赤い糸がほどけた

①

赤い糸がほどけた

香都巴が帰ってから話すと、
「ごめんね」
と言った。
「私は、可乃子さんにとっては、乎汰くんのお嫁さんとゆうより、子供って感じだから。晋くんも万吏江ちゃんも、妬いちゃうよね」
「もう、しょうがないよ」
「可乃子さんが言うのもわからなくないし」
「ん？」
「前に、晋くんと万吏江ちゃんと会ったって言ったじゃない？」
「あぁ、お母さんたちが来てる時」
「結ちゃんの話したって言ったでしょ？」
「あぁ」
「私、結ちゃんに遥ちゃんの家の事教えたの万吏江ちゃん？って言っちゃたの」
「おぉ、確かにそうだからな」
「その時、晋くんが怒った口調で、“兄貴が何て言ったか知らないけど、万吏江ちゃんは悪くない”ってそしたら、万吏江ちゃんが“晋は黙ってて”って言ったのよ」
「なるほどな。まぁ、万吏江はそんなとこあるかもな」
「でも、晋くんのあんな感じの初めてみた。いつも、無口で近寄りがたいようなとこあった」
「そう言われるとな。あんまり喋んないから、何考えてるのかわかんないとこもあったな、うん。母さんがそうゆうの見たら、嫌かもな」
「うん」
「ま、今は、一緒に住まない方がトラブル回避かもな」
俺も、実家で過ごすことも少しは考えた。
でも、職場からは遠い。
仕事は辞めたくない。今までも、結の事や、色々で世話になった。
自分の好きなように動ける。何より、やりがいも感じている。