58 / 72
試合会場
しおりを挟む
4月4日土曜午前10時
「良かった、着いた~」
俺と三橋さんは1時間程かけてボクシング会場に到着した。
「試合は10時半からだからバッチリだね」
「良かった良かった。ん? その荷物、何? 持とうか?」
三橋は試合観戦なのに多めの荷物を持っている。
「えへへ。サンドイッチ作って来ちゃった」
「お~! 気が利くね」
「日吉さん勝てるかな~」
「どうなんだろうね? 勝って欲しいけど、当然向こうもプロな訳で……」
「そうよね~」
「ちょっと調べたんだけど、警察官でプロボクサーって、今、1人だけみたい。だから、ボクシング界では日吉さんって結構有名みたいなんだ」
「えっ?! そうなの?」
「しかも、デビューして3連勝中!」
「凄~い! 強いんだ」
会場に入ると他の選手の試合が始まっており、盛り上がっている。
「もっとガラガラなのかと思ってた」
俺の知識はテレビだけだが、4回戦ボーイの試合にこんなに観客がいるとは思っていなかった。因みに今日のメインイベントは8回戦ボクサーのようだ。
「席はどこだ?」
俺がリングサイドを見渡すと野々村さんと小牧さんがいた。
「あっ! 野々村さんと小牧さんがいる!」
「あっ! ホントだ!」
三橋さんが気付いたと同時ぐらいに野々村さんも気が付いて手を振ってくれた。
「時間もあるし、取り敢えず話をしに行こうか」
「そうね」
俺達は野々村さんと小牧さんの席へ向かった。
「こんにちは」
「やあ、来てくれたんだね」
「ここに座るかい? 良い場所が空いてるよ」
野々村さんは自分達の隣の席をすすめてきた。
「えっ! こんな特等席良いんですか?」
「日吉の同僚が来れなくなったみたいなんだ」
「じゃあ、失礼します」
俺と三橋さんは席に座った。
「最近、色々物騒な事件が多いですけど、お休み取れるんですか?」
「事件なんて毎日起こっているしね。休めるときは休むよ。今日は土曜日だしな」
「野々村さんは土日は働かない派なんだ。有休もしっかりとる。だから、出世が遅いんだよ。本来なら俺達と一緒にいるレベルの人じゃないんだ」
「まあ、平日はしっかり働くさ。焦ってもしょうがない」
小牧さんは野々村さんの現在の役職に納得がいっていないようだ。
「日吉さんの調子はどうですか?」
「絶好調みたいだな。今日勝てば晴れて6回戦ボクサーだからな」
「そうなんですか。頑張って欲しいですね」
「会いに行くかい?」
「えっ、試合前ですけど良いんですか?」
「遠目からなら大丈夫」
俺は三橋さんを目で促してから答える。
「行きます」
荷物を席に残して、4人で選手控え室へ向かった。既に勝った選手、負けた選手、セコンド、家族などで控え室はごった返していて近づけない。
「あっ、日吉さん」
遠目からシャドーボクシングをしている日吉さんの姿を三橋さんが見付けたようだ。俺は初めて日吉さんの動きを見るのだが、中々シャープな素振りをしている。
「調子良さそうですね」
「ああ、仕上がっているよ」
日吉さんは真っ赤なトランクスに真っ赤なシューズ、そして、真っ赤なタオルだった。俺は野々村さんに質問する。
「真っ赤ですね。ラッキーカラーなんですか?」
「ああ。日吉は、ああ見えて験を担ぐタイプなんだ。赤は闘争本能を高めるしね」
「毎回、試合の日のご飯はステーキとトンカツで敵に勝つなんだ」
小牧さんが会話に割って入ってきた。
「古風な人なんですね」
と俺が言うと、
「大事な試合だし、やれる事は、やっておかないと」
と三橋さんが返した。
「良かった、着いた~」
俺と三橋さんは1時間程かけてボクシング会場に到着した。
「試合は10時半からだからバッチリだね」
「良かった良かった。ん? その荷物、何? 持とうか?」
三橋は試合観戦なのに多めの荷物を持っている。
「えへへ。サンドイッチ作って来ちゃった」
「お~! 気が利くね」
「日吉さん勝てるかな~」
「どうなんだろうね? 勝って欲しいけど、当然向こうもプロな訳で……」
「そうよね~」
「ちょっと調べたんだけど、警察官でプロボクサーって、今、1人だけみたい。だから、ボクシング界では日吉さんって結構有名みたいなんだ」
「えっ?! そうなの?」
「しかも、デビューして3連勝中!」
「凄~い! 強いんだ」
会場に入ると他の選手の試合が始まっており、盛り上がっている。
「もっとガラガラなのかと思ってた」
俺の知識はテレビだけだが、4回戦ボーイの試合にこんなに観客がいるとは思っていなかった。因みに今日のメインイベントは8回戦ボクサーのようだ。
「席はどこだ?」
俺がリングサイドを見渡すと野々村さんと小牧さんがいた。
「あっ! 野々村さんと小牧さんがいる!」
「あっ! ホントだ!」
三橋さんが気付いたと同時ぐらいに野々村さんも気が付いて手を振ってくれた。
「時間もあるし、取り敢えず話をしに行こうか」
「そうね」
俺達は野々村さんと小牧さんの席へ向かった。
「こんにちは」
「やあ、来てくれたんだね」
「ここに座るかい? 良い場所が空いてるよ」
野々村さんは自分達の隣の席をすすめてきた。
「えっ! こんな特等席良いんですか?」
「日吉の同僚が来れなくなったみたいなんだ」
「じゃあ、失礼します」
俺と三橋さんは席に座った。
「最近、色々物騒な事件が多いですけど、お休み取れるんですか?」
「事件なんて毎日起こっているしね。休めるときは休むよ。今日は土曜日だしな」
「野々村さんは土日は働かない派なんだ。有休もしっかりとる。だから、出世が遅いんだよ。本来なら俺達と一緒にいるレベルの人じゃないんだ」
「まあ、平日はしっかり働くさ。焦ってもしょうがない」
小牧さんは野々村さんの現在の役職に納得がいっていないようだ。
「日吉さんの調子はどうですか?」
「絶好調みたいだな。今日勝てば晴れて6回戦ボクサーだからな」
「そうなんですか。頑張って欲しいですね」
「会いに行くかい?」
「えっ、試合前ですけど良いんですか?」
「遠目からなら大丈夫」
俺は三橋さんを目で促してから答える。
「行きます」
荷物を席に残して、4人で選手控え室へ向かった。既に勝った選手、負けた選手、セコンド、家族などで控え室はごった返していて近づけない。
「あっ、日吉さん」
遠目からシャドーボクシングをしている日吉さんの姿を三橋さんが見付けたようだ。俺は初めて日吉さんの動きを見るのだが、中々シャープな素振りをしている。
「調子良さそうですね」
「ああ、仕上がっているよ」
日吉さんは真っ赤なトランクスに真っ赤なシューズ、そして、真っ赤なタオルだった。俺は野々村さんに質問する。
「真っ赤ですね。ラッキーカラーなんですか?」
「ああ。日吉は、ああ見えて験を担ぐタイプなんだ。赤は闘争本能を高めるしね」
「毎回、試合の日のご飯はステーキとトンカツで敵に勝つなんだ」
小牧さんが会話に割って入ってきた。
「古風な人なんですね」
と俺が言うと、
「大事な試合だし、やれる事は、やっておかないと」
と三橋さんが返した。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる