13 / 46
第一章
13
しおりを挟む
ライアンはいつも突然やって来た。
フェリクスの行動を把握しているのか、鉢合わせすることはなかったが、いつも夜になるとアネリはドキドキとして、待つようになってしまっていた。
フェリクスとは相変わらず、彼の友人の話や妹の話を聞いたりといたって和やかで、本当に姉と弟のような関係が成立していた。
それは、アネリがライアンを愛しはじめているから……かも知れない。
父の愛人であるのに、息子と表向きの愛人として、和やかな関係を続けていくのにアネリはもう、耐えきれなくなってきていた。
フェリクスに、彼の母の敵なのに…。
アネリは、次にフェリクスがきたら…
計画を練ったアネリは、フェリクスをいつものように出迎えて、酒肴を出して、いつものように寛ぐフェリクスの斜め横に座ったが…
少しフェリクスが酔った所で、フェリクスの横に座った。
「フェリクス…たとえ愛がなくてもそういうことはできるんですよ?」
そっとアネリはフェリクスの胸に、自らの体を押しつけた。
コルセットで作られたより豊かな胸をフェリクスに見せつける。
そういうこと。
がどう言うことかは、フェリクスだとてわかっている。
「それは駄目だ。俺は表向きだけだと最初にきめた」
きっぱりとフェリクスが言う。
「それがたとえお父様のご命令でも?」
「そうだ」
フェリクスは突然のアネリの行動に驚いている。
「ここには私たち二人きり……誰もしらないし、軽蔑したりしないわよ?」
フェリクスは、生い立ちのせいだろうか?愛人を軽蔑していると感じていた。アネリにはそうは言わないが、そう思った。だからはじめ口を利くことさえ拒んだのだと。それはきっと、父の愛人の存在が彼の母を苦しめたのだと、思っていた。
だから、アネリは嫌われるつもりで、フェリクスを誘惑しようと決意したのだ。
「俺は自分を軽蔑したくない」
「これでも私を拒絶する?」
アネリはフェリクスの頬に手をあて、唇を寄せた。
「よせ、アネリ。俺のことを好きではない事はわかっている。心にも無いことはするな」
とアネリをぐいっと押して離した。
そうね、恋人に対する好きじゃない…。
「あら、私は好きよ?」
「弟みたいにね」
もっと本気で行けばわからなかったが…。高潔な精神の持ち主だというフェリクスを確認しただけだった。
アネリはここで引き下がることにした。引き下がったのは…どこかに終わらせる事へと躊躇いと、心の底で本当にフェリクスとベットに入ることを望んでいなかったからに違いない。清廉な彼を汚したくなかったし、父と息子と二人と関係を持ってしまうことに、何よりも……。
「…そう言うなら、いいわ合格と言っておいてあげる」
「は?」
「公爵閣下は、息子が跡継ぎが成せるか私にお尋ねになったの」
「あの、くそ親父か」
「ちゃんと大丈夫っていっておいてあげる」
つい、そういう事にしてしまった。
実際、そういう心配もしていたことだし。
「だからフェリクス。もうここに無理して来なくてもいいのよ?私は大丈夫だから…レッスンはこれで最後よ……」
アネリはそう言ったが、フェリクスは気を使って変わらずアネリの元に通い続けた。
アネリにはもう、この終着点がどこにあるのかわからなくなった。この若くて美しい青年に苦しみを負わせたくないと思った。
フェリクスの行動を把握しているのか、鉢合わせすることはなかったが、いつも夜になるとアネリはドキドキとして、待つようになってしまっていた。
フェリクスとは相変わらず、彼の友人の話や妹の話を聞いたりといたって和やかで、本当に姉と弟のような関係が成立していた。
それは、アネリがライアンを愛しはじめているから……かも知れない。
父の愛人であるのに、息子と表向きの愛人として、和やかな関係を続けていくのにアネリはもう、耐えきれなくなってきていた。
フェリクスに、彼の母の敵なのに…。
アネリは、次にフェリクスがきたら…
計画を練ったアネリは、フェリクスをいつものように出迎えて、酒肴を出して、いつものように寛ぐフェリクスの斜め横に座ったが…
少しフェリクスが酔った所で、フェリクスの横に座った。
「フェリクス…たとえ愛がなくてもそういうことはできるんですよ?」
そっとアネリはフェリクスの胸に、自らの体を押しつけた。
コルセットで作られたより豊かな胸をフェリクスに見せつける。
そういうこと。
がどう言うことかは、フェリクスだとてわかっている。
「それは駄目だ。俺は表向きだけだと最初にきめた」
きっぱりとフェリクスが言う。
「それがたとえお父様のご命令でも?」
「そうだ」
フェリクスは突然のアネリの行動に驚いている。
「ここには私たち二人きり……誰もしらないし、軽蔑したりしないわよ?」
フェリクスは、生い立ちのせいだろうか?愛人を軽蔑していると感じていた。アネリにはそうは言わないが、そう思った。だからはじめ口を利くことさえ拒んだのだと。それはきっと、父の愛人の存在が彼の母を苦しめたのだと、思っていた。
だから、アネリは嫌われるつもりで、フェリクスを誘惑しようと決意したのだ。
「俺は自分を軽蔑したくない」
「これでも私を拒絶する?」
アネリはフェリクスの頬に手をあて、唇を寄せた。
「よせ、アネリ。俺のことを好きではない事はわかっている。心にも無いことはするな」
とアネリをぐいっと押して離した。
そうね、恋人に対する好きじゃない…。
「あら、私は好きよ?」
「弟みたいにね」
もっと本気で行けばわからなかったが…。高潔な精神の持ち主だというフェリクスを確認しただけだった。
アネリはここで引き下がることにした。引き下がったのは…どこかに終わらせる事へと躊躇いと、心の底で本当にフェリクスとベットに入ることを望んでいなかったからに違いない。清廉な彼を汚したくなかったし、父と息子と二人と関係を持ってしまうことに、何よりも……。
「…そう言うなら、いいわ合格と言っておいてあげる」
「は?」
「公爵閣下は、息子が跡継ぎが成せるか私にお尋ねになったの」
「あの、くそ親父か」
「ちゃんと大丈夫っていっておいてあげる」
つい、そういう事にしてしまった。
実際、そういう心配もしていたことだし。
「だからフェリクス。もうここに無理して来なくてもいいのよ?私は大丈夫だから…レッスンはこれで最後よ……」
アネリはそう言ったが、フェリクスは気を使って変わらずアネリの元に通い続けた。
アネリにはもう、この終着点がどこにあるのかわからなくなった。この若くて美しい青年に苦しみを負わせたくないと思った。
1
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる