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弾丸の雨
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「——中隊長! ゲートだっ‼︎ 海沿いと国道側に、四つもある!」
哨戒機にいる横田隊長の声は叫んでいる様だった。全員はウェアラブル端末から知らされる。
「何だとっ⁉︎ どうすればいい⁉︎ てっ、撤退……ひ、避難をっ……」
驚愕した中隊長は狼狽える。
「お、おいっ! どうすればいい⁉︎」
死ねばいいと蔑んでいた隊員達に横田隊長は縋り出す。
「はぁっ⁉︎ さっき言ってた通りにすればいいじゃないですか?」
「あと、待機しているDMATと、原子力災害医療派遣チームに、緊急安全確保の指示を——」
備えてねぇのかよっ……。
呆れ、軽蔑しながら隊員達は答えた。
全員が中隊長を軽蔑する中、密かに水路に入った自爆ドローンが結界を破壊した。
装甲車にいる自衛官が、隊員達に親指を立て成功を知らせる。
「よしっ! 全員、配置に就けっ」
二個小隊は、羽月に指定されていた場所に散らばる。
「ど、どうしよっ⁉︎ どうしよっ……」
「——避難して下さい!」
「退がって下さい! 緊急安全確保をっ——」
慌てている中隊長を無視し、自衛官は報道陣と近隣住民、医療チームに避難を呼び掛けだす。
「もっと近付けないか⁉︎」
哨戒機、胴体部にある機銃を撃つ横田隊長は、焦りながら操縦士に問い掛けた。
「無理です! これ以上は結界範囲ですっ。墜落します!」
結界は上空も支配出来る。結界範囲では全ての航空機にドローン、空を飛ぶ機械全てが墜落してしまう。
「駄目だっ……。この距離だとあてられないっ」
機銃は全てシールドに阻まれていた。
既に結界は破壊されているが、哨戒機にいる誰も気付いていない。
操縦士は結界内に進入出来ず、飛んでくる血刃を避けるだけで精一杯だった。
ゲートから現れたドラキュラ達は、全員が黒い軍服を着た軍人だ。合計で七十人近くいる。
海岸線沿いのゲートから現れたドラキュラ軍人の大半が、原子力発電所に向かって行く。五人が海面に結界を張ろうとし、二人が哨戒機を狙っている。
哨戒機を狙う二人が飛び、剣を振って血刃を飛ばす。
横田隊長は、事前に胴体部にある小さなドアを開けていた。その中に手を入れる。グローブから反映されたシールドが哨戒機の側面に現れた。
血刃から哨戒機を守った。
だが、もう一人が上から回り込む。哨戒機は挟まれてしまう。
二人は哨戒機に剣撃を浴びせようとした。
直後、ドラキュラ軍人は斜め上から機銃を浴びせられる。
二人は地に墜ちて行く。
雲の上から、旭が操縦する戦闘機が現れた。
間一髪で哨戒機を守った。
二機のヘリが後に続いて来る。
哨戒機にいる全員が目を見開き驚く。
「駄目だっ! それ以上近付いたら墜ちるぞっ!」
横田隊長は慌てて、戦闘機にあるマイクから叫んだ。
「もう結界は破壊してます」
片耳と繋がるヘッドフォンマイクから旭は簡潔に答えた。
「えっ⁉︎」
横田隊長は拍子抜けし、間抜けた声を漏らす。
「そのデカブツじゃ邪魔です。引っ込んでいて下さい!」
旭から邪魔者にされ、排除されてしまう。
旭が操縦する戦闘機は原子炉の上まで行き、反転する。
低空で停止し、近付こうとするドラキュラ軍人を一掃していく。
先を行ったヘリから狙撃部隊が次々と飛び降りている。建物を分け、配置の屋根に就く。
海岸線にいるヘリからは、伊吹が胴体部のドアを開けて重火器を撃っている。
張ろうとした結界ごと、ドラキュラ軍人を仕留めていく。
狙撃部隊が降りた後、ヘリは原子炉建屋の上に向かう。
一時停止も待たずに飛び降りたのは那智だ。珍しく厳しい顔をし、原子炉建屋の屋根に着地した。
着地前に一瞬で振った剣撃で、那智は屋根の一部を傷付けていた。そのまま突きを入れ、開けた穴から原子炉内に入る。
国道側には、羽月が率いる二個小隊が到着していた。
軍用車両のジープを盾に銃撃している。
反対側から近付く二個小隊は、片側がシールドで援護に徹し、もう片方の小隊が銃撃と役割を分けていた。
挟み撃ちにされたドラキュラ軍人達は、見る見る内に倒されていく。飛ぼうとすれば狙撃された。
両側にいる二個小隊の距離が狭まりだす——。
「相良中佐っ! こっちはもう大丈夫ですっ。行って下さい!」
「分かった。任せる」
横にいる小隊長に言われ、羽月は悲鳴と弾丸の雨の中を駆け抜けて行った。
哨戒機にいる横田隊長の声は叫んでいる様だった。全員はウェアラブル端末から知らされる。
「何だとっ⁉︎ どうすればいい⁉︎ てっ、撤退……ひ、避難をっ……」
驚愕した中隊長は狼狽える。
「お、おいっ! どうすればいい⁉︎」
死ねばいいと蔑んでいた隊員達に横田隊長は縋り出す。
「はぁっ⁉︎ さっき言ってた通りにすればいいじゃないですか?」
「あと、待機しているDMATと、原子力災害医療派遣チームに、緊急安全確保の指示を——」
備えてねぇのかよっ……。
呆れ、軽蔑しながら隊員達は答えた。
全員が中隊長を軽蔑する中、密かに水路に入った自爆ドローンが結界を破壊した。
装甲車にいる自衛官が、隊員達に親指を立て成功を知らせる。
「よしっ! 全員、配置に就けっ」
二個小隊は、羽月に指定されていた場所に散らばる。
「ど、どうしよっ⁉︎ どうしよっ……」
「——避難して下さい!」
「退がって下さい! 緊急安全確保をっ——」
慌てている中隊長を無視し、自衛官は報道陣と近隣住民、医療チームに避難を呼び掛けだす。
「もっと近付けないか⁉︎」
哨戒機、胴体部にある機銃を撃つ横田隊長は、焦りながら操縦士に問い掛けた。
「無理です! これ以上は結界範囲ですっ。墜落します!」
結界は上空も支配出来る。結界範囲では全ての航空機にドローン、空を飛ぶ機械全てが墜落してしまう。
「駄目だっ……。この距離だとあてられないっ」
機銃は全てシールドに阻まれていた。
既に結界は破壊されているが、哨戒機にいる誰も気付いていない。
操縦士は結界内に進入出来ず、飛んでくる血刃を避けるだけで精一杯だった。
ゲートから現れたドラキュラ達は、全員が黒い軍服を着た軍人だ。合計で七十人近くいる。
海岸線沿いのゲートから現れたドラキュラ軍人の大半が、原子力発電所に向かって行く。五人が海面に結界を張ろうとし、二人が哨戒機を狙っている。
哨戒機を狙う二人が飛び、剣を振って血刃を飛ばす。
横田隊長は、事前に胴体部にある小さなドアを開けていた。その中に手を入れる。グローブから反映されたシールドが哨戒機の側面に現れた。
血刃から哨戒機を守った。
だが、もう一人が上から回り込む。哨戒機は挟まれてしまう。
二人は哨戒機に剣撃を浴びせようとした。
直後、ドラキュラ軍人は斜め上から機銃を浴びせられる。
二人は地に墜ちて行く。
雲の上から、旭が操縦する戦闘機が現れた。
間一髪で哨戒機を守った。
二機のヘリが後に続いて来る。
哨戒機にいる全員が目を見開き驚く。
「駄目だっ! それ以上近付いたら墜ちるぞっ!」
横田隊長は慌てて、戦闘機にあるマイクから叫んだ。
「もう結界は破壊してます」
片耳と繋がるヘッドフォンマイクから旭は簡潔に答えた。
「えっ⁉︎」
横田隊長は拍子抜けし、間抜けた声を漏らす。
「そのデカブツじゃ邪魔です。引っ込んでいて下さい!」
旭から邪魔者にされ、排除されてしまう。
旭が操縦する戦闘機は原子炉の上まで行き、反転する。
低空で停止し、近付こうとするドラキュラ軍人を一掃していく。
先を行ったヘリから狙撃部隊が次々と飛び降りている。建物を分け、配置の屋根に就く。
海岸線にいるヘリからは、伊吹が胴体部のドアを開けて重火器を撃っている。
張ろうとした結界ごと、ドラキュラ軍人を仕留めていく。
狙撃部隊が降りた後、ヘリは原子炉建屋の上に向かう。
一時停止も待たずに飛び降りたのは那智だ。珍しく厳しい顔をし、原子炉建屋の屋根に着地した。
着地前に一瞬で振った剣撃で、那智は屋根の一部を傷付けていた。そのまま突きを入れ、開けた穴から原子炉内に入る。
国道側には、羽月が率いる二個小隊が到着していた。
軍用車両のジープを盾に銃撃している。
反対側から近付く二個小隊は、片側がシールドで援護に徹し、もう片方の小隊が銃撃と役割を分けていた。
挟み撃ちにされたドラキュラ軍人達は、見る見る内に倒されていく。飛ぼうとすれば狙撃された。
両側にいる二個小隊の距離が狭まりだす——。
「相良中佐っ! こっちはもう大丈夫ですっ。行って下さい!」
「分かった。任せる」
横にいる小隊長に言われ、羽月は悲鳴と弾丸の雨の中を駆け抜けて行った。
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