ペットとともに大地を駆けるステップワンダー ~ 私はモンスターテイマーじゃありません! ペットテイマーです!~

あきさけ

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第3部 〝ペットテイマー〟、〝オークの砦〟を攻める 第3章 砦攻め開始

90. 防衛戦の結果

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『さすがにオークジェネラルは頑丈だわさ!』

『仕方があるまい! 相手はオリハルコンの装備じゃ!』

『動きを止めるので精一杯だよ!』

『あたちのキックで吹き飛ばないの……』

 ええい、状況はよくわからないけれどみんなに気を取られているいまがチャンス!
 
「《魔爪刃》!」

 私の攻撃でオークジェネラルの首が切り裂かれ、体が崩れ落ちた。
 みんなは……怪我をしていないみたい。
 よかった。

『シズク、ようやく来たわさ』

『遅いの、シズク』

「私の背の高さじゃ本営の方角がわからないよ」

『そういえばそうかも』

『儂が案内するべきじゃったな。それで、オークジェネラルとオークバーサーカーは何匹倒してきた?』

「オークジェネラルが2匹、オークバーサーカーが……7匹かな」

『わちらでオークバーサーカーは5匹倒してきたわさ』

『残りは8匹か。急いで間引かねばな』

『そうだね。冒険者たちはかなり孤立し始めているよ。急がないと助けられなくなる』

『回復するにも生きていないと意味がないの』

「そうだね。先輩方、私たちはこれで」

「ああ。ここまで連れてきてくれて助かった」

「本営の守りは任せろ」

「よろしくお願いします。それでは!」

 私たちは今度こそ一丸となって進み、孤立している冒険者たちを助けながらオークを倒していった。
 中には既に手遅れだった人たちも多かったけれど、それでも助けられた人たちは大勢いる。
 もちろん、オークナイト以上の大物だってどんどん倒していったし、オークバーサーカーもすべて倒したし、残り1匹だったオークジェネラルも倒した。
 私は鎧に身を守られていたから無傷だったけど、オークやハイオークの攻撃は邪魔にならなければ無視していたから、本来だったらボロボロだったかもしれない。
 それだけ激しい戦いになってしまった。

 結局、オーク軍が撤退したのは夕暮れ時になってから。
 オークジェネラルを倒したあと、私たちもまた散開して戦ったからオークアサシンやオークレンジャーもうち漏らしてはいないと思うけれど、規模が大きかったからオークナイト数匹が生き残った以外の大物はよくわからない。
 オークたちが撤退を始めたあとは追撃せずに仲間の救助を優先したからね。

 その結果、本営の守備隊に出た被害人数だけど……。

「286人ですか……」

「死者、行方不明者あわせて286人だ。治療中で動けない連中はその倍以上。本営の守りは手厚くしていたが、それ以上に今回の攻勢は厳しかったというわけだな」

「本営、守れますか?」

「サンドロックギルドマスターへ正直に伝えてくれ。今回の半分の規模であっても次の攻勢があったら本営を捨てて逃げると。もう防衛能力は残っていない。前線に出ているサンドロックギルドマスターやデイビッドさん、お前にも申し訳ないが、あの規模の襲撃をまたされては今度こそ本営が落ちる」

「……わかりました。サンドロックさんに伝えます」

「すまないな。お前には大物をすべて倒してもらっちまったのに」

「いえ。こちらも手一杯でしたから」

「……本当にすまないな。俺たち守備隊の失態だ」

 そう言い残して守備隊長さんは行ってしまった。
 確かに、半数以上の戦力が失われている以上、本営の守りはもう不可能なんだろう。
 気が重いけど、宿営地に帰ってサンドロックさんに報告を……ん?

「ロイド? マーゴット?」

「あ、シズクさん」

「シズクさん、無事だったのね。本営まで来ていたオークジェネラルを倒したらすぐにまた飛び刺していくんだもの、心配したわ」

 宿営地に戻ろうとしたところで見かけたのは元弟子のロイドとマーゴット。
 そして奥の方で泣いているのは……?

「それはごめんなさい。……あれって、ベティよね? なんで泣いているの?」

「……ルイスとウェイン、ネイサンが死にました」

「……あっという間だったわ。オーク相手にはなんとか戦えていたのにハイオーク1匹が割り込んできただけでルイスが殺され、次にウェインが叩き潰された。そして、離れた位置からボルトでネイサンが頭を撃ち抜かれて即死よ」

「僕たちは他の冒険者の方々に助けられたので本営まで逃げ帰ることができました。でも、それ以降は……」

 そうか、ふたりだけじゃあの数のオークは辛いよね。
 私みたいに仲間ペットがいるわけでもなく、オークの攻撃じゃ衝撃すら感じない鎧があるわけでもないんだから。

「それでも3人は冒険者タグを回収できただけでも運がいい方です。冒険者タグの判別すらできない遺体もたくさんありましたから」

「生き残りをかけた戦いである以上、厳しくなるのは覚悟していたけど……パーティメンバーがあっけなく3人も死ぬなんてね」

「そう……」

 これが冒険者の世界。
 いつ死ぬかわからない過酷な道なんだ。
 私も気を引き締めないと。

「ごめんね、ふたりとも。私、仕事があるからもう行くよ」

「はい」

「ベティは私たちの方で励ましておくわ」

「うん。その……気をつけて」

 これ以上かけてあげられる言葉が見つからないままキントキに飛び乗り、一路サンドロックさんたちが待っているはずの宿営地へ。
 宿営地まで戻ると、デイビッド教官たち鉱山制圧に出ていっていた先輩冒険者方も戻ってきていた。
 やっぱり、人数は減っているけれど。

「戻ったか、シズク」

 私が戻ったところを見つけてサンドロックさんがやってきた。
 サンドロックさんも疲れた様子だ。

「はい。いま戻りました」

「この時間まで戻らなかったということは、あまりいい報告じゃねぇな」

「……本営の守備隊からの伝言です。次の攻勢があったら本営を捨てて逃げると。守備隊にはもう防衛能力は残っていないそうです」

「死者と行方不明者は?」

「286人。負傷による戦線離脱者はその倍はいると」

「上位陣はほとんどこっちに引き連れて来ていたからな。本営の守備隊には最小限の数しか残さなかったが、裏目に出たか」

「……鉱山制圧をしたのはまずかったでしょうか?」

「いや、どちらにしても制圧する必要はあった。ミスがあったとすれば、〝オークの砦〟から鉱山の様子を見に行こうとしたオークバーサーカーを取り逃がした俺たちの不始末だ。お前の責任じゃねぇ」

「……はい」

「……いつにも増して覇気がないな。なにがあった?」

「ルイスたちが死んだそうです」

「……あいつらか。わからなくもないが、あまり落ち込んでいても仕方がないぞ。俺たちには緊急でやることができちまったからな」

「やること?」

「ああ。これ以上攻められたら俺たちの負けだ。だから、今度はこちらから仕掛ける。仕掛けるのは明日の夜明け頃。全員、しっかり体を休めておけ」

 いよいよ〝オークの砦〟への侵入が始まるんだ。
 絶対にみんなの仇、取ってみせる!
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