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朝
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やばい…、やってしまった…。
私としたことが…。
事件の発端は数分前に遡る。
ピピピーッ、ピピピーッ
うるさいアラームだ。
「んー、毛布抱いて寝てたんだな…。」
そう思って毛布も布団も放り投げた。
毛布を放り投げた時だった
「あれ?やけに軽いな?」
ちょっと疑問に思った。
落下点を見て血の気が引いた。
「え…、真の上着…。」
そう、そのまさかである。
あろうことか私は真の上着に抱きついて寝ていたのだ。
洗濯もできていないし、ましてやその上着を抱いて寝るなどみっともない。
そして何よりも、真の香りが消えてしまったことにショックを隠しきれなかった。
全部が自分自身の香りに汚染されてしまったようだった。
「どうしよう…、一応真には嘘でもついて
洗濯できなかったことにしてと。
お母さんには洗濯機に入れ忘れたことにしよう。」
完璧な嘘に塗り固められた私だけが知る事実だ。
「かほーー!!早く降りてきてご飯食べなさい!」
夏帆私の名前だ。
「今行くー!」
そう言って制服に着替えて階段を降りた。
途中洗濯機に真の上着をこそっと入れておいた。
今日の朝ごはんはみそ汁とご飯と鮭。
ありがちな和食の朝ごはんである。
「そういや、夏帆。洗濯物に真ちゃんの上着入ってなかったわよ?どこやったの?早く返さなきゃ
真ちゃん困っちゃうじゃない。」
さー、早速あの嘘をつくときがやってきた。
「あー、なんか昨日さお風呂入ったり勉強したりしてたら真の上着のこと忘れててさ。今洗濯機に入れたから。」
「あら、そうなの?でも、真ちゃんにはちゃんと言っときなさいよ。」
よしっ!上手く騙せた。
罪悪感は1%、
上手く騙せたという優越感は99%である。
ご飯を食べ終わった私は、真っ直ぐ自分の部屋に向かった。
まだ学校に行くまでは時間がある。
なぜ昨日は真に対してあんな感情を抱いてしまったのだろうか。
今更ながら疑問に思えてきた。
幼稚園からの幼馴染で、今年で出会って10年以上になる。
今までこんな感情を抱いたことはなかった。
確かに真はいいやつだ。
優しいし明るくてクラスの人気者。
小説や少女マンガに出てきそうなタイプの人間である。
「好き」
そんな単純な感情じゃなかった。
もっと複雑な何か。
私には分からないような感情が渦巻いていた。
考えても考えても答えは出そうになかった。
「薄っぺらい感情なんかこの世にねーよ。」
一度真がそんなことを言ったときがあった。
その言葉を今思い出した。
「薄っぺらい感情…。」
声に出してみたけれど何か変わるわけでもなかった。
そうこうしているうちに学校へ行く時間。
(真に嘘をつくのは申し訳ない。)
今更そんなことを思えてきた。
私としたことが…。
事件の発端は数分前に遡る。
ピピピーッ、ピピピーッ
うるさいアラームだ。
「んー、毛布抱いて寝てたんだな…。」
そう思って毛布も布団も放り投げた。
毛布を放り投げた時だった
「あれ?やけに軽いな?」
ちょっと疑問に思った。
落下点を見て血の気が引いた。
「え…、真の上着…。」
そう、そのまさかである。
あろうことか私は真の上着に抱きついて寝ていたのだ。
洗濯もできていないし、ましてやその上着を抱いて寝るなどみっともない。
そして何よりも、真の香りが消えてしまったことにショックを隠しきれなかった。
全部が自分自身の香りに汚染されてしまったようだった。
「どうしよう…、一応真には嘘でもついて
洗濯できなかったことにしてと。
お母さんには洗濯機に入れ忘れたことにしよう。」
完璧な嘘に塗り固められた私だけが知る事実だ。
「かほーー!!早く降りてきてご飯食べなさい!」
夏帆私の名前だ。
「今行くー!」
そう言って制服に着替えて階段を降りた。
途中洗濯機に真の上着をこそっと入れておいた。
今日の朝ごはんはみそ汁とご飯と鮭。
ありがちな和食の朝ごはんである。
「そういや、夏帆。洗濯物に真ちゃんの上着入ってなかったわよ?どこやったの?早く返さなきゃ
真ちゃん困っちゃうじゃない。」
さー、早速あの嘘をつくときがやってきた。
「あー、なんか昨日さお風呂入ったり勉強したりしてたら真の上着のこと忘れててさ。今洗濯機に入れたから。」
「あら、そうなの?でも、真ちゃんにはちゃんと言っときなさいよ。」
よしっ!上手く騙せた。
罪悪感は1%、
上手く騙せたという優越感は99%である。
ご飯を食べ終わった私は、真っ直ぐ自分の部屋に向かった。
まだ学校に行くまでは時間がある。
なぜ昨日は真に対してあんな感情を抱いてしまったのだろうか。
今更ながら疑問に思えてきた。
幼稚園からの幼馴染で、今年で出会って10年以上になる。
今までこんな感情を抱いたことはなかった。
確かに真はいいやつだ。
優しいし明るくてクラスの人気者。
小説や少女マンガに出てきそうなタイプの人間である。
「好き」
そんな単純な感情じゃなかった。
もっと複雑な何か。
私には分からないような感情が渦巻いていた。
考えても考えても答えは出そうになかった。
「薄っぺらい感情なんかこの世にねーよ。」
一度真がそんなことを言ったときがあった。
その言葉を今思い出した。
「薄っぺらい感情…。」
声に出してみたけれど何か変わるわけでもなかった。
そうこうしているうちに学校へ行く時間。
(真に嘘をつくのは申し訳ない。)
今更そんなことを思えてきた。
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