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第1部 『神樹の里』 第2章 集まる幻獣や妖精、精霊たち
14.トルマリン
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「空が飛べる鎧ってなんでしょうかね?」
「金属鎧なのに重さもまったく感じないし……すごいよね」
マインたちが来てから2週間後、僕たちに防具も届けられるようになりました。
見た目はつや消しの銀色でしたがひとりでも着用できるように設計されており、着てみると重さを感じなくなる。
それでいて、魔力を使えば空も飛べるようになり、魔法をはじく障壁も作れる。
魔剣としての効果もある盾もいただきましたが……本当にただでもらっていいのでしょうか?
お金とかは確かに神樹の里ではないのですが……。
メイヤに相談しても「本人たちが満足しているならかまわないじゃない」としか言わないし、なんだか怖いです。
とりあえず、神樹の里内を飛び回ってみましたがリュウセイやフェアリー、ピクシーなどが付いてくるだけで平和そのものでした。
そして、昼食の時間になったのでメイヤの元に向かうと食後で構わないのでお客様に会ってもらいたいと言われたのです。
食後で構わないお客様って一体?
食後にお客様のところに行ってみると、そこにはバチバチ音を立てる球体がひとつ浮かんでいるだけ。
大きさは、僕の体と一緒くらいですね。
この方は?
『VI』
「え?」
『わからないでしょうから翻訳してあげるわ。初めましてだそうよ』
「は、はい。初めまして。ここの管理者のシントです」
「同じく守護者のリンです。あなた様は一体?」
『XGI』
『五大精霊の一角、雷の精霊ライトニングボルトよ』
「ライトニングボルト様ですか。ライトニングボルト様も〝精霊狩り〟から逃げてこられたのでしょうか?」
『WGAKI』
『〝精霊狩り〟に来た人間はすべて灰にしたって。ただ、いつまで経ってもしつこく攻めてくるから嫌気がさしてヴォルケーノボムが誘ってくれたこの地に渡ってきたみたい』
「はあ。ここで暮らしていただく分には一向に構いません」
「そうですね。〝狩り〟を相手にし続けるのも面倒でしょうし」
『GIGPU』
『感謝するって。それとは別にふたりの腕試しもしたいそうよ』
「「腕試し?」」
『そう、腕試し。満足できたら契約に応じるって。いつでも何回でも応じるそうよ。とりあえず、いま一回試してみたいそうね』
「ええと、いいのでしょうか?」
『ETYIU』
『準備ができたらそちらから攻めてきていいそうよ。それを合図に始めるから』
「わかりました。リンの準備は?」
「私も突然で驚いてるけど……準備できてるよ」
「では、お手合わせ願います!」
『BRTYUIO』
僕はマインからもらった氷の魔剣で攻撃してみましたが、ライトニングボルトにはまったく届きません。
リンもマインの魔法の弓で攻撃していますが、届く前に消されていますね。
そして、ライトニングボルトから反撃が来ましたが……僕は盾を使って何とかガード。
それだってものすごい衝撃です。
「あぎゃぅ!?」
「リン!?」
後ろから聞こえたリンの悲鳴に思わず後ろを振り返ってしまいました。
すると後頭部に衝撃が走って……覚えていたのはここまでです。
********************
『気がついたかしら?』
「メイヤ? リンは!?」
「私ならここ……まだ体が動かないけど……」
「無事でしたか……僕も体がうまく動きませんね」
『ライトニングボルトの直撃を受ければそうなるわ。リンは防御への意識不足。シントはリンの悲鳴で振り向いたのが敗因ね』
「……ごめん、シント。迷惑をかけちゃって」
「いえ、リンが無事ならいいんです。ですがライトニングボルトって強いですね」
『五大精霊の中でもっとも攻撃的な精霊だからね。〝王都〟も対抗策を用意して臨んでいったのでしょうけど本気のライトニングボルトの前では役立たずだったようね』
「僕たちは相当手加減されていたんでしょうね」
『手加減しないと殺しちゃうもの。そんなことすれば神樹の里の精霊や妖精全部と戦争よ? ふたりが不死だからって再生に時間がかかる傷だってあるから』
「そうですか。ですが負けていられませんね!」
「うん!」
『あなた方も負けず嫌いね。少なくともいまの装備じゃライトニングボルトに届かないわ。魔法を使えば別でしょうけど、一瞬で攻撃できるライトニングボルトがそんな隙を与えてくれるはずもないし』
「と言うことはマインに発注ですか」
「マインには手間暇をかけちゃうね」
『喜ぶと思うわよ? 五大精霊最強攻撃力を持つライトニングボルトに挑む装備を作れる機会なんてないのだから』
「だといいのですが」
「戻って早速マインに相談だよ!」
「とりあえず行ってきなさい。悪いようにはならないはずだから」
メイヤに後押しされてマインへと装備の発注に。
マインもドワーフたちもライトニングボルトに挑むための装備と聞くと大喜びで設計を始めました。
そんなに嬉しかったのでしょうか?
装備の完成が待つ間も僕たちは訓練とライトニングボルトとの実戦に挑みます。
ライトニングボルトも一切容赦はしてくれず、リンは最初以外攻撃することすらままならない状態ですが、すぐに気絶させられることはなくなりました。
僕の方も魔剣の種類を変えながら何度も攻撃していますが、どれもライトニングボルトに届く前にかき消えているようです。
僕たちが負けたあとはメイヤが回収してくれているので問題はないのですが……ここまで勝てない相手がいるだなんて。
特にリンの落ち込み具合が激しかったです。
自分はこんなこともできないのに〝王都〟へと乗り込もうとしていたのかと。
焦りは収まったみたいですが、代わりに落ち込んでしまったみたいで、寝るときは抱きしめるようにしてあげながら寝てあげています。
リンは嬉しそうに笑いながら寝てくれているからこれで正解なのでしょう。
そんな風に昼間は訓練に明け暮れ、夜はリンを慰めつつ一緒に寝る日々が続いたある日、遂にマインがやってきました。
『待たせた! ようやくじゃが、ライトニングボルトにも通用する装備が完成したぞ!』
「おお、待ってました!」
「どんな装備になりましたか、マイン」
『まずはシントの装備からじゃ。盾はライトニングボルト専用となっておる。魔力を込めると対雷の魔法結界が発生する盾じゃ。武器はいままで以上に高出力な岩の刃を飛ばすことができるショートソードじゃな』
「ありがとうございます、マイン」
「ねえ、私のは!?」
『焦るな、きちんと用意してある。リンの装備は弓に魔力結界を張るための機構を組み入れた。これでライトニングボルトの攻撃にも数発は耐えることができる。矢の攻撃力も格段に上がっているのでライトニングボルトの守りも貫けるじゃろう』
「ありがとう、マイン!」
『ただ、どちらも魔力消費が大きくなってしまった。実際に戦闘を挑む前に何回か訓練をしてどの程度の間、魔力が持続するのか試しておいた方がいいじゃろう。実戦で魔力枯渇を起こしては元も子もない』
「わかったよ! さあ、シント! 早速訓練だよ!」
「ああ、待ってください。マイン、ありがとうございます」
「うむ。頑張れよ、少年少女」
そのあと、数日間は新しい武器を使った訓練です。
実際魔力消費が激しくなり、加減を誤ればすぐに魔力枯渇を起こすことに。
でも威力は確実に上がっているのでこれならばいけるでしょう!
『ARTUNSO』
「ええ、今日も一手手合わせをお願いします」
「今度こそ認めさせるんだから!」
『HYUMIOL!』
さて、いつも通り僕たちの先手からですね!
新しい装備の力、受けてもらいましょう!
「行きますよ!」
「食らいなさい!」
僕は岩の刃を、リンは魔力の矢を飛ばしました。
いままではライトニングボルトに当たる前に消えていたのですが、今回はしっかりとライトニングボルトに届きます!
『WAMIGUDET!』
次はライトニングボルトの攻撃ですが、電撃のジャベリンを僕は盾で、リンは魔法障壁で防いだみたいです。
ただ、リンの障壁は相手の攻撃力次第で魔力消耗量も変わるのでなるべく早めに決着をつけてあげないと……。
そのあとは激しい攻防となりました。
ライトニングボルトの攻撃をかわしながら僕とリンが攻撃を当てて行くことになります。
ライトニングボルトもただあたるのではなくガードしてきますから、なかなか攻撃が届きません。
動いていないのは強者の余裕なのか、ハンディキャップなのか……。
ともかく、そんなじれったい戦いが何十分と繰り広げられます。
そして、いきなりライトニングボルトが激しい光を放ったかと思った瞬間、僕もリンも弾き飛ばされてしまいました。
一体なにが……?
『KIGULPO』
「え?」
『あなたのことを認めるらしいわよ、シント』
「メイヤ」
『装備などで強化してきた点は少し不満だけど、それも含めてあなたの力だしその絆を認めてあなたとの契約に応じるそうだわ』
「ありがとうございます、ライトニングボルト」
『GYUO』
『礼には及ばないって。名前は〝トルマリン〟がいいそうよ』
「トルマリン?」
『宝石のひとつね。電気石とも呼ばれるらしいわ。見た目が気に入ったんでしょう』
「わかりました。それでは契約を」
『HYKIURTU』
僕から放たれた魔力をライトニングボルトが受け取り、彼は〝トルマリン〟となりました。
「よろしくお願いします、トルマリン」
『JIGYUERY』
『こちらこそだって。手合わせしたいときはいつでも呼んでほしいそうよ』
「では、もっと力をつけてから再戦を」
「うん。思いっきり手加減されてたもんね……」
『KIHU』
『それがわかっていればいまは十分だって。さて、あなた方は埃を払って温泉にでもつかってきなさい。疲れたでしょう?』
「疲れましたね……」
「くたくただよ……」
『夕食も早めに出すから今日は早めに寝てしまいなさいな。では、ふたり仲良くごゆっくり』
『GRTST』
メイヤとトルマリンに見送られた僕たちは家の中から着替えを持ち出して、温泉で体を洗いゆっくり休むことに。
途中、リンが僕に寄りかかって眠ってしまいましたが……少しくらいは大目に見てあげましょう。
お湯の中に顔をつけてしまうと危ないので少し経ったら起こしますけどね。
「金属鎧なのに重さもまったく感じないし……すごいよね」
マインたちが来てから2週間後、僕たちに防具も届けられるようになりました。
見た目はつや消しの銀色でしたがひとりでも着用できるように設計されており、着てみると重さを感じなくなる。
それでいて、魔力を使えば空も飛べるようになり、魔法をはじく障壁も作れる。
魔剣としての効果もある盾もいただきましたが……本当にただでもらっていいのでしょうか?
お金とかは確かに神樹の里ではないのですが……。
メイヤに相談しても「本人たちが満足しているならかまわないじゃない」としか言わないし、なんだか怖いです。
とりあえず、神樹の里内を飛び回ってみましたがリュウセイやフェアリー、ピクシーなどが付いてくるだけで平和そのものでした。
そして、昼食の時間になったのでメイヤの元に向かうと食後で構わないのでお客様に会ってもらいたいと言われたのです。
食後で構わないお客様って一体?
食後にお客様のところに行ってみると、そこにはバチバチ音を立てる球体がひとつ浮かんでいるだけ。
大きさは、僕の体と一緒くらいですね。
この方は?
『VI』
「え?」
『わからないでしょうから翻訳してあげるわ。初めましてだそうよ』
「は、はい。初めまして。ここの管理者のシントです」
「同じく守護者のリンです。あなた様は一体?」
『XGI』
『五大精霊の一角、雷の精霊ライトニングボルトよ』
「ライトニングボルト様ですか。ライトニングボルト様も〝精霊狩り〟から逃げてこられたのでしょうか?」
『WGAKI』
『〝精霊狩り〟に来た人間はすべて灰にしたって。ただ、いつまで経ってもしつこく攻めてくるから嫌気がさしてヴォルケーノボムが誘ってくれたこの地に渡ってきたみたい』
「はあ。ここで暮らしていただく分には一向に構いません」
「そうですね。〝狩り〟を相手にし続けるのも面倒でしょうし」
『GIGPU』
『感謝するって。それとは別にふたりの腕試しもしたいそうよ』
「「腕試し?」」
『そう、腕試し。満足できたら契約に応じるって。いつでも何回でも応じるそうよ。とりあえず、いま一回試してみたいそうね』
「ええと、いいのでしょうか?」
『ETYIU』
『準備ができたらそちらから攻めてきていいそうよ。それを合図に始めるから』
「わかりました。リンの準備は?」
「私も突然で驚いてるけど……準備できてるよ」
「では、お手合わせ願います!」
『BRTYUIO』
僕はマインからもらった氷の魔剣で攻撃してみましたが、ライトニングボルトにはまったく届きません。
リンもマインの魔法の弓で攻撃していますが、届く前に消されていますね。
そして、ライトニングボルトから反撃が来ましたが……僕は盾を使って何とかガード。
それだってものすごい衝撃です。
「あぎゃぅ!?」
「リン!?」
後ろから聞こえたリンの悲鳴に思わず後ろを振り返ってしまいました。
すると後頭部に衝撃が走って……覚えていたのはここまでです。
********************
『気がついたかしら?』
「メイヤ? リンは!?」
「私ならここ……まだ体が動かないけど……」
「無事でしたか……僕も体がうまく動きませんね」
『ライトニングボルトの直撃を受ければそうなるわ。リンは防御への意識不足。シントはリンの悲鳴で振り向いたのが敗因ね』
「……ごめん、シント。迷惑をかけちゃって」
「いえ、リンが無事ならいいんです。ですがライトニングボルトって強いですね」
『五大精霊の中でもっとも攻撃的な精霊だからね。〝王都〟も対抗策を用意して臨んでいったのでしょうけど本気のライトニングボルトの前では役立たずだったようね』
「僕たちは相当手加減されていたんでしょうね」
『手加減しないと殺しちゃうもの。そんなことすれば神樹の里の精霊や妖精全部と戦争よ? ふたりが不死だからって再生に時間がかかる傷だってあるから』
「そうですか。ですが負けていられませんね!」
「うん!」
『あなた方も負けず嫌いね。少なくともいまの装備じゃライトニングボルトに届かないわ。魔法を使えば別でしょうけど、一瞬で攻撃できるライトニングボルトがそんな隙を与えてくれるはずもないし』
「と言うことはマインに発注ですか」
「マインには手間暇をかけちゃうね」
『喜ぶと思うわよ? 五大精霊最強攻撃力を持つライトニングボルトに挑む装備を作れる機会なんてないのだから』
「だといいのですが」
「戻って早速マインに相談だよ!」
「とりあえず行ってきなさい。悪いようにはならないはずだから」
メイヤに後押しされてマインへと装備の発注に。
マインもドワーフたちもライトニングボルトに挑むための装備と聞くと大喜びで設計を始めました。
そんなに嬉しかったのでしょうか?
装備の完成が待つ間も僕たちは訓練とライトニングボルトとの実戦に挑みます。
ライトニングボルトも一切容赦はしてくれず、リンは最初以外攻撃することすらままならない状態ですが、すぐに気絶させられることはなくなりました。
僕の方も魔剣の種類を変えながら何度も攻撃していますが、どれもライトニングボルトに届く前にかき消えているようです。
僕たちが負けたあとはメイヤが回収してくれているので問題はないのですが……ここまで勝てない相手がいるだなんて。
特にリンの落ち込み具合が激しかったです。
自分はこんなこともできないのに〝王都〟へと乗り込もうとしていたのかと。
焦りは収まったみたいですが、代わりに落ち込んでしまったみたいで、寝るときは抱きしめるようにしてあげながら寝てあげています。
リンは嬉しそうに笑いながら寝てくれているからこれで正解なのでしょう。
そんな風に昼間は訓練に明け暮れ、夜はリンを慰めつつ一緒に寝る日々が続いたある日、遂にマインがやってきました。
『待たせた! ようやくじゃが、ライトニングボルトにも通用する装備が完成したぞ!』
「おお、待ってました!」
「どんな装備になりましたか、マイン」
『まずはシントの装備からじゃ。盾はライトニングボルト専用となっておる。魔力を込めると対雷の魔法結界が発生する盾じゃ。武器はいままで以上に高出力な岩の刃を飛ばすことができるショートソードじゃな』
「ありがとうございます、マイン」
「ねえ、私のは!?」
『焦るな、きちんと用意してある。リンの装備は弓に魔力結界を張るための機構を組み入れた。これでライトニングボルトの攻撃にも数発は耐えることができる。矢の攻撃力も格段に上がっているのでライトニングボルトの守りも貫けるじゃろう』
「ありがとう、マイン!」
『ただ、どちらも魔力消費が大きくなってしまった。実際に戦闘を挑む前に何回か訓練をしてどの程度の間、魔力が持続するのか試しておいた方がいいじゃろう。実戦で魔力枯渇を起こしては元も子もない』
「わかったよ! さあ、シント! 早速訓練だよ!」
「ああ、待ってください。マイン、ありがとうございます」
「うむ。頑張れよ、少年少女」
そのあと、数日間は新しい武器を使った訓練です。
実際魔力消費が激しくなり、加減を誤ればすぐに魔力枯渇を起こすことに。
でも威力は確実に上がっているのでこれならばいけるでしょう!
『ARTUNSO』
「ええ、今日も一手手合わせをお願いします」
「今度こそ認めさせるんだから!」
『HYUMIOL!』
さて、いつも通り僕たちの先手からですね!
新しい装備の力、受けてもらいましょう!
「行きますよ!」
「食らいなさい!」
僕は岩の刃を、リンは魔力の矢を飛ばしました。
いままではライトニングボルトに当たる前に消えていたのですが、今回はしっかりとライトニングボルトに届きます!
『WAMIGUDET!』
次はライトニングボルトの攻撃ですが、電撃のジャベリンを僕は盾で、リンは魔法障壁で防いだみたいです。
ただ、リンの障壁は相手の攻撃力次第で魔力消耗量も変わるのでなるべく早めに決着をつけてあげないと……。
そのあとは激しい攻防となりました。
ライトニングボルトの攻撃をかわしながら僕とリンが攻撃を当てて行くことになります。
ライトニングボルトもただあたるのではなくガードしてきますから、なかなか攻撃が届きません。
動いていないのは強者の余裕なのか、ハンディキャップなのか……。
ともかく、そんなじれったい戦いが何十分と繰り広げられます。
そして、いきなりライトニングボルトが激しい光を放ったかと思った瞬間、僕もリンも弾き飛ばされてしまいました。
一体なにが……?
『KIGULPO』
「え?」
『あなたのことを認めるらしいわよ、シント』
「メイヤ」
『装備などで強化してきた点は少し不満だけど、それも含めてあなたの力だしその絆を認めてあなたとの契約に応じるそうだわ』
「ありがとうございます、ライトニングボルト」
『GYUO』
『礼には及ばないって。名前は〝トルマリン〟がいいそうよ』
「トルマリン?」
『宝石のひとつね。電気石とも呼ばれるらしいわ。見た目が気に入ったんでしょう』
「わかりました。それでは契約を」
『HYKIURTU』
僕から放たれた魔力をライトニングボルトが受け取り、彼は〝トルマリン〟となりました。
「よろしくお願いします、トルマリン」
『JIGYUERY』
『こちらこそだって。手合わせしたいときはいつでも呼んでほしいそうよ』
「では、もっと力をつけてから再戦を」
「うん。思いっきり手加減されてたもんね……」
『KIHU』
『それがわかっていればいまは十分だって。さて、あなた方は埃を払って温泉にでもつかってきなさい。疲れたでしょう?』
「疲れましたね……」
「くたくただよ……」
『夕食も早めに出すから今日は早めに寝てしまいなさいな。では、ふたり仲良くごゆっくり』
『GRTST』
メイヤとトルマリンに見送られた僕たちは家の中から着替えを持ち出して、温泉で体を洗いゆっくり休むことに。
途中、リンが僕に寄りかかって眠ってしまいましたが……少しくらいは大目に見てあげましょう。
お湯の中に顔をつけてしまうと危ないので少し経ったら起こしますけどね。
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