辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~

あきさけ

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第二部 医学の知識と若木の令嬢 第十章 村の病を治療せよ

94. 冒険者ギルドからの呼び出し

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 アストリートさんたちがやってきて初めての冬が到来した。
 ヘレネさんもお母さんにつけられた傷が癒えたあとは別人みたいに大人しくなっている。
 アストリートさんから聞いたところによると、ヘレネさんは聖獣も魔獣も一緒くたに考えていたらしい。
 また、自分の剣の腕前さえあれば魔獣を倒す事も余裕だとも。
 そんな思い上がりでお母さんに剣を抜いたあげく、返り討ちにあったんだから仕方がないよね。
 ヘレネさんのことはアストリートさんが公爵様に伝えたみたいだし、これ以上問題を起こすのであれば本当に追いだして別の人と代えてもらおう。

 また、フルートリオンも夏頃からユーシュリア医師ギルドのために必要な建物の工事が始まっている。
 規模の大きなものだとギルド本部、小さなものになると薬草園まで様々だ。
 公爵様の命により印刷工房が最初に完成し、そこではたくさんの本を印刷している。
 まだ販売開始には至っていないけれど、現時点でも多くの知識が集約されつつあるよ。
 いま作っているのは印刷の練習も兼ねた言語辞典だけど、来年からはいよいよ医学書も作り始めるようだ。
 医師ギルドも本格的に動き始めてきたね。

 それに伴い、工事を請け負う人や物を運んで来る商人、護衛の冒険者さんが街によく来るようになってフルートリオンも賑やかになってきた。
 街が活発化することは悪いことじゃないんだけど、やっぱりケンカとかそういう側面でよくないことも起こっているみたい。
 そううまくはいかないよね。

「シシ、おはよう」

「にゃう!」

 ちょっとだけ賑やかになってきたフルートリオンの朝。
 私の日課は変わらず、朝起きてすぐの薬草畑の手入れと採取から始まる。
 採取出来る薬草の種類も増えてきたし、もう少し新しい薬に挑戦してみてもいいかも。
 でも、冬はヒートワインも作らなくちゃいけないし、いろいろ暇を見てかな。
 よし、今日も一日頑張ろう!

「あの! ノヴァちゃん……いた!」

「あれ? ミカさん、どうしたんですか朝早くから。なにかご用事ですか?」

「はい! 至急、冒険者ギルドに来てください。詳しい内容はそこで話します」

「わかりました。準備をしたらすぐに行きますね」

「はい。あ、あと、いまノヴァちゃんのお店で居候をしているローレンさんも医師でしたよね? 一緒に来てもらってもいいですか?」

「はい? 声をかけて一緒に来てもらえるように伝えます」

「よろしくお願いします。では、先に戻って準備をしておきます」

 私だけじゃなくローレンさんにまで用事ってなんだろう?
 錬金術士だけじゃ足りない仕事なのかな?
 幸いローレンさんも手が空いていたようで、一緒に冒険者ギルドまで来てくれた。
 冒険者ギルドに着くと二階にある会議室へと通され、そこにはギルドマスターや街の代官さんなどいろいろな偉い人たちが集まっていたよ。
 一体なにが始まるんだろう?

「あ、ノヴァちゃん、ローレンさん。来てくださいましたか」

「うん。一体なんの集まり?」

「私もノヴァ様に呼ばれて参りましたが……どのようなご用件でしょう?」

「ああ、それについてだが少し長い話になる。まずは席に着いてもらいたい」

「はあ」

「わかりました。余所者ですがよろしくお願いいたします」

 うーん、なんだろう、この集まり。
 みんな真剣な表情をしているし。
 きっと大問題があったんだよね。
 私で力になれるかな?
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