優しい嘘

陽紫葵

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優しい嘘

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店にも行かず、会わない日が10日続いた頃、福崎さんは私のアパートを訪ねてきた。部屋の前まで送ってもらったことが1度あったので、場所は知っている。
「職場に行こうと思ったんだけど、家の方がゆっくり話せるかなって。あ、彼氏に悪い?」
「ううん、どうぞ」
「おじゃまします」
ソファーに並んで座り、
「彼とは別れた」
「そっか」
「だから、もう、会わない方がいいかなって」
「俺と?」
「うん」
「何か、嫌な思いとかしてない?別れ際殴られたとか?」
「え?」
「いや、俺が殴られるんじゃないかって思ったくらいだけど。俺の彼女に手出して、とか」
「え、何それ」
彼との事を話し、
「そうだったんだ?でも、よかった。あ、こんなこと言っちゃダメだね。ごめん、俺、嘘ついた」
「嘘って?」
「俺、彼女はいない」
「え?」
「俺、彼氏の事聞く前から、碓井さんの事思ってて、ほんと言うとショックだった。ズルい話だけど、少しでも俺の事見てくれないかなぁって、寄り添おうとした。彼女いるって言ったのは、その方が、碓井さん一人に背負わせないかもって。そんなこと言って、結局は、身体の関係に持って行って、男としてズルい奴だな。ごめん」
「ううん。私は、福崎さんといる方が彼といる時より楽しくて、見えない彼女に嫉妬心もあった」
「ありがとう」
「え?」
「俺の事、嫌いになってない?軽蔑してない?」
「ううん」
「よかった」
と言って抱きしめた。
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