28 / 35
第4章 魔導学院の来訪者
第28話 醜聞
しおりを挟む
リアンのお茶会は続いていた。
ステファンがケーニヒを戦慄した顔で見つめていた。
「一人で一軍の噂が、真実だって言うのか」
ケーニヒが鼻を鳴らして答える。
「それがどうした?
どれほど強くても、俺は一人の人間だ。
数万の軍に囲まれれば、力尽きて終わる。
こんな弱い力しか持たぬ奴など、使い道はあるまい」
あ、だめだこいつ。『魔王の息子』基準で考えてる。
ケーニヒが私を見て告げる。
「顔を見れば、何を考えているかがわかるぞ?
だがそれはとんだ勘違いという奴だ」
「……なにがどう勘違いなのよ?」
「いいか? 戦況をひっくり返せない程度のわがままな人間が一人いるとしよう。
だがそれでは戦争には勝てん。統制の取れた大軍の方が戦争では強いに決まっている。
俺一人で他国を占領することも、ましてや統治することもできん。
命令すら聞かない戦力を、いったいどこに使えというんだ?
軍事行動の邪魔にしかならん」
私はため息をついて答える。
「……逆に考えてみなさいよ。
一人で一万人に匹敵する人間が『好きに暴れて来い』って言われて前線に投入されててみなさいよ。
そのすぐ後ろには統制の取れた大軍が控えてる。君に構えば側面や背面を突かれる。
だけど大軍に備えると君が好き勝手に暴れて戦線を蹂躙されて崩壊する。
――どちらにせよ、君の前に立てば待つのは死だけ。
それで士気を維持して逃げない兵士が居ると思う?」
「……なるほど、それは盲点だったな」
「『盲点だったな』、じゃなああああああああああい!!」
私の手刀がケーニヒの喉に炸裂した。
「ぐっ……さすがに、喉に手刀はきついな」
どうやら私の攻撃は、甘んじで受けているようである。
リアンがぼそりと呟く。
「……メルフィナ、とても生き生きとしてらっしゃいますのね」
――あっ! お茶会だった!
「コホン! ――いえ、はしたなく取り乱してしまいましたわ」
リアンのご友人がポツリと告げる。
「私たち、一人で一万人に匹敵する大魔導士とお茶をしてるのですわね……」
嘘みたいな話である。
ケーニヒが紅茶のお替りを口にしたあと私に告げる。
「なに、今の俺の全力でも、メルフィナの防御結界を崩すのは無理だ。
それに今のお前でも、全身全霊の一撃なら、一瞬で千人くらいは燃やし尽くせるだろう?」
あー、奥の手の≪獄炎≫か。今も使えるのかなぁ?
「私、攻撃魔法は使ってきてないんだよねー。
無暗に撃てるものでもないしさー。
防御結界の強度は大丈夫だと思うんだけど」
「お前ならば、一個師団が相手でも負けはしないさ。
――つまり、お前の戦力も一個師団相当ということだ。
むしろ人間に攻略不可能な防御結界を張れる分だけ、お前の方が質が悪い」
む、それは貴族令嬢に向ける言葉じゃないと思う!
リアンがしみじみと告げる。
「私たち、そのような方と今までお茶をして参りましたのね」
「……コホン! いえ、そのような野蛮なこと、私は致しませんわよ?」
ケーニヒがニヤリと笑ってステファンに告げる。
「よかったなステファン。
メルフィナが痴話喧嘩で本気でキレたら、秒で骨すら残さずに火葬してもらえるぞ?」
私は思わず声を上げる。
「しないっつってんだるぉおおおおおおっ?!」
その日のお茶会は、大変賑やかだった。
****
休日を前日に控えた夜会に、リアンのご友人から招待された。
ステファンが疲れたように呟く。
「夜会でも、なのか……」
招待されたのは私とステファン。
第一王子と婚約者なので、当然である。
だけど――。
「どうしたステファン。疲れているようだな」
――そう、ケーニヒである。
しれっと私たちの馬車に乗り込んできて、そのまま夜会の会場まで付いてきてしまった。
会場入り口でも、飛び入り参加の隣国第一皇子を断るのは難しい。
なんせリアンのご友人、子爵令嬢だし……。
下位貴族が断れるわけがなかった。
かくして会場入りしたケーニヒは、こうして私の傍に張り付いている。
しかし、腐ってもヴィシュタット帝国第一皇子である。当然、夜会でもモテた。けど――。
「すまないが、興味のない相手の顔も、名前も覚える気がない。
挨拶するだけ無駄だから、来なくていいぞ」
ケーニヒはやっぱりケーニヒだった。
だけど見た目はいいので、視線は集める。
実に面倒くさい奴である。
私は小さく息をついてステファンに告げる。
「ステファン。ケーニヒは居ない者として振る舞いましょう?」
「……そうだな。というか、それしかなさそうだ」
私たちも馬鹿ではない。
この一週間でなんとなく、ケーニヒの扱い方を覚えてきてはいるのだ。
主催者の貴族令嬢が近づいてきた。
「まぁ! ステファン殿下、ようこそおいでくださいました!」
「ミーシャ嬢、今日は楽しませてもらうよ」
「はい――メルフィナ様も、どうぞ楽しんでいってくださいね」
「ええ、ありがとう。ミーシャ様」
ミーシャ様はケーニヒにも挨拶をしようとした。
だけど、視線すら合わそうとしないケーニヒに諦めたようだ。
最初、主催者のミーシャ様こそ挨拶をしてくれた。
だけど、それ以外には遠巻きにされていた。
……原因のほとんどはケーニヒである。
「ケーニヒ、少し離れませんこと?」
「断るが? 俺はお前の傍に居る」
そう、王国第一王子とその婚約者に、帝国第一皇子がぴったりと固まっている。
しかもケーニヒには愛想が一切ない。
近づいておいて無視はできない、けど挨拶をしようとすると拒絶する。
そんな相手がいるんじゃ、近寄りたくても近寄れないだろう。
『挨拶しづらい』し『醜聞の臭いがする』ということで、周囲はひたすら観察を続けていた。
私はステファンと小声で話し合っていた。
「なんか、ひそひそと噂話まで飛び交ってない?」
「どうみても三角関係だしな……」
ケーニヒが堂々と大きな声で告げる。
「なにか間違っているのか?
一人の女を取り合っている仲じゃないか。
今更遠慮など要らんぞ?」
私たちは慌ててケーニヒの口を塞いだ――けど、遅かった。
周囲のひそひそが騒然とした並みになって広がっていく。
私は大きくため息をついた。
「だめだこりゃ。完全に噂が流れた」
帝国第一皇子、直々の『私を取り合ってます』宣言だ。効果は抜群だ!
ケーニヒが不敵な笑みを浮かべながらワインを口にしていた。
「事実だろう?
それに、噂を流したい奴には好きにさせろ。
人の口に戸は立てられん」
「だ・い・た・い・き・み・の・せ・い・な・ん・だ・け・ど?!」
私はケーニヒの胸に指を突き刺しまくっていた。
「メルフィナ、抑えて! みんなが見てる!」
背後から近づいてきたステファンが、私をケーニヒから引きはがした。
――やば?! 見られてた?!
慌てて微笑みを湛え、ステファンに寄り添う。
「……セーフかな?」
「……アウトじゃないかなぁ」
私とステファンの呟きに、ケーニヒが不敵な笑みで答える。
「どちらでも構わんだろう?」
「だから! 原因は君だ!!」
その日の夜会の様子は、瞬く間に社交界を駆け巡ったらしいと後で知った。
ステファンがケーニヒを戦慄した顔で見つめていた。
「一人で一軍の噂が、真実だって言うのか」
ケーニヒが鼻を鳴らして答える。
「それがどうした?
どれほど強くても、俺は一人の人間だ。
数万の軍に囲まれれば、力尽きて終わる。
こんな弱い力しか持たぬ奴など、使い道はあるまい」
あ、だめだこいつ。『魔王の息子』基準で考えてる。
ケーニヒが私を見て告げる。
「顔を見れば、何を考えているかがわかるぞ?
だがそれはとんだ勘違いという奴だ」
「……なにがどう勘違いなのよ?」
「いいか? 戦況をひっくり返せない程度のわがままな人間が一人いるとしよう。
だがそれでは戦争には勝てん。統制の取れた大軍の方が戦争では強いに決まっている。
俺一人で他国を占領することも、ましてや統治することもできん。
命令すら聞かない戦力を、いったいどこに使えというんだ?
軍事行動の邪魔にしかならん」
私はため息をついて答える。
「……逆に考えてみなさいよ。
一人で一万人に匹敵する人間が『好きに暴れて来い』って言われて前線に投入されててみなさいよ。
そのすぐ後ろには統制の取れた大軍が控えてる。君に構えば側面や背面を突かれる。
だけど大軍に備えると君が好き勝手に暴れて戦線を蹂躙されて崩壊する。
――どちらにせよ、君の前に立てば待つのは死だけ。
それで士気を維持して逃げない兵士が居ると思う?」
「……なるほど、それは盲点だったな」
「『盲点だったな』、じゃなああああああああああい!!」
私の手刀がケーニヒの喉に炸裂した。
「ぐっ……さすがに、喉に手刀はきついな」
どうやら私の攻撃は、甘んじで受けているようである。
リアンがぼそりと呟く。
「……メルフィナ、とても生き生きとしてらっしゃいますのね」
――あっ! お茶会だった!
「コホン! ――いえ、はしたなく取り乱してしまいましたわ」
リアンのご友人がポツリと告げる。
「私たち、一人で一万人に匹敵する大魔導士とお茶をしてるのですわね……」
嘘みたいな話である。
ケーニヒが紅茶のお替りを口にしたあと私に告げる。
「なに、今の俺の全力でも、メルフィナの防御結界を崩すのは無理だ。
それに今のお前でも、全身全霊の一撃なら、一瞬で千人くらいは燃やし尽くせるだろう?」
あー、奥の手の≪獄炎≫か。今も使えるのかなぁ?
「私、攻撃魔法は使ってきてないんだよねー。
無暗に撃てるものでもないしさー。
防御結界の強度は大丈夫だと思うんだけど」
「お前ならば、一個師団が相手でも負けはしないさ。
――つまり、お前の戦力も一個師団相当ということだ。
むしろ人間に攻略不可能な防御結界を張れる分だけ、お前の方が質が悪い」
む、それは貴族令嬢に向ける言葉じゃないと思う!
リアンがしみじみと告げる。
「私たち、そのような方と今までお茶をして参りましたのね」
「……コホン! いえ、そのような野蛮なこと、私は致しませんわよ?」
ケーニヒがニヤリと笑ってステファンに告げる。
「よかったなステファン。
メルフィナが痴話喧嘩で本気でキレたら、秒で骨すら残さずに火葬してもらえるぞ?」
私は思わず声を上げる。
「しないっつってんだるぉおおおおおおっ?!」
その日のお茶会は、大変賑やかだった。
****
休日を前日に控えた夜会に、リアンのご友人から招待された。
ステファンが疲れたように呟く。
「夜会でも、なのか……」
招待されたのは私とステファン。
第一王子と婚約者なので、当然である。
だけど――。
「どうしたステファン。疲れているようだな」
――そう、ケーニヒである。
しれっと私たちの馬車に乗り込んできて、そのまま夜会の会場まで付いてきてしまった。
会場入り口でも、飛び入り参加の隣国第一皇子を断るのは難しい。
なんせリアンのご友人、子爵令嬢だし……。
下位貴族が断れるわけがなかった。
かくして会場入りしたケーニヒは、こうして私の傍に張り付いている。
しかし、腐ってもヴィシュタット帝国第一皇子である。当然、夜会でもモテた。けど――。
「すまないが、興味のない相手の顔も、名前も覚える気がない。
挨拶するだけ無駄だから、来なくていいぞ」
ケーニヒはやっぱりケーニヒだった。
だけど見た目はいいので、視線は集める。
実に面倒くさい奴である。
私は小さく息をついてステファンに告げる。
「ステファン。ケーニヒは居ない者として振る舞いましょう?」
「……そうだな。というか、それしかなさそうだ」
私たちも馬鹿ではない。
この一週間でなんとなく、ケーニヒの扱い方を覚えてきてはいるのだ。
主催者の貴族令嬢が近づいてきた。
「まぁ! ステファン殿下、ようこそおいでくださいました!」
「ミーシャ嬢、今日は楽しませてもらうよ」
「はい――メルフィナ様も、どうぞ楽しんでいってくださいね」
「ええ、ありがとう。ミーシャ様」
ミーシャ様はケーニヒにも挨拶をしようとした。
だけど、視線すら合わそうとしないケーニヒに諦めたようだ。
最初、主催者のミーシャ様こそ挨拶をしてくれた。
だけど、それ以外には遠巻きにされていた。
……原因のほとんどはケーニヒである。
「ケーニヒ、少し離れませんこと?」
「断るが? 俺はお前の傍に居る」
そう、王国第一王子とその婚約者に、帝国第一皇子がぴったりと固まっている。
しかもケーニヒには愛想が一切ない。
近づいておいて無視はできない、けど挨拶をしようとすると拒絶する。
そんな相手がいるんじゃ、近寄りたくても近寄れないだろう。
『挨拶しづらい』し『醜聞の臭いがする』ということで、周囲はひたすら観察を続けていた。
私はステファンと小声で話し合っていた。
「なんか、ひそひそと噂話まで飛び交ってない?」
「どうみても三角関係だしな……」
ケーニヒが堂々と大きな声で告げる。
「なにか間違っているのか?
一人の女を取り合っている仲じゃないか。
今更遠慮など要らんぞ?」
私たちは慌ててケーニヒの口を塞いだ――けど、遅かった。
周囲のひそひそが騒然とした並みになって広がっていく。
私は大きくため息をついた。
「だめだこりゃ。完全に噂が流れた」
帝国第一皇子、直々の『私を取り合ってます』宣言だ。効果は抜群だ!
ケーニヒが不敵な笑みを浮かべながらワインを口にしていた。
「事実だろう?
それに、噂を流したい奴には好きにさせろ。
人の口に戸は立てられん」
「だ・い・た・い・き・み・の・せ・い・な・ん・だ・け・ど?!」
私はケーニヒの胸に指を突き刺しまくっていた。
「メルフィナ、抑えて! みんなが見てる!」
背後から近づいてきたステファンが、私をケーニヒから引きはがした。
――やば?! 見られてた?!
慌てて微笑みを湛え、ステファンに寄り添う。
「……セーフかな?」
「……アウトじゃないかなぁ」
私とステファンの呟きに、ケーニヒが不敵な笑みで答える。
「どちらでも構わんだろう?」
「だから! 原因は君だ!!」
その日の夜会の様子は、瞬く間に社交界を駆け巡ったらしいと後で知った。
3
あなたにおすすめの小説
<完結>溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
本編完結済み。
続きのお話を、掲載中です。
続きのお話も、完結しました。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる