7 / 9
優しい噓
しおりを挟む
それから、毎日のように会うようになった。
福崎さんの店に行ったり、家に泊まったり。
そんな日々が1か月程続いた頃、ある女性が家に訪ねてきた。
いきなり、
「彼と別れて」
と言った。
彼って、もしかして、福崎さんの彼女?と頭をよぎったが、
「晋ちゃんと別れて」
と言った。
「晋也の事?」
「年上だからって、偉そうに」
「別に私は」
ふと気付いた。お腹が大きい。そうゆう事か。
「わかった。わかったから、今日は帰って」
と、帰ってもらい、すぐに晋也に電話をした。
「彼女来たよ」
「彼女って?」
「惚けないで!」
「そっか、アイツ行ったんだ?」
「妊娠、してるの?」
「あぁ、ごめん」
「いつから?」
「2年、かな」
やっぱ、あの頃か。
「鼓ちゃんのこと嫌いになったわけじゃない。会社の同僚で、飲み会で成り行きでそうなって、ずっと鼓ちゃんに申し訳なく思ってて、会うと気まずくて、なんか、避けるようにもなって、そうしてる内に、彼女と会う方が多くなって、甘えてしまって。この前、行った時、別れようって言おうと思ったのに言えなくて。また、あんな態度取ってしまって、ごめん」
私は何も言えなくなった。
「鼓ちゃん、聞いてる?」
「うん」
「鼓ちゃんもいるんだろ?他に」
「え?」
「その人と、幸せにな」
それにも答えられない。
「じゃ」
と、電話を切った。
Tutu…と電話の音が、冷たく感じた。
私は、晋也の何を見てたんだろう?きっと、何も変わってなかったんだ。でも、私は気付けなかった。
福崎さんい会いたい。
でも、福崎には彼女がいる。私にも彼氏がいるから、バランスの取れた付き合いだったはず。
別れたからと言って、委ねることは出来ない。
福崎さんの店に行ったり、家に泊まったり。
そんな日々が1か月程続いた頃、ある女性が家に訪ねてきた。
いきなり、
「彼と別れて」
と言った。
彼って、もしかして、福崎さんの彼女?と頭をよぎったが、
「晋ちゃんと別れて」
と言った。
「晋也の事?」
「年上だからって、偉そうに」
「別に私は」
ふと気付いた。お腹が大きい。そうゆう事か。
「わかった。わかったから、今日は帰って」
と、帰ってもらい、すぐに晋也に電話をした。
「彼女来たよ」
「彼女って?」
「惚けないで!」
「そっか、アイツ行ったんだ?」
「妊娠、してるの?」
「あぁ、ごめん」
「いつから?」
「2年、かな」
やっぱ、あの頃か。
「鼓ちゃんのこと嫌いになったわけじゃない。会社の同僚で、飲み会で成り行きでそうなって、ずっと鼓ちゃんに申し訳なく思ってて、会うと気まずくて、なんか、避けるようにもなって、そうしてる内に、彼女と会う方が多くなって、甘えてしまって。この前、行った時、別れようって言おうと思ったのに言えなくて。また、あんな態度取ってしまって、ごめん」
私は何も言えなくなった。
「鼓ちゃん、聞いてる?」
「うん」
「鼓ちゃんもいるんだろ?他に」
「え?」
「その人と、幸せにな」
それにも答えられない。
「じゃ」
と、電話を切った。
Tutu…と電話の音が、冷たく感じた。
私は、晋也の何を見てたんだろう?きっと、何も変わってなかったんだ。でも、私は気付けなかった。
福崎さんい会いたい。
でも、福崎には彼女がいる。私にも彼氏がいるから、バランスの取れた付き合いだったはず。
別れたからと言って、委ねることは出来ない。
1
あなたにおすすめの小説
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
幸せの見つけ方〜幼馴染は御曹司〜
葉月 まい
恋愛
近すぎて遠い存在
一緒にいるのに 言えない言葉
すれ違い、通り過ぎる二人の想いは
いつか重なるのだろうか…
心に秘めた想いを
いつか伝えてもいいのだろうか…
遠回りする幼馴染二人の恋の行方は?
幼い頃からいつも一緒にいた
幼馴染の朱里と瑛。
瑛は自分の辛い境遇に巻き込むまいと、
朱里を遠ざけようとする。
そうとは知らず、朱里は寂しさを抱えて…
・*:.。. ♡ 登場人物 ♡.。.:*・
栗田 朱里(21歳)… 大学生
桐生 瑛(21歳)… 大学生
桐生ホールディングス 御曹司
蝋燭
悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。
それは、祝福の鐘だ。
今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。
カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。
彼女は勇者の恋人だった。
あの日、勇者が記憶を失うまでは……
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月るるな
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
私と先輩のキス日和
壽倉雅
恋愛
出版社で小説担当の編集者をしている山辺梢は、恋愛小説家・三田村理絵の担当を新たにすることになった。公に顔出しをしていないため理絵の顔を知らない梢は、マンション兼事務所となっている理絵のもとを訪れるが、理絵を見た途端に梢は唖然とする。理絵の正体は、10年前に梢のファーストキスの相手であった高校の先輩・村田笑理だったのだ。笑理との10年ぶりの再会により、二人の関係は濃密なものになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる