初恋

桜 詩

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アルバートの躊躇い

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エディントンのカントリーハウスでは、レオノーラはキースと一室を与えられていた。

「キース…アルバートとは親友だよね?」
「ああ、そうだ…どうかしたか?」
レオノーラは髪をとかし終えると、後ろでソファで寛いでいたキースを振り返った。
「ルシアンナが…不安がっている」

「そうか…アルバートもさ、自分が爵位を継がないって事を気にしてると思うんだ…」
キースは躊躇いつつもレオノーラに告げた。
「えっ?」
「アルバートは次男だから、受け継ぐ爵位も財産もない。伯爵家で裕福な暮らしをしてるルシアンナに求婚しても良いのか、まだ躊躇ってるんじゃないか?」
「なんだ…そんな事を気にしてるのか…」
「男にとっては大きい事さ」
「ルシアンナは、ああ見えて身分とか財産で、相手を選んだりしない」
「そうか…」
「アルバートは、社交界でも評価を得ている。その個人の評価こそ信じればいいのにな」
「まあ、他人にはどうしようもない…背中は蹴り飛ばすかも知れないが…」
「いざというときは頼むよ?キース。大切な妹の幸せがかかってるからね」
「わかったよ奥さん…」
キースは、レオノーラを抱き寄せてキスをする。
「…キース…ここは他人の邸だ…」
「…俺たちは夫婦だし、そして新婚でなおかつ奥さんは美しい…我慢は無理な話だと思わないか?」
キースはレオノーラを見つめて、微笑みを浮かべた。
「…しょうがないやつだなキース…」
レオノーラは反論しようとして、止めた…。
「レオノーラが美しすぎるから悪いんだ…俺のレオノーラ…」
キースの唇がレオノーラのうなじにおとされる。
「俺のレオノーラ…まぁ、キースが言うのなら許してやるしかないのかな…」
くすっとキースは笑うと
「レオノーラは俺の女神だよ」
キースはしれっとそんな事を言ってのける。
「よくそんな事を恥ずかしげもなく言えるな?」
レオノーラは少し呆れて言った。
「本当にそう思っているから」
レオノーラはため息をつきつつも、キースの愛を受け止めた。



「レオノーラ上手くやっている?」
翌日、リリアナにそっと聞かれた。
「貴女はレディらしいことはしてこなかったから心配なのよ…」
「多分?大丈夫なはず…。だけど、月のものがあまり来ないと言ったら薬湯を勧められた」
「まぁ、それは私もうっかりしていたわ!きちんと飲みなさい、貴女だっていずれは産みたいと思ってるのでしょう?」
長く結婚すら望んで来なかった。子供を産む事なんて考えてもいなかった。
だけど、考えなくてはいけなく…いや、考えるようになったと言うべきか
「…うん…まぁそうなのかな」
「キースはそう言わないかも知れないけれど、やはり子供は嬉しいものよ?」
にっこりとリリアナは言った。
「だから私はレオノーラとステファニーとルシアンナとラファエルとルナ、貴女たちに会えたんだから、これってすごいことでしょう?」
リリアナはレオノーラの手を握った。
「レオノーラは、ステファニーたちがいない方が良かったなんて思う?」
「いや、思わない…」
リリアナの話はレオノーラの気持ちを単純に考えさせてくれた。
「うん、なんだかすっきりした。ありがとうお母様」
「次に会えるのは新年の王都ね。キースと仲良くね、お母様はそれだけが望みよ」
にっこりとリリアナはレオノーラに微笑みかけた。
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