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噂の彼は理想の男性
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一通の招待状を手に取り、マリアンナはしばし悩んだ。
それは、イングレス王国の王太子シュヴァルド。その第一王子のエリアルド殿下のお披露目だという。
これは………出席しなければならない。
マリアンナはお茶会はとても好きであるが、こういう夜会はあまり楽しめないのである。
何が楽しくて好みでもない男と踊り、語らねばならないのか…。
まぁ、それもこの年齢になれば壁の花となり、つまらないながらもやり過ごせるであろう…。
王太子妃のクリスタはマリアンナより2歳年上であり、4年前の花嫁選びの際にはクリスタ、マリアンナ、シエラという3人が候補者となり、そして王宮で花嫁選びを行った際に知り合ったのだ。
候補者同士さぞドロドロと…は全くと言っていいほど成らなかった。
シュヴァルドは王子らしい端正な顔立ちをしていて一見するとその身分でさぞ女性たちが騒ぐところ…。だが彼は口下手で、仕事人間で、マリアンナは少しも好みでなかったし、シエラにしても他に思う人がいたようである。
クリスタも彼より年上だと言うことで、自分は選ばれないと思っていたようだが…。
しかし、これは最初から暗黙の了解でクリスタには決まっていた。シュヴァルドが他の誰かを選べば違ったかも知れないのだか…。
かくして誰にも決めようとしないシュヴァルドに、シエラとマリアンナが辞退して自動的にクリスタが決定したのだ。
その時の縁でマリアンナはクリスタとも、シエラとも手紙をやり取りする仲である。
シュヴァルドは真面目すぎる男性であり、それは閨でもそうらしい。クリスタの苦労が偲ばれる。
彼女から愚痴とも言える手紙を受け取っているマリアンナは、クリスタがいつか王となる男の子を無事に産み、大役を果たした事がとても嬉しい。
だからこそ、この舞踏会だけはいかなければならないと思ったのだ。
着飾るのは好きであるし、何か儲け話を見つける事が出来るかも知れない。そう考えて無理矢理楽しい気持ちを作っていく。
(うん、楽しみになってきた)
ドレスは若い頃には着られなかったスモーキーパープル、デザインも大人しく、変わりに金細工で三連になったネックレスとちりばめられたダイヤモンド。耳には長く揺れるお揃いのイヤリング、それからブレスレット
大人っぽく、そして仄かに色香が漂う。
化粧は派手すぎず薄すぎず…。わずかに目を強調させて頬はほんのりとピンクに、唇はチェリーの色に。
黒髪はやり過ぎないで、軽く結いあげて少しだけ残した髪を緩やかに巻き計算されたアシメントリーに仕上げる。
(ん、満足だわ)
「とてもいいわ」
メイドのルイサににっこりと微笑みを向ける。
当然ながら、決まったエスコートはいないのでマリアンナは父母と共に行く。もう少し若い頃なら意地でもエスコート役を探す所だけれど気にならない年になってきている。
(こうして、夜会から遠のいて行くのよね…)
ふぅ。
しかしやはりこうして仕上がるととてもいい気分である。
王宮に着くとほとんどの上流貴族たちが来ているとあって、みんな華やかなドレスを身につけている。こういう所では見栄と虚栄心と、もろもろが現れていて、見ていてとても楽しくもある。
やがてお披露目された、まだ産まれて一年もたたないエリアルドはとても愛らしく、クリスタの腕に抱かれて登場した。
エリアルドのお披露目とはこれだけで、あとは乳母の手に託されて退出していく。
第二王子のアルベルトの妃エセルは体調不良の為に、欠席でありその変わりにエミリアが登場したのには驚いた!
さすがディーンの妹だけありその容姿は美しく、まるで幼女が遊ぶお人形のように整っている。
マリアンナはそっと壁がわにより、用意されている軽食をチェックする。
さすがに美味しそうに出来上がっているが…。お約束過ぎる、とマリアンナは評した。
人気のない内にチェックを済ませて、マリアンナはクリスタの挨拶に向かう。
ちょうどマリアンナに気づいたクリスタが近づき
「マリアンナ」
美しい銀髪と青い瞳。その冴え冴えと輝くような美貌がマリアンナに感嘆の思いをおこさせる。
一国の妃はこうでなくては…。
順番が来てクリスタはマリアンナを見て微笑んだ。王太子妃らしい上品な笑みだ。
「妃殿下、お久しぶりでございます」
とお辞儀をする。
「ここではゆっくりも話せないわね。またちゃんと来てちょうだいね、手紙をだすから」
クリスタがこそこそとそう告げてくる。
「わかったわ。楽しみにしているわ」
微笑みあうと、次に待つ人に前を譲る。
(さて、挨拶もしたし帰るとしようかしら)
マリアンナはそそくさと会場を後にするべく足を進める。
ちょうど扉に手をかけようとすると
「外にいかれますか?」
凛と涼やかな声がかかりみると、それは近衛騎士のレオノーラ・ブロンテ 伯爵令嬢である。
「いえ、もう帰ります」
「レディ マリアンナはまだ踊ってもいらっしゃらないではありませんか?」
「ええ、そうですけれど…」
「私では、相手に不足でしょうけれどせめて一曲踊ってからにしませんか?」
にっこりと微笑んで手を差し出すその姿がうっとりするほど素敵である。
女性であることは間違いないのだが、この格好よさは何であろう…。
「光栄ですわ、レオノーラ様」
エスコートされて腕に手をかけると、男性には負けないほどの巧みなエスコートぶりで、踊りだすとそのダンスは、男性パートにも関わらず素晴らしい出来映えである。これでは女性たちが騒ぐはずである。
今夜もソフィア王女のエスコートをしてきた彼女であるが、ソフィア王女からしてみれば女性であるレオノーラにエスコートをさせることは、年頃の彼女にとってややこしくならない最適な相手なのであろう。
何せソフィアには男嫌い、の噂がまことしやかにつきまとっている。そんなソフィアが男性にエスコートされたなら、それはすぐに結婚と結びついてしまう。
「舞踏会はお嫌いですか?」
「いいえ、でもこの年で結婚もしていない女にはあまり居心地がよくありませんの」
マリアンナはそっと言う
「そうでしょうか?レディ マリアンナはいつもとてもお美しい、貴女をほっておくなんてここにいる男性たちは眼鏡をかけた方がいいですね」
「まぁ、ありがとうございます。レオノーラ様」
これでもし男性だったなら、さぞかしモテてモテて大変だろう。
「まぁ、私は女ですからこんなことも言えるわけですけれど」
くすっとユーモアを交えて言うのも、実に見事である。
レオノーラと踊り終えると、それを見ていたのか男性が誘ってきた。どうやら、既婚者と思わしきその男性はマリアンナを愛人にでもしたいのだろうか…。とても目付きがいやらしい。
(ああ、やっぱりこういうのは心が沈むわ)
かと思えば、なにやら下心のありそうな若い貴公子やその他もろもろ…。
これだから、これまで独身なのだ。
マリアンナはそそくさと帰るべく再び会場を後にするべく、扉から外に出たと、その瞬間ちょうど入るところだった人物にマリアンナはぶつかってしまいよろめいた。
「これは申し訳ない。大丈夫でしたか…レディ…」
ぶつかったのは逞しい胸板。
支えられた力強い腕と、そして案ずる声はとても男らしい低い声で艶がある。
「ええ、大丈夫ですわ…」
その金の髪に青い瞳。男らしく整った端整な顔…。
彼はベルナルド・ウェルズ だった。
「お怪我はありませんか」
「ええベルナルド卿は?」
「私の心配ですか?」
ふふふっと彼は笑う。その表情も色香が漂っている。
「レディ マリアンナ、よろしければ次の曲を踊りませんか?」
これは、まあお約束のような物だ。
「…ええ喜んで。わたくしをご存知でしたの?」
「私は美しい女性は覚えておりますよ」
さらりと言ってのけるその言葉と、表情が女性を相手にすることに慣れていると感じる。
「お話したのは、これがはじめてですわ」
「レディ マリアンナはご自分が目立つ存在だと思われない?」
「わたくしは、すでに嫁き遅れですから…」
「そんなものは、私のような男には何も関係ない」
くいと、片眉をあげて話すその様もとても魅力的だ。
踊り始めると、ベルナルドからは男性的な香水の香と、シガーの香。それから…女性ものの香水の移り香がほんのりとする。
(…さっきまで…女性と移り香がつくような事をしていたんだわ、この人。噂の通りに)
魅力的な外見、それに侯爵家の嫡男という地位と、それに見合う富みと父親は宰相という権力。間違いなく、後の宰相となり国の中心人物となるはずだ。
(なんて理想的なの!!)
「…完璧…だわ」
「なんです?」
微笑みつつ目で問うてくるのも実にそつがない。
「貴方が…とても完璧だと言ったのですわ」
この人はマリアンナの理想の結婚相手そのものだった。
(こんな人と結婚して…。夫の浮気に悩む妻の怨み辛みを体感したい…)
はぅ…とマリアンナは想像する。
これだけの男振りなら、結婚して遊んでても良いのだ!
だって許せるじゃないか!
このどれかひとつが欠けても、浮気されたら冗談ではない!となるではないか。
尚且つすでにベルナルドは遊び上手でこの数年間ややこしいことには至っていない。
まさに完璧!なのだ。
「私は欠点だらけですよ?レディ マリアンナ」
「いいえ…。わたくしにはすべてが完璧なの…」
うっかりとそんなことを口走ってしまう。
やがて無情にも曲は終わる。
「素敵な一時でしたわ…。お誘い下さってありがとうございましたベルナルド卿」
踊り終えて、マリアンナはほんの少し、後ろ髪を引かれつつも彼から離れて今度こそ会場を後にしたのだった。
踊り始めはレオノーラと、最後はベルナルドと踊り終えたマリアンナは、近頃の舞踏会に参加したにしてはとても大層機嫌良く家路についたのである。
それは、イングレス王国の王太子シュヴァルド。その第一王子のエリアルド殿下のお披露目だという。
これは………出席しなければならない。
マリアンナはお茶会はとても好きであるが、こういう夜会はあまり楽しめないのである。
何が楽しくて好みでもない男と踊り、語らねばならないのか…。
まぁ、それもこの年齢になれば壁の花となり、つまらないながらもやり過ごせるであろう…。
王太子妃のクリスタはマリアンナより2歳年上であり、4年前の花嫁選びの際にはクリスタ、マリアンナ、シエラという3人が候補者となり、そして王宮で花嫁選びを行った際に知り合ったのだ。
候補者同士さぞドロドロと…は全くと言っていいほど成らなかった。
シュヴァルドは王子らしい端正な顔立ちをしていて一見するとその身分でさぞ女性たちが騒ぐところ…。だが彼は口下手で、仕事人間で、マリアンナは少しも好みでなかったし、シエラにしても他に思う人がいたようである。
クリスタも彼より年上だと言うことで、自分は選ばれないと思っていたようだが…。
しかし、これは最初から暗黙の了解でクリスタには決まっていた。シュヴァルドが他の誰かを選べば違ったかも知れないのだか…。
かくして誰にも決めようとしないシュヴァルドに、シエラとマリアンナが辞退して自動的にクリスタが決定したのだ。
その時の縁でマリアンナはクリスタとも、シエラとも手紙をやり取りする仲である。
シュヴァルドは真面目すぎる男性であり、それは閨でもそうらしい。クリスタの苦労が偲ばれる。
彼女から愚痴とも言える手紙を受け取っているマリアンナは、クリスタがいつか王となる男の子を無事に産み、大役を果たした事がとても嬉しい。
だからこそ、この舞踏会だけはいかなければならないと思ったのだ。
着飾るのは好きであるし、何か儲け話を見つける事が出来るかも知れない。そう考えて無理矢理楽しい気持ちを作っていく。
(うん、楽しみになってきた)
ドレスは若い頃には着られなかったスモーキーパープル、デザインも大人しく、変わりに金細工で三連になったネックレスとちりばめられたダイヤモンド。耳には長く揺れるお揃いのイヤリング、それからブレスレット
大人っぽく、そして仄かに色香が漂う。
化粧は派手すぎず薄すぎず…。わずかに目を強調させて頬はほんのりとピンクに、唇はチェリーの色に。
黒髪はやり過ぎないで、軽く結いあげて少しだけ残した髪を緩やかに巻き計算されたアシメントリーに仕上げる。
(ん、満足だわ)
「とてもいいわ」
メイドのルイサににっこりと微笑みを向ける。
当然ながら、決まったエスコートはいないのでマリアンナは父母と共に行く。もう少し若い頃なら意地でもエスコート役を探す所だけれど気にならない年になってきている。
(こうして、夜会から遠のいて行くのよね…)
ふぅ。
しかしやはりこうして仕上がるととてもいい気分である。
王宮に着くとほとんどの上流貴族たちが来ているとあって、みんな華やかなドレスを身につけている。こういう所では見栄と虚栄心と、もろもろが現れていて、見ていてとても楽しくもある。
やがてお披露目された、まだ産まれて一年もたたないエリアルドはとても愛らしく、クリスタの腕に抱かれて登場した。
エリアルドのお披露目とはこれだけで、あとは乳母の手に託されて退出していく。
第二王子のアルベルトの妃エセルは体調不良の為に、欠席でありその変わりにエミリアが登場したのには驚いた!
さすがディーンの妹だけありその容姿は美しく、まるで幼女が遊ぶお人形のように整っている。
マリアンナはそっと壁がわにより、用意されている軽食をチェックする。
さすがに美味しそうに出来上がっているが…。お約束過ぎる、とマリアンナは評した。
人気のない内にチェックを済ませて、マリアンナはクリスタの挨拶に向かう。
ちょうどマリアンナに気づいたクリスタが近づき
「マリアンナ」
美しい銀髪と青い瞳。その冴え冴えと輝くような美貌がマリアンナに感嘆の思いをおこさせる。
一国の妃はこうでなくては…。
順番が来てクリスタはマリアンナを見て微笑んだ。王太子妃らしい上品な笑みだ。
「妃殿下、お久しぶりでございます」
とお辞儀をする。
「ここではゆっくりも話せないわね。またちゃんと来てちょうだいね、手紙をだすから」
クリスタがこそこそとそう告げてくる。
「わかったわ。楽しみにしているわ」
微笑みあうと、次に待つ人に前を譲る。
(さて、挨拶もしたし帰るとしようかしら)
マリアンナはそそくさと会場を後にするべく足を進める。
ちょうど扉に手をかけようとすると
「外にいかれますか?」
凛と涼やかな声がかかりみると、それは近衛騎士のレオノーラ・ブロンテ 伯爵令嬢である。
「いえ、もう帰ります」
「レディ マリアンナはまだ踊ってもいらっしゃらないではありませんか?」
「ええ、そうですけれど…」
「私では、相手に不足でしょうけれどせめて一曲踊ってからにしませんか?」
にっこりと微笑んで手を差し出すその姿がうっとりするほど素敵である。
女性であることは間違いないのだが、この格好よさは何であろう…。
「光栄ですわ、レオノーラ様」
エスコートされて腕に手をかけると、男性には負けないほどの巧みなエスコートぶりで、踊りだすとそのダンスは、男性パートにも関わらず素晴らしい出来映えである。これでは女性たちが騒ぐはずである。
今夜もソフィア王女のエスコートをしてきた彼女であるが、ソフィア王女からしてみれば女性であるレオノーラにエスコートをさせることは、年頃の彼女にとってややこしくならない最適な相手なのであろう。
何せソフィアには男嫌い、の噂がまことしやかにつきまとっている。そんなソフィアが男性にエスコートされたなら、それはすぐに結婚と結びついてしまう。
「舞踏会はお嫌いですか?」
「いいえ、でもこの年で結婚もしていない女にはあまり居心地がよくありませんの」
マリアンナはそっと言う
「そうでしょうか?レディ マリアンナはいつもとてもお美しい、貴女をほっておくなんてここにいる男性たちは眼鏡をかけた方がいいですね」
「まぁ、ありがとうございます。レオノーラ様」
これでもし男性だったなら、さぞかしモテてモテて大変だろう。
「まぁ、私は女ですからこんなことも言えるわけですけれど」
くすっとユーモアを交えて言うのも、実に見事である。
レオノーラと踊り終えると、それを見ていたのか男性が誘ってきた。どうやら、既婚者と思わしきその男性はマリアンナを愛人にでもしたいのだろうか…。とても目付きがいやらしい。
(ああ、やっぱりこういうのは心が沈むわ)
かと思えば、なにやら下心のありそうな若い貴公子やその他もろもろ…。
これだから、これまで独身なのだ。
マリアンナはそそくさと帰るべく再び会場を後にするべく、扉から外に出たと、その瞬間ちょうど入るところだった人物にマリアンナはぶつかってしまいよろめいた。
「これは申し訳ない。大丈夫でしたか…レディ…」
ぶつかったのは逞しい胸板。
支えられた力強い腕と、そして案ずる声はとても男らしい低い声で艶がある。
「ええ、大丈夫ですわ…」
その金の髪に青い瞳。男らしく整った端整な顔…。
彼はベルナルド・ウェルズ だった。
「お怪我はありませんか」
「ええベルナルド卿は?」
「私の心配ですか?」
ふふふっと彼は笑う。その表情も色香が漂っている。
「レディ マリアンナ、よろしければ次の曲を踊りませんか?」
これは、まあお約束のような物だ。
「…ええ喜んで。わたくしをご存知でしたの?」
「私は美しい女性は覚えておりますよ」
さらりと言ってのけるその言葉と、表情が女性を相手にすることに慣れていると感じる。
「お話したのは、これがはじめてですわ」
「レディ マリアンナはご自分が目立つ存在だと思われない?」
「わたくしは、すでに嫁き遅れですから…」
「そんなものは、私のような男には何も関係ない」
くいと、片眉をあげて話すその様もとても魅力的だ。
踊り始めると、ベルナルドからは男性的な香水の香と、シガーの香。それから…女性ものの香水の移り香がほんのりとする。
(…さっきまで…女性と移り香がつくような事をしていたんだわ、この人。噂の通りに)
魅力的な外見、それに侯爵家の嫡男という地位と、それに見合う富みと父親は宰相という権力。間違いなく、後の宰相となり国の中心人物となるはずだ。
(なんて理想的なの!!)
「…完璧…だわ」
「なんです?」
微笑みつつ目で問うてくるのも実にそつがない。
「貴方が…とても完璧だと言ったのですわ」
この人はマリアンナの理想の結婚相手そのものだった。
(こんな人と結婚して…。夫の浮気に悩む妻の怨み辛みを体感したい…)
はぅ…とマリアンナは想像する。
これだけの男振りなら、結婚して遊んでても良いのだ!
だって許せるじゃないか!
このどれかひとつが欠けても、浮気されたら冗談ではない!となるではないか。
尚且つすでにベルナルドは遊び上手でこの数年間ややこしいことには至っていない。
まさに完璧!なのだ。
「私は欠点だらけですよ?レディ マリアンナ」
「いいえ…。わたくしにはすべてが完璧なの…」
うっかりとそんなことを口走ってしまう。
やがて無情にも曲は終わる。
「素敵な一時でしたわ…。お誘い下さってありがとうございましたベルナルド卿」
踊り終えて、マリアンナはほんの少し、後ろ髪を引かれつつも彼から離れて今度こそ会場を後にしたのだった。
踊り始めはレオノーラと、最後はベルナルドと踊り終えたマリアンナは、近頃の舞踏会に参加したにしてはとても大層機嫌良く家路についたのである。
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