25歳のキミへ

陽紫葵

文字の大きさ
2 / 16
中学生

25歳のキミへ

しおりを挟む
 航くんに初めて会ったのは、私が中学に入学して1か月程が経った頃だった。
昼休み、教室で本を読んでいた時だった。
教室には私以外には誰もいなかった。
ドアが開き、航くんが入ってきた。
航くんは3年生で、私はまだ、認知していなかった。
「克也知らない?」
「ううん」
「そっか、また、ズルかよ」
克也くんは同じクラスだ。
たしか、サッカー部だったかな。きっと、部活の先輩だ。
すぐに戻って行くと思ったけど、中に入ってきて、私の席の前に立った。
「この本、面白い?」
「うん」
私の読んでた本を手に取り、
「ふぅ~ん、なるほでね」
そう言って、戻って行った。
ほぼ入れ替わりで、乃依ちゃんが入ってきた。
乃依ちゃんは、同じクラスで、隣の席で、部活も同じで、今、一番仲がいい。
部活は、美術部だ。
「たぁちゃん、この前の課題さぁ、今週中に提出した方がいいらしいよ」
「そうなの?」
私は、友達からは、たぁちゃんと呼ばれている。1学年一クラスしかないような学校なので、みんな下の名前で呼び合うことが多いのだ。
課題とは、部活のデッサンの課題だった。
「今さぁ、航先輩にすれ違ったんだけど、もしかして、ここに来てた?」
「航先輩って?」
「知らないの?サッカー部のキャプテンだよ」
「そうなの?」
あの人がそう?
私たちの教室は突き当りなので、その先はない。
乃依ちゃんと美術室に向かい、昼休み中も課題に取り組んだ。
今まで気付かなかったけど、美術室からグランドが見えて、サッカー部の練習風景も見えてた。
私は気が付いたら、サッカー部の光景を書いてた。
「あれ?たぁちゃん、知らないとか言って、サッカー好きだったの?」
「え、別に、何となく」
「へぇ、そうなの?」
部活の時間、見回りに来た顧問の尼野先生に、
「藤澤さん、動きがあっていいわよ」
と言われて、嬉しくなった。
この絵を仕上げ、提出することにした。
6月、校内の文化展に展示された。
展示されていた、美術室にいると、航くんが入ってきて、
「この絵、君の?」
「はい」
「もしかして、これ、俺?」
絵の中の一人を指した。
ズバリなのだけど、
「そうかもしれない」
「上手いんだね、たぁちゃん」
「え?」
「この前、そう呼ばれてただろ?」
「え?」
その時、乃依ちゃんが来て、
「たぁちゃん」
と呼んだ。
「ほら」
そう言って、離れて行った。
「やっぱ、航先輩と知り合いなの?」
「知り合いってわけじゃない」
「どうゆうこと?」
この前の教室でのことを話した。
「それでも、羨ましいよ、航先輩と話せるなんて」
そう言われてもね・・・。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

佳子の恋路 ― 45歳 スマホの向こうに溺れ

MisakiNonagase
恋愛
新塚佳子(よしこ)45歳。夫と二人の子供に恵まれ、どこから見ても「幸せな主婦」として生きてきた。毎日のルーチンを淡々とこなし、自分という個性を消して「母」であり「妻」であることに徹してきた彼女の日常は、ある日、19歳の娘と訪れたショッピングモールで一変する。 若者からの予期せぬナンパ。そして、息子と同世代の少年から投げかけられた「可愛らしいお母さん」という言葉。それらは、佳子の中で眠っていた「女」の芽を、残酷なほど鮮やかに目覚めさせてしまった。 不倫なんて、他人事だと思っていた。家庭を壊すつもりなんて、微塵もなかった。 しかし、スマホの画面に映り込んだ「マッチングアプリ」の広告が、彼女の運命を狂わせていく。 これは、平凡な主婦が足を踏み外した「恋」という名の地獄。 傷ついた心に「上書き」は可能なのか。それとも、失った自尊心は二度と戻らないのか。 出口のない孤独の中で、佳子が選ぶ次の「一歩」とは――。 現代社会の隙間に潜む、45歳のリアルな情愛と再生を描く、衝撃の心理ドラマ。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

処理中です...