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嵐の後
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キースがデーヴィドにお願い事を言ってから、数日後の事、ティファニーの元に、クロエからの手紙が届いていた。
「え…ほんとに…?」
ティファニーがポツリと声を出した。
「どうしたの?ティファニー」
レオノーラが聞くと、
「縁談、無くなったからって…あと。帰って来なさいって…」
どういうことかと、ティファニーは戸惑いを隠せないでいる。
二つ目の手紙は、クロエの息子で、つまりは若きバクスター子爵
「ルロイ…」
寄宿舎生活を送っているルロイである。
「明日、迎えに来るって…」
「バクスター子爵とは仲が良いのか?」
レオノーラが訪ねた。
「…あまり会ったことがなくって」
ティファニーは弟の突然の手紙に戸惑っているようである。
翌日にキースにとっては懐かしい寄宿舎の制服姿でやって来たルロイ。彼はまだ若い少年だが、理知的な瞳をしたしっかりとした雰囲気である。
「ティファニー姉上。もう母には勝手をさせないから、家に戻って欲しいんです」
「…でも」
「姉上専属の従者と、メイドを新たに雇いました。母が姉上に何かをしたら、俺の所に知らせが来ます」
ルロイが、しっかりとした口調でティファニーに訴える。
「ずいぶんお待たせしてすみません。でも、今のバクスター子爵は俺だから、母だとて勝手にさせません。姉上も、バクスター子爵家の一員として、うちに戻って来てくれませんか?」
びしりとルロイは言った。
「姉上だって…このままここにいることは出来ないと、思っているのでしょう?」
ティファニーはその強い眼差しを受けて、
「…分かったわ、帰ることにする」
ティファニーはそう返事をした。とうに覚悟を決めてはいたのだろう。
もっと、何かしてやれなかったのかとレオノーラは思う。
ティファニーはレオノーラに向き直ると
「レオノーラ…色々とありがとう」
「いつでも遊びにおいで」
レオノーラはティファニーを抱き寄せた。
「キースも、ありがとう…。たくさん、手を回してくれたのね?」
キースはくすっと笑うと
「大した事はしてないよ。ティファニーは俺の妹みたいなものだから…何かあったらいつでも相談しておいで」
「うん、ありがとう…私、結婚するなら、キースみたいな人を探すね」
と微笑みを向けた。
ルロイに連れられて、猫のソックスを連れてティファニーは馬車に乗り込むと。それを見送りながら、
「…また、最後は凄い告白をされたね」
レオノーラが苦笑しながらキースに言った。
『結婚するならキースみたいな人』
とティファニーは言った、まるで告白のようではないか。
「で、ルロイにも手を回したわけ?」
だんだんとキースの抜かりない性格がわかってきている。
「少しばかりアドバイスしただけだよ」
キースは笑った。
「あれから…本当に、うちの子にならないのか聞いたんだけどね…断られたんだ。それなら、せめて住まいくらいは安心して生活が出来るようにと思ってね…」
キースはやはり抜かりがない。味方であれば頼もしく、敵であれば怖い存在である。
「…レオノーラ、ティファニーがいなくなると、寂しいか?」
キースも少しばかり寂しそうだ。本気で妹か娘として迎える気で居たのだろうが、断られては仕方がなく、ティファニーはバクスター子爵家の娘である事は本人もキースとレオノーラもわかっている。
「そうだな…色々と気をもんだけれど、うん。楽しかったと思う、いなくなると…寂しくなるな」
「じゃあ、そろそろ家族でも増やしてみる?」
キースが隣に立つレオノーラに言った。
「きっと賑やかになって楽しいと思うけど?」
レオノーラはふっと笑みを返した。そうきたか…
「キースと、私の子供だとティファニーの非じゃないくらいやんちゃになりそうだな?」
「退屈しなくていいだろ?」
「それも…悪くない…」
レオノーラはそう、返事を返した。
突然の嵐のようなティファニーだったけれど、彼女が去ったあとにはまた新たな空気が、レオノーラたちの元にやってくる。
そんな予感がする。
「え…ほんとに…?」
ティファニーがポツリと声を出した。
「どうしたの?ティファニー」
レオノーラが聞くと、
「縁談、無くなったからって…あと。帰って来なさいって…」
どういうことかと、ティファニーは戸惑いを隠せないでいる。
二つ目の手紙は、クロエの息子で、つまりは若きバクスター子爵
「ルロイ…」
寄宿舎生活を送っているルロイである。
「明日、迎えに来るって…」
「バクスター子爵とは仲が良いのか?」
レオノーラが訪ねた。
「…あまり会ったことがなくって」
ティファニーは弟の突然の手紙に戸惑っているようである。
翌日にキースにとっては懐かしい寄宿舎の制服姿でやって来たルロイ。彼はまだ若い少年だが、理知的な瞳をしたしっかりとした雰囲気である。
「ティファニー姉上。もう母には勝手をさせないから、家に戻って欲しいんです」
「…でも」
「姉上専属の従者と、メイドを新たに雇いました。母が姉上に何かをしたら、俺の所に知らせが来ます」
ルロイが、しっかりとした口調でティファニーに訴える。
「ずいぶんお待たせしてすみません。でも、今のバクスター子爵は俺だから、母だとて勝手にさせません。姉上も、バクスター子爵家の一員として、うちに戻って来てくれませんか?」
びしりとルロイは言った。
「姉上だって…このままここにいることは出来ないと、思っているのでしょう?」
ティファニーはその強い眼差しを受けて、
「…分かったわ、帰ることにする」
ティファニーはそう返事をした。とうに覚悟を決めてはいたのだろう。
もっと、何かしてやれなかったのかとレオノーラは思う。
ティファニーはレオノーラに向き直ると
「レオノーラ…色々とありがとう」
「いつでも遊びにおいで」
レオノーラはティファニーを抱き寄せた。
「キースも、ありがとう…。たくさん、手を回してくれたのね?」
キースはくすっと笑うと
「大した事はしてないよ。ティファニーは俺の妹みたいなものだから…何かあったらいつでも相談しておいで」
「うん、ありがとう…私、結婚するなら、キースみたいな人を探すね」
と微笑みを向けた。
ルロイに連れられて、猫のソックスを連れてティファニーは馬車に乗り込むと。それを見送りながら、
「…また、最後は凄い告白をされたね」
レオノーラが苦笑しながらキースに言った。
『結婚するならキースみたいな人』
とティファニーは言った、まるで告白のようではないか。
「で、ルロイにも手を回したわけ?」
だんだんとキースの抜かりない性格がわかってきている。
「少しばかりアドバイスしただけだよ」
キースは笑った。
「あれから…本当に、うちの子にならないのか聞いたんだけどね…断られたんだ。それなら、せめて住まいくらいは安心して生活が出来るようにと思ってね…」
キースはやはり抜かりがない。味方であれば頼もしく、敵であれば怖い存在である。
「…レオノーラ、ティファニーがいなくなると、寂しいか?」
キースも少しばかり寂しそうだ。本気で妹か娘として迎える気で居たのだろうが、断られては仕方がなく、ティファニーはバクスター子爵家の娘である事は本人もキースとレオノーラもわかっている。
「そうだな…色々と気をもんだけれど、うん。楽しかったと思う、いなくなると…寂しくなるな」
「じゃあ、そろそろ家族でも増やしてみる?」
キースが隣に立つレオノーラに言った。
「きっと賑やかになって楽しいと思うけど?」
レオノーラはふっと笑みを返した。そうきたか…
「キースと、私の子供だとティファニーの非じゃないくらいやんちゃになりそうだな?」
「退屈しなくていいだろ?」
「それも…悪くない…」
レオノーラはそう、返事を返した。
突然の嵐のようなティファニーだったけれど、彼女が去ったあとにはまた新たな空気が、レオノーラたちの元にやってくる。
そんな予感がする。
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