初恋

桜 詩

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覚悟の白いドレス

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ウェディングドレスを身につけ、花嫁の支度部屋にいるが、レオノーラはまだキースに、本当に結婚する気があるのか…。と問いただしたい気持ちでいっぱいであった…

リリアナとステファニー、ルシアンナとルナが、レオノーラの周りをがっちり固めて、嬉しそうにレオノーラの姿を眺めていた。
「こんなに嬉しい事はないわ…!レオノーラが花嫁に…」
ハンカチで涙をそっと拭うリリアナとステファニーに最早なにも言えなくなる。

一度宣言した以上、自分からやはりやめる!とは言えない。
「本当に素敵だわお姉様…」
うっとりとルナが羨望の眼差しでみている。
思っていることが顔に出やすいルナはいつも可愛らしいが、今日だけは厄介な存在だった。
うっとりと見られても本当に困る。
「…そんな風に見ないでルナ…」
レオノーラのドレスは、体にぴったりと沿わせて、そして裾は長く引くもので、飾り気は少ないもののそれはレオノーラの見事な美貌を引き立てて、よく似合っていた。
リリアナの選んだブーケは白いカサブランカ(※花言葉は純粋な愛 優美な女性)だった。
「とても綺麗よレオノーラ…」
リリアナはそう言い、力一杯抱き締めると
「幸せになれるわ、レオノーラ。キースと仲良くね」
にっこりと笑うと部屋をでていった。

聖堂の前ではアルマンが待ち構えていて、嬉しそうなそれでいて泣きそうな複雑泣きそうな顔を浮かべていた。
「レオノーラ、とても綺麗だ。父は感動しているぞ…!」
大袈裟な台詞に苦笑してしまう。

アルマンに手をかけて、ヴァージンロードを進むと、キースが白のフロックコート姿で祭壇の前に立っていた。

司祭が、儀式の進行をする
「…キース…やめるんなら、今のうちだぞ…」
小声でいうレオノーラにキースは
「まさか、俺はずっと望んでいた…この瞬間を」
とそっと言い返した。

ずっと…?
キースのずっととはいつからだ?

悶々と考えているうちに、儀式は滞りなく進んでいてキースが
「誓います」
と答えて、レオノーラの言葉を待っていた。
「…誓います…」
指輪を嵌めあい、キースが、レオノーラにキスをするとわっと歓声が上がり、キースがレオノーラの横を歩き祝福を受けながら、結婚式を終えました、という印をつけたアークウェイン家の馬車に乗り込む。

みんなが嬉しそうに笑って二人を見送った。

「キース…これで本当に後戻りは出来ないんだぞ…」
「君は大概往生際が悪いんだね?知らなかったよ…そんな事で今夜俺の妻になれるのか?」
くくっとキースが悪い笑みを浮かべた。
「…つまり、あれか…初夜の事を言っているのか?」
ずばり言うと、キースは大笑いした。レオノーラは25歳だ。今さら純情ぶるのも可笑しいし、柄じゃない。
笑いをようやくおさめて、にやっと笑うと肯定した。
「その通りだ。当然だろう?」
「結婚したんだ。務めあげてやるさ、お前が幻滅しなければな」
むっとしながらレオノーラが言うと、キースはますます笑った。
「じゃあ、俺は新妻がどこまで妻の務めを頑張ってくれるのか楽しみにしているよ」
「…私の知識はあまりない…どう振る舞えばいいのかは教えてくれ」
キースはまたしても、肩を震わせて笑っている。
キースは一端笑いを納めると、
「俺だってありふれた知識だけだ…楽しみだなお互いに、初の共同作業となるわけだ」
耳元でささやかれ、レオノーラはぞくっとするのを感じた。
「嘘だろう?キースは男で、男たちはみんな、娼館とかに行ってるんだろ?」
そういう事を咎めるほど、若くもないし、そして騎士団にいたレオノーラは同僚たちのそういう話を聞くこともあった。
「いや?大事にとっておいたんだ。レオノーラ」
「26の男が?」
「ああ、そうだ。ここまで待ったのはレオノーラ、君のせいだ」 
「私の?」
「君は知らないだろうな…俺の初恋はレオ。つまりお前だ…」
「…キース…お前、それはおかしくないか?15年?そんな前?」
「俺だって悩んださ…レオは男だと思っていたからな」
レオノーラはその言葉にうつむいた。
「そのお陰で、俺は悩める少年だったわけだ」
「だけど、再会した時には女だとわかっただろう」
キースはレオノーラをみて艶然と笑った。
「その時の俺の驚きと興奮をどうしたらわかってもらえるかな?レオノーラ」
「…それは驚いたと思う」
「俺はまた、レオノーラに恋をしたんだ…その緑の瞳とその全てに」
レオノーラはキースの言葉に本気を感じた。
「お前は変だ…キース…」
「ああ、そうだな。恋は人を狂わせもする…そして俺はお前に狂わされている訳だ…」
キースはレオノーラの体をそっと抱き寄せると
「行ったことはある…娼館には、誘われてね…でも無理だった。お前じゃなきゃダメなんだ」
ささやかれて、レオノーラは驚いた…。

そこまでキースがレオノーラを望んで結婚を申し込んだと思わなかったのだ…。

披露宴ではひたすら笑みを浮かべて客人の相手をして、すっかり表情筋が辛くなった。
祝福を受け続けて、もうお腹いっぱい頂いたという気分になった頃、レオノーラはそろそろと従僕に言われて会場を後にした。

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