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第1部 鍛冶の炎、目覚める 第1章 アウラとヘファイストス
5. フィラスティの街にて
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フィラスティの防衛隊はもう抵抗の意思もなくなったようで、ヘファイストスの命令に従ってくれた。
正確には防衛隊の副隊長が作ってくれたカバーストーリーに沿った内容をヘファイストスが了承するかどうかだったんだけど、それでもヘファイストス的には納得できたらしい。
やっぱりどこに逆鱗があるのかよくわからない。
『アウラ。フィラスティという街に行くことは問題ないのか?』
「これだけ目立っちゃったしねぇ。行かないわけにもいかないでしょう」
フィラスティでも突然空中に現れたエンシェントフレームのことは話代になっていると思うんだ。
防衛隊も出動しているし、なんらかの行動をみせないと不安がられてしまう。
関係ないと言ってしまえばそれまでなんだけど、あまりお尋ね者になる要素を残したくないのよね。
ヘファイストスって目立つし。
そのまま防衛隊の案内に従い、周りを囲まれているフリをしながらフィラスティの街へと到着、入街審査という名の顔パスを受けてあたしはヘファイストスと一緒にフィラスティの街中へ足を踏み入れた。
『ここがフィラスティの街か。意外と寂れた街だな』
ヘファイストスが内部スピーカーでだけ不穏なことを言いだしたよ。
外に聞こえていないからいいけど、釘を刺しておかなくちゃ。
「そういうことは言わないの、ヘファイストス。これでも国の辺境地帯にあってこれだけの街の規模があるのは栄えている証拠なんだから」
『そうなのか? 私が作られた時代にはこの地方は要衝だったのだが』
「それも時代の流れじゃない?」
『そういうものか』
「そういうものよ。そもそも、あなた自分でもわからないほど昔の存在なんでしょう? 昔の規模の町がそのまま残っているはずがないじゃない」
『……それもそうか』
ヘファイストスも納得してくれたようなので防衛隊の案内に従って街を進むと、ひとつの建物の前で立ち止まった。
あれ、ここって……。
『アウラ。すまないが、ここでルインハンターのエンシェントフレーム所持登録をしてもらいたい。それで君は解放だ』
外部の音声を拾うスピーカーから副隊長の声が聞こえてきた。
でも、ここって、ルインハンターズギルドだよね?
あたしたちルインハンター寄りの施設だけれどいいの?
『いろいろと疑問はあるだろうがエンシェントフレーム所持登録をしてもらえれば君は解放だ。街の上空に現れたのも不慮の事故として処理できる。従ってはもらえないか?』
「従います。でも、本当にいいんですか?」
『それで構わない。では、よろしく頼む』
防衛隊所属のエンシェントフレームも待機姿勢になり、あたしもヘファイストスを駐機姿勢にして降りることにした。
ヘファイストスなら駐機姿勢でも盗まれたり破壊されたりすることはないでしょ。
そう思って駐機姿勢をとってコックピットを出ようとしたけど搭乗口が開かない。
なんで?
「ヘファイストス、外に行きたいんだけど?」
『あの建物の中に入るには無防備すぎる。お勧めしない』
「いや、お勧めしないって……」
『どうしても行くというならこれをつけていけ』
ヘファイストスが私の前に出現させたのはブレスレット。
これはなに?
『私との通信端末だ。これがあれば互いに会話ができるし状況も把握できる』
「ヘファイストス、過保護」
『なんとでも言え。私にとってアウラは長い年月を経て出会った初めてのパートナーなのだ』
ああ、そっか。
ヘファイストスにとってあたしってずっと待ち望んでいたパイロットなんだっけ。
忘れていたよ。
「ありがと、ヘファイストス。なにかあったら助けてね?」
『言われるまでもない。気を付けて』
「うん」
あたしはヘファイストスから渡されたブレスレットを身につけ、今度こそ外に出た。
街の人たちの注目を浴びているけど、あまり気にせずルインハンターズギルドの中に入る。
その中では防衛隊の人が既に話を通してくれていたみたいで、案内役の人が待っていて私をギルドマスタールームへと連れて行ってくれた。
ギルドマスターは『バレル』というおじさん。
かなり強面で元は高位冒険者だったらしい。
そもそもルインハンターズギルドが冒険者ギルドの下部組織で、ギルドマスターは鉱石のある一流の冒険者から選ばれているんだからおかしくはないんだけどね。
「ようこそ、アウラ。今回はとんでもないものを発掘してきたようだね?」
「初めまして、バレルさん。どうもそのようです」
「マナトレーシングフレームか。そのようなものがフィラスティ近辺に眠っているとは想像してもいなかった」
「あたしだって発掘に行っていたときはエンシェントフレームすらないと思っていましたよ。フィラスティは生きている遺跡以外、危険度が高すぎる遺跡群の集まりだと聞いていましたから」
「その認識で間違いない。念のためだ、あのマナトレーシングフレームを入手した経緯を簡単に説明してもらえるか?」
「わかりました。訓練期間中のことは話しますか?」
「そこまでは必要ない。見つけたときの経緯だけで構わない」
「はい。では……」
あたしはヘファイストスを発見したときの経緯を簡単に説明した。
とは言っても、野営場所を探して崖の上から舞い降りたら未発見の遺跡を見つけたとしか説明できないんだけどね。
「……滝の裏にあった未発見の遺跡、か」
「信じてもらえませんか?」
「いや、真実味が増した。そんなところ、自分で自由に空を飛べる白天使族か黒天使族でもなければ調べない。そして」
「白天使族や黒天使族のルインハンターは珍しい、ですよね?」
「その通りだ、アウラ。とりあえずの事情聴取は以上だな。それではエンシェントフレームの所持登録を行う。この魔導登録証明書に必要事項を記入してくれ。記入方法の説明は必要か?」
「大丈夫です。標準大陸言語の読み書きはできます」
「助かる。それでは頼む」
ルインハンターって学がない者でもできちゃうから読み書きすらできないことが多々あるらしいんだよね。
だから、重要書類の記入にはギルドの上位幹部が立ち会い、記入方法がわからない場合はその幹部が直接指導することになっている。
でも、行うのは『指導』までで『代筆』は決してしない。
責任はルインハンターがすべて負うのがルインハンターズギルドの方針だそうな。
さて、必要事項の記入もすべて記載完了、最後のサインも完了っと!
「できました」
「確認させてもらう……問題ない。これで、表にあるエンシェントフレームは正式に君のものになる。発見おめでとう」
やった!
ヘファイストスが正式に私の物になった!
ああ、でも、これからどうしよう?
特にやることを決めてないや。
正確には防衛隊の副隊長が作ってくれたカバーストーリーに沿った内容をヘファイストスが了承するかどうかだったんだけど、それでもヘファイストス的には納得できたらしい。
やっぱりどこに逆鱗があるのかよくわからない。
『アウラ。フィラスティという街に行くことは問題ないのか?』
「これだけ目立っちゃったしねぇ。行かないわけにもいかないでしょう」
フィラスティでも突然空中に現れたエンシェントフレームのことは話代になっていると思うんだ。
防衛隊も出動しているし、なんらかの行動をみせないと不安がられてしまう。
関係ないと言ってしまえばそれまでなんだけど、あまりお尋ね者になる要素を残したくないのよね。
ヘファイストスって目立つし。
そのまま防衛隊の案内に従い、周りを囲まれているフリをしながらフィラスティの街へと到着、入街審査という名の顔パスを受けてあたしはヘファイストスと一緒にフィラスティの街中へ足を踏み入れた。
『ここがフィラスティの街か。意外と寂れた街だな』
ヘファイストスが内部スピーカーでだけ不穏なことを言いだしたよ。
外に聞こえていないからいいけど、釘を刺しておかなくちゃ。
「そういうことは言わないの、ヘファイストス。これでも国の辺境地帯にあってこれだけの街の規模があるのは栄えている証拠なんだから」
『そうなのか? 私が作られた時代にはこの地方は要衝だったのだが』
「それも時代の流れじゃない?」
『そういうものか』
「そういうものよ。そもそも、あなた自分でもわからないほど昔の存在なんでしょう? 昔の規模の町がそのまま残っているはずがないじゃない」
『……それもそうか』
ヘファイストスも納得してくれたようなので防衛隊の案内に従って街を進むと、ひとつの建物の前で立ち止まった。
あれ、ここって……。
『アウラ。すまないが、ここでルインハンターのエンシェントフレーム所持登録をしてもらいたい。それで君は解放だ』
外部の音声を拾うスピーカーから副隊長の声が聞こえてきた。
でも、ここって、ルインハンターズギルドだよね?
あたしたちルインハンター寄りの施設だけれどいいの?
『いろいろと疑問はあるだろうがエンシェントフレーム所持登録をしてもらえれば君は解放だ。街の上空に現れたのも不慮の事故として処理できる。従ってはもらえないか?』
「従います。でも、本当にいいんですか?」
『それで構わない。では、よろしく頼む』
防衛隊所属のエンシェントフレームも待機姿勢になり、あたしもヘファイストスを駐機姿勢にして降りることにした。
ヘファイストスなら駐機姿勢でも盗まれたり破壊されたりすることはないでしょ。
そう思って駐機姿勢をとってコックピットを出ようとしたけど搭乗口が開かない。
なんで?
「ヘファイストス、外に行きたいんだけど?」
『あの建物の中に入るには無防備すぎる。お勧めしない』
「いや、お勧めしないって……」
『どうしても行くというならこれをつけていけ』
ヘファイストスが私の前に出現させたのはブレスレット。
これはなに?
『私との通信端末だ。これがあれば互いに会話ができるし状況も把握できる』
「ヘファイストス、過保護」
『なんとでも言え。私にとってアウラは長い年月を経て出会った初めてのパートナーなのだ』
ああ、そっか。
ヘファイストスにとってあたしってずっと待ち望んでいたパイロットなんだっけ。
忘れていたよ。
「ありがと、ヘファイストス。なにかあったら助けてね?」
『言われるまでもない。気を付けて』
「うん」
あたしはヘファイストスから渡されたブレスレットを身につけ、今度こそ外に出た。
街の人たちの注目を浴びているけど、あまり気にせずルインハンターズギルドの中に入る。
その中では防衛隊の人が既に話を通してくれていたみたいで、案内役の人が待っていて私をギルドマスタールームへと連れて行ってくれた。
ギルドマスターは『バレル』というおじさん。
かなり強面で元は高位冒険者だったらしい。
そもそもルインハンターズギルドが冒険者ギルドの下部組織で、ギルドマスターは鉱石のある一流の冒険者から選ばれているんだからおかしくはないんだけどね。
「ようこそ、アウラ。今回はとんでもないものを発掘してきたようだね?」
「初めまして、バレルさん。どうもそのようです」
「マナトレーシングフレームか。そのようなものがフィラスティ近辺に眠っているとは想像してもいなかった」
「あたしだって発掘に行っていたときはエンシェントフレームすらないと思っていましたよ。フィラスティは生きている遺跡以外、危険度が高すぎる遺跡群の集まりだと聞いていましたから」
「その認識で間違いない。念のためだ、あのマナトレーシングフレームを入手した経緯を簡単に説明してもらえるか?」
「わかりました。訓練期間中のことは話しますか?」
「そこまでは必要ない。見つけたときの経緯だけで構わない」
「はい。では……」
あたしはヘファイストスを発見したときの経緯を簡単に説明した。
とは言っても、野営場所を探して崖の上から舞い降りたら未発見の遺跡を見つけたとしか説明できないんだけどね。
「……滝の裏にあった未発見の遺跡、か」
「信じてもらえませんか?」
「いや、真実味が増した。そんなところ、自分で自由に空を飛べる白天使族か黒天使族でもなければ調べない。そして」
「白天使族や黒天使族のルインハンターは珍しい、ですよね?」
「その通りだ、アウラ。とりあえずの事情聴取は以上だな。それではエンシェントフレームの所持登録を行う。この魔導登録証明書に必要事項を記入してくれ。記入方法の説明は必要か?」
「大丈夫です。標準大陸言語の読み書きはできます」
「助かる。それでは頼む」
ルインハンターって学がない者でもできちゃうから読み書きすらできないことが多々あるらしいんだよね。
だから、重要書類の記入にはギルドの上位幹部が立ち会い、記入方法がわからない場合はその幹部が直接指導することになっている。
でも、行うのは『指導』までで『代筆』は決してしない。
責任はルインハンターがすべて負うのがルインハンターズギルドの方針だそうな。
さて、必要事項の記入もすべて記載完了、最後のサインも完了っと!
「できました」
「確認させてもらう……問題ない。これで、表にあるエンシェントフレームは正式に君のものになる。発見おめでとう」
やった!
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