沈む夕陽を見てた

沈む夕陽を見てた

２か月後、勇翔の新曲が出た。
配信限定のシングルで、タイトルは『沈む夕陽』
失恋ソングの様だ。
ジャケットには、砂浜で夕陽を眺める女の子が描かれていた。
私は、前、よく海を見に行ってた。車で２０分くらいの所の海だ。
特に、夕陽を眺めるのが好きだった。
曲を聴いていたら、海を見たくなって、久し振りに行ってみることにした。
ちょうど、夕陽が沈みかけていて、見ていたら、涙が止まらなくなった。
どれくらい経っただろう？
「サキ」
と呼ぶ声がして、振り返ると、タツジが立ってた。
「え、何で？」
タツジは近付いてきて、
「萩原咲子さん。前に手紙貰ったろ？この海が好きだって書いてあった。もしかしたらさ、俺の新曲聴いたら、来るんじゃないかって思ったんだ」
「あの」
タツジは、何も言わず抱きしめ、
「会いたかった」
と言った。
温かくて、気持ちいい。
私も会いたかった。
でも・・・。
「軽蔑なんかしてない。ただ、俺の方が傷付けたって思って、もう、関わらない方がいいのかなって思ったけど。でも、会いたい気持ちが強くなって」
「私、」
「部屋に行って話さない？」
それぞれの車でタツジの部屋に向かった。