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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第1章 〝オークの砦〟偵察
77. 4週目、変わってきた装備品
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夏に入ってから〝オークの砦〟を見張り続けることこれで4週目。
今日も特に異常らしい異常は見受けられない。
シラタマから借りている《存在判別》にも一切引っかからないし、特になにもないかな?
今日の報告も異常なしで……ん?
日が昇ってきたからよくわかるけれど、オークの見張り番が持っている槍の穂先が黒い?
あれ、どうなっているんだろう?
「ミネル、オークの持っている槍の穂先が黒っぽいんだけど」
『なに? 儂にはあまり細かい色覚がないのでわからぬぞ?』
「そうなの? うーん、もう少し日が昇るのを待ってみようか」
『そうするか』
仕方がないのでもう少し明るくなって色がわかりやすくなるまで待つことに。
やがて、日が昇ってあたりが照らし出されるとオークの槍の色も見えた!
やっぱり黒い色になってる!
しかも、あの色って……。
「まずい、すぐに帰ってサンドロックさんに知らせないと」
『なにがわかった、シズク?』
「見張りに立っているオークの槍が魔鉄の槍に変わってる。多分、魔鋼じゃないと思うけど、このままだとまずいかも」
『なるほど、あまりいい事態ではないな。キントキ、戻るぞ』
『うん、大急ぎだね』
「お願い、キントキ」
『わかった』
私は大急ぎでアイリーンの街まで戻り、ギルドマスタールームで待ち構えていたサンドロックさんに今回のことを報告した。
すると、サンドロックさんも頭を抱えていたね。
「見張り番が魔鉄の槍かよ。このペースだと、こっちが仕掛ける頃にはあっちの装備は一般兵クラスですら魔鉄合金になってるんじゃないか?」
「その可能性もあります。どうしましょう、サンドロックさん」
「……参ったな。下手に突っついて大物を出すわけにもいかねぇし、シズクひとりで攻めさせるわけにもいかねぇ。さて、どうしたものか」
うーん、私の頭じゃこういうときの解決策なんて浮かんでこないよ。
どうしよう……。
「とりあえず、想像以上に時間は残されてなさそうだな。問題はこちらも装備が整っていないことだ」
「魔鉄入りの鋼の装備は支給し終わっているんですよね?」
「武器の配布は終わらせてある。問題は防具の方だ。キラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革のレザーアーマーなんてなると鋼の鎧よりも頑丈になる。その分、作るもの難しくて大勢の冒険者が待たされちまっているんだよ」
「そうだったんですか……」
「ああ。武具屋も稼ぎ時ってんで特急で仕上げているんだが、集まった冒険者数に対して合成革製レザーアーマーを作れる武具屋が少なすぎる。Dランクの連中だって死にたくないからより質のいい防具を求めるだろ? その結果として注文が殺到し、武具屋の方がパンク寸前なんだよ」
「キラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革によるレザーアーマーってそんなに難しいんですか?」
「お前の基準はアダムになっているからわからんだろうが難しい。専用の接着剤を使って貼り合わせ、乾燥させてから革を切り出すんだ。そのときも余計な力が加われば2枚の革がずれちまってだめになることもある。事前にリベットで止めてから始める武具屋もあるようだが、それでもリベットを過信しているとずれてだめになるからな」
うわ、そんなに難しい作業だったんだ。
それじゃあ、私やサンドロックさん、デイビッド教官の三重革のレザーアーマーってどうやって作っているんだろう?
「ともかく、どちらの武具が先に整うかの勝負になり初めてきているな。ドラマリーンの街にいる間に合成革製レザーアーマーを作ってきてもらうべきだったか」
「ですね……」
ドラマリーンの街でもっと皮を売ってくればもっと楽になったのかな?
やっぱり私には難しいことはよくわからないよ。
「まあ、過ぎちまったことは仕方がない。問題はこの遅れをどう取り戻していくかだ」
「なにか策があるんですか?」
「ケウナコウと話をする。すまんがその結果を持ってお前にはもう一度、ドラマリーンの街へ行ってもらうことになるだろう」
「ドラマリーンの街へ?」
「ああ。今度はあちらの領主にお願いだ。ドラマリーンの街にいるキラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革製レザーアーマーを作れる職人を借りたいっていうな」
「職人を借りる。できるんですか?」
「簡単じゃないかもしれねぇが、こっちの生産性を高めるにはそれ以外の方法がない。もちろん、武具職人には相応の対価も支払うことを約束してだ。どこまで協力を引き出せるかわからんが、これに賭けてみるしかない」
「私がドラマリーンの街でレザーアーマーを発注し、できたら持ち帰ってくるということですか?」
「そうなる。お前さんのキントキなら行き帰りで1日使わない。《ストレージ》も使えるから持ち運ぶ量にも困らん。朝夕の見張りも欠かすわけにはいかねぇ。忙しいことこの上なくなるが、引き受けてもらえるか?」
「はい。その程度でしたら大丈夫です。ああ、でも、領主様との交渉ってどうすればいいんだろう?」
「そこはケウナコウも同行させることにするから心配するな。キントキはあとひとり程度なら乗れるよな?」
「大人ひとりなら乗れますね」
「じゃあ、決まりだ。お前は帰って朝食を食べたらまた来てくれ。そのとき、ケウナコウとの話の内容も大まかに説明する」
「わかりました。それでは、また後ほど」
メルカトリオ錬金術師店に帰ってメイナお姉ちゃんやミーベルンと朝食を食べたあと、冒険者ギルドに戻ったらケウナコウ様も来ていた。
そして、出発する準備ももうできていたらしいのですぐ出発することに。
ドラマリーンの街に着いたあとはケウナコウ様があちらの領主様と面会し、協力を取り付けてくれたみたい。
特急仕上げということで割り増し料金は請求されるみたいだけど、その程度差額だってケウナコウ様は笑っていらっしゃったよ。
翌日には順番待ちで遅くなる冒険者たちのサイズを記した一覧ももらったし、私はそれを持って武具職人ギルドに特急依頼として持ち込み、素材も渡してきた。
完成は2週間後くらいになるらしいから、そのときにまた取りに来るけど……もどかしい。
オークの装備がこれ以上強化されませんように!
今日も特に異常らしい異常は見受けられない。
シラタマから借りている《存在判別》にも一切引っかからないし、特になにもないかな?
今日の報告も異常なしで……ん?
日が昇ってきたからよくわかるけれど、オークの見張り番が持っている槍の穂先が黒い?
あれ、どうなっているんだろう?
「ミネル、オークの持っている槍の穂先が黒っぽいんだけど」
『なに? 儂にはあまり細かい色覚がないのでわからぬぞ?』
「そうなの? うーん、もう少し日が昇るのを待ってみようか」
『そうするか』
仕方がないのでもう少し明るくなって色がわかりやすくなるまで待つことに。
やがて、日が昇ってあたりが照らし出されるとオークの槍の色も見えた!
やっぱり黒い色になってる!
しかも、あの色って……。
「まずい、すぐに帰ってサンドロックさんに知らせないと」
『なにがわかった、シズク?』
「見張りに立っているオークの槍が魔鉄の槍に変わってる。多分、魔鋼じゃないと思うけど、このままだとまずいかも」
『なるほど、あまりいい事態ではないな。キントキ、戻るぞ』
『うん、大急ぎだね』
「お願い、キントキ」
『わかった』
私は大急ぎでアイリーンの街まで戻り、ギルドマスタールームで待ち構えていたサンドロックさんに今回のことを報告した。
すると、サンドロックさんも頭を抱えていたね。
「見張り番が魔鉄の槍かよ。このペースだと、こっちが仕掛ける頃にはあっちの装備は一般兵クラスですら魔鉄合金になってるんじゃないか?」
「その可能性もあります。どうしましょう、サンドロックさん」
「……参ったな。下手に突っついて大物を出すわけにもいかねぇし、シズクひとりで攻めさせるわけにもいかねぇ。さて、どうしたものか」
うーん、私の頭じゃこういうときの解決策なんて浮かんでこないよ。
どうしよう……。
「とりあえず、想像以上に時間は残されてなさそうだな。問題はこちらも装備が整っていないことだ」
「魔鉄入りの鋼の装備は支給し終わっているんですよね?」
「武器の配布は終わらせてある。問題は防具の方だ。キラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革のレザーアーマーなんてなると鋼の鎧よりも頑丈になる。その分、作るもの難しくて大勢の冒険者が待たされちまっているんだよ」
「そうだったんですか……」
「ああ。武具屋も稼ぎ時ってんで特急で仕上げているんだが、集まった冒険者数に対して合成革製レザーアーマーを作れる武具屋が少なすぎる。Dランクの連中だって死にたくないからより質のいい防具を求めるだろ? その結果として注文が殺到し、武具屋の方がパンク寸前なんだよ」
「キラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革によるレザーアーマーってそんなに難しいんですか?」
「お前の基準はアダムになっているからわからんだろうが難しい。専用の接着剤を使って貼り合わせ、乾燥させてから革を切り出すんだ。そのときも余計な力が加われば2枚の革がずれちまってだめになることもある。事前にリベットで止めてから始める武具屋もあるようだが、それでもリベットを過信しているとずれてだめになるからな」
うわ、そんなに難しい作業だったんだ。
それじゃあ、私やサンドロックさん、デイビッド教官の三重革のレザーアーマーってどうやって作っているんだろう?
「ともかく、どちらの武具が先に整うかの勝負になり初めてきているな。ドラマリーンの街にいる間に合成革製レザーアーマーを作ってきてもらうべきだったか」
「ですね……」
ドラマリーンの街でもっと皮を売ってくればもっと楽になったのかな?
やっぱり私には難しいことはよくわからないよ。
「まあ、過ぎちまったことは仕方がない。問題はこの遅れをどう取り戻していくかだ」
「なにか策があるんですか?」
「ケウナコウと話をする。すまんがその結果を持ってお前にはもう一度、ドラマリーンの街へ行ってもらうことになるだろう」
「ドラマリーンの街へ?」
「ああ。今度はあちらの領主にお願いだ。ドラマリーンの街にいるキラーヴァイパーとヴェノムヴァイパーの合成革製レザーアーマーを作れる職人を借りたいっていうな」
「職人を借りる。できるんですか?」
「簡単じゃないかもしれねぇが、こっちの生産性を高めるにはそれ以外の方法がない。もちろん、武具職人には相応の対価も支払うことを約束してだ。どこまで協力を引き出せるかわからんが、これに賭けてみるしかない」
「私がドラマリーンの街でレザーアーマーを発注し、できたら持ち帰ってくるということですか?」
「そうなる。お前さんのキントキなら行き帰りで1日使わない。《ストレージ》も使えるから持ち運ぶ量にも困らん。朝夕の見張りも欠かすわけにはいかねぇ。忙しいことこの上なくなるが、引き受けてもらえるか?」
「はい。その程度でしたら大丈夫です。ああ、でも、領主様との交渉ってどうすればいいんだろう?」
「そこはケウナコウも同行させることにするから心配するな。キントキはあとひとり程度なら乗れるよな?」
「大人ひとりなら乗れますね」
「じゃあ、決まりだ。お前は帰って朝食を食べたらまた来てくれ。そのとき、ケウナコウとの話の内容も大まかに説明する」
「わかりました。それでは、また後ほど」
メルカトリオ錬金術師店に帰ってメイナお姉ちゃんやミーベルンと朝食を食べたあと、冒険者ギルドに戻ったらケウナコウ様も来ていた。
そして、出発する準備ももうできていたらしいのですぐ出発することに。
ドラマリーンの街に着いたあとはケウナコウ様があちらの領主様と面会し、協力を取り付けてくれたみたい。
特急仕上げということで割り増し料金は請求されるみたいだけど、その程度差額だってケウナコウ様は笑っていらっしゃったよ。
翌日には順番待ちで遅くなる冒険者たちのサイズを記した一覧ももらったし、私はそれを持って武具職人ギルドに特急依頼として持ち込み、素材も渡してきた。
完成は2週間後くらいになるらしいから、そのときにまた取りに来るけど……もどかしい。
オークの装備がこれ以上強化されませんように!
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