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なぜか

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あの後家に帰った。
母親に
「まあ!!なんでそんなにぬれてるの!?
    その上着どうしたの!?傘は?」
とか色々聞かれた。


「上着は真に借りた。」

「まあ!!真ちゃんに借りたの?洗って返さなきゃ。」

その時だったかな、不謹慎かもしれないけど
洗って返したくない。
真の香りを消したくないって思ったのは。

「また後で洗濯機に入れとくから。」

そう言って部屋に上がった。

とりあえずお風呂に入って体を温める。
幼馴染にあんな感情を、抱いたのは初めてだ。

邪念を払うために少し熱めのお湯をかぶってみた。
「真ってあんなやつだったっけ…。」
疑問に思った。
今まで散々長いこと一緒にいたのに全然知らなかった、新しい顔。
なんか新鮮だった。


お風呂から出てふとベットに目をやると
真の上着が置かれていた。

そりゃそうだろう、自分で置いたのだから。
ちょっとだけ香りをかいでみた。
いつもの真の香り。

ちっちゃい頃から何回か香りは変わってきたが
この香りが一番好きな感じがする。

なんかこの香りをかぐとリラックスする。

「なんか薬でも混ぜてんのかな。」

本当にそんな感じがした。

「んーー、なんか眠くなってきたな…、
ちょっと早いけど寝よう。」

今日は雨の日にありがちなシチュエーションが
たくさん起きた気がした。
ちょっとだけ幼い頃の夢が叶った気がした。

なんか腕に触れてるような気がするけど
まあ毛布だろう。

さー、早く寝ちゃお。
疲れた疲れた。
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