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別荘の入り口まで歩き、玄関のドアを開けた。
ガチャ、♪♪♪~
音楽が流れた。呼び鈴代わりになっているようだ。左側に靴が何足か揃えられている。下駄箱もあるようだ。前にはスリッパが2足ある。俺とヨツバの分だろう。すると、正面の部屋から中肉中背で濃い大きめのサングラスに白のマスクをした黒スーツの男性が出てきた。扉には何か紙が貼られている。「F」?
彼はこちらに向かいながら話す。
「いらっしゃい。部屋を案内するよ」
「あ、宜しくお願いします。えと・・・外にもう1人女性がいます」
「分かった」
か、軽い・・・。高校生か! と突っ込みたくなるような話し方だ。サングラスにマスクなので、ハッキリとは分からないけど、30代半ばに見えた。だけど、チャラい話し方なのでもう少し若いかもしれない。恐らく、向こうはこっちの年齢を知っているので、敬語を使わないという事は、流石に俺より年上だろう。
ガチャ、♪♪♪~
「いらっしゃい」
「こんにちは、お世話になります」
「じゃあ、部屋を案内するよ。速水双六君とオグラヨツバさんだね?」
「はい」「そうです」
「じゃあ、スリッパに履き替えて・・・靴はそのままでも良いし、下駄箱に入れても良いし・・・」
俺とヨツバは靴を下駄箱に入れ、スリッパを履いた。男性はヨツバに話し掛ける。
「片方持つよ」
「ありがとうございます」
ヨツバは赤のスーツケースを男性に手渡した。男性は玄関から向かって右側にある階段を上り、2階へ上がるようだ。俺達もついていく。階段を上りきり、右手に1つ目の部屋があり、その次の、2つ目の部屋も通り越して、次の右手にある部屋で、彼は説明を始める。
「ここが速水君の部屋で、もう1つ向こうがオグラさんの部屋だから」
「はい」「分かりました」
「じゃあ、ちょっとの間、部屋の中で待っていてくれるかな」
「はい」「分かりました」
俺はヨツバに軽く頷いてから部屋に入った。シンプルで綺麗な部屋だ。6畳よりちょっと広いように感じる。ベッドも置いてあり、クローゼットもある。洗面台とトイレと風呂が無いという事は、共用なのだろう。後はテレビと机。ん? これは?
机の上にボールペンとメモ帳と茶封筒が置いてあり、茶封筒には「参加賞」と書かれてある。もしかして・・・。
俺はバッグを適当に置き、茶封筒の中身を確認した。数えると、1万円札が15枚入っている。交通費が5万円プラスされているようだ。少しテンションが上がった。茶封筒の隣には、安っぽい緑のキーホルダーに黒マジックで「6」と書かれたものが付けられた鍵が置いてある。恐らくドアの鍵だろう。
俺はベッドに仰向けに寝て、天井を見ながら考える。先ずはヨツバの事だ。彼女は頭の回転が速いのか、綿密に計画を練っているのか分からないけど、かなりの切れ者だ。こっちから裏切ったりするつもりは無いけど、向こうが裏切る可能性は念頭に置いておかないといけない。後は、先程の男・・・。10万円を皆に配り、更に100万円程度(勝手な憶測だけど)の賞金を渡せる程の金持ち感は無かった・・・。彼は出資者じゃなくて、雇われの司会者かもしれない。そもそも、これは何のイベントなんだ?
「ガッガッ・・・」
その時、別荘内に放送が流れる。
「皆さん、改めましてこんにちは。全員が集まりましたので、今からゲームを始めたいと思います。賞金は1億円です」
俺は耳を疑った。1億・・・多くても100万円ぐらいだと思っていたのに、桁違いの金額だ。あまりに高過ぎると、嘘なんじゃないかと思ってしまう。
「えーっと、まず、この別荘にあるものは全てご自由にお使いください。あと、どの部屋が何の部屋とか説明するのは面倒なので、ご自身で確認してください。但し、参加者の部屋がほとんどですから、ノックしてくださいね。さて、ルールですが、答えが分かった人は、私の部屋をノックしてください。私の部屋のドアにはアルファベットのエフが貼り紙されています。但し、1日1回しか答える事が出来ません。夜の12時を回ればリセットされます。要するに最大3回答える権利があるという事です。
では問題です。
イチハチナナゴー
さて、何でしょう?
もう一度問題を言います。
イチハチナナゴー
さて、何でしょう?
1番早く正解を出した人には1億円です。では、スタート!」
ガチャ、♪♪♪~
音楽が流れた。呼び鈴代わりになっているようだ。左側に靴が何足か揃えられている。下駄箱もあるようだ。前にはスリッパが2足ある。俺とヨツバの分だろう。すると、正面の部屋から中肉中背で濃い大きめのサングラスに白のマスクをした黒スーツの男性が出てきた。扉には何か紙が貼られている。「F」?
彼はこちらに向かいながら話す。
「いらっしゃい。部屋を案内するよ」
「あ、宜しくお願いします。えと・・・外にもう1人女性がいます」
「分かった」
か、軽い・・・。高校生か! と突っ込みたくなるような話し方だ。サングラスにマスクなので、ハッキリとは分からないけど、30代半ばに見えた。だけど、チャラい話し方なのでもう少し若いかもしれない。恐らく、向こうはこっちの年齢を知っているので、敬語を使わないという事は、流石に俺より年上だろう。
ガチャ、♪♪♪~
「いらっしゃい」
「こんにちは、お世話になります」
「じゃあ、部屋を案内するよ。速水双六君とオグラヨツバさんだね?」
「はい」「そうです」
「じゃあ、スリッパに履き替えて・・・靴はそのままでも良いし、下駄箱に入れても良いし・・・」
俺とヨツバは靴を下駄箱に入れ、スリッパを履いた。男性はヨツバに話し掛ける。
「片方持つよ」
「ありがとうございます」
ヨツバは赤のスーツケースを男性に手渡した。男性は玄関から向かって右側にある階段を上り、2階へ上がるようだ。俺達もついていく。階段を上りきり、右手に1つ目の部屋があり、その次の、2つ目の部屋も通り越して、次の右手にある部屋で、彼は説明を始める。
「ここが速水君の部屋で、もう1つ向こうがオグラさんの部屋だから」
「はい」「分かりました」
「じゃあ、ちょっとの間、部屋の中で待っていてくれるかな」
「はい」「分かりました」
俺はヨツバに軽く頷いてから部屋に入った。シンプルで綺麗な部屋だ。6畳よりちょっと広いように感じる。ベッドも置いてあり、クローゼットもある。洗面台とトイレと風呂が無いという事は、共用なのだろう。後はテレビと机。ん? これは?
机の上にボールペンとメモ帳と茶封筒が置いてあり、茶封筒には「参加賞」と書かれてある。もしかして・・・。
俺はバッグを適当に置き、茶封筒の中身を確認した。数えると、1万円札が15枚入っている。交通費が5万円プラスされているようだ。少しテンションが上がった。茶封筒の隣には、安っぽい緑のキーホルダーに黒マジックで「6」と書かれたものが付けられた鍵が置いてある。恐らくドアの鍵だろう。
俺はベッドに仰向けに寝て、天井を見ながら考える。先ずはヨツバの事だ。彼女は頭の回転が速いのか、綿密に計画を練っているのか分からないけど、かなりの切れ者だ。こっちから裏切ったりするつもりは無いけど、向こうが裏切る可能性は念頭に置いておかないといけない。後は、先程の男・・・。10万円を皆に配り、更に100万円程度(勝手な憶測だけど)の賞金を渡せる程の金持ち感は無かった・・・。彼は出資者じゃなくて、雇われの司会者かもしれない。そもそも、これは何のイベントなんだ?
「ガッガッ・・・」
その時、別荘内に放送が流れる。
「皆さん、改めましてこんにちは。全員が集まりましたので、今からゲームを始めたいと思います。賞金は1億円です」
俺は耳を疑った。1億・・・多くても100万円ぐらいだと思っていたのに、桁違いの金額だ。あまりに高過ぎると、嘘なんじゃないかと思ってしまう。
「えーっと、まず、この別荘にあるものは全てご自由にお使いください。あと、どの部屋が何の部屋とか説明するのは面倒なので、ご自身で確認してください。但し、参加者の部屋がほとんどですから、ノックしてくださいね。さて、ルールですが、答えが分かった人は、私の部屋をノックしてください。私の部屋のドアにはアルファベットのエフが貼り紙されています。但し、1日1回しか答える事が出来ません。夜の12時を回ればリセットされます。要するに最大3回答える権利があるという事です。
では問題です。
イチハチナナゴー
さて、何でしょう?
もう一度問題を言います。
イチハチナナゴー
さて、何でしょう?
1番早く正解を出した人には1億円です。では、スタート!」
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