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七十話『テスト本番』
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期末試験当日。今日まで怠ることなく勉強してきたのだから問題ないという気持ちと、まだ勉強不足なのではないかという不安が入り混じってる。教室の自分の席でテスト範囲のノートを振り返りながら気分を落ち着ける。
大丈夫。夢国さんと七津さんと一緒にたくさん勉強したし、八戸波先生にも一回だけだけどマンツーマンで教えてもらったんだから。
試験日のクラスはいつもより統一感があるようで、多少の空気のバラつきはある。当日になって焦っている人、諦めている人、友達とギリギリまで勉強している人、近づきがたいぐらい集中力を発揮している人。
その中でも特に、夢国さんはかなりピリピリしている。一学期中間、期末。二学期中間。回数を重ねるごとに、夢国さんの顔は険しく、纏う空気が重々しくなっている。
自己紹介の時に言っていた学年一位。宣言通りに三回とも一位をとっているけれど、プレッシャーとかすごい感じているんだろうな。人の心配をしている余裕はないのだけれど、それでも心配になるな。
「古町さ~ん、ちょっといい~?」
プレッシャーとストレスで夢国さんが潰れてしまわないか心配していると、ノートで口元を隠しながら、へたりと申し訳なさそうに眉の曲がった七津さんが近づいてきた。
「最後の確認、一緒にする?」
「うん!」
試験日の夢国さんに近づけないのは七津さんも例外ではない。来るなと言われているわけではないが、七津さんも気を遣って、試験終わりまではいつものスキンシップを我慢している。
要件を先に察して提案すると、七津さんは笑顔で応えてくれた。七津さんは私の隣に立って質問と回答を繰り返す。私もその言葉に耳を傾けながら、頭の中で整理する。
七津さんとテスト範囲のざっと振り返ること十分弱。最初の予鈴が鳴った。皆が慌ただしく勉強に使っていた道具を鞄のにしまい、机の中を空っぽにして机の上に最低限の道具だけにする。消しゴムと、不具合が起きた時用にシャーペンを二本。机の中にも、制服のポケットにもそれ以外の道具は入っていない。
スマホを電源切って鞄に入れたから、問題なし。あとは勉強の成果を発揮するだけ。
少しして試験管の先生が教室に入ってきた。注意事項を説明しながら、前からテスト用紙が一枚。また一枚と、裏向きで回ってきた。
テストが始まるまで、沈黙の数分間。両手を膝の上に乗せて、ゆっくりと深呼吸して心を落ちつける。
「……始め」
チャイムに音と先生の開始の合図に合わせて、皆が一斉にテスト用紙を裏返す。パラパラと紙が捲れる音が何重にも響き、カチカチとクリック音が続き、少しの完全な静寂が訪れた。数秒後、静かにペンが走る音がした。
焦ることなく、冷静に。問題文をしっかりと読んで淡々と答えを書き込んでいく。少し詰まってわからなければ次の問題へ。ひとまず解答欄の最初から最後まで一度走り切る。
よし、思っていたよりもスラスラ解ける。解けなかった問題も、じっくり考えれば解けるはず。
試験時間半分ほどで教科担当の先生が回ってきたが、不備も質問もなく、激励の言葉だけを残して教室から出ていった。
「やめ。回収するぞ。後ろから回してけ」
おそよ五十分の試験が終わり、解答用紙だけを前の席の人に回していく。全ての用紙が集まると、先生は慣れた手つきで弾くように数を確認し、教卓でトントンと二回底の方をぶつけて形を整えた。
とりあえず解答欄は全部埋まった。本当は今すぐにでも答え合わせしたいけれど、そんな暇ないし次の科目の勉強しないと。
次のテストは最もやる気が出る。誰にも負けたくないと思う教科、現代文のテストの時間だ。
普段は夢国さんに勉強で勝てるなんて思えないけれど、先生もの勉強に付き合ってもらったんだ。絶対に勝ちたい。
今日一のやる気を燃やして、現代文のテストに臨む。最初の漢字の読み書き問題を見た時に自然とペンが動いた。先生の笑顔と、解答に指を置いて丸を描く姿が思い浮かぶ。それ以降の問題もすぐに答えに辿り着けた。
先生が教えてくれた通りだ。解き方がわかってれば、初めての問題でもちゃんと解ける。
調子良く問題を解き進めていると、八戸波先生が教室に入ってきた。驚いて少し時計の方に目線をチラリとだけ向けると、すでに半分ほど時間が経過していた。
少し焦ったけれど、ペース配分としては間違ってないから大丈夫。問題用紙にも特に不備はなかったし……。なかったんだよね、いいことなのだけれど。
ほんの少しでも八戸波先生に近づけるならと手をあげたかったが、用もなく呼ぶわけには行かない。今は授業中で、ましてやテスト中なのだ。どれだけ先生が好きだとしても、そこの分別はつけないといけない。
「質問なし、か。まあ、あれだ。問題文見てれば答えが見つかったりもするから、最後まで諦めるなよ。それじゃ、頑張ってくれ」
不器用な激励の言葉を残して、八戸波先生は教室から出て行った。いかにも先生らしい言葉だなぁと思い、誰にもバレないように静かに小さく笑った。問題は一問の空欄もなくしっかり答えた。それでも、全問正解できているという自信は湧いてこなかった。
今日はニ教科のテストだけで終わり。残りの科目は明日。今日も帰ったら、いつも以上にしっかりと勉強をしないといけない。
「あーちゃん、お疲れ様~」
「……まだ残ってはいますが、ひとまずお疲れ様ですわ」
テストから一度解放されると、七津さんは夢国さんにムギュ~と抱きついた。テストで頑張った分、テスト前もしっかりと我慢していたことを考慮してか、いつもは受け入れるだけの夢国さんも恥ずかしそうにしながらしっかりと抱きしめ返していた。
「今回も一位取れそう? 夢国さん」
「明日しだい、ではありますが。今のところとても順調ですわ」
抱きしめられてスリスリされているカッコはつかない状態ながら、夢国さんは自信に満ちた瞳と表情で答えた。どうやら、かなりスムーズに問題を解けたらしい。
「私も頑張ったから褒めて褒めて~」
「はいはい。頑張ってますわね。明日もしっかり頼みましたわよ」
少し離れて頭を撫でるように催促する七津さんに、夢国さんは適当そうにしながら、優しく頭を撫でていた。
テスト一日目が終わったことで気分が少しだけ解放的になった教室。普段の騒がしさを取り戻した教室に、八戸波先生が戻ってきた。帰りのホームルームの時間だ。
バラバラと、雑談や反省会をしているクラスメイトも各々自分の席に戻った。
「明日もテストだから、寄り道せずに帰るように。以上、今日はお疲れ様」
軽い労いの言葉を持って、ホームルームが終わり皆一斉に帰り出した。廊下が少し混み合うからか、八戸波先生は教務員室に戻ることなく少しボーッと立っていた。
これは、少し話せるチャンス。
「あの、先生」
機会を逃すまいと声をかけると、八戸波先生は「ん?」と僅かに首を傾げて私を見つめた。
本当はたくさん話したいけれど、先生の言うとおり早く帰らないといけないから、少しだけ。
「ありがとうございました。先生のおかげで、今日のテストは結構解けた気がします」
「それは良かったな。だが、俺のおかげというより、古町自身の努力だろ? ……採点楽しみにしておくからな」
大丈夫。夢国さんと七津さんと一緒にたくさん勉強したし、八戸波先生にも一回だけだけどマンツーマンで教えてもらったんだから。
試験日のクラスはいつもより統一感があるようで、多少の空気のバラつきはある。当日になって焦っている人、諦めている人、友達とギリギリまで勉強している人、近づきがたいぐらい集中力を発揮している人。
その中でも特に、夢国さんはかなりピリピリしている。一学期中間、期末。二学期中間。回数を重ねるごとに、夢国さんの顔は険しく、纏う空気が重々しくなっている。
自己紹介の時に言っていた学年一位。宣言通りに三回とも一位をとっているけれど、プレッシャーとかすごい感じているんだろうな。人の心配をしている余裕はないのだけれど、それでも心配になるな。
「古町さ~ん、ちょっといい~?」
プレッシャーとストレスで夢国さんが潰れてしまわないか心配していると、ノートで口元を隠しながら、へたりと申し訳なさそうに眉の曲がった七津さんが近づいてきた。
「最後の確認、一緒にする?」
「うん!」
試験日の夢国さんに近づけないのは七津さんも例外ではない。来るなと言われているわけではないが、七津さんも気を遣って、試験終わりまではいつものスキンシップを我慢している。
要件を先に察して提案すると、七津さんは笑顔で応えてくれた。七津さんは私の隣に立って質問と回答を繰り返す。私もその言葉に耳を傾けながら、頭の中で整理する。
七津さんとテスト範囲のざっと振り返ること十分弱。最初の予鈴が鳴った。皆が慌ただしく勉強に使っていた道具を鞄のにしまい、机の中を空っぽにして机の上に最低限の道具だけにする。消しゴムと、不具合が起きた時用にシャーペンを二本。机の中にも、制服のポケットにもそれ以外の道具は入っていない。
スマホを電源切って鞄に入れたから、問題なし。あとは勉強の成果を発揮するだけ。
少しして試験管の先生が教室に入ってきた。注意事項を説明しながら、前からテスト用紙が一枚。また一枚と、裏向きで回ってきた。
テストが始まるまで、沈黙の数分間。両手を膝の上に乗せて、ゆっくりと深呼吸して心を落ちつける。
「……始め」
チャイムに音と先生の開始の合図に合わせて、皆が一斉にテスト用紙を裏返す。パラパラと紙が捲れる音が何重にも響き、カチカチとクリック音が続き、少しの完全な静寂が訪れた。数秒後、静かにペンが走る音がした。
焦ることなく、冷静に。問題文をしっかりと読んで淡々と答えを書き込んでいく。少し詰まってわからなければ次の問題へ。ひとまず解答欄の最初から最後まで一度走り切る。
よし、思っていたよりもスラスラ解ける。解けなかった問題も、じっくり考えれば解けるはず。
試験時間半分ほどで教科担当の先生が回ってきたが、不備も質問もなく、激励の言葉だけを残して教室から出ていった。
「やめ。回収するぞ。後ろから回してけ」
おそよ五十分の試験が終わり、解答用紙だけを前の席の人に回していく。全ての用紙が集まると、先生は慣れた手つきで弾くように数を確認し、教卓でトントンと二回底の方をぶつけて形を整えた。
とりあえず解答欄は全部埋まった。本当は今すぐにでも答え合わせしたいけれど、そんな暇ないし次の科目の勉強しないと。
次のテストは最もやる気が出る。誰にも負けたくないと思う教科、現代文のテストの時間だ。
普段は夢国さんに勉強で勝てるなんて思えないけれど、先生もの勉強に付き合ってもらったんだ。絶対に勝ちたい。
今日一のやる気を燃やして、現代文のテストに臨む。最初の漢字の読み書き問題を見た時に自然とペンが動いた。先生の笑顔と、解答に指を置いて丸を描く姿が思い浮かぶ。それ以降の問題もすぐに答えに辿り着けた。
先生が教えてくれた通りだ。解き方がわかってれば、初めての問題でもちゃんと解ける。
調子良く問題を解き進めていると、八戸波先生が教室に入ってきた。驚いて少し時計の方に目線をチラリとだけ向けると、すでに半分ほど時間が経過していた。
少し焦ったけれど、ペース配分としては間違ってないから大丈夫。問題用紙にも特に不備はなかったし……。なかったんだよね、いいことなのだけれど。
ほんの少しでも八戸波先生に近づけるならと手をあげたかったが、用もなく呼ぶわけには行かない。今は授業中で、ましてやテスト中なのだ。どれだけ先生が好きだとしても、そこの分別はつけないといけない。
「質問なし、か。まあ、あれだ。問題文見てれば答えが見つかったりもするから、最後まで諦めるなよ。それじゃ、頑張ってくれ」
不器用な激励の言葉を残して、八戸波先生は教室から出て行った。いかにも先生らしい言葉だなぁと思い、誰にもバレないように静かに小さく笑った。問題は一問の空欄もなくしっかり答えた。それでも、全問正解できているという自信は湧いてこなかった。
今日はニ教科のテストだけで終わり。残りの科目は明日。今日も帰ったら、いつも以上にしっかりと勉強をしないといけない。
「あーちゃん、お疲れ様~」
「……まだ残ってはいますが、ひとまずお疲れ様ですわ」
テストから一度解放されると、七津さんは夢国さんにムギュ~と抱きついた。テストで頑張った分、テスト前もしっかりと我慢していたことを考慮してか、いつもは受け入れるだけの夢国さんも恥ずかしそうにしながらしっかりと抱きしめ返していた。
「今回も一位取れそう? 夢国さん」
「明日しだい、ではありますが。今のところとても順調ですわ」
抱きしめられてスリスリされているカッコはつかない状態ながら、夢国さんは自信に満ちた瞳と表情で答えた。どうやら、かなりスムーズに問題を解けたらしい。
「私も頑張ったから褒めて褒めて~」
「はいはい。頑張ってますわね。明日もしっかり頼みましたわよ」
少し離れて頭を撫でるように催促する七津さんに、夢国さんは適当そうにしながら、優しく頭を撫でていた。
テスト一日目が終わったことで気分が少しだけ解放的になった教室。普段の騒がしさを取り戻した教室に、八戸波先生が戻ってきた。帰りのホームルームの時間だ。
バラバラと、雑談や反省会をしているクラスメイトも各々自分の席に戻った。
「明日もテストだから、寄り道せずに帰るように。以上、今日はお疲れ様」
軽い労いの言葉を持って、ホームルームが終わり皆一斉に帰り出した。廊下が少し混み合うからか、八戸波先生は教務員室に戻ることなく少しボーッと立っていた。
これは、少し話せるチャンス。
「あの、先生」
機会を逃すまいと声をかけると、八戸波先生は「ん?」と僅かに首を傾げて私を見つめた。
本当はたくさん話したいけれど、先生の言うとおり早く帰らないといけないから、少しだけ。
「ありがとうございました。先生のおかげで、今日のテストは結構解けた気がします」
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