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▽フラグが立ちました、違うそうじゃない
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ディアーナ・サンドストレームに宣戦布告をしてから1ヶ月が経った。その間の俺の頑張りは涙ぐましいものだった。すり寄りたくなんか全然ない王子と護衛に、媚びるような言葉や態度を見せ続けているのだ。正直だいぶ疲れている。
しかしそのおかげで、アイテール・イェーゲルフェルトは俺にだんだん冷たくなっている。会ってもすぐに「用事があるから」と立ち去る。いい傾向だ。
だからアイテール・イェーゲルフェルトに「話がある」と呼び止められた時は、めちゃくちゃ警戒した。もちろん表向きは「王子様に話しかけてもらえて嬉しい! ミタマ感激!」という体を装ったが。
中庭にあるベンチに、俺たちは並んで座った。俺がくっつくほどの距離で座ると、アイテール・イェーゲルフェルトはさりげなく距離を取った。それを少し離れたところでオグマ・カウッピネンが見ている。どういうわけかにやにやしている。
「この国の北西にあるナラカ山に、竜が出たとの知らせが届いた。お前が魔法学校で学び始めて1ヶ月が過ぎた。どれだけ力がついたのかを試すには、いい機会だろう」
それを聞いてピンときた。これは『青天の愛を受けとめて』にあったエピソードだ。
アイテール・イェーゲルフェルトには、10歳の時に竜を倒したという英雄譚がある。しかしこれはただの噂。アイテール・イェーゲルフェルトは竜を倒していない。
本当ではない英雄譚に踊らされている周囲が『理想の王子』と己を持ち上げてくることに、アイテール・イェーゲルフェルトは辟易していた。そんな彼の心を救うのが主人公である南大林玉依、つまり俺である。
これはチャンスだと思った。本来なら南大林玉依がやるべきことを、ディアーナにやらせればいい。そうすれば、アイテール・イェーゲルフェルトはディアーナに恋をするはずだ。
そう決めた俺は、困り切った顔をアイテール・イェーゲルフェルトに向けた。
「えぇ~。竜を倒すだなんて、私怖いですぅ。まだ魔法もちゃんと使えませんしぃ」
「だからこそ経験を……」
「アイテール様、私は魔王封印のために呼ばれたんですよね? なのにその前に死んじゃったらどうするんですか?」
アイテール・イェーゲルフェルトは言葉に詰まった様子を見せた。畳みかけるチャンスだ。
「そうだ! ディアーナ様に任せればいいんじゃないですか? ディアーナ様は魔法の成績いいですよね!」
「ディアーナに? だが……」
アイテール・イェーゲルフェルトは眉をしかめた。どんだけディアーナが嫌いなんだこいつ。ワガママなんて言ってもらってなんぼじゃねェのか。
どうやって後押しすべきか考えていると、オグマ・カウッピネンが一歩こちらに近づいた。
「いいんじゃありませんか? 確かにディアーナ様の魔力は国内随一です。公爵家の血を継いでいるだけのことはあります」
「……お前までそう言うのか。分かった。今回の竜退治はディアーナと俺で行く」
そう言うと、アイテール・イェーゲルフェルトは去った。こっちを一瞥もしない。
俺はオグマ・カウッピネンに向き直った。
「ありがとう、オグマ! 助かったわ。竜と戦うなんて、本当に怖くてぇ」
「はいはい」
適当に流された。『青天の愛を受け止めて』の中では南大林玉依に思いを寄せていたオグマ・カウッピネンも、男に媚び媚びの俺には興味がないのだろう。作戦は順調に進んでいるようだった。
竜退治当日。俺は護衛たちの目をかいくぐって、ナラカ山に来ていた。
ディアーナ一行は迷うことなくナラカ山を登っていく。俺は彼女たちに気付かれないよう距離を取りながら、その後を追った。
頂上につくと、強い風が吹いた。華奢なディアーナが飛んでいかないか心配になったが、彼女はちゃんと地面に足をつけている。
「まさか私が竜退治を任されるなんてね。だけど、竜退治の逸話を持つ英雄がいれば安心だわ」
用意されたような言葉を口にして、ディアーナはアイテール・イェーゲルフェルトを見た。多分、『青天の愛を受け止めて』での南大林玉依のセリフをそのまま言ったのだろう。
一方のアイテール・イェーゲルフェルトは、不機嫌そうにしかめっ面を浮かべていた。騎士たちから距離があることを確認した後、ディアーナに耳を寄せる。
「あんな話はでたらめだ。僕は竜なんて倒したことがない」
「えっ?」
ディアーナは目を丸くして見せた。
「確かに10歳の頃、僕は剣士長を倒すほどの腕前だった。それが噂に尾ひれをつけたのだろう。お前たちは本当ではない英雄譚に踊らされて、僕を『理想の王子』だと持ち上げてくる。正直うんざりだ」
その時、肌を刺すような殺気を感じた。頭上に目を向ければ、大きな竜が1匹、こちらを見下ろしていた。そして大きな声で鳴く。
『あ、人間だ! 今日も来てくれたんだ、嬉しいな。遊ぼ遊ぼ!』
俺の耳には、竜がそう言っているのが聞こえた。襲っていると聞いていたが、遊びたいだけなのかよと、思わず心の中でツッコむ。
だけどディアーナたちには、竜の言葉は分からない。
「出た! 竜だ!」
「お、大きい……!」
騎士たちは剣を抜くものの、その半数が怯えていた。へっぴり腰になっているのがちらほら。
アイテール・イェーゲルフェルトは小さく笑うと、剣を抜いた。
「ちょうどいい機会だと思ったんだ。ここで僕が竜にやられれば、偽りの英雄譚などかき消えてしまうだろうってな」
「それって……あなた、やられる気!?」
アイテール・イェーゲルフェルトは答えず、竜に向かって行った。周りの騎士たちもそれに呼応するものの、竜の固い鱗に阻まれてしまう。
『チャンバラ楽しい! ようし、次は僕の番~』
そう言って、竜は鋭い爪を振り下ろした。その爪は、アイテール・イェーゲルフェルトを狙っている。
アイテール・イェーゲルフェルトは逃げようとせず、刀を構えた。その目は死を覚悟していた。
思わず俺は駆け出そうとしていた。が、アイテール・イェーゲルフェルトに届くはずの爪は、半透明の紫色の盾のようなものに阻まれた。ディアーナの魔法だ。アイテール・イェーゲルフェルトは目を丸くして、ディアーナを見つめる。
「なぜ僕を守る?」
「馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ! 竜を退治していようがいまいが、あなたは王子なのよ! こんなところで命を落としちゃダメ! それにね、嘘っぱちの英雄譚が気に入らないなら、今ここで本当にしちゃえばいいのよ!」
アイテール・イェーゲルフェルトの目が見開かれた。俺は興奮していた。そうだ、確か南大林玉依が言ったのはそんな感じのセリフだった。これは恋愛フラグが立ちましたとも!
「私も手伝うから、やるわよアイテール様!」
ディアーナが再び呪文を唱える。テニスボール大の紫色の玉が空中に浮かび、それらが一斉に竜に向けて発射された。全弾が竜に命中する。
『痛い! ひどい! 何するんだよ、いじわるな人間! 燃えちゃえ!』
竜が大きく息を吸った。口の隙間から火が見える。
まずいと思った時には、俺の体は動いていた。ディアーナとアイテール・イェーゲルフェルトを抱えると、岩場の陰に隠れる。
ふたりが立っていたところを、竜が吐いた炎が黒焦げにした。ふたりとも顔を真っ青にした。
「な……ミタマ、どうしてここに」
ディアーナの問いに答えている暇はなかった。怒った竜は、標的を騎士たちに変えている。
刀を抜いて、俺は竜の前に立った。
「おい待て。さっきのはすまなかった。まさかお前が避けないとは思わなかったんだ。別の遊びをするから許してくれないか?」
そう言うと、竜は目をぱちくりとさせた後、腕を組む。
『うーん、面白いことならいいよ』
「面白いよ。さっきやってたチャンバラだ。俺のは他のやつらと一味違うぜ?」
『ほんと? じゃあやってみる!』
「よし、じゃあお前から攻撃してきな」
『うん!』
言うなり竜は爪を振り下ろした。騎士たちが「聖女様!」と悲鳴を上げるが、俺はそれを刀で受け止め、流した。
竜が攻撃し、俺が受け止めて流す。それを何度も繰り返した。
やがて竜は動きを止めた。大きな体をドスンと地面に横たえる。
『疲れた~。でもこんなにいっぱい遊んだのは初めて。楽しかった!』
「そりゃよかった」
『ね、また遊んでくれる?』
「ああいいよ。その代わり、他のやつと遊ぶのはナシな。他のやつはお前よりも先に疲れちゃうからな」
『うんわかった!』
竜は笑顔でそう言った後、そのまま寝てしまった。息をつく。
そこに騎士たちが駆けつけてきた。
「聖女様! ご無事ですか!?」
「ああ、俺……じゃなかった。私は大丈夫です。この竜も大人しくなりました。もう人は襲わないという約束もしてくれました」
その言葉に、騎士たちがざわめいた。
「竜と言葉を交わしたのですか!?」
「これが聖女の力……すごい……」
ディアーナとアイテール・イェーゲルフェルトもこちらにやってきた。心なしか、アイテール・イェーゲルフェルトの目がきらめいている。
と思っていると、アイテール・イェーゲルフェルトが俺の手を恭しく取った。
「見せてもらったぞ、タマヨリ。危険を顧みず僕たちを助け、竜を倒すのではなく鎮めてみせた。お前ほどの美しい心の持ち主を見たことがない」
俺をまっすぐに見つめるアイテール・イェーゲルフェルトの目には、熱が籠っていた。頬は赤く上気している。
嫌な予感がしてディアーナを見ると、彼女は眉を吊り上げて俺とアイテール・イェーゲルフェルトを見ていた。
もしかしなくてもアイテール・イェーゲルフェルトは、俺に恋をしてしまったらしい。嘘だろおい。
しかしそのおかげで、アイテール・イェーゲルフェルトは俺にだんだん冷たくなっている。会ってもすぐに「用事があるから」と立ち去る。いい傾向だ。
だからアイテール・イェーゲルフェルトに「話がある」と呼び止められた時は、めちゃくちゃ警戒した。もちろん表向きは「王子様に話しかけてもらえて嬉しい! ミタマ感激!」という体を装ったが。
中庭にあるベンチに、俺たちは並んで座った。俺がくっつくほどの距離で座ると、アイテール・イェーゲルフェルトはさりげなく距離を取った。それを少し離れたところでオグマ・カウッピネンが見ている。どういうわけかにやにやしている。
「この国の北西にあるナラカ山に、竜が出たとの知らせが届いた。お前が魔法学校で学び始めて1ヶ月が過ぎた。どれだけ力がついたのかを試すには、いい機会だろう」
それを聞いてピンときた。これは『青天の愛を受けとめて』にあったエピソードだ。
アイテール・イェーゲルフェルトには、10歳の時に竜を倒したという英雄譚がある。しかしこれはただの噂。アイテール・イェーゲルフェルトは竜を倒していない。
本当ではない英雄譚に踊らされている周囲が『理想の王子』と己を持ち上げてくることに、アイテール・イェーゲルフェルトは辟易していた。そんな彼の心を救うのが主人公である南大林玉依、つまり俺である。
これはチャンスだと思った。本来なら南大林玉依がやるべきことを、ディアーナにやらせればいい。そうすれば、アイテール・イェーゲルフェルトはディアーナに恋をするはずだ。
そう決めた俺は、困り切った顔をアイテール・イェーゲルフェルトに向けた。
「えぇ~。竜を倒すだなんて、私怖いですぅ。まだ魔法もちゃんと使えませんしぃ」
「だからこそ経験を……」
「アイテール様、私は魔王封印のために呼ばれたんですよね? なのにその前に死んじゃったらどうするんですか?」
アイテール・イェーゲルフェルトは言葉に詰まった様子を見せた。畳みかけるチャンスだ。
「そうだ! ディアーナ様に任せればいいんじゃないですか? ディアーナ様は魔法の成績いいですよね!」
「ディアーナに? だが……」
アイテール・イェーゲルフェルトは眉をしかめた。どんだけディアーナが嫌いなんだこいつ。ワガママなんて言ってもらってなんぼじゃねェのか。
どうやって後押しすべきか考えていると、オグマ・カウッピネンが一歩こちらに近づいた。
「いいんじゃありませんか? 確かにディアーナ様の魔力は国内随一です。公爵家の血を継いでいるだけのことはあります」
「……お前までそう言うのか。分かった。今回の竜退治はディアーナと俺で行く」
そう言うと、アイテール・イェーゲルフェルトは去った。こっちを一瞥もしない。
俺はオグマ・カウッピネンに向き直った。
「ありがとう、オグマ! 助かったわ。竜と戦うなんて、本当に怖くてぇ」
「はいはい」
適当に流された。『青天の愛を受け止めて』の中では南大林玉依に思いを寄せていたオグマ・カウッピネンも、男に媚び媚びの俺には興味がないのだろう。作戦は順調に進んでいるようだった。
竜退治当日。俺は護衛たちの目をかいくぐって、ナラカ山に来ていた。
ディアーナ一行は迷うことなくナラカ山を登っていく。俺は彼女たちに気付かれないよう距離を取りながら、その後を追った。
頂上につくと、強い風が吹いた。華奢なディアーナが飛んでいかないか心配になったが、彼女はちゃんと地面に足をつけている。
「まさか私が竜退治を任されるなんてね。だけど、竜退治の逸話を持つ英雄がいれば安心だわ」
用意されたような言葉を口にして、ディアーナはアイテール・イェーゲルフェルトを見た。多分、『青天の愛を受け止めて』での南大林玉依のセリフをそのまま言ったのだろう。
一方のアイテール・イェーゲルフェルトは、不機嫌そうにしかめっ面を浮かべていた。騎士たちから距離があることを確認した後、ディアーナに耳を寄せる。
「あんな話はでたらめだ。僕は竜なんて倒したことがない」
「えっ?」
ディアーナは目を丸くして見せた。
「確かに10歳の頃、僕は剣士長を倒すほどの腕前だった。それが噂に尾ひれをつけたのだろう。お前たちは本当ではない英雄譚に踊らされて、僕を『理想の王子』だと持ち上げてくる。正直うんざりだ」
その時、肌を刺すような殺気を感じた。頭上に目を向ければ、大きな竜が1匹、こちらを見下ろしていた。そして大きな声で鳴く。
『あ、人間だ! 今日も来てくれたんだ、嬉しいな。遊ぼ遊ぼ!』
俺の耳には、竜がそう言っているのが聞こえた。襲っていると聞いていたが、遊びたいだけなのかよと、思わず心の中でツッコむ。
だけどディアーナたちには、竜の言葉は分からない。
「出た! 竜だ!」
「お、大きい……!」
騎士たちは剣を抜くものの、その半数が怯えていた。へっぴり腰になっているのがちらほら。
アイテール・イェーゲルフェルトは小さく笑うと、剣を抜いた。
「ちょうどいい機会だと思ったんだ。ここで僕が竜にやられれば、偽りの英雄譚などかき消えてしまうだろうってな」
「それって……あなた、やられる気!?」
アイテール・イェーゲルフェルトは答えず、竜に向かって行った。周りの騎士たちもそれに呼応するものの、竜の固い鱗に阻まれてしまう。
『チャンバラ楽しい! ようし、次は僕の番~』
そう言って、竜は鋭い爪を振り下ろした。その爪は、アイテール・イェーゲルフェルトを狙っている。
アイテール・イェーゲルフェルトは逃げようとせず、刀を構えた。その目は死を覚悟していた。
思わず俺は駆け出そうとしていた。が、アイテール・イェーゲルフェルトに届くはずの爪は、半透明の紫色の盾のようなものに阻まれた。ディアーナの魔法だ。アイテール・イェーゲルフェルトは目を丸くして、ディアーナを見つめる。
「なぜ僕を守る?」
「馬鹿なこと言ってるんじゃないわよ! 竜を退治していようがいまいが、あなたは王子なのよ! こんなところで命を落としちゃダメ! それにね、嘘っぱちの英雄譚が気に入らないなら、今ここで本当にしちゃえばいいのよ!」
アイテール・イェーゲルフェルトの目が見開かれた。俺は興奮していた。そうだ、確か南大林玉依が言ったのはそんな感じのセリフだった。これは恋愛フラグが立ちましたとも!
「私も手伝うから、やるわよアイテール様!」
ディアーナが再び呪文を唱える。テニスボール大の紫色の玉が空中に浮かび、それらが一斉に竜に向けて発射された。全弾が竜に命中する。
『痛い! ひどい! 何するんだよ、いじわるな人間! 燃えちゃえ!』
竜が大きく息を吸った。口の隙間から火が見える。
まずいと思った時には、俺の体は動いていた。ディアーナとアイテール・イェーゲルフェルトを抱えると、岩場の陰に隠れる。
ふたりが立っていたところを、竜が吐いた炎が黒焦げにした。ふたりとも顔を真っ青にした。
「な……ミタマ、どうしてここに」
ディアーナの問いに答えている暇はなかった。怒った竜は、標的を騎士たちに変えている。
刀を抜いて、俺は竜の前に立った。
「おい待て。さっきのはすまなかった。まさかお前が避けないとは思わなかったんだ。別の遊びをするから許してくれないか?」
そう言うと、竜は目をぱちくりとさせた後、腕を組む。
『うーん、面白いことならいいよ』
「面白いよ。さっきやってたチャンバラだ。俺のは他のやつらと一味違うぜ?」
『ほんと? じゃあやってみる!』
「よし、じゃあお前から攻撃してきな」
『うん!』
言うなり竜は爪を振り下ろした。騎士たちが「聖女様!」と悲鳴を上げるが、俺はそれを刀で受け止め、流した。
竜が攻撃し、俺が受け止めて流す。それを何度も繰り返した。
やがて竜は動きを止めた。大きな体をドスンと地面に横たえる。
『疲れた~。でもこんなにいっぱい遊んだのは初めて。楽しかった!』
「そりゃよかった」
『ね、また遊んでくれる?』
「ああいいよ。その代わり、他のやつと遊ぶのはナシな。他のやつはお前よりも先に疲れちゃうからな」
『うんわかった!』
竜は笑顔でそう言った後、そのまま寝てしまった。息をつく。
そこに騎士たちが駆けつけてきた。
「聖女様! ご無事ですか!?」
「ああ、俺……じゃなかった。私は大丈夫です。この竜も大人しくなりました。もう人は襲わないという約束もしてくれました」
その言葉に、騎士たちがざわめいた。
「竜と言葉を交わしたのですか!?」
「これが聖女の力……すごい……」
ディアーナとアイテール・イェーゲルフェルトもこちらにやってきた。心なしか、アイテール・イェーゲルフェルトの目がきらめいている。
と思っていると、アイテール・イェーゲルフェルトが俺の手を恭しく取った。
「見せてもらったぞ、タマヨリ。危険を顧みず僕たちを助け、竜を倒すのではなく鎮めてみせた。お前ほどの美しい心の持ち主を見たことがない」
俺をまっすぐに見つめるアイテール・イェーゲルフェルトの目には、熱が籠っていた。頬は赤く上気している。
嫌な予感がしてディアーナを見ると、彼女は眉を吊り上げて俺とアイテール・イェーゲルフェルトを見ていた。
もしかしなくてもアイテール・イェーゲルフェルトは、俺に恋をしてしまったらしい。嘘だろおい。
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