猫被り王子が出会う、本気の恋!

花垣 雷

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プロポーズ!

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花畑の真ん中で、顔を赤らめながら座り込んでいた二人。

ルカは意を決したように深く息を吸い込むと、膝をついてリネットの前に向き直りました。

「……リネット。さっきは驚かせてごめん。でも、僕の気持ちは本物なんだ」

ルカは足元に咲いていた小さくも可憐な花を一輪、指先で器用に摘み取ると、それをリネットの左手の薬指にクルッと巻き付けました。

「わぁ! 可愛い……ふふ、お花の指輪ね」

リネットは顔をほころばせ、自分の指を愛おしそうに見つめました。お隣さんの「王子」がくれた、素朴で優しいプレゼント。そう思って安心したのも束の間、ルカがいたずらっぽく、けれどどこか厳かに口を開きました。

「リネット、よく見てて。……3、2、1!」

カウントダウンが終わった瞬間。

リネットの指に巻かれた「花」が、全属性の魔力による超高精度の変換魔法によって眩い光を放ちました。光が収まった後、そこにあったのは茎や花びらではなく、最高級のプラチナの土台に、朝露を閉じ込めたような大粒のダイヤモンドが輝く本物の指輪でした。

「え……っ!?」

「これは、僕の母上がいつか大切な人ができたら渡せと遺してくれた、王家の宝物なんだ。神の加護と僕の魔力で、君の指に合うように姿を変えておいた」

リネットはあまりの輝きと、そこに込められたルカの重すぎるほどの想いに、言葉を失って指先を見つめます。

「リネット。君が『隣にいてくれる』だけじゃ、僕はもう満足できない。……いつか必ず、僕の隣で、この国の王妃として笑っていてほしい。これが、僕の本当のアプローチだ」

ルカの真っ直ぐな瞳が、今度は逃がさないと言わんばかりにリネットを捉えます。先ほどまでの「お調子者の隣人」ではなく、愛する女性を守り抜くと誓った一人の男、そして王子の顔でした。

「ルカ……。あんた、本当に……極端なんだから……」

リネットの目から、今度は嬉し涙が溢れました。重い、重すぎるけれど。
でも、その重さが、不器用で真っ直ぐな彼らしくて。

「……大切にするわ。この指輪も、それから……あんたのことも」

二人の背後で、花畑が祝福するようにザワリと揺れます。
遠くでそれを見ていたセバスは、ようやく単眼鏡を仕舞うと、主人の「本気」の成就を確信して、静かにその場を立ち去るのでした。

感動のプロポーズから数秒……

「ん?」

幸せの絶頂にいたリネットでしたが、左手でキラキラと輝く国宝級のダイヤモンドをまじまじと見つめているうちに、その思考がようやく「現実」に追いつきました。

リネットの顔からスッ……と血の気が引いていきます。

「……リネット? どうしたんだ、そんなにゾッとした顔をして。どこか体調でも悪いのか?」

心配そうに顔を覗き込み、彼女の肩を優しく抱こうとするルカ。しかし、リネットはガタガタと震えながら、まるで未知の巨大生物を見るような目でルカを見上げました。

「あ、あれ……? ルカは……王子。ルカと結婚して……私がなるのは……」

指輪を見つめ、ルカを見上げ、また指輪を見つめる。

「……おおおお、王妃様ぁぁぁ!!?」

丘の上、お花畑にリネットの絶叫が響き渡りました。

「何を今さら! さっきからそう言ってるじゃないか」

「当たり前みたいに言わないでよ! 私、ただの花屋よ!? 毎日土をいじって、虫さんと格闘してる平民なのよ!? 王妃様なんて、そんな……舞踏会とか、外交とか、刺繍とか、なんかすごい難しいことばっかりする人でしょ!?」

リネットはパニックに陥り、自分の頭を抱えてしゃがみ込みました。

「そんなの、私には絶対無理! 国が滅びちゃうわよ!!」

「大丈夫だ! 僕の魔力と神の加護があれば、リネットを反対する奴なんて一人も残さず黙らせて……」

「そういう怖い解決方法は求めてないの!!」

リネットの猛ツッコミが炸裂します。

ようやく事の重大さに気づいたリネットと、彼女さえいれば万事解決だと思っている超ポジティブなルカ。

またしても登場の、セバスでした。
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