mistress

桜 詩

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第二章

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アネリは、セント・バーバリー修道院に足しげく通い、子供たちの服を繕ったり、女性たちの料理手伝ったりするうちに、彼らがアネリが来るのを楽しみにしてくれている事に喜びを感じていた。

冬の寒い時期も忙しく、修道院で作られるニット類を手伝うとアネリは次第に、ライアンとの別離を受け入れて、これで良かったのだ。と後悔の念を圧し殺した。

「アメジストさん!」
ここではアネリは瞳の色からアメジストさんとあだ名をつけられて呼ばれていた。
「いつもありがとう。助かるわ」
女性がにっこりといい、アネリも嬉しくて微笑み返す。
大作のベッドカバーを編んでいると、アネリにも出来ることがあると、自分を慰めることが出来たし、子供たちが完成した品をキラキラとした目で見ると、これまでの罪が赦されていくような気持ちになった。


すでにどこに行っているのか、知っているチェリーとデイジーもアネリが柔らかな笑みを浮かべるようになったことに安堵して何も言わなかった。


やがて、新しい年を迎えると再び王都に領地から貴族たちが帰って来はじめ、アネリは今年はどうなるのか…と密かにため息をついた。

アネリへ届いた手紙に子爵からのものがあった。9月から、領地で学校に通いはじめた長男のグレンはとても賢くて勉強熱心だと、そして今度は制服姿の男の子のスケッチと、木登りをする弟のアイヴィーのスケッチ。
アネリはそれをそっと自室の装飾の施された箱にしまった。

「アネリ様、アップルガース夫人がおみえです」
約束なくブレンダが訪ねて来たようだ。
応接室に向かうと、ブレンダが
「アネリ!ひさしぶりね」
にこにこと笑っていった。
「もう、来てくれないなんて…。一人きりで冬を過ごすなんていけないことよ!今日は昼からお茶に来てもらいますからね?」
ブレンダがいたずらっぽくいい
「これはお断りは受け付けないわよ」
クスクスと笑った。
「でも、ブレンダ…どうして私を誘ってくれるの?」
「あら、貴女だったらお友だちがまだ若くて美しいのに、一日中家で過ごして、死にかけの老人のように引きこもっていたら、それを放っておけるの?」
ブレンダが溌剌とした口調で言い切り
「死にかけって…私…そんな、かしら」
アネリはさすがにあんまりだと思った。
「そんな、なのよ」
はっきりと告げられてアネリはおかしくなって、声をあげて笑った。
「良かったわ。アネリ、心配していたの」
「ええっ?」
「あの日、公爵閣下との事。いけなかったかしらと思って…けれど、どちらも惹かれあってるように、私もエイセスも思ったからよかれと思ってしまったのよ…」
ブレンダがしゅんとして小さな声で言った。
「ありがとうブレンダ。その事はもういいの、夢のような出来事だった。それだけよ」
アネリはブレンダを抱き締めた。
「ああ、お茶を淹れるわね」
アネリはミセス シビルが用意してくれたお茶とお菓子をだした。
ブレンダは、イーディスとエドナとまたスパに行ったことを話して、来年は一緒に行こうと誘った。

元気よく話して、ブレンダは帰って行った。

そういえば、ライアンとフェリクス以外の客人ははじめてだったな…とアネリは可笑しくなった。
もう2年間住んでいるのに、これではブレンダが死にかけの老人と表現しても無理はないのかもしれない。

反省したアネリは、約束通りアップルガース邸を訪ねた。
イーディスとエドナもアネリとの再開を喜んで、領地での生活がいかに暇で味気なくて、パルスが楽しみで仕方なく、社交界の始まりが楽しみだと話した。

「そうそう今年は、ウィンスレット公爵令嬢のレディ ジョージアナと、クリスタ王太子妃殿下の従妹のレディ シャーロットがデビューなのですって」
ブレンダがいうと
「噂によると、レディ ジョージアナはかなりの美少女らしいわ」
イーディスが続けた。
「フェリクス卿を見ていれば頷ける評判ね」
エドナが微笑んだ。
「そうね、ああ、そうそう!レディ マリアンナがベルナルド・ウェルズ卿と婚約間近だろうって噂よ」
ブレンダが言った。
「まあ、ベルナルド卿といえばレディ キャサリンと離婚してかなりたつけれど、ようやくなのね…」
「レディ マリアンナもそこそこもう、お年頃だから再婚のベルナルド卿でも良かったのかしら?」
マリアンナは25歳、貴族令嬢としては嫁き遅れと言われても仕方がない。
「才気あるレディだから、公爵家の女主人にはぴったりね、きっと素敵な夜会をしてくださるはずだわ」

女性の、おしゃべりはとりとめなく話題が変わっていく、不思議と聞いていて明るく元気になれアネリは相槌をうちながら聞いていた。

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