いずれ勇者の君へ

ヤツカツイタチ

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原っぱで君と その2

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「マナ姉ちゃん!今日も来たよ!」キミはいつもの原っぱにやってきた。
「キミかい…?…どうしたんだい、その腕は」マナが驚く。キミの腕には包帯が巻かれていたのだ。
「これは、その…シェル・ソードの練習のしすぎで痛くなっちゃって…」
シェル・ソードとは円錐形のシェルと呼ばれるカスタマイズ可能な魔導玩具を逆さにし、ブラスターと呼ばれる発射装置にセットした後、付加魔法を込め己の渾身の力を込めストリングを引きシェルを発射し、円形闘技場(コロッセウム)で戦わせる遊びである。
そしてこの遊びは、広く伝わっている遊びではなく、マナが暇つぶしに考案した魔導玩具遊戯であった。
この遊びをするためには最低限の魔力行使の才能が必要であり普通のヒト族では扱えず、仕方なく、長らく封印していたものであった。
だが、マナはキミと出会い、その才能を見出し、彼の後の最強の相棒『ブリザードブレイバー』をキミに託したのだ。
「キミって子はまったく…ブラスターからのシュート練習は程々にしないと肘を痛めると、あれほど言ったじゃないか?どれ、見せてみなさい」
マナはキミの腕の包帯を解き入念に調べる。「フム…興味深い…」「マナ姉ちゃん、なにか言った?」「フフ、別に?」
マナは掌から少量の癒しの波動を出しキミの腕に当てる。俗に言うヒール、ヒーリングといった類の低級回復魔法である。
少量、とするのは理由があり、幼少期から癒しの波動を大量に浴びてしまうと癒しの波動に身体が慣れてしまい、傷の自然治癒能力を阻害するという研究結果から来ている。
その結果、自動回復、継続回復魔法のリジェネーション等に頼らなければならなくなる王侯貴族が増えてしまい、回復魔法の源である『神聖』を司る神を祀る『聖・大神聖堂教会』という組織が私腹を肥やし、ついには聖・大神聖帝国を築いてしまった。
正にヒト族の業の歴史である。
そんなことを考えているうちに、簡単な治療は終わっていた。
「ありがとう、マナ姉ちゃん!痛みが軽くなったよ!やっぱりマナ姉ちゃんはスゲーや!」
「フフ…そうかい?」
「うん!でも…」キミはブリザードブレイバー弐式とブラスターを持ってため息を付く。
「フフ…今日はこのシェル・ソードはお預けだね…」「うん…」
落胆するキミを見て、マナは懐から板状の物を取り出した。
「今日はこれにしよう」そう言うと、マナはその懐から取り出した板状の物を左腕に装着した。
「そ、それは!?」「ああ、今日はこっちの戦いをしようじゃないか…!」
装着した板は札を置くのに適したフォルムに変形を遂げる。
「ほらキミも、アイテムボックスに収納してあるんだろう?『トークンデスク』をさ?」マナは不敵に笑う。
「もちろんだよマナ姉ちゃん!」キミは虚空に右手を伸ばすとマナのそれとは似て非なる板状のアイテムを引き摺り出し左腕に装着する。
キミの腕のトークンディスクも変形し札を置くのに適した形になった。
「それではキミ、始めようか、私たちの決闘領域を!」「ああ、行くぜマナ姉ちゃん!」
お互いのトークンデスクから相手の腕に向けてワイヤーのついた手枷が射出され、お互いの腕に装着される。
このワイヤーは実際には相手に強制決闘を仕掛ける場合に拘束し、デスク上に表示される己の生命値が減る度に同等のスパークショックを与えるワイヤーである。勿論トークンデスクのオプションパラメーターを操作すれば、スパークショックを無くすことも可能である。
「キミは今日は怪我人だからな…痛覚無しで遊ん方が良いかな?」マナは挑発するような口ぶりでキミに問いかけた。
「肘の痛みだから大丈夫さ!多少のリスクがなければお互いに満足できないでしょ?マナ姉ちゃん!」
「フフ、キミのそういう所、私は大好きだよ!私のターン!ドロー!!!」

二人のバトルビレッジが、今、幕を開けた!
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