10番目の同級生

ジャメヴ

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試合会場

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4月4日土曜午前10時
「良かった、着いた~」
  俺と三橋さんは1時間程かけてボクシング会場に到着した。
「試合は10時半からだからバッチリだね」
「良かった良かった。ん?  その荷物、何?  持とうか?」
三橋は試合観戦なのに多めの荷物を持っている。
「えへへ。サンドイッチ作って来ちゃった」
「お~!  気が利くね」
「日吉さん勝てるかな~」
「どうなんだろうね?  勝って欲しいけど、当然向こうもプロな訳で……」
「そうよね~」
「ちょっと調べたんだけど、警察官でプロボクサーって、今、1人だけみたい。だから、ボクシング界では日吉さんって結構有名みたいなんだ」
「えっ?!  そうなの?」
「しかも、デビューして3連勝中!」
「凄~い!  強いんだ」

   会場に入ると他の選手の試合が始まっており、盛り上がっている。
「もっとガラガラなのかと思ってた」
俺の知識はテレビだけだが、4回戦ボーイの試合にこんなに観客がいるとは思っていなかった。因みに今日のメインイベントは8回戦ボクサーのようだ。

「席はどこだ?」
俺がリングサイドを見渡すと野々村さんと小牧さんがいた。
「あっ!  野々村さんと小牧さんがいる!」
「あっ!  ホントだ!」
三橋さんが気付いたと同時ぐらいに野々村さんも気が付いて手を振ってくれた。
「時間もあるし、取り敢えず話をしに行こうか」
「そうね」
俺達は野々村さんと小牧さんの席へ向かった。
「こんにちは」
「やあ、来てくれたんだね」
「ここに座るかい?  良い場所が空いてるよ」
野々村さんは自分達の隣の席をすすめてきた。
「えっ!  こんな特等席良いんですか?」
「日吉の同僚が来れなくなったみたいなんだ」
「じゃあ、失礼します」
俺と三橋さんは席に座った。
「最近、色々物騒な事件が多いですけど、お休み取れるんですか?」
「事件なんて毎日起こっているしね。休めるときは休むよ。今日は土曜日だしな」
「野々村さんは土日は働かない派なんだ。有休もしっかりとる。だから、出世が遅いんだよ。本来なら俺達と一緒にいるレベルの人じゃないんだ」
「まあ、平日はしっかり働くさ。焦ってもしょうがない」
小牧さんは野々村さんの現在の役職に納得がいっていないようだ。
「日吉さんの調子はどうですか?」
「絶好調みたいだな。今日勝てば晴れて6回戦ボクサーだからな」
「そうなんですか。頑張って欲しいですね」
「会いに行くかい?」
「えっ、試合前ですけど良いんですか?」
「遠目からなら大丈夫」
俺は三橋さんを目で促してから答える。
「行きます」

  荷物を席に残して、4人で選手控え室へ向かった。既に勝った選手、負けた選手、セコンド、家族などで控え室はごった返していて近づけない。
「あっ、日吉さん」
遠目からシャドーボクシングをしている日吉さんの姿を三橋さんが見付けたようだ。俺は初めて日吉さんの動きを見るのだが、中々シャープな素振りをしている。
「調子良さそうですね」
「ああ、仕上がっているよ」
日吉さんは真っ赤なトランクスに真っ赤なシューズ、そして、真っ赤なタオルだった。俺は野々村さんに質問する。
「真っ赤ですね。ラッキーカラーなんですか?」
「ああ。日吉は、ああ見えて験を担ぐタイプなんだ。赤は闘争本能を高めるしね」
「毎回、試合の日のご飯はステーキとトンカツで敵に勝つなんだ」
小牧さんが会話に割って入ってきた。
「古風な人なんですね」
と俺が言うと、
「大事な試合だし、やれる事は、やっておかないと」
と三橋さんが返した。
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