ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める プロローグ 強くなったペットたちと旅から持ち帰ったもの

73. 特殊変異個体の鎧作り

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 特殊変異個体の素材、想像以上の困った代物だとわかってしまった。
 今後はどうしようかな。
 発見して狩れるんだったら狩るべきなんだろうけれど、素材がだぶつくのはちょっと……。
 キントキがいる限り《ストレージ》があるから素材の置き場所には困らないけれど、余らせておくのはもったいないし。
 そんなことを延々と考え続けていると、ケウナコウ様が次の言葉を発せられた。

「さて、検分はすんだな。問題はこの先、これらの素材をどう使うかだ」

「へ? ケウナコウ様に献上とかではなく?」

「さすがにこれだけの品物を献上しろとは言えん。私のレザーアーマーを作るくらいの素材はいただきたいところだが、それだけだ」

「それだけでよろしいのでしたら、献上いたします。ですが、国王陛下などには献上しなくともよろしいのでしょうか?」

「一冒険者が狩った獲物だ。国王陛下とて取り上げる権利はない。それに、性能がよくとも国を治める者がレザーアーマーなのは見栄えが悪いので気にされるであろう」

「ああ……」

 統治者って見た目も大切だもんね。
 性能一点張りで大丈夫な冒険者とは大違いだよ。

「そうなると、シズクのためのレザーアーマー一式をまず揃えるのが妥当か」

「へ?」

「素材の持ち主なのだ。それくらいの優遇、あってしかるべきだろう。それで、アダム、リヴァ。明確な使用イメージはあるのか?」

「ある。今回持ち込まれた皮を三層構造にしたレザーアーマーだ」

「錬金術を使えばどの皮も革に加工したあと薄く圧縮できそうだからね。それを貼り合わせて三層構造のレザーアーマーにするよ」

「一番内側はキラーヴァイパー。こいつが一番しなやかで動きやすい。緩衝材としても役立つはずだ」

「二層目はヴェノムヴァイパーだね。こいつでさらに緩衝材としての効果を高めつつ、強化と鎧自体に劇毒耐性を持たせる」

「一番外側がもっとも頑丈なフォーホーンブルだ。こいつでほとんどの危険は受け止めちまう。ヴェノムヴァイパーの添付薬も使うから呪いも魔法もはじける鎧になるだろう。ドラゴンブレスにも耐えられるかもな?」

 そこまで頑丈な鎧なんていらないよ!?
 そんな鎧を着てなにと戦えばいいの!?
 ドラゴンスレイヤーとかにはなりたくないよ!?

「そうか。鎧を止めるリベットなんかはどうするんだ? ミスリルとかで足りるのか?」

「足りん。キラーヴァイパーの骨を加工してリベットなんかの部材も用意する。心臓や腹部なんかの致命傷になりやすい部分は、フォーホーンブルの骨を加工した板を挟み込んでさらに保護だな」

「贅沢な鎧だ。それで、制作費はいくらかかる?」

「シズクの嬢ちゃんは素材持ち込みだからな。技術料だけでいい。ミスリル貨10枚で十分だ。もっとも、俺たち夫婦はこいつを作っている間、他の作業は片手間程度にしかできなくなっちまうがな」

 技術料だけでミスリル貨10枚!?
 素材費用も考えるともっと高いの!?

「あ、あの、アダムさん。素材を持ち込みじゃなかった場合っておいくらでしょうか?」

「ああん? 嬢ちゃんが素材をどれくらいで売りたいか次第だよ。使う素材は全部嬢ちゃんの持ち物。しかも、次に手に入ることがあるかわからない超高級品だ。俺たち夫婦は技術料としてミスリル貨10枚程度はもらうが、それ以外の素材費用は嬢ちゃんの気分次第だからな」

「はい……」

「ああ、安売りはするんじゃねえぞ。ステップワンダーの背丈サイズで作ったとしてもミスリル貨30枚で大安売りと言えるくらいの素材だ。普通のヒト族で考えればミスリル貨80枚から90枚が妥当な値段。サンドロックみたいな巨漢になれば白光貨1枚とミスリル貨20枚が妥当だ」

 白光貨1枚以上!?
 白光貨ってミスリル貨100枚の貨幣だよ!?
 お貴族様とか大豪商が大きな取引でのみ使うって聞いたことしかない貨幣だよ!?
 そんなに価値がある鎧なの!?
 値段を聞いてみんな引いちゃってるし!?

「お、おい、アダム? そんなオリハルコンの鎧なんて目じゃない上物ができあがるのか?」

「サンドロック、オリハルコンだってドラゴン相手じゃ歪むし貫かれるだろう? 今回の鎧はそれにすら耐えられる仕様になるはずなんだ。まあ、シズクの嬢ちゃん用にレザーアーマー一式を用意するからそれを見て判断しろ。ってわけでシズクの嬢ちゃん、素材と技術料ミスリル貨10枚もらえるか? ああ、あと、シズクの嬢ちゃんにはおまけで兜も作ってやる。素材としてフォーホーンブルの頭部をもらうがな」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 私は大人しくアダムさんにミスリル貨10枚を支払った。
 ケウナコウ様からオーク軍撃退の報奨金として30枚ももらっていたからね。
 あまりためらいはしなかったよ、うん。

「よし、それじゃあ、帰ってシズクちゃんの体のサイズを採寸だ。細かいところまでびっちり採寸させてもらうからね。時間はかかるけど大丈夫かい?」

「ええと、大丈夫です」

「よし。素材は一度しまっておくれ。必要なときに必要なだけもらいに行くから」

「ああ。俺たちもまずは専用の加工具を用意しなくちゃいけねえからな」

「その、鎧ができあがるまでどれくらいの日数が必要ですか?」

「んー、4週間から1カ月だな。やってみないことには詳しくわからん」

「私もだね。かなり繊細な錬金術も含まれるから、まずは一式試してみないと正確な納期がわからないよ」

「わかりました。完成を楽しみにしています」

 もうなにがなんだかよくわからないけれど、そういうことにしておこう。
 そのあと、ケウナコウ様やサンドロックさんにお肉を売ったらミスリル貨が5枚ほど帰ってきました。
 本当にもう、なにがなんだか……。

 一年前は銀貨1枚稼ぐのに苦労していたはずなのに、いまではミスリル貨とか白光貨とか、よくわからないお金を取り扱うことになっていて……。
 理解が追いつかないよ……。
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