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Trash Land
completely impossible V
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【Don't get angry.〝Capelthwaite〟】
「怒りたくもなるわ! 一体お前はこの俺になんの恨みがあるんだよ!! 此処のシステムの構築に、一体どれくらい時間と金が掛かったと思っているんだ!?」
マイクに向かって絶叫する彼を他所に、再びキーが動く。そして画面に映し出された文字は……。
【It sympathizes】
「いらんわ、そんなモン!」
言い放ち、別のキーボードを持ち上げてキーを弾く。システム内に〝エクスキューショナー〟が無数に排出された。
だがそれは、人形――E・ヘッドの植え付けた〝カンサー・セル〟に呑み込まれるだけだった。
「とっととあの迷惑な野郎を連れて帰れ、A・ヘッド!」
【Do so. But I'm wondering if I should let him play a little more】
「冗談は止めてくれ。これ以上あいつに遊ばれたら、俺は真剣に転職先を考えなくてはならなくなる」
溜息をひとつ、だがキーを打つその手を止めずに彼は言う。
彼が――カペルスウェイトが現状で出来る手段。それは〝エクスキューショナー〟を排出し続けて少しでも〝カンサー・セル〟の侵蝕を食い止め、バックアップされていないデータを守ること。
だがそれにも限界がある。〝エクスキューショナー〟を侵蝕した〝カンサー・セル〟は、自己増殖を繰り返して肥大化する。
幾ら大容量の記憶媒体を搭載していても、放っておけば一秒間に50Gbも増殖するそのウイルスに対抗出来る筈もない。
【Kk】
その文字が画面に映し出され、そして一瞬だけだがコンピューターが暴走した。
そしてその結果、排出された〝エクスキューショナー〟は元より〝カンサー・セル〟までもが消失した。
【They are electric appliances after all. can't beat electricity】
画面にその文字が羅列され、そしてそれは更に続いた。
【Would have played enough. About time let's go home】
それは、その事象に戸惑っている人形――E・ヘッドに向けてのメッセージであった。
『いヤだ、ボクは帰らナい。久しぶリに外へ出られタんだ、もっとモっと遊んでイく!』
システム内の人形――E・ヘッドが、自らの頭を掻き毟りながら激しく首を振る。
それは、駄々を捏ねる子供のようであった。
そして何処ともなく見詰め、
『お前は良いヨな、ずっト外に出らレていて。ボクはいツでも、なにカの中だ。ソう、決して外ニは出られナい』
それは怨嗟のようであり、またそれ以上に、願望でもあった。
【……Each=Uisge】
その文字が画面に表示された瞬間、人形の姿が白面のピエロに戻る。
名を呼ばれたのだ。
A・ヘッド――御主人様に。そしてそれは、絶対に贖えないこと。逆らえば、自分の人格が修正されてしまう。それは自分が自分でなくなるということであり、また新たなE・ヘッドを作り出すという脅迫でもある。
【Clever boy】
電流の触手が白面のピエロ――E・ヘッドを優しく撫でる。
それを見たカペルスウェイトは一言、
「相変わらずの子煩悩だな」
ただのプログラムなのに。そう呟き、システムの復旧をし始め――だが、再び画面に文字が打ち出され、その手を止めた。
「そうか……時間を忘れていたよ。もうそろそろなんだよな」
画面が数回点滅し、それが事実だと告げた。そして更に時刻が表示される。
「16.59タイムか……まぁ、システムの復旧は後にしよう」
呟き、自分の椅子に座る。そしていつものように大股開きで仰け反ってモニターを見詰めた。
そんな全て終わったとばかりに余裕綽々な様に、研究員が慌てて駆け寄る。
「そんなことをしていると、ウイルスが増殖してしまいます! なんとかして下さい!!」
悲鳴じみた絶叫を上げる研究員を鬱陶しげに一瞥し、カペルスウェイトはシステム内を映し出しているモニターを指差す。声を出すのも面倒といった様子だ。
そしてシステム内には、ウイルスは元よりその痕跡すらなかった。
「所詮ウイルスもプログラムも、電化製品なんだよ。電気がなければ作動しない」
E・ヘッドの放ったウイルスは、A・ヘッドの〝能力〟である〝エレクトロキネシス〟によって消滅したのである。
それが事実であっても、俄かに信じ難いのもまた事実なのだが、カペルスウェイトがそう言うのならば、自分に出来ることはなにもない。
そう思い、自分を納得させる研究員だった。
それでも釈然としないのは、人として当然だが。
なにしろ事情を話してくれないのだ。頭では解っているが、どうしても納得いかない。
「……おい、一体どういうことだよ!?」
そんなことを考えて勝手に悩んでいる研究員だったが、カペルスウェイトが突然大声を上げたために思考を中断した。これほど慌てている彼を、今まで見たことがないからだ。
「ど、どうしたのですか!?」
慌てて訊く研究員に、彼は絶望の表情を浮かべ、ただ無言でモニターを指差した。
そしてそれを見た研究員は――
「お、おう」
呆れを通り越して力が抜けてしまった。
『本日は予定を変更しまして、特別番組をお送りします――』
モニターから、そんな声が聞こえて来る。
そう、実はカペルスウェイトもまた――
『まぁぶる物語』のファンだった……。
「怒りたくもなるわ! 一体お前はこの俺になんの恨みがあるんだよ!! 此処のシステムの構築に、一体どれくらい時間と金が掛かったと思っているんだ!?」
マイクに向かって絶叫する彼を他所に、再びキーが動く。そして画面に映し出された文字は……。
【It sympathizes】
「いらんわ、そんなモン!」
言い放ち、別のキーボードを持ち上げてキーを弾く。システム内に〝エクスキューショナー〟が無数に排出された。
だがそれは、人形――E・ヘッドの植え付けた〝カンサー・セル〟に呑み込まれるだけだった。
「とっととあの迷惑な野郎を連れて帰れ、A・ヘッド!」
【Do so. But I'm wondering if I should let him play a little more】
「冗談は止めてくれ。これ以上あいつに遊ばれたら、俺は真剣に転職先を考えなくてはならなくなる」
溜息をひとつ、だがキーを打つその手を止めずに彼は言う。
彼が――カペルスウェイトが現状で出来る手段。それは〝エクスキューショナー〟を排出し続けて少しでも〝カンサー・セル〟の侵蝕を食い止め、バックアップされていないデータを守ること。
だがそれにも限界がある。〝エクスキューショナー〟を侵蝕した〝カンサー・セル〟は、自己増殖を繰り返して肥大化する。
幾ら大容量の記憶媒体を搭載していても、放っておけば一秒間に50Gbも増殖するそのウイルスに対抗出来る筈もない。
【Kk】
その文字が画面に映し出され、そして一瞬だけだがコンピューターが暴走した。
そしてその結果、排出された〝エクスキューショナー〟は元より〝カンサー・セル〟までもが消失した。
【They are electric appliances after all. can't beat electricity】
画面にその文字が羅列され、そしてそれは更に続いた。
【Would have played enough. About time let's go home】
それは、その事象に戸惑っている人形――E・ヘッドに向けてのメッセージであった。
『いヤだ、ボクは帰らナい。久しぶリに外へ出られタんだ、もっとモっと遊んでイく!』
システム内の人形――E・ヘッドが、自らの頭を掻き毟りながら激しく首を振る。
それは、駄々を捏ねる子供のようであった。
そして何処ともなく見詰め、
『お前は良いヨな、ずっト外に出らレていて。ボクはいツでも、なにカの中だ。ソう、決して外ニは出られナい』
それは怨嗟のようであり、またそれ以上に、願望でもあった。
【……Each=Uisge】
その文字が画面に表示された瞬間、人形の姿が白面のピエロに戻る。
名を呼ばれたのだ。
A・ヘッド――御主人様に。そしてそれは、絶対に贖えないこと。逆らえば、自分の人格が修正されてしまう。それは自分が自分でなくなるということであり、また新たなE・ヘッドを作り出すという脅迫でもある。
【Clever boy】
電流の触手が白面のピエロ――E・ヘッドを優しく撫でる。
それを見たカペルスウェイトは一言、
「相変わらずの子煩悩だな」
ただのプログラムなのに。そう呟き、システムの復旧をし始め――だが、再び画面に文字が打ち出され、その手を止めた。
「そうか……時間を忘れていたよ。もうそろそろなんだよな」
画面が数回点滅し、それが事実だと告げた。そして更に時刻が表示される。
「16.59タイムか……まぁ、システムの復旧は後にしよう」
呟き、自分の椅子に座る。そしていつものように大股開きで仰け反ってモニターを見詰めた。
そんな全て終わったとばかりに余裕綽々な様に、研究員が慌てて駆け寄る。
「そんなことをしていると、ウイルスが増殖してしまいます! なんとかして下さい!!」
悲鳴じみた絶叫を上げる研究員を鬱陶しげに一瞥し、カペルスウェイトはシステム内を映し出しているモニターを指差す。声を出すのも面倒といった様子だ。
そしてシステム内には、ウイルスは元よりその痕跡すらなかった。
「所詮ウイルスもプログラムも、電化製品なんだよ。電気がなければ作動しない」
E・ヘッドの放ったウイルスは、A・ヘッドの〝能力〟である〝エレクトロキネシス〟によって消滅したのである。
それが事実であっても、俄かに信じ難いのもまた事実なのだが、カペルスウェイトがそう言うのならば、自分に出来ることはなにもない。
そう思い、自分を納得させる研究員だった。
それでも釈然としないのは、人として当然だが。
なにしろ事情を話してくれないのだ。頭では解っているが、どうしても納得いかない。
「……おい、一体どういうことだよ!?」
そんなことを考えて勝手に悩んでいる研究員だったが、カペルスウェイトが突然大声を上げたために思考を中断した。これほど慌てている彼を、今まで見たことがないからだ。
「ど、どうしたのですか!?」
慌てて訊く研究員に、彼は絶望の表情を浮かべ、ただ無言でモニターを指差した。
そしてそれを見た研究員は――
「お、おう」
呆れを通り越して力が抜けてしまった。
『本日は予定を変更しまして、特別番組をお送りします――』
モニターから、そんな声が聞こえて来る。
そう、実はカペルスウェイトもまた――
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