。こいつだ」
アダムさんが取り出してくれたのは銀の腕輪。
これはなんだろう。
「こいつには魔力回復力をアップさせる効果が宿っている。まあ、安物だからそこまで強い効果はないがな」
「本当ですか!?」
「嘘はつかねぇよ。普通に魔道具屋に行けば大銀貨5枚ってところだが、大銀貨1枚で売ってやる。全部で大銀貨4枚と銀貨5枚、予算を全部使っちまうが文句はあるか?」
「全然ありません! 全部買います!」
「毎度あり。今日は客足も伸び悩みそうだしレザーアーマーの調整は特急仕上げでやってやるよ。そうだな、2日後にでも取りにきな。ナイフと腕輪は今日持って帰るか?」
「はい! あ、古いナイフはどうしましょう?」
「そうだな。大銅貨5枚でよければ下取りするぞ? また溶かして再利用できそうだからな」
「じゃあ、お願いします」
「わかった。わかっているとは思うが……」
「武器や防具は粗末に扱いません!」
「おう。毎日の手入れを忘れずにな」
やった!
新しい装備が一式手に入った!
レザーガントレットも手に入ったからミネルが腕に止まることもできる!
さて、買うものは買ったし雨が強くなる前にメルカトリオ錬金術師店に帰らないと。
あまり遅くなってメイナさんを心配させてもいけないからね。
********************
うーん、シズクの嬢ちゃんに目利きはまだ早いか。
俺が売ったのは〝魔鋼のダガー〟と〝キラーヴァイパーのレザーアーマー〟なんだがなぁ。
今日は冒険者登録記念ってことで安くしたが、目利きもできるように教えてやらねえとだめだな、ありゃ。
今度、そっち方面も教えてやるか。
サンドロックさんとの訓練を終えた翌日、朝起きてみるとそれなりに強い雨だった。
うーん、これじゃあ街の外に行ってウルフ狩りをすることさえ危ないかな。
ともかく、メイナさんのところに行って朝食をいただこう。
「あ、シズクちゃん。おはよう」
「おはようございます、メイナさん。今日は薬草を採りに行けそうにないですけれど大丈夫ですか?」
「1日や2日くらい薬草を採りに行ってもらわなくても平気だよ。それよりも、外にいるミネルは大丈夫なの?」
「大丈夫でした。ご飯もちゃんと食べてくれましたし、これくらいの雨だと平気なようです」
「そっか。とりあえず私たちも朝食ね」
「はい」
キントキとモナカにもご飯をあげて私たちも朝食を食べた。
雨の音は全然小さくなってくれないよ。
「これじゃあ、私のお店も今日は客足が少なさそうね」
「やっぱりメルカトリオ錬金術師店も天気が悪いと客足が落ちるんですか?」
「どんなお店だってそうだよ。急ぎの用事でもなければ強い雨の日に買い物なんてしたくないもの」
「それもそうですよね」
錬金術師店の取り扱っているものってお薬が基本だから雨の日でも店は開けなくちゃいけない。
でも、基本的に冒険者だって雨の日は出歩きたくないだろうし、急用でもなければお薬を買いに来る人もいないか。
「シズクちゃんはなにをして過ごすの? この雨だと普段の林だって危ないでしょう?」
「街の外に行くのは控えようと思います。ああ、でも、冒険者ギルドに行ったとしても資料室に入れてもらえるかな」
「本が濡れると傷んじゃうから断られるかもね」
「ですよね。魔法で保護してあっても傷むときは痛みますからね」
図書館とか冒険者ギルドの資料室に置いてある本は、基本的に汚れたり破けたりしにくくなるような魔法が施されている。
それでも汚れるときは汚れるし破れるときは破れるから、雨の日は図書館も休館だし多分冒険者ギルドの資料室も開放されていないと思う。
そうなるとやることがなくなっちゃうなぁ。
どうしよう?
「メイナさん。お部屋のお掃除とかしましょうか?」
「うーん、それもいまはいいかな? 基本的な掃除はしてあるし、他にやることとかはないの?」
やること、やることかぁ……。
サンドロックさんに指摘されたことで大切なのは、魔力を鍛えることだよね。
でも、家の中で《土魔法》や《砂魔法》を使うわけにもいかないし、もっと効率的な魔力の鍛え方を知ろうとしてもそのための資料を見ることができないし。
うーん、できることがない。
「メイナさん、魔力の鍛え方って知りませんか?」
「魔力の鍛え方? ごめんね、私の魔力は錬金術で鍛えられたものだから他の方法は知らないの」
「ですよね……」
困った、本当にやることがない。
他にやるべきこと、やるべきこと……そうだ!
「メイナさん、私、新しい装備を買ってきます!」
「新しい装備。ああ、魔石の買い取りでお金が貯まったんだっけ?」
「はい! 昨日、魔法を鍛えるように言われてすっかり忘れてましたけど、ナイフも痛んできたしこの際だから新しいレザーアーマーも買おうかなって」
「うん、いいと思うよ。やっぱりシズクちゃんが冒険者を続けるには装備が貧弱そうだったから」
「あはは……グローブなんてモナカにも噛みつかれて破かれましたからね」
「できる限り全身の装備を見直してもらってきたら? アダムさんのお店に行くんでしょう?」
「はい。私がこの街の武具店を調べ歩いた限りだと、あのお店が質もいいしお財布にも優しいので」
「うふふ。アダムさんも喜ぶと思うわよ? それで、雨の中行くのはいいけどキントキちゃんとモナカちゃんはどうするの?」
あ、そっか。
ミネルも含めてペットたちを連れていくかどうか決めなくちゃ。
「(キントキ、モナカ、私は買い物に行ってくるけど一緒に来る?)」
『僕は行きたくないな。濡れたくないもん』
『わちも行きたくない。濡れるの嫌』
「(わかった。キントキの《ストレージ》だけ借りていくね)」
『うん』
「お話は終わった?」
「2匹とも残るそうです。構いませんか?」
「店舗に出てこないなら大丈夫だよ。大人しくしていてね、2匹とも」
「ワン! (僕、シズクの部屋で寝てる!)」
「ニャウン! (わちも!)」
「2匹とも私の部屋で寝ているそうですよ」
「そっか、なら安心だね。シズクちゃんも雨が強くならないうちに帰ってきてね」
「はい。じゃあ、行ってきます」
私は雨の日用の防水ローブに身を包んでアイリーンの街中を駆け抜けた。
大通りから一本逸れた道に入って少し進んだ先にあるのがシルヴァ武具店。
アダムさんの営んでいる武器や防具を取り扱っているお店。
一本裏通りにある上、奥の方まで進まないと見つからないから穴場なんだよね。
かなり質のいい装備が手に入るんだけど。
さて、私もお店の中に入ってアダムさんにあいさつしなくちゃ。
「ごめんくださーい! アダムさん、いますかー!?」
「うん? シズクの嬢ちゃんか。そろそろナイフを買い換える時期だったな」
あ、今日はアダムさん店番をしていたんだ。
普段は奥の作業場で装備作りをしていることが多いんだよね。
だから、呼ばなくちゃ大声で呼ばないと気付かれないことも多いの。
アダムさんは〝ドワーフの趣味だ〟って言って、よく物作りをしているから。
代わりに店番は奥さんがしていることが多いんだけどね。
「今日はナイフだけじゃなくてレザーアーマーとかも買い換えたいです」
「ん? 防具も買い換えるとなると結構値がはるぞ? 大丈夫か?」
「大丈夫です! 冒険者になってウルフの魔石を買い取ってもらったら、たくさんお金をもらえましたから!」
「おお! 遂に冒険者になれたか! お前さんが初めて来てからもう1年近く、長かったなぁ」
「本当に長かったです。それで、お勧めの武器と防具を教えてください」
「わかった。予算は?」
「大銀貨4枚と銀貨5枚です!」
「結構な額になったな。そうなると、武器はまずこいつかこいつだな」
アダムさんが持ってきてくれたのは肉厚で片刃のナイフと細身で両刃のナイフ。
どう違うんだろう?
「肉厚な方はとにかく頑丈だ。切れ味もそこそこだから、ウルフやゴブリン程度なら骨ごとぶった切れる。細身な方は切るよりも突くタイプのナイフだな。扱い方に慣れないといけねぇが、オークの肉でも貫けるぜ」
ふむふむ。
肉厚な方は頑丈なナイフで細身な方は突き刺すナイフ。
私は突いて戦う方法をまだ知らないから、肉厚な方かな。
「こっちの肉厚な方にします。おいくらですか?」
「大銀貨1枚だ。魔鉄も混ぜてるから頑丈だぞ。ただ、お前さんが持っている砥石じゃ研げないから新しい砥石もおまけでつけてやる。買うか?」
「買います!」
やったぁ!
魔鉄入りのナイフが大銀貨1枚で買えるだなんて!
ちょっと色が黒くなってるなと思ったけど、それでなんだ。
やっぱりこのお店を選んでよかった!
「毎度あり。次は防具なんだが……訳ありの商品になるが買っていくか?」
「訳ありですか?」
「ああ、持ってくるからちょっと待ってろ」
そう言ってアダムさんはお店の奥に行ったあと、木箱に入れられたレザーアーマー一式を持ってきた。
これが訳ありってどういう意味かな?
「こいつなんだがな。3年ほど前にお前と同じステップワンダーの嬢ちゃんが発注していったんだが、買いにきていないんだよ。俺としては会心の出来だったんだが、ステップワンダーの女向けに作っちまったもんだから売りに出せなくてよ。もし引き取ってくれるなら大銀貨2枚と銀貨5枚で譲るぞ」
「いいんですか? これ、結構高そうな革ですけど」
「ん? ああ、ブラックヴァイパーの革だ。軽くて柔らかく丈夫なんだが、どっちにしろ売りようがないからな。原価割れしてはいるが在庫処分だ。引き取ってくれるなら引き取ってくれ」
うわ、ブラックヴァイパーの革!?
それって超高級品だよ!
普通に全身分のレザーアーマーを揃えようとしたら金貨になっちゃうかもしれない!
3年前に発注していった誰かさんには悪いけど買わないわけにはいかないね!
「買います! 是非売ってください!」
「わかった。じゃあ、サイズを合わせるから一度着てみてくれ」
アダムさんに言われてレザーアーマー一式を身につけてみたけど、ちょっと私にはサイズが大きいみたい。
ベルトで調整すれば大丈夫らしいから調節もしてくれるって。
そっちも無料で行ってくれるらしいし、ありがたやありがたや。
「さて、武器と防具はこれで一式すべて買いそろえることができたな。他にほしいものはあるか?」
「他にほしいもの。アダムさん、魔法関係の装備ってなにかありませんか?」
「魔法関係の装備は魔道具屋に行け、と言いたいところだがなにがほしい?」
「私、これから魔力を鍛えたいんですよ。その補助になるような装備があればいいかなって」
「ふむ。それなら、この間別の冒険者から下取りした腕輪が使えるな」
「腕輪?」
「ああ。こいつだ」
アダムさんが取り出してくれたのは銀の腕輪。
これはなんだろう。
「こいつには魔力回復力をアップさせる効果が宿っている。まあ、安物だからそこまで強い効果はないがな」
「本当ですか!?」
「嘘はつかねぇよ。普通に魔道具屋に行けば大銀貨5枚ってところだが、大銀貨1枚で売ってやる。全部で大銀貨4枚と銀貨5枚、予算を全部使っちまうが文句はあるか?」
「全然ありません! 全部買います!」
「毎度あり。今日は客足も伸び悩みそうだしレザーアーマーの調整は特急仕上げでやってやるよ。そうだな、2日後にでも取りにきな。ナイフと腕輪は今日持って帰るか?」
「はい! あ、古いナイフはどうしましょう?」
「そうだな。大銅貨5枚でよければ下取りするぞ? また溶かして再利用できそうだからな」
「じゃあ、お願いします」
「わかった。わかっているとは思うが……」
「武器や防具は粗末に扱いません!」
「おう。毎日の手入れを忘れずにな」
やった!
新しい装備が一式手に入った!
レザーガントレットも手に入ったからミネルが腕に止まることもできる!
さて、買うものは買ったし雨が強くなる前にメルカトリオ錬金術師店に帰らないと。
あまり遅くなってメイナさんを心配させてもいけないからね。
********************
うーん、シズクの嬢ちゃんに目利きはまだ早いか。
俺が売ったのは〝魔鋼のダガー〟と〝キラーヴァイパーのレザーアーマー〟なんだがなぁ。
今日は冒険者登録記念ってことで安くしたが、目利きもできるように教えてやらねえとだめだな、ありゃ。
今度、そっち方面も教えてやるか。
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