10番目の同級生

ジャメヴ

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対戦相手の佐藤選手

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  控え室から席に向かう途中、1人のボクサーが前から来た。日吉さんの対戦相手、佐藤選手のようだ。隣の芝生は青く見えると言うのは本当らしい。物凄く強そうに見える。
  すると、小牧さんが彼に声を掛ける。
「どうだ調子は?」
「良いですよ」
彼が自信ありげに答えると野々村さんが言う。
「日吉なんかブッ飛ばしてやれ」
俺はどういう冗談なのか分からずに野々村さんを見ると、不思議そうな顔をした三橋さんと目が合った。
「ははは、頑張ります」
佐藤選手は野々村さん、小牧さんと拳を合わせた後、控え室へ移動した。俺は野々村さんに質問する。
「知り合いなんですか?」
「ああ、よく知っている」
「ずいぶん若く見えましたが……」
「ああ、18だ」
「どういう御関係なんですか?」
「1年前、佐藤は喧嘩ばかりしていた、どうしようもない不良だったんだ。それを日吉が更正させたのさ」
「日吉さんが?」
「まあ、更正させたって言うのは大袈裟だけどね。殴り倒しただけだから」
小牧さんが会話に割って入ってきたが、意味がよく分からない。
「俺も柔道をやっているが、佐藤を抑えつけるのは困難だったんだ。そこに日吉が右ボディー1発で佐藤を倒したのさ」
「へ~」
「当時、タイマンでは無敗を誇っていた佐藤だったんだが、自分の弱さを知り、ボクシングを始めだしたんだ。日吉のボクシングに魅せられたって事だな」
「じゃあ、1年でプロボクサーになったんですね」
「実際には半年ぐらいだな。あいつには素質があるよ。やる気さえあれば日本チャンプになれる器だ」
「じゃあ、今日、日吉さんピンチですね」
三橋さんが真剣な顔で言った。
「まあ、俺はどっちが勝っても嬉しいよ。更正した佐藤の姿を見ると警察官冥利に尽きるよ」
野々村さんが言うと小牧さんが話す。
「私はどっちかが負けるんだと思って、どんな結果でも悲しいですよ……」
色んな考え方があるなと思った。俺は小牧さん寄りかも知れない。
「実際どうなんですか?  下馬評というか……」
俺が聞くと野々村さんが答える。
「まあ、佐藤の圧勝だろうな」
「え~、日吉さん頑張って欲しい」
三橋さんは悲しそうに言った。
「日吉も当然強いんだが、相手が悪すぎる」
「1年でそこまで強くなったんですね」
「まあ、元々強かったんだ。鍛えれば別人だよ」
「日吉得意の右ボディーが入れば分かりませんよ」
小牧さんが意味深に言った。野々村さんが答える。
「そうだな、今日の見処は日吉の右ボディーから、ガードが下がったところへ、同じ軌道の右アッパーのコンボが入るかどうかだな」
「それが日吉さんの必殺技なんですか?」
三橋さんが質問すると野々村さんは答える。
「そうだね。問題は佐藤に手の内がバレてるって事だな。知り合いじゃなければ、どっちが勝ってもおかしくないんだが……。後は年齢によるスタミナの差も心配だな。それに加え日吉はタバコを吸っている。まあ、日吉の勝ち目は薄いな」
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