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第4章 公爵家のおてんば姫
第21話 おてんば姫
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その日、少年は主人の使いでアウレリオの町に来ていた。
買い物を終えた少年が歩道を歩いていると、鈴を転がすような声が鋭く耳に届いた。
「お父さん! 泥棒だよ!」
馬車道の反対側から、ベージュのドレスの裾をつまんで亜麻色の髪の少女が走ってくる。
あっという間に馬車道を横断した少女は、肩から若い男性に体当たりしていた。
少年が呆然として見ていると、少女の後から駆け付けた大男が、倒れた若い男性の顔面に拳を突き入れた。
気絶した若い男性の手から、少女が手鞄を取り上げる――ひったくりか。珍しい。
少女が老婦人に微笑みながら手鞄を手渡す。
「危ないところでしたわね。お怪我はありませんか?」
「え、ええ……取り返してくれてありがとう」
老婦人は手鞄を受け取ると、戸惑いながらも微笑んでお礼を告げていた。
大男の後から、銀髪の少年が少女に駆け寄っていった。
「シトラス! 危ないじゃないか! お前が怪我をしたらどうするつもりだ!」
少女はきょとんとした顔で小首をかしげていた。
さらりと流れる長い髪の毛が、少年には印象的だった。
「ですが、別に危ないことではありませんわよ?」
銀髪の少年が深いため息をついて少女に告げる。
「シトラス、お前はもう公爵令嬢なんだ。こんな危ないことは兵士に任せても問題がない。
この程度の窃盗犯なんて、すぐにつかまる。
だから町の住人でこんな悪さをする奴はいないんだ。
それを知らないとは大方、外から来たよそ者なんだろう」
銀髪の少年が冷たい侮蔑の眼差しを倒れている若い男性に向けた。
見ているこちらの背筋が凍りそうな、冷たい眼差しだ。
野次馬が集まり始め、騒ぎを聞きつけた町の衛兵が少年に駆け寄っていった。
「――アンリ様?! これはどういうことですか?!」
銀髪の少年が無表情に答える。
「窃盗犯だ。連行しろ」
「はっ! かしこまりました!
――しかし、こちらは見ない顔の護衛ですね。
そちらのご令嬢が連れられている兵士でしょうか」
兵士が大男をまじまじと見つめていた。
銀髪の少年が無表情で告げる。
「この子はシトラス、私の妹だ。
この護衛は新しい我が家の兵士だ。
父上は忙しくしているが、近いうちに布告が出されるだろう」
大男が豪快な笑い声をあげた。
「ギーグ・ゲウス・ガストーニュだ! 公爵家に仕える同僚として、これからもよろしくな!」
兵士の一人が、驚いたように声を上げる。
「ギーグ?! あのギーグ殿か! 無敗の格闘家が、公爵家に仕官したというのか?!」
大男が楽しそうにうなずいた。
「そういうことになる。
つい三日前から世話になっているから、町の兵士たちが知らんのも無理はない。
そのうち共に仕事をすることもあるだろう」
戸惑う兵士たちを残し、少女と銀髪の少年、大男が馬車に向かい、乗り込んでいった。
一部始終を見守っていた少年は、馬車の窓からわずかに見える少女の姿を必死に探した。
馬車が遠くに姿を消すまで、少年は少女の姿を追い続けた。
「シトラス……エルメーテ公爵家の、令嬢か」
少年の紫紺色の髪の毛を、風が優しく撫でていった。
****
アンリ兄様は馬車に戻っても不機嫌そうだった。
「あんなことをして、肝を冷やしたぞ。
相手が刃物を持っていたら、どうするつもりだったんだ」
刃物? 刃物がどうしたの?
私はきょとんとしながら小首をかしげる。
「あの程度の相手が振るう刃物なんて、私には当たりませんわ。
お忘れですか? 私はお父さんの本気の拳を避けられるんですよ?」
アンリ兄様が小さくため息をついた。
「だとしても、シトラスはもう公爵令嬢なんだ。
声を上げたら、それ以上は周囲の兵士に任せて欲しい。
自分から窃盗犯に体当たりするなんて、令嬢のとる行動じゃないぞ」
「ですが、すぐに転ばせてしまえば、それだけで終わりますわ。
あの手の輩は、隙のある人間から物を取ったら、すぐに身を隠してしまうもの。
失敗したと分かった時点で、すぐに逃げてしまいますの。
刃物を持っては向かってくることなんて、ほとんどありませんでしたわ」
アンリ兄様が額を押さえてため息をついた。
「……そうか、十年間の実績があるということか。
だがそうだとしても、エルメーテ公爵家の令嬢として相応しい行動とは思えない。
これからは自重してくれ」
私はゆっくりと首を横に振った。
「相手を取り逃がしてしまえば、物を取られた人が悲しみます。
もしかしたら、お金には代えられない大切な物を持ち歩いているかもしれない。
万が一でも盗まれるなど、あってはならないんです。
誰かが悲しむかもしれないと分かっていて、黙ってみていることなどできません」
お父さんが大きな声で笑いだした。
「ははは! アンリ公爵令息よ、心配はいらん!
こんな公爵令嬢がいてもいいではないか!
私は娘がまっすぐ育ってくれて、嬉しく思っているぞ!」
アンリ兄様はそれ以上何も言えないようで、ふてくされたように窓の外を見ていた。
****
そのあとは他の手芸店や洋服店を回り、わずかな人々に挨拶をして一日が終わった。
アンリ兄様はやっぱり、無表情で不愛想に私を紹介して回っていた。
……あれ? 感情を表に出せるようになったんじゃなかったの?
私が馬車の中で小首をかしげていると、アンリ兄様が窓の外を見ながら小さく告げる。
「……シトラスは、十年間そうやって生きてきたのか?」
何の話だろう?
……あー、泥棒のことかな?
でも、どういう意味?
私はアンリ兄様を見つめながら小首をかしげた。
「ええ、そうですけれど……それがどうかしまして?」
「話では、公爵令嬢や聖女とは名ばかりの、使いっ走りとして戦地をめぐらされていたんだろう?
ろくな食事も与えられず、満足な待遇も受けず、貧しい平民並みの扱いを受けていたように聞こえた。
それなのに、そうやって見かけた罪人を捕まえていたのか?」
「捕まえられたことは、あまりありませんわよ?
逃げる相手を捕まえるほどの力は、私にはありませんでしたから。
町の兵士たちも、小悪党を捕まえるような殊勝な方は、少なかったのです」
それでも、他人に危害を加えようとする人の邪魔はできた。
兵士が来れば、それで逃げてしまう。
私はそれまで、時間を稼ぐだけで良かったのだ。
お兄様が私に目を向けて告げる。
「……そうやって、お前に救われた人間も多かったのだろうな」
「そうでしょうか? そうだとしたら、少しは聖女として働けたのだと思えますわね。
最後は聖女のお役目に失敗してしまいましたが、『できる限りのことをやれたのだ』と思えますわ」
「今日のことは噂に乗るだろう。
おそらく『おてんばな公爵令嬢がやってきた』とな。
公爵家の姫として、少し問題が出るかもしれない」
お姫様かー。私の柄じゃないんだよなー。だって元は村娘だよ?
でも、王家の血を引く家の令嬢だから、そう呼ばれちゃうのは仕方ないのかな。
それに――。
「悪い噂も、『前回の人生』でさんざん味わいましたわ。
その程度の噂であれば、痛くもかゆくもありません」
アンリ兄様が深いため息をついてから私を見た。
「どうやら、シトラスに自重を求めるのが間違っているようだ。
だが公爵家の姫として、父上が恥をかくことがないよう、なるだけ慎んでくれると助かる。
お前自身にも、悪い噂はよくない結果を招くだろう」
良くない結果か……あの日のように、また処刑台に上がる結果になるのかな。
私は心が重たくなって、肩を落としてうつむいた。
「やはり、こんな性格が災いして私は処刑されてしまったのでしょうか。
このままでは、また私は処刑台送りにされてしまうのでしょうか。
――だとしても、私は悪党を見逃すなんてことができるとは思えません。
悲しむ人を見過ごして生きるなんて、私にはできないのです」
お父さんが楽しげな声で告げる。
「そんな心配はいらん。
今日の出来事も、『少し元気な娘が公爵家にやってきた』という程度で収まるだろう。
シトラスが処刑台送りにされたのは、悪人どもに疎まれたからだ。
そういう意味では、お前の性格が影響しているともいえる。
だが今度は、お前の周りには私たちがいる。
二度とお前を処刑台になど、上げさせるものか!」
お父さんを見上げると、頼もしい微笑みを浮かべていた。
「……うん、頼りにしているね、お父さん!」
アンリ兄様が、何度目かのため息とともに告げる。
「――ふぅ。シトラスを守るのは、大変みたいだな。
だが父上たちだけじゃない。私だって付いている。
必ずお前を守り切って見せるとも」
私はアンリ兄様の顔を見て微笑んだ。
「頼りにしてますわね、お兄様!」
アンリ兄様は困ったように微笑みながら、静かにうなずいた。
買い物を終えた少年が歩道を歩いていると、鈴を転がすような声が鋭く耳に届いた。
「お父さん! 泥棒だよ!」
馬車道の反対側から、ベージュのドレスの裾をつまんで亜麻色の髪の少女が走ってくる。
あっという間に馬車道を横断した少女は、肩から若い男性に体当たりしていた。
少年が呆然として見ていると、少女の後から駆け付けた大男が、倒れた若い男性の顔面に拳を突き入れた。
気絶した若い男性の手から、少女が手鞄を取り上げる――ひったくりか。珍しい。
少女が老婦人に微笑みながら手鞄を手渡す。
「危ないところでしたわね。お怪我はありませんか?」
「え、ええ……取り返してくれてありがとう」
老婦人は手鞄を受け取ると、戸惑いながらも微笑んでお礼を告げていた。
大男の後から、銀髪の少年が少女に駆け寄っていった。
「シトラス! 危ないじゃないか! お前が怪我をしたらどうするつもりだ!」
少女はきょとんとした顔で小首をかしげていた。
さらりと流れる長い髪の毛が、少年には印象的だった。
「ですが、別に危ないことではありませんわよ?」
銀髪の少年が深いため息をついて少女に告げる。
「シトラス、お前はもう公爵令嬢なんだ。こんな危ないことは兵士に任せても問題がない。
この程度の窃盗犯なんて、すぐにつかまる。
だから町の住人でこんな悪さをする奴はいないんだ。
それを知らないとは大方、外から来たよそ者なんだろう」
銀髪の少年が冷たい侮蔑の眼差しを倒れている若い男性に向けた。
見ているこちらの背筋が凍りそうな、冷たい眼差しだ。
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「――アンリ様?! これはどういうことですか?!」
銀髪の少年が無表情に答える。
「窃盗犯だ。連行しろ」
「はっ! かしこまりました!
――しかし、こちらは見ない顔の護衛ですね。
そちらのご令嬢が連れられている兵士でしょうか」
兵士が大男をまじまじと見つめていた。
銀髪の少年が無表情で告げる。
「この子はシトラス、私の妹だ。
この護衛は新しい我が家の兵士だ。
父上は忙しくしているが、近いうちに布告が出されるだろう」
大男が豪快な笑い声をあげた。
「ギーグ・ゲウス・ガストーニュだ! 公爵家に仕える同僚として、これからもよろしくな!」
兵士の一人が、驚いたように声を上げる。
「ギーグ?! あのギーグ殿か! 無敗の格闘家が、公爵家に仕官したというのか?!」
大男が楽しそうにうなずいた。
「そういうことになる。
つい三日前から世話になっているから、町の兵士たちが知らんのも無理はない。
そのうち共に仕事をすることもあるだろう」
戸惑う兵士たちを残し、少女と銀髪の少年、大男が馬車に向かい、乗り込んでいった。
一部始終を見守っていた少年は、馬車の窓からわずかに見える少女の姿を必死に探した。
馬車が遠くに姿を消すまで、少年は少女の姿を追い続けた。
「シトラス……エルメーテ公爵家の、令嬢か」
少年の紫紺色の髪の毛を、風が優しく撫でていった。
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アンリ兄様は馬車に戻っても不機嫌そうだった。
「あんなことをして、肝を冷やしたぞ。
相手が刃物を持っていたら、どうするつもりだったんだ」
刃物? 刃物がどうしたの?
私はきょとんとしながら小首をかしげる。
「あの程度の相手が振るう刃物なんて、私には当たりませんわ。
お忘れですか? 私はお父さんの本気の拳を避けられるんですよ?」
アンリ兄様が小さくため息をついた。
「だとしても、シトラスはもう公爵令嬢なんだ。
声を上げたら、それ以上は周囲の兵士に任せて欲しい。
自分から窃盗犯に体当たりするなんて、令嬢のとる行動じゃないぞ」
「ですが、すぐに転ばせてしまえば、それだけで終わりますわ。
あの手の輩は、隙のある人間から物を取ったら、すぐに身を隠してしまうもの。
失敗したと分かった時点で、すぐに逃げてしまいますの。
刃物を持っては向かってくることなんて、ほとんどありませんでしたわ」
アンリ兄様が額を押さえてため息をついた。
「……そうか、十年間の実績があるということか。
だがそうだとしても、エルメーテ公爵家の令嬢として相応しい行動とは思えない。
これからは自重してくれ」
私はゆっくりと首を横に振った。
「相手を取り逃がしてしまえば、物を取られた人が悲しみます。
もしかしたら、お金には代えられない大切な物を持ち歩いているかもしれない。
万が一でも盗まれるなど、あってはならないんです。
誰かが悲しむかもしれないと分かっていて、黙ってみていることなどできません」
お父さんが大きな声で笑いだした。
「ははは! アンリ公爵令息よ、心配はいらん!
こんな公爵令嬢がいてもいいではないか!
私は娘がまっすぐ育ってくれて、嬉しく思っているぞ!」
アンリ兄様はそれ以上何も言えないようで、ふてくされたように窓の外を見ていた。
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そのあとは他の手芸店や洋服店を回り、わずかな人々に挨拶をして一日が終わった。
アンリ兄様はやっぱり、無表情で不愛想に私を紹介して回っていた。
……あれ? 感情を表に出せるようになったんじゃなかったの?
私が馬車の中で小首をかしげていると、アンリ兄様が窓の外を見ながら小さく告げる。
「……シトラスは、十年間そうやって生きてきたのか?」
何の話だろう?
……あー、泥棒のことかな?
でも、どういう意味?
私はアンリ兄様を見つめながら小首をかしげた。
「ええ、そうですけれど……それがどうかしまして?」
「話では、公爵令嬢や聖女とは名ばかりの、使いっ走りとして戦地をめぐらされていたんだろう?
ろくな食事も与えられず、満足な待遇も受けず、貧しい平民並みの扱いを受けていたように聞こえた。
それなのに、そうやって見かけた罪人を捕まえていたのか?」
「捕まえられたことは、あまりありませんわよ?
逃げる相手を捕まえるほどの力は、私にはありませんでしたから。
町の兵士たちも、小悪党を捕まえるような殊勝な方は、少なかったのです」
それでも、他人に危害を加えようとする人の邪魔はできた。
兵士が来れば、それで逃げてしまう。
私はそれまで、時間を稼ぐだけで良かったのだ。
お兄様が私に目を向けて告げる。
「……そうやって、お前に救われた人間も多かったのだろうな」
「そうでしょうか? そうだとしたら、少しは聖女として働けたのだと思えますわね。
最後は聖女のお役目に失敗してしまいましたが、『できる限りのことをやれたのだ』と思えますわ」
「今日のことは噂に乗るだろう。
おそらく『おてんばな公爵令嬢がやってきた』とな。
公爵家の姫として、少し問題が出るかもしれない」
お姫様かー。私の柄じゃないんだよなー。だって元は村娘だよ?
でも、王家の血を引く家の令嬢だから、そう呼ばれちゃうのは仕方ないのかな。
それに――。
「悪い噂も、『前回の人生』でさんざん味わいましたわ。
その程度の噂であれば、痛くもかゆくもありません」
アンリ兄様が深いため息をついてから私を見た。
「どうやら、シトラスに自重を求めるのが間違っているようだ。
だが公爵家の姫として、父上が恥をかくことがないよう、なるだけ慎んでくれると助かる。
お前自身にも、悪い噂はよくない結果を招くだろう」
良くない結果か……あの日のように、また処刑台に上がる結果になるのかな。
私は心が重たくなって、肩を落としてうつむいた。
「やはり、こんな性格が災いして私は処刑されてしまったのでしょうか。
このままでは、また私は処刑台送りにされてしまうのでしょうか。
――だとしても、私は悪党を見逃すなんてことができるとは思えません。
悲しむ人を見過ごして生きるなんて、私にはできないのです」
お父さんが楽しげな声で告げる。
「そんな心配はいらん。
今日の出来事も、『少し元気な娘が公爵家にやってきた』という程度で収まるだろう。
シトラスが処刑台送りにされたのは、悪人どもに疎まれたからだ。
そういう意味では、お前の性格が影響しているともいえる。
だが今度は、お前の周りには私たちがいる。
二度とお前を処刑台になど、上げさせるものか!」
お父さんを見上げると、頼もしい微笑みを浮かべていた。
「……うん、頼りにしているね、お父さん!」
アンリ兄様が、何度目かのため息とともに告げる。
「――ふぅ。シトラスを守るのは、大変みたいだな。
だが父上たちだけじゃない。私だって付いている。
必ずお前を守り切って見せるとも」
私はアンリ兄様の顔を見て微笑んだ。
「頼りにしてますわね、お兄様!」
アンリ兄様は困ったように微笑みながら、静かにうなずいた。
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