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本編
目が覚めた
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……という夢を見て、寝汗びっしょりで目が覚めた。
外はまだ、白みがかって間がない時間のようだ。
昨日は…と逡巡し、王太子との婚約を結びに登城した7歳の日だと思い出す。妙にリアルすぎた夢のせいで、記憶が混乱してる。
毒を飲んだ生々しい感触が残っていて、胸焼けのようにへばりついた痛みが不快だ。まるで実際に体験した事かのように感じられて、暗澹たる気持ちになる。
こんな夢を見たのも、この国のレグノ・ロワイヨーム王太子殿下の婚約者候補に選ばれるなどという、身に余る光栄に与った反動かもしれない。そのせいで、期待と不安が将来を予想して、あんなしんどい夢になったのかもしれない。
(選ばれてすごく嬉しかったけど、あまりの事に心に負担かかっちゃったのかな?)
起きるまで時間がある。ゆっくりと夢で覚えてる事を整理してみよう。
さすがにあんな最期にはならないと思いたい。ちょっとアレは酷すぎる。
でも、王太子妃教育についていけず苦労するってのは有り得ると思う。わたしは言われた通りの勉強はちゃんとやる方だけど、頭は良くない。淑女教育だけでいっぱいいっぱいだ。
(嫌だな…)
出来ればやりたくない。王太子妃候補だとそういうわけにはいかないから、なんなら候補から外して欲しい。
(どうせどこかの男爵令嬢さんに取られるだけの男だもんね…)
自虐するような乾いた笑いが出る。正直、メリット無さすぎて王太子要らないわ。
あれこれ考えながら時間までゴロゴロしていると、侍女のアビゲイル・スーブレットがモーニングコールにやってきた。
「あらめずらし、起きてたんだ」
ノックもせず雑に扉を開け、カーテンを適当に広げながらぶっきらぼうにわたしに向かって言う。
(イラッ)
昨日までは仕方ないと思っていた使用人の態度が、今日は異常に鼻についた。
「わたくしは将来の王太子妃よ?未来の国母よ?態度を改めなさい」
「はンっ!」
コイツ、鼻で笑いやがった。
あぁもう何するのもなんだかうんざりね。
「体調が優れないから朝食はキャンセルするわ。何かベッドで食べられる軽食を持ってきて」
家族と顔を会わすのも億劫に感じて、仮病を使った。実際、関節は痛むし吐き気もする。毒の効力が残っているみたいだ。それ以上に、動きたくない。
「わがまま言っては困ります、朝食は皆様とダイニングで」
決まりですから、とにべもなく言って布団を引っぺがしてくる。彼女はわたしの都合なんて関心なくて、さっさと適当に自分の仕事終わらせる事にしか興味ないんだろう。
(あぁそういえば、この侍女は問題児で各所たらい回しになった上、最終的に誰もやりたがらないわたし付きの侍女を押し付けられたんだっけ)
だから最初からわたしを軽蔑して馬鹿にしてて、真面目に仕事する気が無いんだ。
元々王都男爵家の三女か何かで、男爵家の厄介のくせに王都出身ってプライドだけが異常に高いのだ。地方や地区の出の他の使用人たちを下に見て偉そうにしていたために爪弾き食らった札付きだ。
(こんなのにでも味方になって欲しくて、気に入られようと媚びを売ってた夢の中のわたしって、ホント馬鹿だね)
コイツも、要らない。
「ならいいわ、体調が良くないのでもうしばらく寝る。あなたは出ていって」
「はぁっ?!」
わたしの突き放した物言いにプライドを傷つけられたのか、侍女アビゲイルはそんなの認められるわけない!とギャーギャーわめいてわたしをベッドから引きずり下ろそうとする。が、
「うるさい、出て行け」
ジッと目を見据えて睨みつけ、ドアの外を指差し低い声で命じる。
一瞬、躊躇うように息を呑み、アビゲイルはすごすごと部屋から出ていった。
あー、せいせいした。
清潔な毛布を被り直し、幸せな二度寝を堪能する。
外はまだ、白みがかって間がない時間のようだ。
昨日は…と逡巡し、王太子との婚約を結びに登城した7歳の日だと思い出す。妙にリアルすぎた夢のせいで、記憶が混乱してる。
毒を飲んだ生々しい感触が残っていて、胸焼けのようにへばりついた痛みが不快だ。まるで実際に体験した事かのように感じられて、暗澹たる気持ちになる。
こんな夢を見たのも、この国のレグノ・ロワイヨーム王太子殿下の婚約者候補に選ばれるなどという、身に余る光栄に与った反動かもしれない。そのせいで、期待と不安が将来を予想して、あんなしんどい夢になったのかもしれない。
(選ばれてすごく嬉しかったけど、あまりの事に心に負担かかっちゃったのかな?)
起きるまで時間がある。ゆっくりと夢で覚えてる事を整理してみよう。
さすがにあんな最期にはならないと思いたい。ちょっとアレは酷すぎる。
でも、王太子妃教育についていけず苦労するってのは有り得ると思う。わたしは言われた通りの勉強はちゃんとやる方だけど、頭は良くない。淑女教育だけでいっぱいいっぱいだ。
(嫌だな…)
出来ればやりたくない。王太子妃候補だとそういうわけにはいかないから、なんなら候補から外して欲しい。
(どうせどこかの男爵令嬢さんに取られるだけの男だもんね…)
自虐するような乾いた笑いが出る。正直、メリット無さすぎて王太子要らないわ。
あれこれ考えながら時間までゴロゴロしていると、侍女のアビゲイル・スーブレットがモーニングコールにやってきた。
「あらめずらし、起きてたんだ」
ノックもせず雑に扉を開け、カーテンを適当に広げながらぶっきらぼうにわたしに向かって言う。
(イラッ)
昨日までは仕方ないと思っていた使用人の態度が、今日は異常に鼻についた。
「わたくしは将来の王太子妃よ?未来の国母よ?態度を改めなさい」
「はンっ!」
コイツ、鼻で笑いやがった。
あぁもう何するのもなんだかうんざりね。
「体調が優れないから朝食はキャンセルするわ。何かベッドで食べられる軽食を持ってきて」
家族と顔を会わすのも億劫に感じて、仮病を使った。実際、関節は痛むし吐き気もする。毒の効力が残っているみたいだ。それ以上に、動きたくない。
「わがまま言っては困ります、朝食は皆様とダイニングで」
決まりですから、とにべもなく言って布団を引っぺがしてくる。彼女はわたしの都合なんて関心なくて、さっさと適当に自分の仕事終わらせる事にしか興味ないんだろう。
(あぁそういえば、この侍女は問題児で各所たらい回しになった上、最終的に誰もやりたがらないわたし付きの侍女を押し付けられたんだっけ)
だから最初からわたしを軽蔑して馬鹿にしてて、真面目に仕事する気が無いんだ。
元々王都男爵家の三女か何かで、男爵家の厄介のくせに王都出身ってプライドだけが異常に高いのだ。地方や地区の出の他の使用人たちを下に見て偉そうにしていたために爪弾き食らった札付きだ。
(こんなのにでも味方になって欲しくて、気に入られようと媚びを売ってた夢の中のわたしって、ホント馬鹿だね)
コイツも、要らない。
「ならいいわ、体調が良くないのでもうしばらく寝る。あなたは出ていって」
「はぁっ?!」
わたしの突き放した物言いにプライドを傷つけられたのか、侍女アビゲイルはそんなの認められるわけない!とギャーギャーわめいてわたしをベッドから引きずり下ろそうとする。が、
「うるさい、出て行け」
ジッと目を見据えて睨みつけ、ドアの外を指差し低い声で命じる。
一瞬、躊躇うように息を呑み、アビゲイルはすごすごと部屋から出ていった。
あー、せいせいした。
清潔な毛布を被り直し、幸せな二度寝を堪能する。
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