23 / 31
土曜 洗ってください
別室にて待機
しおりを挟む
ドアを開けて入った部屋は……
ゆったりしたソファ、壁にかかる薄型テレビ、そして何種類かの飲み物が選べるドリンクバー、雑誌……というくつろげそうな部屋だった。
先に右側のドアから入った温子さんがいる形跡はなく別の部屋にいることが分かる。早く合流したくて更にドアがないか探す。すると部屋の奥まったところにまたドアがあった。
しかしドアノブを回してもガチャガチャと音が鳴るばかりで開かない。そしてこの部屋に入ってきたドアからもう一度出てみようとするが開かなくなっている。
大きめの声で温子さんを呼ぶが反応なし。そしてスマートフォンで温子さんに連絡を取ろうとしたが、通信状況が悪い部屋のようで反応がない。
「ここで待てってことか」
ポスン
ソファにふぅと息をつきながら座る。
しばらくこの部屋で過ごしておけばそのうちドアが開くだろう。このホテルの奇妙さに慣れてしまい、本来なら焦らないといけない状況なのに"注文"通りに待とうと思う。
ソファのすぐ側にあるローテーブルにはテレビのリモコンがあり、電源をつける。
ピっとボタンを押すと、真っ暗だった画面が明るくなる。夜のニュース番組でもとチャンネルを押そうとするが、表示された画面が普通のテレビと違う。
「選択してください……?」
テレビ画面に表示されたのは、
-----------------------
【選択してください】
泡 or オイル
----------------------
「なんだこれ」
選択しろって、カラオケ店のこういうテレビ画面なら注文する料理や飲み物選択なら分かるが、泡とオイルって何の話だ。変なボタンでも押してしまったかと、改めてリモコンを見て適当なチャンネルの番号を押してみる。
するとピコンと音が鳴り、画面には「泡のご選択ありがとうございます」の表示が出た。
「え?別に選んでないのに」
すると画面がプツンと消え、また真っ暗な画面に戻った。もう一度電源を入れようとしてもうんともすんとも言わない。
別に何がなんでもテレビ番組を見たいわけでもないからもう諦めよう。
雑誌でも読むか……と手に取りページを開く。旅行雑誌で特集内容が面白く、読み入る。
◆◆◆◆
この部屋に入って1時間ほど経っただろうか。用意されていた何冊かの雑誌も読み切って手持ち無沙汰になってきた。部屋の物色でもまたしようかとソファから立ち上がる。
するとちょうどそのタイミングでまたテレビがパッと付く。
びくっと情けなく体が跳ねてしまった。
画面には「注意事項」と表示されている。何の注意事項だと思いながら読む。
なになに、
・お客様からのキャストへの接触は厳禁です
・キャストの指示に従って下さい
キャストってここのホテルの従業員のことを言っているのか?といってもこのホテルは無人受付だ。だいたいホテルの従業員のことをキャストなんて言うだろうか。
読み終わったところで画面の表示が変わる。
「準備ができました。ご案内いたします」
と表示されて、部屋の奥のドアがガチャリと音を立てた。
次の部屋に行けということか。注意事項の意味はよく分からなかったが、次の部屋で温子さんと合流できるようにと願いながらまたドアを開けた。
ゆったりしたソファ、壁にかかる薄型テレビ、そして何種類かの飲み物が選べるドリンクバー、雑誌……というくつろげそうな部屋だった。
先に右側のドアから入った温子さんがいる形跡はなく別の部屋にいることが分かる。早く合流したくて更にドアがないか探す。すると部屋の奥まったところにまたドアがあった。
しかしドアノブを回してもガチャガチャと音が鳴るばかりで開かない。そしてこの部屋に入ってきたドアからもう一度出てみようとするが開かなくなっている。
大きめの声で温子さんを呼ぶが反応なし。そしてスマートフォンで温子さんに連絡を取ろうとしたが、通信状況が悪い部屋のようで反応がない。
「ここで待てってことか」
ポスン
ソファにふぅと息をつきながら座る。
しばらくこの部屋で過ごしておけばそのうちドアが開くだろう。このホテルの奇妙さに慣れてしまい、本来なら焦らないといけない状況なのに"注文"通りに待とうと思う。
ソファのすぐ側にあるローテーブルにはテレビのリモコンがあり、電源をつける。
ピっとボタンを押すと、真っ暗だった画面が明るくなる。夜のニュース番組でもとチャンネルを押そうとするが、表示された画面が普通のテレビと違う。
「選択してください……?」
テレビ画面に表示されたのは、
-----------------------
【選択してください】
泡 or オイル
----------------------
「なんだこれ」
選択しろって、カラオケ店のこういうテレビ画面なら注文する料理や飲み物選択なら分かるが、泡とオイルって何の話だ。変なボタンでも押してしまったかと、改めてリモコンを見て適当なチャンネルの番号を押してみる。
するとピコンと音が鳴り、画面には「泡のご選択ありがとうございます」の表示が出た。
「え?別に選んでないのに」
すると画面がプツンと消え、また真っ暗な画面に戻った。もう一度電源を入れようとしてもうんともすんとも言わない。
別に何がなんでもテレビ番組を見たいわけでもないからもう諦めよう。
雑誌でも読むか……と手に取りページを開く。旅行雑誌で特集内容が面白く、読み入る。
◆◆◆◆
この部屋に入って1時間ほど経っただろうか。用意されていた何冊かの雑誌も読み切って手持ち無沙汰になってきた。部屋の物色でもまたしようかとソファから立ち上がる。
するとちょうどそのタイミングでまたテレビがパッと付く。
びくっと情けなく体が跳ねてしまった。
画面には「注意事項」と表示されている。何の注意事項だと思いながら読む。
なになに、
・お客様からのキャストへの接触は厳禁です
・キャストの指示に従って下さい
キャストってここのホテルの従業員のことを言っているのか?といってもこのホテルは無人受付だ。だいたいホテルの従業員のことをキャストなんて言うだろうか。
読み終わったところで画面の表示が変わる。
「準備ができました。ご案内いたします」
と表示されて、部屋の奥のドアがガチャリと音を立てた。
次の部屋に行けということか。注意事項の意味はよく分からなかったが、次の部屋で温子さんと合流できるようにと願いながらまたドアを開けた。
2
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる