10番目の同級生

ジャメヴ

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十文字へのイジメ

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  5年前、全員は先生から十文字がイジメを苦に自殺したと聞かされていた。主犯は二岡だが、10人のクラスなので全員が少しは関わっている。

「十文字が自殺したのも、今回の目隠しと拘束も全部俺のせいだっていうのか?」
二岡らしき男性が発言した。
「一ノ瀬です。そういうつもりで言ったんじゃないけど、そうなるね」
「別に俺もイジメている意識は無かったし、終わった話だろ!」
「三橋です。二岡君、発言する時は名前を。あと、被害者の立場になれば、イジメに終わりは無いよ」
「……」
「七瀬です。取り敢えず、警察に通報出来ないかな?  近くに鞄ある人居ない?」
「一ノ瀬です。さすがに犯人が荷物を集めてると思うよ」
「そうだよね……」
「三橋です。十文字君のイジメの件について話しますか?  犯人はそれが聞きたいのかも知れない」
「二岡です。どう考えても、その話だと不利になるんで違う話がいいな」
「三橋です。じゃあ、どうしま……」
ゴキィーーン!
「ううう……」
「えっ!」「え?!」「何?!」
「殴られた……」
「!!」
「三橋です。二岡君が殴られたの?!」
「ああ……」
金属音だったように聞こえた。金属バットで殴ったのかも知れない。
「大丈夫?」
「ああ、何とか」
「ちょっと、ヤバいんじゃないか?」「殺されるぞ」
皆がざわつく。
「三橋です。みんな落ち着いて。二岡君が殴られたのは事実みたいだけど、追撃も無いし、殺されてもいないから」
「一ノ瀬です。今、二岡はイジメの件を話したくないと言った瞬間に殴られた。やっぱり、犯人はイジメの件について聞きたいのかも知れない」
「二岡です。だけど、イジメの件について話をするのは……」
「一ノ瀬です!  二岡は発言を待ってくれ!」
俺は二岡の話を遮った。
「イジメの件について否定的な発言をすると、殴られる可能性がある。一先ず、イジメの件について、否定的な発言はやめにしよう」
「三橋です。そうですね。二岡君以外でも良いんで、イジメの件について情報があれば発言してください」
「四天王寺です。二岡を庇《かば》う訳では無いが、少人数のクラスでイジメがあったんだ。勿論、全員が知っていた筈だし責任がある。そもそも、犯人にだって責任がある!」
強い意見だ。普通の人なら、二岡が殴られた後に出来る発言では無い。正義感の強い四天王寺ならではだろう。
「六角です。四天王寺の意見は最もだけど、ここは、二岡に全責任を負ってもらった方が得だと思う」
「ちょっと待てよ!」
「この状況では当然だな」
二岡らしき人物が反対した後、八重樫らしき人物が賛成した。
「一ノ瀬です。六角の意見も理解できるけど、それは無理だな」
「何故だ?  偽善者かお前は!」
六角らしき人物が強く反論したので俺は返す。
「そういう事じゃなくて、犯人は二岡だけが狙いじゃないって事だ」
「どういう事だ?」
八重樫らしき人物に質問されたので答える。
「犯人が二岡だけの狙いであれば、こんな事はしない。犯人は二岡以外の人に意見を求めている」
「なるほど……」
誰かが呟いた後、俺は皆に促す。
「だから、二岡以外で情報があれば、話して」
「……」
「……」
沈黙が流れる。目隠しをされているせいか、時間が止まったかと思うぐらいの静寂に包まれた。
「三橋です。ただ、この状況だと、皆、自分が不利になるような情報は言いたく無いしなあ。やっぱり、二岡君に話してもらわないと……」
「四天王寺です。俺は、二岡が十文字をイジメているという認識は無かったな。じゃれあってるって感じだった。学校内での感じなら、正直、自殺まですると思わなかった」
「六角です。俺は十文字側なら嫌だなと感じていたけどな」
「二岡です。俺もイジメの意識は無かったよ。十文字の自殺の原因が、全て俺のせいだとは思いたくないけど、一因になったかも知れ……」
ゴン!  ゴッ!  バタッ……ゴッ!
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