10番目の同級生

ジャメヴ

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五木を忍ぶ会

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4月2日午前11時
  五木の葬式当日、田舎町の葬式にしては、多くの参列者があった。同級生は全員来ているようだ。学生時代は皆同じ格好なので、卒業してからのファッションで、その後の生活が分かる楽しみがあるが、今日は皆、礼服の為、学生時代とあまり違いが無い。変化と言えば、髪型と眼鏡ぐらいだろうか。周りを見渡し、同級生達の変化を確認していると、六角が来ている事に気が付いた。昨日、父親が亡くなったとニュースがあったが、葬式は今日じゃなかったんだろうかと疑問に思った。もし、葬式が被ったのなら父親を優先するだろうから。
  六角は、そんなに仲が良かった訳でも無い、五木の両親と長めに話している。六角は中学時代裸眼だったが、今日はインテリ風に縁無しの小さなレンズの眼鏡をしていた。
  皆、久し振りだが厳粛な場なので、あまり、ワイワイとは出来ない。軽く挨拶する程度だ。まあ、再会を祝うのは、この後の五木を偲ぶ会で出来るというのもあってだろう。三橋さんと九十九さんは、その後の準備の為、少し早めに退出した。三橋さん、九十九さんに続いて何故か二岡も席を立つ。
   そして、五木は霊柩車で運ばれていった……。

「久しぶりだな!」「おお、久しぶり!」「皆、変わってないね」
葬式ではセーブして喋っていたようで、皆、ここでは再会の喜びを体全体で表現していた。幹事三橋さんの父親は、俺達の住む田舎町から車で20分程離れた場所にカラオケ店を経営している。今日はそこを貸し切って行われる。カラオケルームに入ると、部屋は広めで10人ぐらいは余裕で入れそうだ。既に、寿司やらジュースやら準備されている。カラオケも当然できるが、このクラスには歌唱力自慢はおらず、恐らく使わないだろう。
  ぞろぞろと他のメンバーが入ってきた。皆、4年ぶりの再会を楽しんでいるようだ。そこに、二岡が500ミリリットル入りのペットボトルのお茶を運んできた。二岡が手伝うなんて珍しい。卒業後、何かあったんだろうか?  お寺で修行でもして改心したのだろうか?
  そのあと、幹事三橋さんがピザを、九十九さんが唐揚げを運んできた。これで8人全員が揃ったようだ。乾杯は当然のように地元名産のお茶『緑雲』だ。田舎町なので、俺達のクラスは10人だけだった。

二岡隆文
クラスに1人はいる不良。短気で自己中。中学時代は六角、十文字とつるんで悪さばかりしていた。

三橋真奈美
委員長と言えばこの人。責任感が強く、頭が良く、スポーツ万能で美人。ただ、このクラスは美女揃いなので男性人気はそこまででもなかった。

四天王寺勝
正義感が強く、自分の意見をハッキリ言える、日本人離れした性格。二岡の暴走を止められる唯一の人物。二岡は四天王寺の目の届くところでは悪さはしない。

五木浩二(事故死)
性格が良く、二枚目。女性に優しく、明るく人気者。大金を手にしたがっていて、『炎のティアラ』窃盗を試みるが車に轢かれ死亡。

六角信孝
コスモグループの御曹司。運動能力に長け、頭脳も明晰だが、やる気を出さない。当時は二岡とよくつるんでいた。卒業後は金遣いが荒くなったらしい。

七瀬恵
クラス1の美女。男性に好かれる性格で、勘違いされやすい。その容姿を気に入られ、コスモグループに就職し受付をしているらしい。

八重樫健
3枚目で明るく人気があるが、お馬鹿。真っ直ぐ過ぎる性格で損をする事も。チャラ男。

九十九優子
スレンダー美人。何をするにも遠慮がち。大人しく守ってやりたい女性。

十文字太郎(自殺?)
背が低く、女性のような顔立ち。二岡に連れ回され、嫌々、犯罪に付き合わされたりしていたようだが、二岡のイジメがエスカレートし、命を絶ったと噂が流れた。

  全員にお茶が行き渡ったようだ。
「今日は、五木君に急な不幸があって非常に残念なんだけど、皆が元気そうでホッとしました。今日は五木君との思い出を皆で話し合いながら、楽しみましょう、献杯」
「献杯」
幹事三橋さんが献杯の音頭をとって、最初の1杯のお茶を飲んだ後、暫くすると強い眩暈に襲われた。
  ん?  ……あれ?  ヤバい……。
  俺は、座り込むと同時に、徐々に意識がなくなった。
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