初恋

桜 詩

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初夜 ☆

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アークウェイン邸でレオノーラの世話をするメイドは、ジーンとヘーゼルという二人だった。
二人は淡々と湯船に入っているレオノーラの体を磨き、初夜の床に送り出そうとしている。

この家ではメイドは主に話しかけないのか…。ブロンテ家のメイドはよくしゃべるのだが…。
ブロンテ家は賑やかだが、アークウェイン家はしんとしていた。
そのせいなのかどうなのか。
しかしレオノーラは、出来るなら近くで仕えてくれる使用人とは仲良くしたい。
「ねぇ?話さないように言われてるわけ?」
レオノーラは出来るだけ優しく言ってみた。
「いいえ、そのようなことはございません」
驚いたように、ジーンが答えた。
「そう?じゃあなにか喋ってほしいな…せっかくこうしてしてもらっててその間ずっと黙ってられるなんて、嫌だな」
とにっこりと笑って見せた。
レオノーラは女だけれど、女の子がこの笑顔にぽぅっとなることもわかっていた。
「まぁ、レオノーラ様ったら嬉しいですわ」
二人とも、頬がゆるみ固さがすこし解れる。
「お髪は軽く結わえるだけにしますね」
「わからないから、適当にしておいて」
レオノーラは微笑んでヘーゼルに任せた。

キースの待つ寝室に入ると、ゆったりしたシャツとズボンを身に付けて、寛いでソファに座っていた。
机には酒肴が置かれ、キースはゆっくりとワインを飲んでいた。
「レオノーラも飲むだろう?」
うなずいて、レオノーラもキースの斜め向かいに座った。
キースが注いでくれたワインをレオノーラも飲んだ。
「…なんでそこ?横に来いよ」
ふっとキースが笑った。
「あのさ、レオノーラ。俺からすればずっと好きだったレオノーラと結婚出来てすごく嬉しくて舞い上がってるけど…」
真面目な顔を向ける
「結婚したとはいえ、レオノーラが嫌がる事はしたくない」
「…キース?どうした…珍しく弱気じゃないか?」
レオノーラが怪訝そうに言うと
「弱気にもなる…嫌われたくないんだ…レオノーラに」
キースは一気にワインを飲み干すと
「半ば強引に結婚に同意させた…」
レオノーラは少し自分の気持ちを考えてみた。
キースが嫌なのか?
いや、嫌だったらそもそも絶対に結婚するなどと言わないだろう…。
「絶対に嫌だったら、最初の時点で確実に逃げている」
「本当か?じゃあ、今から本当にレオノーラを抱こうとしても拒絶しないでくれるか?」
「言っただろう?結婚するからにはちゃんとすると」
「喜んでいいのか、良くないのか…複雑な気持ちだ」
「お前こそ後悔するなよ?何度も聞いたが、返品は簡単ではないぞ?」
くすっとキースが笑った。

キースには躊躇いがまだ残っていて、レオノーラはその表情を見ながら、ワインを飲み進めた。
「返品なんかする気は毛頭ないよ」
「…どうだかね…」
ふぅ、とため息をついてレオノーラは立ち上がると、横に回り込み、ガウンと女らしいネグリジェを一気に脱いだ。
一糸纏わぬその裸身に、キースは息をのんだ。
「レオノーラ…どういう」
つもりだ…
とキースは聞いたようだ。
「私はずっと騎士をしていた。コルセットだって、大嫌いだ。だから、女らしい体じゃない。見ての通りだ」
美しい顔の下にある胸は大きくも小さくもなく女性らしさを彩っているものの、腹筋が発達し、うすく筋肉の層が浮き出ている。腕も脚も、引き締まった筋肉がついていた。
しかし、キースは美しいと思った。
今の令嬢たちならコルセットで締めて作り出した折れそうなウエストをしているだろう。
しかし、レオノーラの鍛えられた体の美しさは、そういったものとは違う、レオノーラの努力が積み重ねられたその体に感嘆した。
「きれいだ…とても…」
「こんな男みたいでも?」
「どこが男なものか…」
キースは立ち上がると、レオノーラの前に立った。
「美しい…そうとしか言いようがない…」
キースは、レオノーラにそう囁くと唇をそっと合わせた。

躊躇いと緊張がレオノーラにも伝わる。
「好きだ、レオノーラ。君は俺の恋人で、妻なんだ。これほど嬉しい事はない…」
「そんなにまで言ってくれて素直に嬉しいよ、キース」
レオノーラは微笑むとキースにキスを返した。
「ベッドに行ってもいいか?レオノーラ」
「いいよ」
レオノーラはキースに微笑みかけた。

キースは大柄なレオノーラをやすやすと抱き上げると、ベッドに連れていき、そっと横たわらせた。
シャツを脱ぎ捨てると、キースはキスを軽く何度もすると、やがてそれを深くして、レオノーラの口腔を舌で愛撫するように、何度も貪るかのように口づけた。

レオノーラの体を手で何度も撫でると、キースの唇はレオノーラの胸を手と舌で愛撫する。弾力のあるそこは、キースの手を押し返し、レオノーラはピクリと体を震わせた。
先端を、口に含まれて舌で転がされるようにされると、レオノーラの口から甘い吐息が零れた。
レオノーラの体の奥底から、鈍く疼くような感覚が押し寄せてくる。
「レオノーラ…好きだ…」
甘く低く響く声がレオノーラの官能をより高まらせた。
「キース…」
レオノーラはお返しにキスをした。
キースの長い手は、レオノーラのすらりと長い脚にふれ、膝から太股をたどり、少女のように無垢な秘められた花びらのような割れ目に到達する。
キスと胸への愛撫で、しっとりと潤いだしたそこは、キースの指が触れると、ひどく敏感でレオノーラは声を漏らした。
ゆっくりと始まったそこへの愛撫に、やがてレオノーラの蜜壺からは愛液が溢れて、くちゅくちゅと音をさせだした。
しっかりと潤いを湛えると、キースの指は蜜壺の中に滑り込む。
あっさりとキースの指を受け入れた。
「…っんん…!」
レオノーラは、キースの愛撫に翻弄され、身をよじらせて、喘ぎをもらした。
キースの指がレオノーラの酷く敏感な所に触れると体にえもいわれぬ感覚が押し寄せる。
「…はぁ…そこ…おかしくなる…っ」
レオノーラの言葉にキースは微笑むと
「気持ちがいい?レオノーラ」
キースの囁きにレオノーラはうなずいた。
感じたことのない気持ちのよさでおかしくなりそうだった。
レオノーラの言葉を受けて、キースは徐々に大胆にそこを激しく攻め立てると、蜜がどめどなく溢れてレオノーラは短く悲鳴のように声をあげると、高みに押し上げられた。
息を弾ませるレオノーラの膝を押し広げて、キースは前を寛げて男の証をあてがった。
熱いその昂りを敏感な蜜壺に感じて、レオノーラは喘ぎを漏らす。
押し広げるように進むがレオノーラは、痛みを感じて枕を握りしめた。
キースは、苦痛のうめきを漏らすとそこで動きを止めた。

ゆっくりと、体を離していくキースにレオノーラは訝しく思った。
すでに大人の年齢のレオノーラは、男女の営みがここでは終わらない事を知っていた。
体を起こすと
「どうした?キース」
と尋ねた。
背を向けたその姿が、ひどく何かを堪えていて、戸惑いを覚える。
「いまさら知らないふりをするつもりもない。ここで終わりじゃないだろう?」
「いや…今夜はここでやめておこう…」
苦しげに、自身を押さえ込もうとするキース。その拒絶にレオノーラは少しカチンときた。
「自分は拒絶するなと言っておきながら、私は拒絶するのか?やはりそんなに魅力がないのか?私は。お前を満足させられないのか?」
「違う、レオノーラ。俺は…」
キースはいいよどんだ。
「その…何と言っていいか…」
キースはシーツで下肢を隠しながらレオノーラに向き直った。

「……初めてのレオノーラには辛いはずだと思う……俺のは」
「…はぁ?」
レオノーラはそのシーツに隠されたそこに目をやった。
「友人たちにも言われたし、比べっこをしたりふざけたりしててもそれがわかってる…だから……ゆっくり」
レオノーラはそっと隠されたシーツを取ろうとしたが、キースが慌てて止めた。
「レオノーラははじめてだろう?きっと驚く…」
「なんだそんな事か…いいから気にせず続けろ…悩むなキース」
「しかし…痛そうだった…」
「はじめはみんな痛いものだと聞く…我慢をするな」
レオノーラはキースにキスをして、手を背に回した。
キースはゆっくりとレオノーラの背に回してキスを受け返した。

そっとレオノーラを体の下に横たえると、キースは躊躇いつつも再び蜜壺にあてがった。
押し広げるように進むその、痛みに耐えつつもレオノーラは声を漏らさぬように気をつけた。
「レオノーラ、息を楽にして」
剣士でもあるレオノーラは呼吸法もお手のものだ。
息を吐いて、緩めるとキースの昂りは一気に推し進められた。
「あぁっ…!」
キースもまた、額から汗を流しつつ低く呻いた。
「…レオノーラ、もう少し堪えてくれ」
キースが再び押し進み、レオノーラの最奥まで貫くと、レオノーラの意識は真っ白になった。
「レオノーラ…大丈夫か…」
荒く呼吸をするレオノーラは、少しして息を整えると
「大丈夫だ、安心しろキース」
と励ました。

苦しげなキースは、ゆるゆると腰を動かし始める。
少したつと、レオノーラは苦痛が遠のき甘美な感覚が押し寄せて来るのを感じた。
熱く感じるほどの熱をもって押し広げられているが、官能の炎が灯ると、レオノーラの喘ぎは淫らなまでに絶え間なく洩れ、結合部分からは新たな蜜が溢れて、キースの腰の動きに合わせて水音をたてた。
苦痛の響きが無くなったことにキースの動きに次第に容赦がなくなりレオノーラは翻弄された。
「…はぁっ…もぅ…だめだ…キース!」
レオノーラ叫ぶと、体を震わせた拡げられた蜜壺がキースを搾り取るかのように蠢き
「…っ…だすよ、レオノーラ…」
掠れた声で言うと、キースもまた白濁を放った。

息の荒いまま、ずるりと自身を引き抜いたキースをぼんやりとレオノーラは見ていた。
キースはさっとシーツで隠すとレオノーラの横に横たわり、キスと宥めるように髪を撫でた。
「つくづく情けないな俺は…レオノーラに慰められないと、初夜も満足に終わらせられなかった…」
と苦笑した。
「…馬鹿だな…キース。私たちは結婚したんだぞ、協力しあうのが夫婦というものだろう?」
労りの言葉にキースは微笑みを浮かべた。
「本当にいい女だよ、レオノーラは…」
キースは優しいキスを、送ると
「体がきついと思う、今夜はもうゆっくり寝てくれ」
レオノーラは朝から一日の疲れがあるので、有り難く眠りについた。


…翌朝…
目を覚ましたレオノーラは、隣で眠るキースに気がついた。
昨日めでたく夫婦となったその相手に自然といとおしさが込み上あげる。
荒っぽく見えて、強引にみえて、意外と気遣い屋で、傷つける事を怖れる小心者な所もあるキース。

なんだ、本当はレオノーラも好きなんじゃないか…だから、昨夜を過ごせたんだと思う。

にこにことキースを眺めていると、これで良かったんだと思えてきた。
キースが声をもらして、寝返りをうった…その時、かけていたシーツがずれて、キースの見事な裸体が半分晒される。
普段隠されている、逞しい肉体美…筋肉を辿っていき…レオノーラは息を飲んだ。
見てしまった!
キースがひた隠しにレオノーラの目線から隠したその場所を…。

「…わっ…!」
思わず叫んで慌てて口を塞いだ。
が、その声でキースはうすく目を開けて、レオノーラをみた。
「あぁ、おはようレオノーラ」
と腕を伸ばして頭を引き寄せてキスをする。
…が、顕になっていた下肢に気がつくと慌ててシーツをかけたが…
「ばっちりみた?」
「見えた…」
はぁ、とため息をつきつつ、キースは髪をかきあげると、
「まぁ、昨日はぶじに出来たし、レオノーラにはもう見られてもいいか」
とにっこりと笑った。
レオノーラは思わず顔をうつむかせた。
昨夜、あれを見ていたら、同じ事が言えたのか…。みっともなく怖がってキースを傷つけたかも知れない…。
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