10番目の同級生

ジャメヴ

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コスモグループ辞令

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◆4月2日午前9時
  コスモグループの緊急朝礼があり、六角信雄新社長から元社長信忠死亡の説明と、組織体制の発表があった。

会長 六角信長
代表 六角信雄
専務 狩野英大
常務 熊谷真弓

  コスモグループ社内では、信忠元社長の自殺についてと新常務熊谷の話で持ちきりだ。
「熊谷次長が他の部長を抑えて常務に昇進かよ」
「悪どい事一杯やってそうだけどな」
「いや、実際やってるって」
「でも、仕事は相当出来るからな」
「そもそも、信忠社長殺したの熊谷さんじゃね~の?」
「お前達、無茶苦茶言ってるな。でも、あり得そうだから怖い……」
「昇進の鬼だからな。あの人なら殺人でも何でもアリだ」
「でも、まだ30代だよな?  38?  だっけ?  すげえな」

  昨日、ジュエリー西川への謝罪と警察の取り調べ、信忠の遺品整理等で出社出来なかった信雄は、新社長として緊急朝礼という初仕事を終えた後も、信忠元社長の書類整理に追われていた。そんな中、受付から信雄に内線が入る。
「社長、お疲れ様です。警察の方がいらっしゃっています」

「ご無沙汰してます、先日担当した小牧と日吉です」
「ああ、先日はどうも。兄の自殺について何か問題が見つかりましたか?」
「いえ、今日は別件なんです」
「別件?」
「実は、弟さんの信孝さんが殺されました」
「殺された?!  誰に?!」
信雄は殺されたと大声で発してしまったので、周りを確認した。周りに人は居ないようだ。
「容疑者は多少絞れてるんですが、まだ……」
「確認しに行って大丈夫ですよね?」
「はい、御協力お願いします」

4月3日午前9時
「小牧さんどうですか?  進展ありました?」
日吉は小牧に話し掛けた。
「ちょっと待ってくれ、もうすぐ野々村さんが来てくれるので、そこで話す」
すると、日吉、小牧の先輩、野々村が入ってきた。
「お疲れ様です、野々村さん」「お疲れ様です」

  野々村は剣道有段者。180センチぐらいの身長で恰幅の良い体型。アラフォーの2枚目で、真っ黒な少し長めの天然パーマの髪をオールバックにしている事が多い。推理力と観察眼が優れていて、いくつもの難事件を解決している。ただ、日本人らしくない性格で有休をしっかり取り、土日は必ず休む。その為出世が遅い。

「野々村さんゆっくり休めましたか?」
「ああ、天気にも恵まれて快適だったよ。ありがとう」
野々村は4月の1日2日と有休を取り、1泊2日の温泉旅行に行っていた。
「どうだい?  何か分かったか?」
「まず、六角信忠の首吊り事件について説明させて頂きます」
小牧は日吉と野々村に準備してきた資料を渡し、ホワイトボードを使って説明を始めた。
「まず、ジュエリー西川の防犯カメラには、三男信孝らしき人物が犯行を行っているのが映っています。時間は21時0分25秒です」
「ちょっといいか?」
野々村が早々に小牧の説明を制した。
「何でしょう?」
「その犯行時間、既に違和感がある」
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